JPS5943083B2 - 負荷時タツプ切換変圧器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は特に大容量の負荷時タップ切換変圧器に関する
ものであろ。

近年、電力需要の増大に伴ない、電力系統容量も増加の
一途をたどつており、それに使用される変圧器も、その
運用の経済性から大容量化が望まれている。

そして変圧器設置場所が内陸部となる場合は輸送上の制
約から、或は超々高圧変圧器にあつては相間気中距離確
保の面から、変圧器は単相器として複数に分割して構成
されるのが一般的である。一方、系統電圧を一定に保持
し、系統安定度を高め良質の電力を供給するために変圧
器には負荷時タップ切換器を付設することが多い。

負荷時タップ切換器は切換方法から大別して抵抗式とリ
アクトル式の２種があるが、切換速度、信頼性、保守の
容易さの点に優れる前者が圧倒的に多用されている。し
かしてこの抵抗式負荷時タップ切換器はその構造上の理
由から、三相中性点切換用として切換接点を３個有する
ものが経済的であり、単相用のものは、これら３個の接
点のうち不要の２個を取り付けずに使用する形となるの
で、外形寸法、価格的にもあまり変わらないのが実情で
ある。

このため単相変圧器に負荷時タップ切換器を適用するに
当つては、種々の工夫によつて、負荷電流を２分或は３
分することにより、一つの切換接点の電流容量が単相用
使用時の十或は＋で済む小定格の三相中性点切換用のも
のを用いる場合が多かつた。また変圧器との組み合せに
おいては、主変圧器の巻線構成を単純化するとともに、
万一の負荷時タツプ切換器の事故に対しても、主変圧器
への波及を防ぎ、復旧を早めるという観点から、タツプ
部分を主変圧器と別にして負荷時電圧調整器とする構成
も多用されている。第１図および第２図は従来の最も一
般的な負荷時タツプ切換変圧器の異なる例をしめすもの
である。

第１図においては、単相鉄心の２つの主脚１Ａ，１Ｂに
それぞれ高圧巻線単位２Ａ，２Ｂおよび低圧巻線単位３
Ａ，３Ｂを等分割して巻装した主変圧器１０と、単相鉄
心の主脚４に２個のタツプ巻線単位５Ａ，５Ｂおよび励
磁巻線６を巻装した単相負荷時電圧調整器２０を設けた
もので、主変圧器２０の低圧巻線単位３Ａ，３Ｂは並列
接続し、また高圧巻線単位２Ａ，２Ｂはその一方の各端
子を共通接続して線路端とするとともに他方の各端子は
単相負荷時電圧調整器２０の２個のタツプ巻線単位５Ａ
，５Ｂとそれぞれ別個に直列接続する。負荷時電圧調整
器２０の２個のタツプ巻線単位５Ａ，５Ｂは三相中性点
切換用負荷時タツプ切換器８の異なる相に接続して中性
点０とし、またこのタツプ巻線単位５Ａ，５Ｂを励磁す
る励磁巻線６は主変圧器１０の低圧巻線単位３Ａ，３Ｂ
に並列接続して構成する。この構成によれば、高圧巻線
に流れる負荷電流は主変圧器１０の高圧巻線単位２Ａ，
２Ｂにより＋づつ分流されるので、負荷時タツプ切換器
８は、切換接点の電流容量が単相用の＋の三相中性点切
換用のものが適用できる。

この構成の応用例として、主変圧器１０の巻線を３つの
主脚に等分割して巻装する構成とすれば更に単相用の＋
の電流容量の三相中性点切換用負荷時タツプ切換器が適
用できる。

しかしながら主変圧器１０の巻線分割数を増すことは変
圧器全体の鉄、銅使用量が増加し、かつこれらによる発
生損失も大きくなるため、特に輸送上の制約で巻線を分
割し、変圧器の幅寸法を小さくする必要がある場合を除
いては、コストが高くなり不利である。

そこで、第２図に示すように、単相鉄心の１つの主脚１
に高圧巻線２及び低圧巻線３を巻装した主変圧器１０に
おいて、高圧巻線２の線路端を巻線中央から引出して上
下に巻き分ける構成とし、上下巻線端を第１図と同様に
構成した単相負荷時電圧調整器２０の２個のタツプ巻線
単位５Ａ，５Ｂに各々別々に接続したものがある。

この構成によれば、高圧巻線２に流れる負荷電流は高圧
巻線２の上下半部の間の大きな巻線漏れインピーダンス
によつてほぼ寺づつに分流されるので、第１図の構成と
同様に、単相用の＋の電流容量の三相中性点切換用負荷
時タツプ切換器８が適用できる。この構成は第１図の場
合と異なり、巻線を分割することがないので、経済的で
あるが、分流すべき高圧巻線２を、上下に巻き分ける構
成とすることが困難な場合、即ち高圧巻線２が内側配置
となるような場合、そして特にそれが高電圧巻線である
場合には実際土不可能となる欠点があつた。こうした例
の最も一般的なものは、単巻変圧器の中性点にタツプを
配置する場合で、この場合は最外側配置となるのは、よ
り電圧の高い直列巻線であり、タツプのつく分路巻線は
内側配置となり、上下巻き分け構造とすることがむづか
しい。本発明は上述のような従来技術のもつ欠点を除き
、主変圧器の巻線を並列に分割することなく、また上下
に巻き分けることなく負荷電流を等分することのできる
負荷時タツプ切換変圧器を提供することを目的とするも
のである。

かかる目的を達成するため、本発明は、少なくとも２つ
の主脚を有する単相鉄心の各主脚に一次巻線単位、タツ
プ巻線単位および励磁巻線単位を巻装し、かつ三相中性
点切換用負荷時タツプ切換器を設けて電圧調整用変圧器
を構成し、この電圧調整用変圧器の一次巻線単位とタツ
プ巻線単位は各主脚毎に直列接続し、その各タツプ巻線
単位側の端子は三相中性点切換用負荷時タツプ切換器の
異なる相に接続して中性点とするとともに各一次巻線単
位側の端子は共通にして主変圧器の高圧巻線に直列接続
し、また励磁巻線単位は直列接続して主変圧器の二次巻
線に並列接続することにより単相用の負荷時タツプ切換
変圧器を構成するものである。

また本発明は、三脚鉄心の各主脚に一次巻線単位、タツ
プ巻線単位および励磁巻線単位を巻装しかつ三相中性点
切換用負荷時タツプ切換器を設けて三相電圧調整用変圧
器を構成し、この三相電圧調整用変圧器２台と主変圧器
３台とを用い、各三相電圧調整用変圧器の各相の一次巻
線単位とタツプ巻線単位は直列接続し、各相のタツプ巻
線単位側の端子は対応する三相中性点切換用負荷時タツ
プ切換器の各相に接続して中性点とするとともに各相の
一次巻線単位側の端子は各相それぞれ共通にして対応す
る相の主変圧器の一次巻線と直列接続し、各三相電圧調
整用変圧器の励磁巻線単位は各相それぞれ直列接続して
対応する相の主変圧器の二次巻線に並列に接続すること
により、三相用の負荷時タツプ切換変圧器を構成するも
のである。

以下本発明の一実施例を図面を参照して説明する。第３
図において、単相鉄心の１つの主脚１に高圧巻線２と低
圧巻線３を巻装した主変圧器１０と、別の単相鉄心の２
つの主脚４Ａ，４Ｂにそれぞれ巻装した中性点側高圧巻
線単位７Ａ，７Ｂ、タツプ巻線単位５Ａ，５Ｂおよび励
磁巻線単位６Ａ，６Ｂとからなる単相負荷時電圧調整用
変圧器２１とで負荷時タツプ切換変圧器を構成する。こ
こで、単相負荷時電圧調整用変圧器２１の中性点側高圧
巻線単位７Ａ，７Ｂとタツプ巻線単位５Ａ，５Ｂをそれ
ぞれ直列に接続する。そしてその中性点側高圧巻線単位
７Ａ，７Ｂ側の各端子は共通接続して主変圧器１０の高
圧巻線２の一端に接続し、またタツプ巻線単位５Ａ，５
Ｂ側の各端子は三相中性点切換用負荷時タツプ切換器８
の異なる相にそれぞれ接続して中性点０とする。なお、
高圧巻線２の他端は線路端である。一方、励磁巻線単位
６Ａ及び６Ｂは直列接続して主変圧器１０の低圧巻線３
に並列接続する。

このように構成すれば、高圧巻線２に流れる負荷電流は
高圧巻線２が１個であつてもそこから２個の中性点側高
圧巻線単位７Ａ，７Ｂ、２個のタツプ巻線単位５Ａ，５
Ｂおよび三相中性点切換用負荷時タツプ切換器８の異な
る相の２回路に分流し、しかもタツプ位置がどこにあつ
ても、即ち第３図に示すようにタツプ巻線単位５Ａ，５
Ｂに電流が流れない中央タツプ位置にあつても負荷時タ
ツプ切換器８の異なる相に分流することができる。従つ
て、負荷電流を２等分できるので、負荷時タツプ切換器
８は接点の電流容量が単相用の＋の三相中性点切換用の
ものが適用できる。しかも、高圧巻線２を上下に巻き分
ける構成にする必要がないので、高圧巻線２が内側配置
となるような場合でも容易に適用できるとともに、高圧
巻線２を並列に分割しないので経済的に構成できる。ま
た主変圧器１０の高圧巻線２と負荷時電圧調整用変圧器
２１の中性点側高圧巻線単位７Ａ，７Ｂとの間を接続す
るリード線は１本となり、従来よりも１本少なくなるの
で、構造が簡単になるとともに接続作業が容易になる。
なお、本発明において、励磁巻線単位６Ａ，６Ｂを直列
接続する構成とするのは、負荷時タツプ切換器８に１タ
ツプずれが生じた場合でも負荷時タツプ切換器８の異な
る相に流れる電流が均等になるようにするためである。

即ち、中性点側高圧巻線単位７Ａ，７Ｂ、タツプ巻線単
位５Ａ，５Ｂおよび負荷時タツプ切換器８はこれらによ
つて閉回路を構成しているので、負荷時タツプ切換器８
の動作に１タツプずれが生じると、１タツプ電圧によつ
てその閉回路に循環電流が流れようとする。

ここで、励磁巻線単位６Ａ，６Ｂが並列接続されて閉回
路を構成していると、前述の負荷時タツプ切換器８を含
む閉回路の循環電流に対応してこの励磁巻線単位６Ａ，
６Ｂの閉回路に誘起電流が流れる。従つてこの場合の循
環電流の大きさを決める閉回路のインピーダンスは中性
点側高圧巻線単位７Ａと励磁巻線６Ａ間のもれインピー
ダンスおよび中性点側高圧巻線単位７Ｂと励磁巻線６Ｂ
間のもれインピーダンスの和となり、非常に小さい値と
なる。このため、負荷時タツプ切換器８を含む閉回路に
は１タツプずれによる１タツプ電圧によつて大きな循環
電流が流れることになり、これが負荷電流に重畳する場
合は、負荷時タツプ切換器８の一方の相の切換接点のし
や断責務がつらくなり、しや断できなくなるおそれがあ
る。しかしながら、本発明のように励磁巻線単位６Ａ，
６Ｂを直列接続して低圧巻線３に並列接続する構成では
、前述の１タツプ電圧による循環電流に対し、励磁巻線
単位６Ａ，６Ｂの各巻線には誘起電流が流れ得ない。

従つてこの場合の循環電流の大きさを決める閉回路のイ
ンピーダンスは中性点側高圧巻線単位７Ａ，７Ｂ自体の
インピーダンスになり、この値は中性点側高圧巻線単位
７Ａ，７Ｂが別個の主脚４Ａ，４Ｂに巻装されているの
で非常に大きくなる。このため負荷時タツプ切換器８に
１タツプずれがあつても閉回路の大きなインピーダンス
によつて循環電流が小さく抑えられるので、負荷時タツ
プ切換器８の異なる相の切換接点には均等に電流が流れ
ることになる。このように中性点側高圧巻線単位７Ａ，
７Ｂによつて負荷電流を均等にすることができる。

しかも中性点側高圧巻線単位７Ａ，７Ｂは１タツプ分程
度の巻回数でその機能を十分にはたすことができる。従
つて、中性点側高圧巻線単位７Ａ，７Ｂを丁度１タツプ
相当の巻回数で構成すれば、万一負荷時電圧調整用変圧
器２１の不具合などで、これを主変圧器１０から切り離
す必要が生じた場合でも、主変圧器１０単体による運転
をほぼ中央タツプに近い電圧で続けることができるので
、負荷時電圧調整器方式の利点を損なうことがない。特
にタツプ点数が１７点の場合などでは負荷時タツプ切換
器に標準の１０等配タツプを用いれば、主変圧器１０の
高圧巻線２を予め中央タツプ電圧で巻くことが可能なの
で、負荷時電圧調整用変圧器２１を切り離した時の主変
圧器１０の端子電圧を丁度中央タツプ電圧とすることが
できる。尚、以上の説明においては、主変圧器１０に２
巻線変圧器を例にとつたが、第４図にしめすように、主
変圧器１０が三次巻線付単巻変圧器となる場合も、分路
巻線１２を第３図における高圧巻線２に、また三次巻線
１３を同じく低圧巻線３に置き換えて第３図と同様の接
続とすれば、全く同じ効果が得られる。

なお、１１は直列巻線である。また本発明は、単相変圧
器に限られるものではなく、単相変圧器３台により三相
変圧器バンクを構成する場合であつても同様に実施でき
る。即ち、第５図にしめすように主変圧器１０を３台と
、三相鉄心の３つの主脚９Ａまたは９Ｂにそれぞれ中性
点側高圧巻線単位７Ａまたは７Ｂ、タツプ巻線単位５Ａ
または５Ｂおよび励磁巻線単位６Ａまたは６Ｂを巻装し
、三相中性点切換用負荷時タツプ切換器８を備えた三相
負荷時電圧調整用変圧器２２を２台用い、各三相負荷時
電圧調整用変圧器２２の各相の中性点側高圧巻線単位７
Ａ，７Ｂとタツプ巻線単位５Ａ，５Ｂをそれぞれ直列接
続する。そしてその各相のタツプ巻線単位５Ａ，５Ｂ側
の各端子を２個の三相中性点切換用負荷時タツプ切換器
８，８の対応する相に接続して中性点０とし、各相の中
性点側高圧巻線単位７Ａ，７Ｂ側の各端子を対応する相
の主変圧器１０の高圧巻線２と直列接続する。また各三
相負荷時電圧調整用変圧器２２の各相の励磁巻線単位６
Ａ，６Ｂは直列接続して対応する相の主変圧器１０の低
圧巻線３に並列接続する。例えば各三相負荷時電圧調整
用変圧器２２，２２の図示左側の励磁巻線単位６Ａ，６
Ｂにおいては、端子ＸとＸ同志を接続し、端子ｕとｖを
対応する相の主変圧器１０の低圧巻線３の端子ｕとｖに
接続する。このように構成しても、主変圧器１０の高圧
巻線２を並列に分割することなく、また上下に巻き分け
る構成にすることなく、１相あたりの負荷電流を２個の
中性点側高圧巻線単位７Ａ，７Ｂに均等に分流すること
ができ、従つて各三相中性点切換用負荷時タツプ切換器
８は切換接点の電流容量が＋のものを適用することがで
きる。以上述べたように本発明によれば、主変圧器の巻
線を並列に分割したり、上下に巻き分けたりすることな
く、負荷時電圧調整用変圧器によつて、負荷電流を等分
できるので、その接点電流容量が単相用の＋の三相中性
点切換用負荷時タツプ切換器を適用することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の単相負荷時タツプ切換変圧器をしめす結
線図、第２図は他の従来例をしめす結線図、第３図は本
発明の負荷時タツプ切換変圧器の一実施例を示す結線図
、第４図及び第５図はそれぞれ本発明の他の実施例を示
す結線図である。 １，１Ａ，１Ｂ，４，４Ａ，４Ｂ・・・・・・単相鉄心
主脚、２，２Ａ，２Ｂ・・・・・・高圧巻線（単位）、
３，３Ａ，３Ｂ・・・・・・低圧巻線（単位）、５，５
Ａ，５Ｂ・・・・・・タツプ巻線（単位）、６，６Ａ，
６Ｂ・・・・・・励磁巻線（単位）、７Ａ，７Ｂ・・・
・・・中性点側高圧巻線単位、８・・・・・・三相中性
点切換用負荷時タツプ切換器、９Ａ，９Ｂ・・・・・・
三相鉄心主脚、１０・・・・・・主変圧器、１１・・・
・・・直列巻線、１２・・・・・・分路巻線、１３・・
・・・・三次巻線、２０・・・・・・単相負荷時電圧調
整器、２１・・・・・・単相負荷時電圧調整用変圧器、
２２・・・・・・三相負荷時電圧調整用変圧器、Ｕ，Ｖ
，Ｗ・・・・・・高圧巻線端子、Ｕ，ｖ，ｗ・・・・・
・低圧巻線端子、Ｘ，ｙ，ｚ・・・・・・励磁巻線単位
６Ａと６Ｂの接続点、Ｏ・・・・・・中性点。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 単相鉄心の主脚に少なくとも一次巻線及び二次巻線
   を巻装した主変圧器と、少なくとも２つの主脚を有する
   単相鉄心の各主脚に一次巻線単位、タップ巻線単位およ
   び励磁巻線単位を巻装し、かつ三相中性点切換用負荷時
   タップ切換器を有する電圧調整用変圧器とを備え、前記
   電圧調整用変圧器の一次巻線単位とタップ巻線単位は各
   主脚毎に直列接続し、その各タップ巻線単位側の端子は
   三相中性点切換用負荷時タップ切換器の異なる相に接続
   して中性点とするとともに各一次巻線単位側の端子は共
   通にして前記主変圧器の一次巻線に直列接続し、前記電
   圧調整用変圧器の各主脚の励磁巻線単位は直列接続して
   前記主変圧器の二次巻線に並列接続してなる負荷時タッ
   プ切換変圧器。 ２ 単相鉄心の主脚に少なくとも一次巻線及び二次巻線
   を巻装した主変圧器３台と、三相鉄心の各主脚に一次巻
   線単位、タップ巻線単位および励磁巻線単位を巻装し、
   かつ三相中性点切換用負荷時タップ切換器を有する三相
   電圧調整用変圧器２台とを備え、前記各三相電圧調整用
   変圧器の各相の一次巻線単位とタップ巻線単位は直列接
   続し、各相のタップ巻線単位側の端子は対応する三相中
   性点切換用負荷時タップ切換器の各相に接続して中性点
   とするとともに各相の一次巻線単位側の端子は各相それ
   ぞれ共通して対応する相の前記主変圧器の一次巻線と直
   列接続し、前記三相電圧調整用変圧器の励磁巻線単位は
   各相それぞれ直列接続して対応する相の前記主変圧器の
   二次巻線に並列接続してなる負荷時タップ切換変圧器。