JPS6124452B2 - - Google Patents
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- JPS6124452B2 JPS6124452B2 JP2381279A JP2381279A JPS6124452B2 JP S6124452 B2 JPS6124452 B2 JP S6124452B2 JP 2381279 A JP2381279 A JP 2381279A JP 2381279 A JP2381279 A JP 2381279A JP S6124452 B2 JPS6124452 B2 JP S6124452B2
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Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C21—METALLURGY OF IRON
- C21C—PROCESSING OF PIG-IRON, e.g. REFINING, MANUFACTURE OF WROUGHT-IRON OR STEEL; TREATMENT IN MOLTEN STATE OF FERROUS ALLOYS
- C21C5/00—Manufacture of carbon-steel, e.g. plain mild steel, medium carbon steel or cast steel or stainless steel
- C21C5/005—Manufacture of stainless steel
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- Engineering & Computer Science (AREA)
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- Treatment Of Steel In Its Molten State (AREA)
Description
【発明の詳細な説明】
(産業上の利用分野)
本発明は、例えばCr5〜30%を含有する合金
鋼、フエライト系あるいはオーテスナイト系のス
テンレス鋼等の高クロム鋼の精錬方法に関する。
鋼、フエライト系あるいはオーテスナイト系のス
テンレス鋼等の高クロム鋼の精錬方法に関する。
(従来の技術・発明が解決しようとする問題点)
従来この種高クロム鋼の溶製は、クロムが酸化
され易い元素であるため、単一の炉によつて精錬
することは困難とされていた。
され易い元素であるため、単一の炉によつて精錬
することは困難とされていた。
すなわち、高クロム鋼は通常、転炉あるいは電
気炉によつて粗脱炭あるいは精錬された溶鋼に、
高クロム合金とその他の添加物を加え、その後取
鍋内で真空に保持して酸素吹錬する方法(VOD
法)や、希釈酸素横吹炉で吹錬する方法(AOD
法)によつて溶製するのが経済的であるとされて
いる。しかしこのように2種類の炉を用いる溶製
法は、設備費、作業工数、熱効率、歩留等の面で
必ずしも経済的な方法とはいえない。
気炉によつて粗脱炭あるいは精錬された溶鋼に、
高クロム合金とその他の添加物を加え、その後取
鍋内で真空に保持して酸素吹錬する方法(VOD
法)や、希釈酸素横吹炉で吹錬する方法(AOD
法)によつて溶製するのが経済的であるとされて
いる。しかしこのように2種類の炉を用いる溶製
法は、設備費、作業工数、熱効率、歩留等の面で
必ずしも経済的な方法とはいえない。
一方、酸素上吹転炉においても、溶洗の強い撹
拌が保障されるならば高炭素領域(概ね0.5%C
以上)において、クロムの酸化を少なくして脱炭
反応を促進することができ、また炉底から不活性
ガス吹込みを行つて、脱炭反応によつて生成され
るCOガスの希釈を行えば0.2〜0.3%C以下の低
炭素領域でも脱炭反応が促進されることを利用し
炉底にガス吹込羽口を有する酸素上吹転炉による
高クロム鋼の溶製方法(この種のものを総称して
酸素上吹転炉法とする)も提案されている。
拌が保障されるならば高炭素領域(概ね0.5%C
以上)において、クロムの酸化を少なくして脱炭
反応を促進することができ、また炉底から不活性
ガス吹込みを行つて、脱炭反応によつて生成され
るCOガスの希釈を行えば0.2〜0.3%C以下の低
炭素領域でも脱炭反応が促進されることを利用し
炉底にガス吹込羽口を有する酸素上吹転炉による
高クロム鋼の溶製方法(この種のものを総称して
酸素上吹転炉法とする)も提案されている。
ところがかかる方法では、とくに低炭素領域に
おいて脱炭と並行してクロムの酸化がおこりこの
反応熱によつて温度の上昇を来し、炉の耐火物が
これに耐えられなくなる問題が生じてくる。また
クロムが多量に酸化すると、爾後の還元工程にお
いて高価な還元剤を多量使用することが必要とな
り、経済面でも決定的に不利となる。
おいて脱炭と並行してクロムの酸化がおこりこの
反応熱によつて温度の上昇を来し、炉の耐火物が
これに耐えられなくなる問題が生じてくる。また
クロムが多量に酸化すると、爾後の還元工程にお
いて高価な還元剤を多量使用することが必要とな
り、経済面でも決定的に不利となる。
本発明は酸素上吹転炉法を改良し、とくに低炭
素領域におけるクロムの酸化を可及的に抑制しそ
れに伴う炉耐火物溶損および還元剤多量使用の問
題を有効に解決し得るとともに、適正な鋼浴温度
の下で脱炭を効果的に推進させ得る高クロム鋼の
精錬方法の提供を目的とする。
素領域におけるクロムの酸化を可及的に抑制しそ
れに伴う炉耐火物溶損および還元剤多量使用の問
題を有効に解決し得るとともに、適正な鋼浴温度
の下で脱炭を効果的に推進させ得る高クロム鋼の
精錬方法の提供を目的とする。
(問題点を解決するための手段)
すなわち本発明の方法は、浴面下に羽口を有す
る酸素上吹転炉を用い、浴面下羽口より不活性ガ
スを供給し上吹ランスより酸素を供給する高クロ
ム鋼の精錬において、鋼浴炭素濃度が、クロムの
酸化が炭素の酸化に優先する低炭素領域に入つた
段階から、〜により求めた補正済必要送酸量
の時間推移曲線に沿つて実際の送酸量を連続的ま
たは段階的に変化させることを特徴とする高クロ
ム鋼の精錬方法。
る酸素上吹転炉を用い、浴面下羽口より不活性ガ
スを供給し上吹ランスより酸素を供給する高クロ
ム鋼の精錬において、鋼浴炭素濃度が、クロムの
酸化が炭素の酸化に優先する低炭素領域に入つた
段階から、〜により求めた補正済必要送酸量
の時間推移曲線に沿つて実際の送酸量を連続的ま
たは段階的に変化させることを特徴とする高クロ
ム鋼の精錬方法。
後記(10)式により前記低炭素領域における
脱炭速度を予測する。
脱炭速度を予測する。
の予測値から各時点における必要送酸量を
求める。
求める。
の必要送酸量に補正係数1.2〜1.5を乗じた
補正済必要送酸量の時間推移曲線を得る。
補正済必要送酸量の時間推移曲線を得る。
(作 用)
酸素上吹転炉法において、低炭素領域における
送酸量を、高炭素領域よりも落とすというそのこ
と自体は、従来より公知である。
送酸量を、高炭素領域よりも落とすというそのこ
と自体は、従来より公知である。
しかしながら従来のかかる措置は、これもクロ
ムの酸化を防ぐところに狙いがあるのは確かであ
るが、これは単に経験的に知り得ただけのもので
あり、実際この方法は根本的な対策とはなり得な
い。すなわち、低炭素領域での送酸量を下げる
と、傾向としてクロムの酸化が防がれて鋼浴温度
が低下するが、それに伴い脱炭反応も抑えられる
ことになる。逆にこれを高めにすると脱炭は促進
されるが、同時にクロムの酸化も多くなり、これ
により鋼浴温度が上昇して炉耐火物が耐えられな
くなるとともに還元剤の多量使用が必要ともな
る。このような状況の下、脱炭、鋼浴温度、炉耐
火性、還元剤使用量の全ての面に満足を与える送
酸量を設定するのは結局不可能であり、実際には
上記要件の何れかを犠性にするしか方法がないの
である。
ムの酸化を防ぐところに狙いがあるのは確かであ
るが、これは単に経験的に知り得ただけのもので
あり、実際この方法は根本的な対策とはなり得な
い。すなわち、低炭素領域での送酸量を下げる
と、傾向としてクロムの酸化が防がれて鋼浴温度
が低下するが、それに伴い脱炭反応も抑えられる
ことになる。逆にこれを高めにすると脱炭は促進
されるが、同時にクロムの酸化も多くなり、これ
により鋼浴温度が上昇して炉耐火物が耐えられな
くなるとともに還元剤の多量使用が必要ともな
る。このような状況の下、脱炭、鋼浴温度、炉耐
火性、還元剤使用量の全ての面に満足を与える送
酸量を設定するのは結局不可能であり、実際には
上記要件の何れかを犠性にするしか方法がないの
である。
しかるに前記本発明の方法に基づき、低炭素領
域において、送酸量を連続的または段階的に低下
させるようにしてやれば、上記脱炭、鋼浴温度、
炉耐火性、還元剤使用の全ての課題を同時にかつ
有効に解決し得るのである。
域において、送酸量を連続的または段階的に低下
させるようにしてやれば、上記脱炭、鋼浴温度、
炉耐火性、還元剤使用の全ての課題を同時にかつ
有効に解決し得るのである。
すなわち、本発明の方法とは、従来低炭素領域
として一義的に考えられていた領域において、送
酸量を前記の如く変化させることにより、脱炭上
最小限必要な酸素が供給されて、クロムの酸化を
当該領域全体を通じて効果的に排除し、クロムの
非酸化に伴う鋼浴温度の低下に対しては、脱炭反
応で生成されるCOガスの燃焼により補償され
て、同温度を脱炭が効果的に進みかつ耐火物溶損
の問題のないレベルに保つようにするものであ
る。
として一義的に考えられていた領域において、送
酸量を前記の如く変化させることにより、脱炭上
最小限必要な酸素が供給されて、クロムの酸化を
当該領域全体を通じて効果的に排除し、クロムの
非酸化に伴う鋼浴温度の低下に対しては、脱炭反
応で生成されるCOガスの燃焼により補償され
て、同温度を脱炭が効果的に進みかつ耐火物溶損
の問題のないレベルに保つようにするものであ
る。
(理論的背景)
酸素上吹転炉法において、高炭素領域は、送酸
量が多いほど脱炭速度が大きくなり、このことか
ら同領域における脱炭挙動は、主として酸素供給
律速ということができる。
量が多いほど脱炭速度が大きくなり、このことか
ら同領域における脱炭挙動は、主として酸素供給
律速ということができる。
ところが、低炭素領域における脱炭について
は、高炭素領域の脱炭のように、挙動、形態が単
純でなく、種々の因子が複雑にからんで作用して
いると考えられるが、この点に関し従来は根本的
な解明がなされていなかつたのである。
は、高炭素領域の脱炭のように、挙動、形態が単
純でなく、種々の因子が複雑にからんで作用して
いると考えられるが、この点に関し従来は根本的
な解明がなされていなかつたのである。
しかるに、本発明者らの詳細な実験の結果、ま
ず低炭素領域における脱炭が、鋼浴中炭素の拡散
律速であることが判明した。因に、低炭素領域に
おける鋼浴炭素量の推移をlogと(%C)と時間
との関係としてプロツトすると、例えば第4図の
如く直線上にのり、このことから脱炭速度が炭素
濃度に依存することが理解される。
ず低炭素領域における脱炭が、鋼浴中炭素の拡散
律速であることが判明した。因に、低炭素領域に
おける鋼浴炭素量の推移をlogと(%C)と時間
との関係としてプロツトすると、例えば第4図の
如く直線上にのり、このことから脱炭速度が炭素
濃度に依存することが理解される。
脱炭がこのように炭素拡散律速であるならば、
その脱炭速度は、 d(%C)/dt=−α〔%C−(%C)e〕……(
1) で表される。
その脱炭速度は、 d(%C)/dt=−α〔%C−(%C)e〕……(
1) で表される。
ここで(%C)は鋼浴中の平均的な炭素濃度、
(%C)eは不活性ガスと鋼浴界面での炭素濃度
を示し、αは物質移動係数により決定される反応
速度係数である。
(%C)eは不活性ガスと鋼浴界面での炭素濃度
を示し、αは物質移動係数により決定される反応
速度係数である。
ところで、低炭素領域での不活性ガスの吹込み
による精錬効果は次の2点である。
による精錬効果は次の2点である。
(イ) 鋼浴撹拌の保障
(ロ) 脱炭生成物(COガス)の希釈
これらの効果は不活性ガスが他の元素と化合せ
ず、かつ鋼浴に吸収されないことに起因する。
ず、かつ鋼浴に吸収されないことに起因する。
一方、低炭素領域での炭素とクロムの酸化挙動
は次の反応式により説明できる。
は次の反応式により説明できる。
〔C〕+〔O〕=CO(g) ……(2)
logKc=log(Pco/a〔C〕・a〔O〕)
〔Cr〕+〔O〕=(CrO) ……(3)
logKcr=log(a(CrO)/a〔Cr〕・a〔O〕
) なお、Pcoは雰囲気中のCOガス分圧、a
〔Cr〕、a〔C〕、a〔O〕は、それぞれ浴中のク
ロム、炭素、酸素の活量を示す。またa(CrO)
は、スラグ中でのクロム酸化物の活量を示す。
) なお、Pcoは雰囲気中のCOガス分圧、a
〔Cr〕、a〔C〕、a〔O〕は、それぞれ浴中のク
ロム、炭素、酸素の活量を示す。またa(CrO)
は、スラグ中でのクロム酸化物の活量を示す。
ここで、前記不活性ガスの気泡表面では
(2)、(3)の両反応が酸素を介して平衡状態に
あると仮定できるので、 〔C〕+(CrO)=〔Cr〕+CO(g)…… (4) logK=loga〔Cr・Pco/a〔C〕・a(CrO
) が成立する。
(2)、(3)の両反応が酸素を介して平衡状態に
あると仮定できるので、 〔C〕+(CrO)=〔Cr〕+CO(g)…… (4) logK=loga〔Cr・Pco/a〔C〕・a(CrO
) が成立する。
このKはHiltyらにより実験的に下式として求
められている。
められている。
logK=log〔%Cr〕・Pco/〔%C〕
=−13800/T+4.2〔%Ni〕+8.76……
(5) ここでa(CrO)はほぼ1となり、Tは溶鋼温
度(絶対温度)を示す。
(5) ここでa(CrO)はほぼ1となり、Tは溶鋼温
度(絶対温度)を示す。
(5)式ではニツケルの含有量による補正を行
つているが、本酸化反応に他元素の影響がある場
合は、その元素含有量による補正が必要である。
つているが、本酸化反応に他元素の影響がある場
合は、その元素含有量による補正が必要である。
このようなことから、鋼浴内における脱炭機構
として、 (A) 酸素上吹によりまずクロムの酸化反応がおこ
る。
として、 (A) 酸素上吹によりまずクロムの酸化反応がおこ
る。
(B) 生成されたクロム酸化物は不活性ガスの撹拌
により、不活性ガスと鋼浴の界面において
(5)式を満足するに足る酸素濃度を鋼浴に与
える。
により、不活性ガスと鋼浴の界面において
(5)式を満足するに足る酸素濃度を鋼浴に与
える。
(C) 不活性ガスと鋼浴界面では(5)式の平衡関
係が成立しており、COガス気泡は不活性ガス
気泡内に生成する。
係が成立しており、COガス気泡は不活性ガス
気泡内に生成する。
ことが推定される。
この前提に立てば、前記(1)の脱炭速度式は
次のとおり書き換えできる。
次のとおり書き換えできる。
まずαは次式で表される。
α=AD/V metδ=AM/V met……(6
) A:反応表面積、 V:溶鋼堆積 D:炭素の拡散係数、 δ:境界層厚み ただし物質移動係数=D/δ すなわちαは不活性ガス気泡の表面積、溶鋼体
積あるいは撹拌力によつて決定される。なおαの
値については、後述の実施例で具体的に示す。
) A:反応表面積、 V:溶鋼堆積 D:炭素の拡散係数、 δ:境界層厚み ただし物質移動係数=D/δ すなわちαは不活性ガス気泡の表面積、溶鋼体
積あるいは撹拌力によつて決定される。なおαの
値については、後述の実施例で具体的に示す。
次に(%C)eは、(5)式に従つて平衡状態
にあることから、(5)式を変形して、次のよう
に表わせる。
にあることから、(5)式を変形して、次のよう
に表わせる。
(%C)e=〔%Cr〕・Pco/K……(7)
一方Pcoは不活性ガス中に発生するCO(g)
により決定されるので次式で表せる。
により決定されるので次式で表せる。
Pco=Nco/Nco+NArP ……(8)
Pは全圧(通常1気圧)、NcoはCOガスのモル
数、NArは不活性ガスのモル数を示す。
数、NArは不活性ガスのモル数を示す。
さらにNcoは脱炭速度により求めることができ
るので、下式となる。
るので、下式となる。
Nco=p(%C)/dt×10−2W/Mc……(9
) Wは溶鋼重量、MC炭素の原子量を示す。
) Wは溶鋼重量、MC炭素の原子量を示す。
そして最後に、(1)式に(7)、(8)、(9)
式を代入すると、 が得られる。
式を代入すると、 が得られる。
この(10)式は、低炭素領域における実際の脱
炭状況とよく一致し、精度上十分実用に供し得る
ものであることを、本発明者らは実験的に確認し
ている。
炭状況とよく一致し、精度上十分実用に供し得る
ものであることを、本発明者らは実験的に確認し
ている。
このことから、低炭素領域においては、脱炭上
必要とされる最小限の量の酸素、換言すれば脱炭
に消費されてゆく分に見合う量の酸素だけを供給
するようにしてやればクロムの酸化を可及的に防
ぎながら脱炭の効果的な進行を保証することがで
きることになる。
必要とされる最小限の量の酸素、換言すれば脱炭
に消費されてゆく分に見合う量の酸素だけを供給
するようにしてやればクロムの酸化を可及的に防
ぎながら脱炭の効果的な進行を保証することがで
きることになる。
すなわち、精錬条件からT、NAr、%Cr、
W、、αの各値が与えられれば、(10)式のd(%
C)/dtと(%C)の関係を用いて、(%C)の
各種での脱炭速度を予測し、その予測値から各時
点における、脱炭上最小限必要な送酸量を求める
ことができ、この算出送酸量の経時変化を目安に
送酸量のコントロールを行うことで、クロム酸化
防止と脱炭の効率的遂行とが同時に可能となるわ
けである。
W、、αの各値が与えられれば、(10)式のd(%
C)/dtと(%C)の関係を用いて、(%C)の
各種での脱炭速度を予測し、その予測値から各時
点における、脱炭上最小限必要な送酸量を求める
ことができ、この算出送酸量の経時変化を目安に
送酸量のコントロールを行うことで、クロム酸化
防止と脱炭の効率的遂行とが同時に可能となるわ
けである。
ただしこの場合、クロムの酸化が防がれること
から鋼浴温度が下がる傾向となる。先の説明から
も明らかなように、鋼浴温度は脱炭速度に影響す
るから、炉耐火性の面から許される範囲で高く維
持することが必要となるものである。
から鋼浴温度が下がる傾向となる。先の説明から
も明らかなように、鋼浴温度は脱炭速度に影響す
るから、炉耐火性の面から許される範囲で高く維
持することが必要となるものである。
この鋼浴温度の低下傾向に対する対策として
は、脱炭反応で生成されるCOガスを炉内におい
て燃焼させ(CO+1/2O2→CO2)、このときの発
熱を溶鋼温度の上昇に寄与させるという方法が有
効である。COガスを燃焼させるには、供給酸素
量をその分増加させればよいのであり、この場合
本来の上吹ランスの他にもう一本、その増加分を
供給する補助ランスを使用することもできる。こ
の送酸量の増加分は、(10)式を基に算出される
COガス発生量に応じた量とすることが必要であ
る。
は、脱炭反応で生成されるCOガスを炉内におい
て燃焼させ(CO+1/2O2→CO2)、このときの発
熱を溶鋼温度の上昇に寄与させるという方法が有
効である。COガスを燃焼させるには、供給酸素
量をその分増加させればよいのであり、この場合
本来の上吹ランスの他にもう一本、その増加分を
供給する補助ランスを使用することもできる。こ
の送酸量の増加分は、(10)式を基に算出される
COガス発生量に応じた量とすることが必要であ
る。
すなわち、低炭素領域において、クロム酸化の
防止、鋼浴温度の維持、有効な脱炭を実現するた
めには、(10)式により脱炭速度を算出し、
これを基に C+O2→CO2……(11)(11)式を用いて
脱炭と脱炭で生じるCOガスの燃焼とに必要な最
小限の送酸量を求めて、これを必要送酸量とし、
これに補正係数1.2〜1.5を乗じて補正済必要送
酸量を得、この補正済必要送酸量の時間推移曲線
に沿つて、送酸量を変化させることである。な
お、上記補正係数1.2〜1.5は、発明者らの数次に
亘る実験の結果から導かれたものである。
防止、鋼浴温度の維持、有効な脱炭を実現するた
めには、(10)式により脱炭速度を算出し、
これを基に C+O2→CO2……(11)(11)式を用いて
脱炭と脱炭で生じるCOガスの燃焼とに必要な最
小限の送酸量を求めて、これを必要送酸量とし、
これに補正係数1.2〜1.5を乗じて補正済必要送
酸量を得、この補正済必要送酸量の時間推移曲線
に沿つて、送酸量を変化させることである。な
お、上記補正係数1.2〜1.5は、発明者らの数次に
亘る実験の結果から導かれたものである。
本発明において、低炭素領域とは定性的には前
述の(A)にいうようにクロムの酸化が炭素の酸化に
優先する領域であるが、具体的には、前出(5)
式からその境界値を知ることができる。(5)式
は低炭素領域の平衡状態を表するものであるの
で、これに(%C)以外の各初期値を与えれば、
低炭素領域頭初の(%C)が得られるのである。
すなわち、(5)式において、(%Cr),(Ni%),
Tを与え、Pco=1.2atmとして(%C)を計算
し、これに若干の上乗せを考慮して得ることがで
きる。例えば、Ni10%,T(1700+273)℃とす
ると、Cr13%,30%で、境界%C(算出値)は
それぞれ約0.1%,0.5%となり、実際値はこの値
より多少高めと考えればよい。
述の(A)にいうようにクロムの酸化が炭素の酸化に
優先する領域であるが、具体的には、前出(5)
式からその境界値を知ることができる。(5)式
は低炭素領域の平衡状態を表するものであるの
で、これに(%C)以外の各初期値を与えれば、
低炭素領域頭初の(%C)が得られるのである。
すなわち、(5)式において、(%Cr),(Ni%),
Tを与え、Pco=1.2atmとして(%C)を計算
し、これに若干の上乗せを考慮して得ることがで
きる。例えば、Ni10%,T(1700+273)℃とす
ると、Cr13%,30%で、境界%C(算出値)は
それぞれ約0.1%,0.5%となり、実際値はこの値
より多少高めと考えればよい。
また、上記補正済必要送酸量の時間推移曲線に
沿つて送酸量を変化させる場合、その変化は連続
的、段階的の何れの形態であつてもよい。段階的
に変化させる方法をとるときは、低炭素領域全体
を通じての平均的な送酸量の傾向が上記推移曲線
に沿う条件を満たすようにすればよい。
沿つて送酸量を変化させる場合、その変化は連続
的、段階的の何れの形態であつてもよい。段階的
に変化させる方法をとるときは、低炭素領域全体
を通じての平均的な送酸量の傾向が上記推移曲線
に沿う条件を満たすようにすればよい。
なお、浴面下羽口から吹込む不活性ガスの量に
ついては、(10)式から理解されるように、これ
を増やせば脱炭速度が向上する。したがつて、そ
の吹込量は、脱炭速度の低下すなわち鋼浴中炭素
量の低下に伴い順次増加の方向に変化させてやる
ことが、脱炭効率上有効である。
ついては、(10)式から理解されるように、これ
を増やせば脱炭速度が向上する。したがつて、そ
の吹込量は、脱炭速度の低下すなわち鋼浴中炭素
量の低下に伴い順次増加の方向に変化させてやる
ことが、脱炭効率上有効である。
(実施例)
本発明の実施例を述べる前に比較例を1つ掲げ
る。この例は、低炭素領域において送酸量を一律
に低下させたもので、手順は次のとおりである。
る。この例は、低炭素領域において送酸量を一律
に低下させたもので、手順は次のとおりである。
炉底部に内径8mmφのノズルを2本取付けた
2.4t転炉に粗脱炭溶鋼2.4tを注入し、造滓剤とし
て生石灰60Kgおよび螢石30Kgを添加し、送酸速度
6Nm3/min、Ar吹込量m3/minにて約8分間純酸
素上吹精錬を行い鋼浴(%C)を0.41%まで低下
させた(第一次精錬)。その後送酸速度を1Nm3/
minまで低下させ約30分間、2分間隔で測温、サ
ンプリングを行いながら吹錬をおこなつた。(低
炭素領域における第2次精錬)。その後フエロシ
リコン66Kg、生石灰133Kg、螢石24Kgを添加し還
元精錬を実施した。各精錬期末での成分を第1表
に示す。
2.4t転炉に粗脱炭溶鋼2.4tを注入し、造滓剤とし
て生石灰60Kgおよび螢石30Kgを添加し、送酸速度
6Nm3/min、Ar吹込量m3/minにて約8分間純酸
素上吹精錬を行い鋼浴(%C)を0.41%まで低下
させた(第一次精錬)。その後送酸速度を1Nm3/
minまで低下させ約30分間、2分間隔で測温、サ
ンプリングを行いながら吹錬をおこなつた。(低
炭素領域における第2次精錬)。その後フエロシ
リコン66Kg、生石灰133Kg、螢石24Kgを添加し還
元精錬を実施した。各精錬期末での成分を第1表
に示す。
低炭素領域(第2次精錬)において送酸量を一
律に低下させた場合、前述のとおり低下の度合が
少ないときはクロム酸化が過剰に起こり、鋼浴温
度を上昇させる。また逆に、低下の度合が大きい
ときはクロム酸化が抑えられるものの、脱炭反応
も抑制されてしまう。上述の比較例では炉の耐火
性による制約から、鋼浴の温度上昇を極力抑える
方向で送酸量を設定してあるが、それでも1730℃
の鋼浴温度を示し、(%C)の到達値は0.05%と
高い値にとどまつている。
律に低下させた場合、前述のとおり低下の度合が
少ないときはクロム酸化が過剰に起こり、鋼浴温
度を上昇させる。また逆に、低下の度合が大きい
ときはクロム酸化が抑えられるものの、脱炭反応
も抑制されてしまう。上述の比較例では炉の耐火
性による制約から、鋼浴の温度上昇を極力抑える
方向で送酸量を設定してあるが、それでも1730℃
の鋼浴温度を示し、(%C)の到達値は0.05%と
高い値にとどまつている。
なお第1図は、第2次精錬(低炭素領域)にお
いて2分間隔で採取したサンプルによる炭素濃度
変化を示したものである。図中実線は(10)式に
よる計算値であるが、脱炭挙動は(10)式とよく
一致している。
いて2分間隔で採取したサンプルによる炭素濃度
変化を示したものである。図中実線は(10)式に
よる計算値であるが、脱炭挙動は(10)式とよく
一致している。
次に本発明の実施例について説明する。
前記2.4t転炉、Ar1Nm3/min、18%Cr〜9%
Ni、1700℃の精錬条件での、低炭素領域におけ
る脱炭速度を(10)式により算出して第2図の実
線に示す。なおαは本実施例では約0.10になる
ことがわかつている。また第2図の実線より、
(11)式にしたがつて必要酸素量を算出すると第
2図の実線となる。さらに実線の2割増が実
線、5割増が実線となり(,が補正済必
要送酸量の時間推移曲線)、また実線と同じ酸
素量を段階的に低下させたのが実線である。送
酸量を連続的に変化させるか段階的に変化させる
かは、装置その他コントロール系列の都合によつ
て適宜選択することができる。
Ni、1700℃の精錬条件での、低炭素領域におけ
る脱炭速度を(10)式により算出して第2図の実
線に示す。なおαは本実施例では約0.10になる
ことがわかつている。また第2図の実線より、
(11)式にしたがつて必要酸素量を算出すると第
2図の実線となる。さらに実線の2割増が実
線、5割増が実線となり(,が補正済必
要送酸量の時間推移曲線)、また実線と同じ酸
素量を段階的に低下させたのが実線である。送
酸量を連続的に変化させるか段階的に変化させる
かは、装置その他コントロール系列の都合によつ
て適宜選択することができる。
初期条件を上述の比較例と同様とし、第2次吹
錬を第2図の実線にしたがつて精錬を行つた時
の各期末での鋼浴成分を第2表に示す。
錬を第2図の実線にしたがつて精錬を行つた時
の各期末での鋼浴成分を第2表に示す。
この表から明らかなように、本発明の方法に基
づいて低炭素領域を2次精錬することにより、同
精錬末の鋼浴温度は1710℃に保たれ、しかも到達
(%C)は0.03%にまで達した。また、還元精錬
で添加したフエロシリコンは47Kgで、上述の比較
例よりも19Kg減らすことができた。
づいて低炭素領域を2次精錬することにより、同
精錬末の鋼浴温度は1710℃に保たれ、しかも到達
(%C)は0.03%にまで達した。また、還元精錬
で添加したフエロシリコンは47Kgで、上述の比較
例よりも19Kg減らすことができた。
また送酸量を段階的に低下させる実線にした
がつて精錬を行つた時の各期末での成分を第3表
に示す。この場合も2次精錬末の鋼浴温度は1710
℃、到達(%C)は0.03%であり、還元期のフエ
ロシリコン添加量は50Kgで上述の比較例より16Kg
少なくなつた。
がつて精錬を行つた時の各期末での成分を第3表
に示す。この場合も2次精錬末の鋼浴温度は1710
℃、到達(%C)は0.03%であり、還元期のフエ
ロシリコン添加量は50Kgで上述の比較例より16Kg
少なくなつた。
ところで、(10)式中のα(速度定数)につい
てであるが、その内容は式(6)で既に説明して
いるとおりであり、具体的には炉容、炉内撹拌
力、炭素の拡散速度等により決定される。例えば
2.4t転炉を用いたこの実施例の場合、αとAr流量
の関係は第3図に示すようになる。したがつて、
このαは使用する炉について、Ar流量との関係
を予め実験的に求めておいて設定すればよい。
てであるが、その内容は式(6)で既に説明して
いるとおりであり、具体的には炉容、炉内撹拌
力、炭素の拡散速度等により決定される。例えば
2.4t転炉を用いたこの実施例の場合、αとAr流量
の関係は第3図に示すようになる。したがつて、
このαは使用する炉について、Ar流量との関係
を予め実験的に求めておいて設定すればよい。
(発明の効果)
以上に説明した如く、本発明は浴面下にガス吹
込用羽口を有する酸素上吹転炉を用いた高クロム
鋼の精錬において、特にその低炭素領域を精錬す
る際のクロム酸化を極力防止し、しかも適正な鋼
浴温度の下で脱炭を効果的に推進するという具体
的方法を確立したもので、高クロム鋼の溶製上に
もたらす経済的効果は極めて大である。
込用羽口を有する酸素上吹転炉を用いた高クロム
鋼の精錬において、特にその低炭素領域を精錬す
る際のクロム酸化を極力防止し、しかも適正な鋼
浴温度の下で脱炭を効果的に推進するという具体
的方法を確立したもので、高クロム鋼の溶製上に
もたらす経済的効果は極めて大である。
第1図は第2次精錬時(低炭素領域)における
炭素濃度変化と計算値との比較を示すグラフ、第
2図は2.4t転炉、Ar1Nm3/min、18%Cr、9%
Ni、1700℃の条件下で算出した低炭素領域にお
ける脱炭速度および必要酸素量を示すグラフ、第
3図は実施例におけるαとAr量との関係を示す
グラフ、第4図は低炭素領域における脱炭推移を
示すグラフである。
炭素濃度変化と計算値との比較を示すグラフ、第
2図は2.4t転炉、Ar1Nm3/min、18%Cr、9%
Ni、1700℃の条件下で算出した低炭素領域にお
ける脱炭速度および必要酸素量を示すグラフ、第
3図は実施例におけるαとAr量との関係を示す
グラフ、第4図は低炭素領域における脱炭推移を
示すグラフである。
【表】
【表】
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 浴面下に羽口を有する酸素上吹転炉を用い、
浴面下羽口より不活性ガスを供給し、上吹ランス
より酸素を供給する高クロム鋼の精錬において、
鋼浴炭素濃度が、クロムの酸化が炭素の酸化に優
先する低炭素領域に入つた段階から、〜によ
り求めた補正済必要送酸量の時間推移曲線に沿つ
て実際の送酸量を連続的または段階的に変化させ
ることを特徴とする高クロム鋼の精錬方法。 下記式により前記低炭素領域における脱炭速
度を予測する。 の予測値から各時点における必要送酸量を
求める。 の必要送酸量に補正係数1.2〜1.5を乗じた
補正済必要送酸量の時間推移曲線を得る。 ただし、 d(%C)/dtは脱炭速度 αは物質移動係数により決定される反応速度係
数 NArは不活性ガスのモル数 Mcは炭素の原子量 Wは溶鋼重量 Kは平衡定数で、 log K=−13800/T(鋼浴温度)+4.2(%N
i)+8.76
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2381279A JPS55115914A (en) | 1979-02-28 | 1979-02-28 | Refining method of high chromium steel |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2381279A JPS55115914A (en) | 1979-02-28 | 1979-02-28 | Refining method of high chromium steel |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS55115914A JPS55115914A (en) | 1980-09-06 |
JPS6124452B2 true JPS6124452B2 (ja) | 1986-06-11 |
Family
ID=12120744
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2381279A Granted JPS55115914A (en) | 1979-02-28 | 1979-02-28 | Refining method of high chromium steel |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS55115914A (ja) |
Families Citing this family (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS57145917A (en) * | 1981-03-03 | 1982-09-09 | Sumitomo Metal Ind Ltd | Refining method for high chromium steel |
JPS62130210A (ja) * | 1985-11-30 | 1987-06-12 | Kawasaki Steel Corp | ステンレス鋼の溶製方法 |
CN111575431A (zh) * | 2020-05-22 | 2020-08-25 | 山东钢铁股份有限公司 | 一种提高转炉煤气co含量的方法 |
-
1979
- 1979-02-28 JP JP2381279A patent/JPS55115914A/ja active Granted
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS55115914A (en) | 1980-09-06 |
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