JPH045741Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔考案の利用分野〕 本考案は特に農業機械等にハイドロスタツテイ
ツクトランスミツシヨンとして多く用いられてい
る斜板ポンプ・モータに変速作用を行わせるため
の改良された容積可変機構に関する。

〔考案の背景〕

一般に、農業機械等にはハイドロスタツテイツ
クトランスミツシヨンとして斜板ポンプ・モータ
を用いているものがある。この種の斜板ポンプ・
モータは、回転駆動軸によりシリンダブロツクを
回転させ、シリンダブロツクに装着されたプラン
ジヤを可変斜板上で滑走させることによりポンプ
作用を行わせる。そして、ポンプ作用で吐出され
る作動油をモータのシリンダブロツク内のプラン
ジヤに作用させ、プランジヤが固定斜板上を滑動
することによつてシリンダブロツクに係合された
回転被動軸に回転動力を与える。斯かるモータの
出力回転数の変速作用は、前記可変斜板の傾斜量
を変え、プランジヤによる作動油の吐出量を変化
させることでなされる。すなわち、可変斜板によ
る容積可変機構を用いるのである。

従来の容積可変機構は、第１図に示す如く、半
円筒状の可変斜板１を用い、これをケーシング側
の円筒ガイド面２に沿わせて回転させることによ
り、プランジヤに対面する摺動面３の傾斜量を変
更する。この操作機構は、可変斜板１の回転中心
すなわち円筒中心線Ｏが摺動面３と離れているた
め、図の如く、摺動面３の側縁側を延長し、該延
長端に連結リンク４をピン結合している。このリ
ンク４には更にＬ形アーム５をピン係合し、アー
ム５を支軸６に固着し、操作レバー７による支軸
６を中心とした回転動作を与えるようにした構造
である。したがつて、操作レバー７を図において
左右に揺動すると、アーム５に回転動作が与えら
れ、可変斜板１がガイド面２に沿つて回転され、
傾斜量が変えられるのである。

ところが、従来の構造では、操作レバー７まで
のリンケージをとり難く、かつそれぞれのピン結
合部が若干のガタを持ち円筒中心線から離れてい
ることに起因して可変斜板か円滑な回転を欠き、
ケーシング形状の加工やシール方法が複雑となつ
てしまうという問題点がある。のみならず、外観
形状が大きくなつてしまう欠点もある。

〔考案の目的〕

本考案は、上記従来の問題点に着目し、半円筒
形斜板の操作構造を簡易化でき、全体として小型
軽量化を図ることのできる斜板ポンプモータの容
積可変機構を提供することを目的とする。

〔考案の構成〕

上記目的を達成するため、本考案に係る斜板ポ
ンプモータの容積可変機構は、回転駆動軸に取付
けられたシリンダブロツクの一端面側に出入可能
に装着されたプランジヤに対面する半円筒形の可
変斜板を有し、この半円筒形可変斜板をケーシン
グに形成した半円筒ガイド面に沿わせて傾斜さ
せ、プランジヤ往復移動量を加減する斜板ポンプ
モータの容積可変機構において、回転駆動軸の軸
心と直交して離間しかつ半円筒形可変斜板の円筒
中心線上に配置されて軸受およびシールを介して
回動自在かつ着脱自在にケーシングに支持された
軸と、軸に直角に取付けられ外周部に円筒中心線
から偏心して形成された一つのピン係合溝を有す
る円盤と半円筒形可変斜板の一方の端面に前記ピ
ン係合溝と係合する一つのピンとを設けるように
構成されている。

斯かる構成により、中間媒介節によらないため
がたがなくなり、円筒中心線上に配置された軸に
よつて直接半円筒形可変斜板が回動される。しか
も軸自身はケーシングに軸受を介して回動自在に
取付けられるため、シール構造も簡易化し、半円
筒形可変斜板の回動が円滑になつて作動油のもれ
もなくなる。

〔考案の実施例〕

以下に本考案に係る斜板ポンプモータの容積可
変機構の実施例を図面を参照して詳細に説明す
る。

第２〜４図は一実施例に係る容積可変機構を備
えた斜板ポンプモータの要部横断・縦断面図であ
る。

まず、斜板ポンプモータはケーシング１０とポ
ートブロツク１１により形成される容器体に平行
に回転駆動軸１２と回転被動軸１３を軸支してい
る。両軸１２，１３はシリンダブロツク１４，１
５が固着され、その一端をポートブロツク１１に
取付けられた弁板１６，１７と密接させている。
シリンダブロツク１４，１５の反対端面からはプ
ランジヤ１８，１９が出入可能とされ、各プラン
ジヤ１８，１９に対面して、図中上段の回転駆動
軸１２側には可変斜板（半円筒形可変斜板）２０
Ａが、下段の回転被動軸１３側には固定斜板２１
が配置されている。それ故、可変斜板２０Ａを操
作して傾斜させ、回転駆動軸１２によりシリンダ
ブロツク１４を回転させることにより、プランジ
ヤ１８は傾斜量に応じて作動油を弁板１６側に吐
出するポンプ作用をなす。一方、ポンプ作用によ
り吐出された作動油を下段の弁板１７を通じて回
転被動軸１３のシリンダブロツク１５に導入させ
ると、プランジヤ１９が供給量に応じて突出さ
れ、その先端が固定斜板２１を滑動するので、シ
リンダブロツク１５とともに回転被動軸１３が回
転されるのである。作動油はポートブロツク１１
に形成した送給路２２，帰還路２３を通じて流さ
れる。

斯かる斜板ポンプモータは回転駆動軸１２をエ
ンジン側に接続し、回転被動軸１３を車輪側に接
続して、可変斜板２０Ａの傾斜量すなわちプラン
ジヤ１８の吐出容積量を変更することで変速動作
を行わせることができる。

本実施例に係る容積可変機構は、前記可変斜板
２０Ａを操作し、その傾斜量を制御するためのも
のであり、次のように構成されている。

可変斜板２０Ａは半円筒形状とされ、回転駆動
軸１２を遊嵌貫通させて、平坦面である摺動面２
４をシリンダブロツク１４に対面させている。プ
ランジヤ１８は駆動軸１２の回転を伴なつて摺動
面２４に対しだ円室跡を描くように先端が接触す
る。可変斜板２０Ａの円筒面部２６は回転駆動軸
１２を貫通させているのでその両側部に形成さ
れ、ケーシング１０内面に設けた円筒ガイド面２
７に沿つて回転動作可能となつている。このた
め、可変斜板２０Ａをガイド面２７に沿わせて回
転させることで摺動面２４の傾斜が変えられる。
この場合、円筒面部２６および円筒ガイド面２７
の円筒中心線Ｌは摺動面２４とは一定距離隔つて
おり、摺動面２４上にはない。そこで、回転駆動
軸１２の中心線と直交して離間しかつ円筒中心線
Ｌ上に、当該可変斜板２０Ａを操作するための軸
２８Ａを配置させている。すなわち、回転駆動軸
１２の側方のケーシング１０には窓部２９を形成
し、該窓部２９にカバー３０を取付けている。こ
のカバー３０の中央部が前記円筒中心線Ｌと一致
するようにし、軸２８Ａを軸受３１Ａを介して回
動自在に支持している。したがつて軸２８Ａはそ
の回動中心と円筒中心線が合致するように配置さ
れている。軸２８Ａは一端をケーシング１０の外
部に突出させ、他端をシリンダブロツク１４と可
変斜板２０Ａの間に向けてケーシング１０内に臨
ませ、カバー３０にシール３１Ｂを介して取付け
られている。そして、軸２８Ａのケーシング１０
内の先端に円盤３１を設け、第４図に示す如く、
ピン係合溝３２を形成している。一方、この軸２
８Ａに連継される可変斜板２０Ａにはその一方の
端面部に一つのピン３３を突設している。軸２８
Ａと可変斜板２０Ａとはピン３３をピン係合溝３
２に嵌め合わせたピン結合によつて直接連継する
ものである。

このように構成された容積可変機構によれば、
軸２８Ａが円筒中心線Ｌ上にあり、この軸２８Ａ
に可変斜板２０Ａが直接連継されているので、該
軸２８Ａを回転させることで可変斜板２０Ａの摺
動面２４の傾斜量を変更できる。傾斜量はプラン
ジヤ１８のストローク長を変えるので、吐出容積
が変えられ回転被動軸１３の回転数を変更でき
る。

このように、本実施例によれば、容積可変機構
の部品点数を著しく低減でき、ケーシング１０と
軸２８Ａのシールも容易にできる構造となる。し
かもケーシング１０の外観形状も簡易かつ小型に
できる。またピン結合構造であるため、組付時の
作業性、保守の点での容易性が発揮できる。

〔考案の効果〕

以上の如く、本考案に係る斜板ポンプモータの
容積可変機構によれば、半円筒形可変斜板の一方
の端面に設けられた一つのピンが、円筒中心線上
でかつ回転駆動軸から離間した位置に軸受および
シールを介してケーシングに支持された軸の円盤
に係合するため、半円筒形可変斜板が軸によつて
円滑に回動されて操作性が向上するとともに、軸
のシール構造が簡易となつてシール性が向上し、
さらに軸が着脱自在のため、円盤のピン係合溝や
シールが損傷した場合でも容易に交換できて保守
性が向上する効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の容積可変機構の構成図、第２図
は一実施例に係る容積可変機構を備えた斜板ポン
プモータの横断面図、第３図は同縦断面図、第４
図は軸の底面図である。 １０……ケーシング、１１……ポートブロツ
ク、１２……回転駆動軸、１４……シリンダブロ
ツク、１８……プランジヤ、２０Ａ……半円筒形
可変斜板、２８Ａ……軸、３２……ピン結合溝、
３３……ピン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 回転駆動軸に取付けられたシリンダブロツクの
   一端面側に出入可能に装着されたプランジヤに対
   面する半円筒形の可変斜板を有し、この半円筒形
   可変斜板をケーシングに形成した半円筒ガイド面
   に沿わせて傾斜させ、プランジヤ往復移動量を加
   減する斜板ポンプモータの容積可変機構におい
   て、前記回転駆動軸の軸心と直交して離間しかつ
   前記半円筒形可変斜板の円筒中心線上に配置され
   て軸受およびシールを介して回動自在かつ着脱自
   在にケーシングに支持された軸と、該軸に直角に
   取付けられ外周部に前記円筒中心線から偏心して
   形成された一つのピン係合溝を有する円盤と、前
   記半円筒形可変斜板の一方の端面に前記ピン係合
   溝と係合する一つのピンとを設けたことを特徴と
   する斜板ポンプモータの容積可変機構。