JPS6120103Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は真空式吸着盤を使用した岸壁係船装置
に関するものである。

真空式吸着盤を使用した係船装置により大形船
を岸壁に係船する場合、積荷の有無または潮の干
満によつて吸着盤の吸着位置が上下に大きく変動
する。この上下の移動を吸収するためには、吸着
盤の昇降を案内する支柱の高さを高くしなければ
ならず、、それだけ装置が大型になるという問題
点があつた。

本考案はこのような問題点を解決するためにな
されたもので、ある範囲昇降できる主吸着盤装置
と、昇降できない補助吸着盤装置を設け、主吸着
盤の吸着位置切替え時に補助吸着盤装置により一
時船体を吸着保持するようにして装置全体を小形
化すると共に、吸着盤の吸着性能を向上させるこ
とを目的とするものである。

以下図面について本考案の一実施例を説明す
る。

図中１は船体、２は岸壁または棧橋である。第
３図は真空式吸着盤装置の一例を示すもので、３
は支持ビーム、４は支持ビーム３に対して摺動自
在に嵌装したスライドビーム、５はこのスライド
ビーム４の先端に設けた自在接手、６は自在接手
５に接続した後部取付板、７はこの後部取付板と
数個の緩衝ゴム８を介して接続した前部取付板、
９はこの前部取付板７の中心部に突設した環状の
リツプゴム、１０は前部取付板７の外周部に突設
した環状の周囲ゴム、１１はリツプゴム９内に開
口させた真空吸引管、１２はリツプゴム９と周囲
ゴム１０との間に開口させた真空吸引管、１３は
前記スライドビーム４の上方に突設したブラケツ
ト４ａと後部取付板６との間に介装した上下首振
り用シリンダ、１４はスライドビーム４の側方に
突設したブラケツト４ｂと後部取付板６との間に
介装した左右首振り用シリンダである。

本考案においては第２図に示すように、岸壁２
上に門形支柱１５を立設し、この支柱１５を案内
として第３図に示す比較的大形の主吸着盤装置Ａ
の支持ビーム３を昇降自在に取付ける。図中１５
ａは支柱１５に設けた案内溝、１６はガイドロー
ラ、１７はスライドビーム３上に突設したブラケ
ツト３ａに枢支した滑車、１８は門形支柱１５の
上部４個所に枢支した滑車、１９はこれらの滑車
１７，１８にかけ渡した索、２０はこの索１９の
両端にピストンロツド２０ａの先端部を連結した
昇降駆動用シリンダで、このシリンダ２０の作動
により支持ビーム３を昇降させるようにしてあ
る。

また主吸着盤装置Ａの吸着盤よりも小形の補助
吸着盤装置Ｂの支持ビーム３を岸壁２上に架台２
１を介して固定する。

なお２２は本装置の運転室で、２３は制御盤、
２４は電源盤、２５は油圧ユニツト、２６は真空
ユニツトである。

つぎに上述のように構成した本考案装置の作用
を説明する。第１図に示すように、船体１を岸壁
２に係留するには、主吸着盤装置Ａの上下首振り
用シリンダ１３および左右首振り用シリンダ１４
を操作して吸着盤を被係留船１の舷側板に適合す
る姿勢にセツトした後、スライドビーム４を押し
出して吸着盤のリツプゴム９および周囲ゴム１０
を船体に圧着させながら、真空ユニツト２６を運
転し、真空吸引管１１，１２を介して空気を吸引
する。このようにするとリツプゴム９および周囲
ゴム１０の内部が負圧になり、吸着盤は船体１に
強力に吸着する。本装置はこのようにして船体１
を係留することができるが、大形船の場合は積荷
状態および潮の干満によつて岸壁２に対して船体
１が上下に大きく変動するため、長時間係留する
場合はその上下変動を吸収しなければならない。

本考案装置はその上下変動をつぎのようにして
吸収することができる。すなわち被係留船が揚荷
開始前であるか、または干潮時に係船する場合
は、主吸着盤を下限位置にセツトした状態で吸着
させる。そして時間の経過に伴つて船体が上昇す
る場合は、それに伴つて主吸着盤を上昇させる。
本実施例ではシリンダ２０のピストンロツド２０
ａをひつこめることにより索１９、滑車１８，１
７を介して支持ビーム３を上昇させることができ
る。この操作は手動で行つてもよいし、また吸着
盤のゴムの変位を検出すること等の方法により自
動的に行わせることもできる。そして主吸着盤装
置が支柱３の上限位置に達した時は、補助吸着盤
装置Ｂを操作して補助吸着盤を船体１に吸着させ
て、これにより一時船体１を保持した後、主吸着
盤の真空を解除して主吸着盤を船体１から切り離
し、支柱３に沿つて下降させ、その下限位置で再
び主吸着盤を船体１に吸着させた後、補助吸着盤
を船体１から切り離す。この操作を繰り返すこと
によつて、どのように大きな船体の上下変動でも
吸収することができる。

また被係留船が空荷状態であるか、または満潮
時に係船する場合は、主吸着盤の上下移動方向が
逆になる以外は、前述した操作と同様である。

またバラスト移動によつて生ずる船体の喫水変
動に対しても同様に対処することができる。

なお上記実施例は、本考案の一例を示すもので
あり、本考案はこれらの構成、機能のもののみに
限られるものではない。例えば上記実施例は油圧
駆動のものを説明したが、電気式、空圧式又は機
械式でも可能であり、また主吸着盤と補助吸着盤
の交互切替え操作をシーケンス制御により自動化
することも可能である。また本考案装置全体を岸
壁に沿つて移動させることも可能である。

本考案の係船装置によれば下記のような効果が
得られる。

(1) 被係留船の大きな喫水変化に対しても、主吸
着盤の昇降置の支柱を比較的低い高さに出来る
と共に、補助吸着盤装置は昇降装置を要しない
簡単なものとすることが出来る上に、補助吸着
盤装置は、切替え時の短時間使用であるから小
形にすることが出来るため、本考案装置は全体
として従来のものより著しく小形（高さ1/2以
下）にできる。したがつて装置全体が安価にな
る。

(2) 強風時などには、荷役など大きな喫水変化を
もたらす作業を中止し、主吸着盤と補助吸着盤
装置を２個同時に使用することによつて、より
強力な係留能力を発揮することが出来る。

(3) 吸着盤の構造を、後部取付板と前部取付板と
の間に数個の緩衝ゴムを介在させて弾性を増大
させると共に、前部取付板に中心部の環状リツ
プゴムと、外周部の周囲ゴムとを二重円状に設
け、それぞれ内部を真空吸引できるようにした
から、舷側板への吸着が容易になる上に、吸着
力が増大して吸着性能を向上させることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案装置によつて係留した状態を示
す平面図、第２図は本考案装置の斜視図、第３図
は吸着盤装置の斜視図である。 １……船体（被係留船）、２……岸壁、Ａ……
主吸着盤装置、Ｂ……補助吸着盤装置、３……支
持ビーム、４……スライドビーム、５……自在接
手、６……後部取付板、７……前部取付板、８…
…緩衝ゴム、９……リツプゴム、１０……周囲ゴ
ム、１１，１２……真空吸引管、１３……上下首
振り用シリンダ、１４……左右首振り用シリン
ダ、１５……支柱、１６……ガイドローラ、１
７，１８……滑車、１９……索、２０……昇降駆
動用シリンダ、２１……架台、２２……運転室、
２３……制御盤、２４……電源盤、２５……油圧
ユニツト、２６……真空ユニツト。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 吸着盤を支柱に沿つて昇降できるようにした主
   吸着盤装置と、主吸着盤の吸着位置切替え時に船
   体を保持する昇降できない主吸着盤装置より小形
   の補助吸着盤装置とを具備し、前記主吸着盤と補
   助吸着盤とを、自在接手に接続した後部取付板
   と、この後部取付板に数個の緩衝ゴムを介して接
   続した前部取付板と、この前部取付板の中心部に
   突設した環状のリツプゴムと、前部取付板の外周
   部に突設した環状の周囲ゴムとにより構成した吸
   着盤による係船装置。