JPS6128061Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本案は、ポンプとモータに使用できる斜板型ア
キシヤルピストンポンプ・モータに関するもので
ある。

従来の斜板型アキシヤルピストンポンプ・モー
タは、第１，２図に示すようにフロントカバー２
とリヤカバー３を有するケーシング１内に軸受
４，５で回転可能に支承された主軸６、主軸６の
スプライン８に係着されたシリンダバレル７、同
シリンダバレルの同一円周上に穿設された同軸方
向に延びる複数のシリンダ１０、同シリンダのポ
ート１１が交互に連通するように同シリンダーポ
ート１１の回動軌跡内に対設された固定バルブプ
レート９の低圧ポート１２と高圧ポート１３、該
低圧ポートと高圧ポートに連通したリヤカバー３
の吸込口１４と吐出口１５、シリンダ１０に嵌挿
された各ピストン１６の外端に球面軸受により係
着されたスリツパ１７、前記スリツパの摺動面を
備えた斜板１９、同斜板１９を傾転調節可能に支
持した斜板軸２０などにより構成されており、そ
の作用は、固定バルブプレート９に対しシリンダ
バレル７が主軸６により方向イに回転されると、
そのピストン１６が、シリンダバレル７によつて
公転されるとともに斜板１９により矢示方向ロに
移動し、吸込口１４および低圧ポート１２から同
シリンダ１０内に作動流体を吸入し、次にそのピ
ストン１６が斜板１９により矢示方向ハに移動さ
れて、シリンダ１０内の吸込作動流体を高圧にし
て高圧ポート１３から吐出口１５に吐出する行程
を交互に繰返し、各シリンダが同様に順次に作動
してポンプ作用をなすようになつており、また、
斜板１９は、斜板傾転角度θ゜範囲内において任
意に傾転可能であつて、ピストン１６の移動量を
調節でき、作動流体の吐出量を斜板傾転角度θ゜
範囲内において任意に調節できるようになつてい
る。

しかし、前記の斜板型アキシヤルピストンポン
プにおいては、斜板傾転角度θを小さくしてピス
トン１６のロおよびハ方向の移動量が小さくなる
と、作動流体の吐出量も少なくなりポンプの駆動
馬力は小さくなるが、遠心力によりシリンダー１
０の内壁面に押しつけられているピストン１６の
移動量が少なくなつて両者の接触部の潤滑が悪く
なり、フレツテイング現象が発生する。このた
め、ポンプ吐出量が零付近つまり斜板傾転角度θ
が０゜付近での長時間のポンプ運転は不可能とさ
れている。

本案は、従来の斜板型アキシヤルピストンポン
プにおける前記したように難点を解消する考案に
係り、斜板型アキシヤルピストンポンプ・モータ
のピストンにおけるスリツパ側の端部外周面に、
軸方向に延びる複数の溝を設けるとともに、前記
ピストンの公転軌跡の外側に流体の連れ動きを抑
制する制御板を設けた点に特徴を有するものであ
つて、その目的とする処は、斜板傾転角０゜付近
における吐出量の少ない運転域においても、ピス
トンの潤滑が良好に保たれて長時間運転可能な斜
板型アキシヤルピストンポンプを供する点にあ
る。

本案は、前記した構成になつており、ピストン
におけるスリツパ側の端部外周面に軸方向に延び
る複数の溝を設けるとともに、ピストンの公転軌
跡の外側に作動流体の連れ動きを抑制する制御板
を設けているので、主軸の軸芯周りにシリンダバ
レルを介し公転されるピストンにおけるシリンダ
から突出した溝を設けている部分の周面に、ケー
シング内に充たされている流体による粘性抵抗差
を生じ前記の溝形成部分が翼の役目をなしてピス
トンが自転されるとともに、このピストンの自転
は、シリンダバレルおよびピストンの動きに伴つ
て生ずる流体の連れ動きを制御板により抑制する
ことによつてさらに助長することができ、ピスト
ンとシリンダ間の潤滑が極めて良好となりフレツ
テイング現象を防止することができて、斜板傾転
角を小さくしてピストンの移動量を微小にした吐
出量の少ない運転域においても、長時間にわたる
運転が可能となる。

以下、本案の実施例を図示について説明する。
第３図ないし第５図に本案の一実施例を示してお
り、各図に示すようにフロントカバー２とリヤカ
バー３を有するケーシング１内に回転可能に軸受
４，５で支承された主軸６、主軸６にスプライン
係着８されたシリンダバレル７、同シリンダバレ
ルの同一円上に穿設された同軸方向に延びる複数
のシリンダ１０、シリンダポート１１が交互に連
通するように同シリンダポート１１の回動軌跡内
に対面させて設けられた固定バルブプレート９の
低圧ポート１２と高圧ポート１３、前記低圧ポー
トと高圧ポートに連通したリヤカバー３の吸込口
１４と吐出口１５、前記シリンダ１０に嵌挿され
た各ピストン１６の外端に球面軸受により係着さ
れたスリツパ１７、前記スリツパの摺動面を備え
た斜板１９、前記斜板を傾転調節可能に支持した
斜板軸２０等よりなる斜板型アキシヤルピストン
ポンプ・モータの構造になつており、この実施例
では、さらに、前記した各ピストン１６における
ケーシング１内に露出する部分即ちスリツパ１７
を係着している側の端部外周面に、軸方向に延び
る複数の溝２１を周方向に等間隔に設けている。
溝２１を形成している部分の断面形状は、第５図
に示す鋸刃溝形とし、溝２１間の突起２２を周方
向の同一方向に傾斜した形状にすることにより、
ピストン１６の自転作用を強めることができる。

また、第５図に示すように、主軸６の軸芯６ａ
周りにシリンダバレル７を介して公転されるピス
トン１６の公転軌跡の外側に、シリンダバレル７
および各ピストン１６の動きに伴つて生ずるケー
シング１内の流体の同方向への連れ動きを抑制す
る制御板２３，２３を配置しており、該制御板２
３におけるピストン１６側の端部は、図示のよう
にシリンダバレル７の回転方向とは逆向きに傾斜
した断面鋸刃形２４に形成され、前記流体の連れ
動きを効率よく抑制できるようになつている。

図示した実施例は、前記したような構成になつ
ているので、主軸６により回転されるシリンダバ
レル７を介して各ピストン１６が回転軸芯６ａ周
りに公転され、さらに、各ピストン１６がスリツ
パ１７を介し斜板１９の摺動面に案内されてシリ
ンダ１０内を図示左右に往復移動してポンプ作用
をなし、その際に、シリンダ１０から突出してい
るスリツパ側の溝２１を設けているピストン１６
の端部周面に、ケーシング１内に充されている流
体の粘性抵抗を受け、ピストンにおける端部周面
の軸芯６ａに近い側１６ａと遠い側１６ｂにおけ
る周面の公転速度の相違によつて前記の粘性抵抗
に差を生ずるため、突出している端部の溝２１、
間即ち突起２２が翼の役目をなして各ピストン１
６が矢示ニ方向に自転される。この自転は、第５
図に示すような溝２１、突起２２の形状にするこ
とにより高めることができる。

しかして、シリンダバレル７の回転および各ピ
ストン１６の公転、自転に伴つてその周囲の流体
が同方向に連れ動きされ各ピストン１６と該流体
の相対速度が小さくなり、ピストン１６の自転が
弱められるが、この実施例では、各ピストン１６
の公転軌跡の外側に制御板２３，２３を設けてお
り、この制御板２３によつて前記流体の連れ動き
を抑制でき、ピストンの自転をさらに高めること
ができる。また、制御板２３の端部を図示のよう
な断面鋸刃形２４にすることにより前記の抑制作
用をさらに向上させることができる。

従つて、前記したような各ピストン１６の自転
によつて潤滑油（流体）がピストン１６の全周に
わたつて十分に行きわたるとともに、また各溝２
１は流体をピストン１６とシリンダ１０間に導び
く役割をなし、ピストン１６とシリンダ１０間の
潤滑が著しく向上される。よつて、斜板傾転角θ
を微小にしてピストン１６の移動量を小さくし吐
出量を微量にした運転域においても、ピストン１
６の潤滑が前記したように良好に保たれ、ピスト
ン１６とピストン１０間におけるフレツテイング
現象を生ずることなく、同運転域における長時間
の運転が可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の斜板型アキシヤルピストンポン
プ・モータの縦断面図、第２図は第１図の−
断面図、第３図は本案の一実施例を示す縦断面
図、第４図は第３図の−断面図、第５図は第
４図のＶ−Ｖ断面図である。 １：ケーシング、２：フロントカバー、３：リ
ヤカバー、６：主軸、７：シリンダバレル、１
０：シリンダ、１６：ピストン、１７：スリツ
パ、１９：斜板、２１：溝、２２：突起、２３：
制御板、２４：鋸刃形。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 斜板型アキシヤルピストンポンプ・モータのピ
   ストンにおけるスリツパ側の端部外周面に、軸方
   向に延びる複数の溝を設けるとともに、前記ピス
   トンの公転軌跡の外側に流体の連れ動きを抑制す
   る制御板を設けたことに特徴を有する斜板型アキ
   シヤルピストンポンプ・モータ。