JPH0231239B2 - Sukuroorugataryutaikikainokyuyukozo - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明はスクロール形流体機械の給油構造、詳
しくは、公転スクロールの背面に、給油手段をも
つクランク軸を軸支する軸受部を形成すると共
に、この公転スクロールの背面をスラスト軸受を
介して架構に支持させる一方、前記スクロールを
一方向に摺動案内する摺動体と、この摺動体を、
摺動自由に内装して前記一方向に対して直交する
他方向に案内する摺動体受とからなる自転防止機
構を設けたスクロール形流体機械に用いる給油構
造に関する。

（従来技術） 本発明者等は、先に、前記した自転防止機構を
もつスクロール形流体機械において、前記スラス
ト軸受の摺接面に潤滑油を積極的に供給する給油
構造を実願昭59−93974号において提案した。

この提案したものを第５，６図に基づいて説明
する。

前記給油構造を適用したスクロール形流体機械
は通常の自転防止機構を備えたもので、公転スク
ロール５０の軸受部５１の外面に、前記スクロー
ル５０の摺動方向を一方向（矢印イ方向第６図）
に規制する摺動体５２と、該摺動体５２を摺動自
由に内装して、この摺動体５２の移動方向を前記
一方向に対して直交する方向（矢印ロ方向）に規
制する摺動体受５３とから成る自転防止機構を設
けている。

また、前記公転スクロール５０は、スラスト軸
受５４及び前記摺動体受５３を介して架構５５に
支持されている。尚、５６は前記軸受部５１に軸
支するクランク軸、５７は前記クランク軸５６に
形成する給油手段（給油通路）である。

しかして、第６図に示すごとく、前記自転防止
機構における前記摺動体５２の摺動方向ロの前後
における、前記摺動体５２と前記摺動体受５３と
の間に、前記摺動体５２の往復動により容積が変
化する空間５８，５９が形成されることに着目し
て、前記空間５８，５９を利用して前記摺動体５
２の往動作時に閉鎖される油室（以下、５８，５
９で示す）を形成すると共に、該油室５８，５９
と前記油通路５７とを連通する通路６０と、前記
油室５８，５９を前記スラスト軸受５４の摺接面
５４ａとを連通する通路６１とを設けたのであ
る。

しかして、前記油通路５７から前記通路６０を
介して前記油室５８，５９に潤滑油を供給する一
方、該油室５８，５９のうちの一方の油室、例え
ば５８への前記摺動体５２の往動により、該油室
５８内が加圧されて、該油室５８内の潤滑油が前
記通路６１を介して前記スラスト軸受５４の前記
摺接面５４ａに供給されるようにしていたのであ
る。

（本考案が解決しようとする問題点） ところが前記油室５８，５９は前記通路６０を
介して前記油通路５７と常時連通しているので、
前記摺動体５２の往動により、該油室５８，５９
内の潤滑油が前記通路６０から前記油通路５７側
に逆流して、前記油室５８，５９の内圧が十分上
昇せず、この結果、前記スラスト軸受５４の摺接
面５４ａに潤滑油が十分供給されない問題が生じ
ていたのである。

しかして、本考案の目的は、前記油室５８，５
９に臨む前記摺動体５２及び前記摺動体受５３の
各対向面の構成と、前記油通路５７側の前記通路
６０と前記スラスト軸受５４側の前記通路６１と
の前記油室５８，５９への各開口位置とを工夫
し、前記摺動体５２の往動時に、前記油室５８，
５９内の潤滑油が前記油通路５７側に逆流するの
を抑制できるようにして、前記スラスト軸受５４
の摺接面５４ａへの給油量を増大する点にある。

（問題点を解決するための手段） 本考案の構成を第１，２図を基に説明すると、
前記摺動体９の摺動方向前後における該摺動体９
と前記摺動体受１０との間に、該摺動体９の摺動
により容積が可変となる油室１２を形成すると共
に、前記摺動体９及び前記スクロール３に、前記
油室１２と前記クランクの給油手段１１とを連通
する連通路１３を形成し、かつ前記スラスト軸受
７に、該軸受７の摺接面７ａと前記油室１２とを
連通する給油通路１４を形成し、更に、前記連通
路１３と前記給油通路１４との前記油室１２への
各開口間における、前記摺動体９の外面９３と前
記摺動体受１０の内面１０１とにより、前記摺動
体９の往動時、前記油室１２における前記給油通
路１４側から前記連通路１３側への潤滑油の流れ
を抑制する絞り機構２０，２１を設けたのであ
る。

（作用） しかして、前記摺動体９の往動時に、前記絞り
機構２０，２１が絞り機能を発揮するから、前記
油室１２における前記絞り機構２０，２１よりも
前記給油通路１４側の潤滑油は、前記絞り機構２
０，２１が大きな流通抵抗となつて前記油室１２
における前記連通路１３側に流出しにくゝなるの
であり、その分、前記油室１２の潤滑油が前記連
通路１３に逆流するのを抑制できて、前記給油通
路１４を介した前記スラスト軸受７の摺接面７ａ
への給油量を増大できるのである。

（実施例） 以下本考案にかかるスクロール形流体機械の給
油構造を図面の実施例によつて説明する。

第４図に示すものは前記給油構造を適用するス
クロール形流体機械で、冷凍装置の圧縮機に適用
するものである。

しかして、前記流体機械は、密閉ケーシング１
の内方上部に固定スクロール２と公転スクロール
３とを設けると共に、前記ケーシング１の下部に
モータ４を設ける一方、該モータ４に結合したク
ランク軸５の偏心軸部５ａを、前記公転スクロー
ル３の背面側に形成した軸受部３ａに軸受支持さ
せている。

また、前記ケーシング１の内方上部には、架構
６を組付け、該架構６の上部に前記固定スクロー
ル２をステーボルトＢを介して固定すると共に、
前記公転スクロール３を、後記する摺動体受１０
の上面に固定するスラスト軸受７を介して摺動自
由に支持している。

前記公転スクロール３には、第１、第２図に示
すごとく、自転防止機構８を設けて、該自転防止
機構８により前記公転スクロール３の自転を防止
させている。前記自転防止機構８は、第１図に示
す如く外面方形状に形成される前記軸受部３ａの
相対向する二つの外面と係合し、該軸受部３ａの
摺動方向を矢印イ方向に規制する摺動体９と、こ
の摺動体９の相対向する二つの方形外面と係合
し、該摺動体９の摺動方向を矢印ロ方向に規制す
る摺動体受１０とから成り、前記クランク軸５の
回転時に前記摺動体９と摺動体受１０とにより、
前記公転スクロール３の自転を防止して、該スク
ロール３を公転させるごとくしている。尚、前記
摺動体受１０は前記架構６に固定されている。

また、第４図に示す如く、前記クランク軸５に
は、長手方向に下端から上端まで延びる油通路１
１ａを形成し、かつ、このクランク軸５の下端に
ピックアップ１１ｂを設けて、この下端を前記ケ
ーシング１の底部の油溜１ａに突入させており、
かくして、前記クランク軸５の回転による遠心ポ
ンプ作用により、前記油溜１ａの油を前記油通路
１１ａを介して前記軸受部３ａ内に形成する給油
空間Ｓに導き、この給油空間Ｓを介して前記クラ
ンク軸５の偏心軸部５ａと前記受部３ａとの摺接
部に給油するようにしている。

尚、前記油通路１１ａと、ピックアップ１１ｅ
とにより給油手段１１を構成している。

また、第４図中１６は前記ケーシング１の側部
に接続した流体吸入管、１７は前記ケーシング１
を経て前記固定スクロール２の中央上部に接続し
た流体吐出管であつて、前記吸入管１６から前記
ケーシング１内に流体を吸入し、この吸入流体を
前記固定スクロール２と公転スクロール３間で圧
縮して、前記吐出管１７を介し前記ケーシング１
の外部に吐出するごとくしている。

しかして以上のごときスクロール形流体機械に
おいて、前記摺動体９の摺動方向前後における、
該摺動体９と前記摺動体受１０との間の空間利用
して、前記摺動体９の摺動により容積が可変とな
る油室１２，１２を形成すると共に、前記軸受部
３ａと摺動体９とに、前記各油室１２と前記クラ
ンク軸５の油通路１１ａとを接続する連通路１３
を設け、かつ、前記スラスト軸受７に、該スラス
ト軸受７の摺接面７ａと前記油室１２とを連通す
る給油通路１４を設けたのである。

具体的には、第２図に示す如く、前記油室１
２，１２は、前記摺動体受１０と前記摺動体９と
の間に形成される前記空間の下面を、前記摺動体
９と前記架構６との間に介装する環状の受板１５
で閉鎖する一方、前記空間の上面における半径方
向外側部分を、前記スラスト軸受７で一部分覆つ
て形成している。かくして、前記摺動体９の往動
により、該摺動体９が前記スラスト軸受７と前記
受板１５との間に突入することにより、前記油室
１２が閉鎖され密閉状となるようにしている。

また、前記軸受部３ａには、第１図、第２図に
示すように、該軸受部３ａの内面に形成され、前
記給油空間Ｓと連通する第１通路１３ａと、該第
１通路１３ａを前記軸受部３ａにおける前記摺動
体９との各摺接面に開放する２対の第２通路１３
ｂと、前記摺接面に沿つて摺接方向に延びて、前
記各一対の第２通路１３ｂをそれぞれ接続する第
３通路１３ｃを設ける一方、前記摺動体９には、
前記第３通路１３ｃと前記油室１２とを常時連通
させる第４通路１３ｄを形成しており、これら各
通路１３ａ〜ｄにより前記クランク軸５の前記油
通路１１ａと前記油室１２とを常時連通する前記
連通路１３を構成している。

かくして、前記連通路１３を介して、前記クラ
ンク軸５の偏心軸部５ａに給油される潤滑油を前
記各油室１２に導入させるごとくなしている。

さらに、前記スラスト軸受７に、該スラスト軸
受７の摺接面７ａと前記油室１２とを連通する給
油通路１４を形成して、該通路１４により前記油
室１２の潤滑油を、前記摺動体９の往動時に前記
摺接面７ａに供給できるようにしている。

さらに、前記給油通路１４から前記摺接面７ａ
に供給する潤滑油量を増大するために、下記のご
とくなしている。

即ち、枠形を成す前記摺動体９は、第１図に示
す如く、前記油室１２側の枠部９１における両側
部を略45゜に大きく切り欠き、この枠部９１の前
記油室１２に臨む外面９３の中間部を、前記摺動
体受１０の油室１２側内面１０１に向つて突出さ
せて、この中間部外面を絞り面９４とするのであ
る。

尚、説明の都合上、前記絞り面９４を、前記第
４通路１３ｄを境に左右でそれぞれ第１、第２絞
り面９４ａ，９４ｂという。

一方、前記摺動体受１０の前記内面１０１を、
前記摺動体９が終端近くまで往動した時に、前記
絞り面９４ａ，９４ｂに近接状に対向する如く形
成するのである。

以下、前記内面１０１における前記第１、第２
絞り面９４ａ，９４ｂとの各対向面をそれぞれ第
１、第２対向面１０１ａ，１０２ｂという。

斯くして、これら対向面１０１ａ，１０１ｂと
前記絞り面９４ａ，９４ｂとにより、前記摺動体
９の往動時に、その終端近くで、前記外面９３と
前記内面１０１との対向間隔を特に狭くする絞り
機構２０，２１をそれぞれ形成するのである。

更に、前記油室１２の幅方向両側部において
は、第１図に示すように、前記摺動体９の往動時
に、これらの部分における前記内面１０１と前記
摺動体９の外面９４との対向間隔Ｈが、前記対向
面１０１ａ，１０１ｂと前記絞り面９４ａ，９４
ｂとの間隔Ｌよりも十分広くなるようにしてお
り、前記油室１２におけるこれら幅方向両側部
で、かつ、前記摺動体９の往動終端位置において
も、前記摺動体９によつて閉鎖されることのない
位置に、前記給油通路１４を開口させるのであ
る。

以上の如くして、前記給油通路１４の前記油室
１２への各開口と前記第４通路（連通路）１３ｄ
の油室１２への開口との間に、前記各絞り機構２
０，２１をそれぞれ形成するのである。

以上の如く構成する給油構造の作用を説明す
る。

前記クランク軸５の偏心回転に伴い、前記前記
給油空間Ｓを介して前記通路１３に潤滑油が常時
供給されると共に、前記摺動体９が往復動をす
る。

そして、前記摺動体９が一方の油室１２に対し
て復動する行程で、この油室１２に前記連通路１
３を介して潤滑油が供給され、該油室１２に潤滑
油が充填される。

つぎに、前記摺動体９が前記油室１２に対して
往動行程に入り、該摺動体９が前記スラスト軸受
７と前記受体１５との間に突入すると、前記油室
１２が密閉されて、該油室１２内の潤滑油が加圧
されはじめる。しかしながら、前記油室１２は前
記連通路１３を介して前記給油空間Ｓに連通して
いるため、この油室１２の内圧はあまり上がら
ず、この結果、前記摺動体９による前記油室１２
の閉鎖後しばらくは前記摺接面７ａへの給油量は
比較的少ない。

前記摺動体９が更に往動して前記該摺動体９の
前記絞り面９４ａ，９４ｂと前記摺動体受１０の
前記対向面１０１ａ，１０１ｂとの対向間隔が狭
くなつてくると、これらの面によつて形成される
前記絞り機構２０，２１の流通抵抗が非常に大き
くなつて、絞り効果を発揮し始めるのである。即
ち、第１図において、前記摺動体９が破線で示す
位置から実線で示す位置に往動することにより、
前記油室１２内の、前記第１、第２絞り体２０に
対して前記給油通路１４側にある潤滑油は、
（abcd）で囲む面積に相当する量排除されるが、
この潤滑油は前記第１、第２絞り機構２０，２１
の流通抵抗が大きくなつているので、前記潤滑油
の前記第４通路１３ｄ側への逆流量が抑制される
一方、前記給油通路１４を介して前記摺接面７ａ
により多く供給されるのである。

尚、前記スラスト軸受７の摺接面７ａ側の構造
を第３図に基づいて詳記すると、該摺接面７ａに
は、外周から摺接幅ｌを残して環状の第１案内溝
７１を形成すると共に、該溝７１から半径方向内
方に向かつて第２案内溝７２を形成している。更
に、該第２案内溝７２の内端部を前記スラスト軸
受７の内周側に開放するＶノツチ７３を設けてい
る。そして、前記案内溝７１に前記各給油通路１
４を開口させている。

かくして、一方の油室１２に連通する前記各給
油通路１４から前記摺接面７ａへの給油は、前記
摺動体９の往復動に対応してそれぞれ間欠的にし
か行なえないのであるが、このことにより生じる
前記摺接面７ａ上での給油のアンバランスを、前
記摺接面７ａに供給された潤滑油を前記第１案内
溝７１を介して周方向に分散させることによつて
抑制できるのである。さらに、第１案内溝７１に
供給された潤滑油が第２案内溝７２を介して半径
方向全体に導かれるので、前記摺接面７ａ全体に
潤滑油をより均等に供給できるのである。

また、前記摺接面７ａの外周側に前記摺接幅ｌ
を設ける一方、内周側に前記Ｖノツチ７３を設け
たことにより、前記摺接面７ａに供給された潤滑
油はその殆どが前記スラスト軸受７の内周側に開
放されるのであり、この結果、この供給された潤
滑油が、前記公転スクロール３と固定スクロール
２との間の隙間から圧縮空間に吸入されて、能力
の低下を生じたりしないのである。

（発明の効果） 以上のごとく本発明は、特に、前記連通路１３
と前記給油通路１４との各前記油室１２への各開
口間における、前記摺動体９の外面９３と前記摺
動体受１０の内面１０１とにより、前記摺動体９
の往動時、前記油室１２における前記給油通路１
４側から前記連通路１３側への潤滑油の流れを抑
制する絞り機構２０，２１を設けたから、前記油
室１２に流入した潤滑油が前記連通路１３を介し
て前記給油手段１１側に逆流するのを抑制でき、
このことにより前記スラスト軸受７の前記摺接面
７ａへの給油量を増大できるのである。

【図面の簡単な説明】

第１〜第４図は本発明の実施例の説明図で、第
１図は給油構造を示す要部の拡大平面断面図、第
２図は同拡大縦断面図、第３図はスラスト軸受の
拡大平面図、第４図は本実施例を適用したスクロ
ール形流体機械の縦断面図、第５図は従来例の部
分縦断面図、第６図は同平面断面図である。 ２……固定スクロール、３……公転スクロー
ル、３ａ……軸受部、５……クランク軸、６……
架構、７……スラスト軸受、７ａ……摺接面、８
……自転防止機構、９……摺動体、１０……摺動
体受、１１……給油手段、１２……油室、１３…
…連通路、１４……給油通路、２０，２１……第
１、第２絞り機構、９３……前記摺動体の外面、
９４……絞り面、９４ａ，９４ｂ……第１、第２
絞り面、１０１……摺動体受の内面、１０１ａ，
１０１ｂ……第１、第２対向面。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 公転スクロール３の背面に、給油手段１１を
   もつクランク軸５を軸支する軸受部３ａを形成す
   ると共に、この公転スクロール３の背面をスラス
   ト軸受７を介して架構６に支持させる一方、前記
   スクロール３を一方向に摺動案内する摺動体９
   と、この摺動体９を、摺動自由に内装して前記一
   方向に対して直交する他方向に案内する摺動体受
   １０とからなる自転防止機構８を設けたスクロー
   ル形流体機械に用いる給油構造であつて、前記摺
   動体９の摺動方向前後における該摺動体９と前記
   摺動体受１０との間に、該摺動体９の摺動により
   容積が可変となる油室１２を形成すると共に、前
   記摺動体９及び前記スクロール３に、前記油室１
   ２と前記クランクの給油手段１１とを連通する連
   通路１３を形成し、かつ、前記スラスト軸受７
   に、該軸受７の摺接面７ａと前記油室１２とを連
   通する給油通路１４を形成し、更に、前記連通路
   １３と前記給油通路１４との前記油室１２への各
   開口間における、前記摺動体９の外面９３と前記
   摺動体受１０の内面１０１とにより、前記摺動体
   ９の往動時、前記油室１２における前記給油通路
   １４側から前記連通路１３側への潤滑油の流れを
   抑制する絞り機構２０，２１を形成したことを特
   徴とするスクロール形流体機械の給油構造。