JPS6119852Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、工具の早送り、切削送り、早戻り機
構を具えた自動ドリリング・タツピングユニツト
の改良に関する。

従来、ドリリング・タツピングユニツトにおい
て、工具の送り運動を圧縮空気で行なつているも
のが多い。圧縮空気を用いると、送り速度の制御
が空気流量の調節で容易に成し得る反面、圧縮空
気の短所であるエネルギーロスは避けられないも
のであつた。そこでネジ、歯車等を有効に組み合
わせて機械的に工具の送り運動を成す装置が多用
されるようになつてきた。

本考案は、機械的に工具の送り運動を成すドリ
リング・タツピングユニツトを提供せんとするも
のである。

図示の実施例に従つて本考案を詳細に説明す
る。送り軸１には、減速機構２を介してモータ３
に連結された工具軸４を回転可能に支持する。減
速機構２は、工具軸４と一体的に形成されたケー
ジ５と、ケージ５に回転可能に支持された複数個
の遊星ギヤ６から成り、モータ３は、送り軸１内
に固定された円筒形のステータ７と、ステータ７
を貫通して回転可能に支持されたロータ８とから
なり、ロータ８は前部を延長して回転駆動軸９と
し、前端部外周にギヤ１０を形成して遊星ギヤ６
に連結し、後部に延長して送り駆動軸１１とし、
後端部外周にギヤ１２を形成する。送り軸１はボ
デイ１３に前後に往復動可能に支持され、スプリ
ング１４によつて常に後方に付勢されている。更
に、送り軸１の後端部に設けた突起１５とボデイ
１３の所定位置に設けた切り欠き１６を連係させ
て送り軸１の回転を防止するものである。１７は
可動軸で、所定位置にはギヤ１２にかみ合うギヤ
１８を固定すると共に、所定位置から後端に亘つ
てスプライン１９を形成して成り、送り軸１の後
端部に回転可能でかつ送り軸１と共に往復動する
ように支持されている。２０はギヤであつて、ボ
デイ１３に回転可能に支持され、しかも前記スプ
ライン１９と連係して回転すると共に、可動軸１
７の軸方向の動きを許容するものである。ネジ軸
２１はボデイ１３に回転可能に支持され、送り軸
１３の後端を延長して形成したステー２２に固定
され、送り軸１３と一体的に往復動すべく設けら
れたナツト２３とねじ合わされている。ネジ軸２
１の後部は延長してクラツチ軸２４とし、所定位
置にクラツチギヤ２５及び２６を回転可能に支持
すると共に、両クラツチギヤ２５及び２６の間に
おいてスプライン２７を形成して、このスプライ
ン２７にクラツチ２８をかみ合わせてクラツチ軸
２４と一体的に回転し、かつ軸方向に移動可能に
支持して成る。クラツチ２８にはリング２９が回
転可能に装着されていて、このリング２９に設け
たアーム３０をソレノイド３１及び３２によつて
右または左に付勢すればクラツチ２８が右または
左に移動し、クラツチ２８の左右の端面にそれぞ
れ好適に設けた複数個の爪３３または３４がクラ
ツチギヤ２５または２６のクラツチ２８に対向す
る側の端面にそれぞれ設けた複数の爪３５または
３６にかみ合つてクラツチ２８を回転させるもの
である。伝動軸３９はボデイ１３に回転可能に支
持され、所定位置には前記ギヤ２０とかみ合うギ
ヤ４０と、前記クラツチギヤ２６とかみ合う早送
りギヤ４１と、ボデイ１３に回転可能に支持され
た中間軸４３に固定した中間ギヤ４４とかみ合う
ギヤ４２を固定して成る。中間軸４３には更に別
の中間ギヤ４５を固定して成り、中間ギヤ４５
は、ボデイ１３に回転可能に支持された別の中間
軸４６に固定された中間ギヤ４７とかみ合う。中
間軸４６には更に別の切削送りギヤ４８を固定
し、クラツチギヤ２５とかみ合わせて成るもので
ある。４９はモータ３から外部に取り出された給
電用のコードである。

このような構成における作用効果を説明する。

コード４９を通してモータ３にロータ８が回転
する。ロータ８と一体に形成された回転駆動軸９
もロータ８と共に回転し、回転駆動軸９の前端部
に設けたギヤ１０によつてこのギヤ１０にかみ合
わされた遊星ギヤ６はケージ５内で自転しながら
ギヤ１０の周囲を公転する。遊星ギヤ６の公転は
ケージ５を回転させ、ケージ５と一体に形成され
た工具軸４を回転させるものある。このようにし
て送り軸１内において、ロータ８の回転は減速機
構２を介して工具軸４へ伝達される。

一方、ロータ８と一体に形成された送り駆動軸
１１の回転は、送り駆動軸１１の後端部に設けた
ギヤ１２からギヤ１８を介して可動軸１７へと伝
達され、更にスプライン１９、ギヤ２０、ギヤ４
０を介して伝動軸３９に回転駆動する。伝動軸３
９の回転は、ギヤ４２、中間ギヤ４４、中間軸４
３、中間ギヤ４５、中間ギヤ４７、中間軸４６、
切削送りギヤ４８を経てクラツチギヤ２５に伝達
される切削送り経路と、早送りギヤ４１を経てク
ラツチギヤ２６に伝達される早送り経路とに分岐
され、それぞれ、クラツチギヤ２５および２６を
回転させる。クラツチギヤ２５および２６はクラ
ツチ軸２４に対しては回転可能に支持されている
ので、図示のようにクラツチ２８が中立の位置に
ある場合はクラツチギヤ２５および２６の回転は
クラツチ軸２４には伝達されず、クラツチギヤ２
５および２６は空転するのみである。従つてモー
タ３が回転して工具軸４が回転するが、前進ない
しは後退しない。

送り軸１、すなわち工具軸４を前進させる時
は、モータ３を正転させながら、ソレノイド３１
に通電してピン３７によつてアーム３０を図示右
方向に付勢し、クラツチ２８を右方向に移動して
クラツチ２８とクラツチギヤ２６とをかみ合わせ
る。つまり、クラツチ２８に設けた爪３４とクラ
ツチギヤ２６に設けた爪３６とがかみ合つてクラ
ツチギヤ２６の回転がクラツチ２８に伝えられ、
クラツチ軸２４に設けたスプライン２７とクラツ
チ２８がかみ合わされているためにクラツチ軸２
４が回転することになる。同時にクラツチ軸２４
と一体に形成されたネジ軸２１も回転する。ネジ
軸２１の回転によつてナツト２３が前進し、ナツ
ト２３とはステー２２で連結された送り軸１が一
体となつて前進するもので、この時の前進速度
は、クラツチ２８が早送り経路に設けた早送りギ
ヤ４１によつて駆動されているので比較的高速の
早送り速度で送り軸１が前進するものである。送
り軸１の前進に伴つて可動軸１７は、ギヤ１８と
１２とがかみ合つたままの状態で送り軸１と一体
的に前進するが、ギヤ２０と可動軸１７はスプラ
イン１９によつて可動軸の軸方向への移動を許容
すべく構成されており、可動軸１７は軸方向に移
動しつつ回転運動をも伝達可能である。

送り軸１が所定距離前進すると、ステー２２に
設けたドツグ５０がボデイ１３に設けたリミツト
スイツチ５１に接触し、このリミツトスイツチ５
１から出た信号によつてソレノイド３１への通電
が遮断されてピン３７がスプリングによつて引き
戻されると同時に、ソレノイド３２に通電されて
ピン３８によつてアーム３０を左方向に付勢し、
クラツチ２８をそれまでのクラツチギヤ２６から
クラツチギヤ２５へと切り換える。そこで、クラ
ツチ２８に設けた爪３３とクラツチギヤ２５に設
けた爪３５がかみ合つてクラツチギヤ２５の回転
がクラツチ２８を介してクラツチ軸２４へ伝達さ
れる。

ここでクラツチギヤ２５及び２６の回転数につ
いて見れば、クラツチギヤ２６は早送りギヤ４１
によつて伝動軸３９の回転が伝達され、比較的高
速回転であるのに対し、クラツチギヤ２５は伝動
軸３９から複数の中間ギヤ及び複数の中間軸によ
つて減速されて回転が伝達されるため、クラツチ
ギヤ２６に比べて低速で回転するように構成され
ていて、切削条件に合致した工具軸４の送り速度
が得られるように考慮されている。

このようにしてクラツチ軸２４と一体に回転す
るネジ軸によつてナツト２３は更に前進し、ナツ
ト２３と一体的にステー２２を介して送り軸１が
前進する。そして所定距離前進するとドツグ５０
がリミツトスイツチ５２と接触し、リミツトスイ
ツチ５２から出た信号によつてモータ３を逆転さ
せるものである。

モータ３の逆転によつて全ての回転要素はそれ
までの正転時とは逆方向に回転する。すなわち、
工具軸４、可動軸１７、伝動軸３９、クラツチ軸
２４、ネジ軸２１等が逆転するものである。ネジ
軸２１が逆転すると、正転時に前進運動していた
ナツト２３はネジ軸２１の逆転によつて後退を始
め、ナツト２３の後退によつて送り軸１はステー
２２を介してナツト２３と一体的に後退する。こ
の時可動軸１７は、正転時とは回転が逆になるだ
けで、ギヤ２０にスプライン１９かみ合いながら
送り軸１と一体的に後退するものである。

所定距離後退すると、ステー２２に設けたドツ
グ５０がリミツトスイツチ５１と接触し、リミツ
トスイツチ５１から出た信号によつてソレノイド
３２への通電が遮断されると同時にソレノイド３
１に通電され、アーム３０を介してクラツチ２８
をそれまでのクラツチギヤ２５からクラツチギヤ
２６へと切り換える。クラツチギヤ２６とかみ合
わされたクラツチ２８は早送り速度でクラツチ軸
２４を回転させ、クラツチ軸２４と一体的に回転
するネジ軸２１の早送り回転によつてナツト２３
がそれまでよりも高速の早戻り速度で後退する。
ナツト２３の後退に伴つてステー２２を介して送
り軸１も後退する。このようにして所定位置まで
後退するとドツグ５０がリミツトスイツチ５３と
接触するため、リミツトスイツチ５３から出た信
号によつてソレノイド３１への通電を遮断してク
ラツチ２８を図示の中立位置に保持する。クラツ
チ２８が中立位置にある場合はクラツチギヤ２５
及び２６はクラツチ軸２４に対して空転していて
回転が伝達されないためクラツチ軸２４は停止
し、従つてナツト２３もそれ以上後退しない。す
なわち、ナツト２３は後退端位置にて停止するも
のである。ここで更にコード４９への通電を遮断
してモータ３を停止することも可能である。

ボデイ１３と送り軸１の間に装着されたスプリ
ング１４はバツクラツシユ防止用に設けたもので
あつて駆動に際しては直接関与しないものであ
る。また、中間ギヤを適宜選択交換することによ
つて送り速度を好適に設定し得るものである。

本考案は以上のような構成、作用効果を成すも
のであり、その駆動がモータから機械的に伝動さ
れる送り機構であるので確実であり、制御は電気
信号のみで達成されるため容易に構成でき、エア
送り形式のものにおける複雑な空気回路や空気配
管が不要でそれに伴うＯリング等の封止部材の消
耗等を考慮する必要がないなどの構造上の優位性
と、ネジ軸によつて送り軸を強制的に送るために
切削の安定性と貫通穴加工時の切削に優れた効果
を発揮し得るもので、特に送り軸にモータを内蔵
させ、伝動部をコンパクト構成し、その取扱いを
容易にしたものである。更にモータの回転を歯車
とネジによつて送り運動い変換しているため、工
具軸一回転当りの送り量が均一であり、切削送り
経路の歯車を適宜交換することによつてドリル加
工のみならずネジ加工も効果的に成し得るもので
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の実施例を示す縦断側面図であ
る。 １：送り軸、２：減速機構、３：モータ、４：
工具軸、１３：ボデイ、１７：可動軸、１８，２
０，４０，４２：ギヤ、１９：スプライン、２
１：ネジ軸、２２：ステー、２３：ナツト、２
４：クラツチ軸、２５，２６：クラツチギヤ、２
７：スプライン、２８：クラツチ、３９：伝動
軸、４１：早送りギヤ、４３，４６：中間軸、４
４，４５，４７：中間ギヤ、４８：切削送りギ
ヤ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 工具に回転と同時に送り運動を与える装置であ
   つて、早送り・切削送り切換え機構を有する自動
   ドリリング・タツピングユニツトにおいて、本体
   ボデイに前後進可能に支持された送り軸と、送り
   軸と一体的に前後進可能に構成したナツト装置
   と、本体ボデイに回転可能に支持されて前記ナツ
   ト装置を結合して成るネジ軸と、原動機の回転を
   ネジ軸に伝える伝動手段とから成り、前記送り軸
   は、原動機と減速機構と工具軸とを一体的に内蔵
   して成り、前記伝動手段はネジ軸に対して早送り
   経路と切削送り経路とに分岐して成り、早送り経
   路と切削送り経路とを切り換えてネジ軸に連結す
   るクラツチ機構と、送り軸の軸方向運動を許容し
   つつ原動機の回転運動を伝動手段に伝えるための
   機構とを有して成ることを特長とする、ドリリン
   グ・タツピングユニツト。