JPS6119844B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は各種の部材例えば家具の脚やコンクリ
ート壁等に設けた穴や管端部開口等にボルト、即
ち一端部に雄ねじ部を有し他の一端に公知の頭部
を有する棒状部材、の雄ねじ部を挿入し固定する
ため使用する装置に関する。

従来のパイプ製のスチール机やスチール椅子は
多くの場合にキヤスタを備えている。そのキヤス
タの脚端への取付け方も各種あり、以下にその幾
つかを説明する。

脚端の内部に雌ねじを設けたプラグを溶接し、
上記雌ねじに適合する雄ねじを設けたボルトを用
いてキヤスタを固定するようになつているもの、
又特殊ボルトをねじ込み、その頭部にキヤスタを
かしめ付けるようになつているもの、更に又、脚
端に円筒状のブツシユを溶接し、その孔に溝用の
Ｃリングを備えたキヤスタの支軸を挿通してキヤ
スタを取付けるようになつているものなどがあ
る。

然しながら、これら公知の方法では脚の端部の
内部にプラグ又はブツシユ等を溶接する必要があ
り、その際にねじ部等を傷めないように配慮しな
ければならないし、溶接工数や仕上げ工数がかか
り高くつくという問題点がある。

このため溶接によることなく必要とする部品を
穴の内部に固定する方法が提案されている。その
方法は、一対のテーパ部材を穴の内部に挿入し、
穴の内壁との間でクサビ作用を行わせ、テーパ部
材を穴内に固定するものである。

而して、その一例としては穴の内部に挿入され
るようになつているスリツトを備えたスリーブ内
に、固定用ボルトに適合する雌ねじを設けた円錐
状部材を収容して成るものがある。この円錐状部
材にボルトをねじ込みスリーブを穴の内部に挿入
し、そのボルトを締め上げる方向に回転させる
と、ボルトは円錐状部材を引き出すように働き、
円錐状部材のクサビ作用によりそれを取り巻くス
リーブが拡張して穴の内壁に強く押し付けられ、
同時に円錐状部材が固定されることになる。

然しながら、この公知の装置には、スリーブの
スリツト加工や円錐状部材のテーパ加工に工数が
かかり装置が高価となるという問題点がある。

又、米国特許3342097号公報には、円柱状の部
材を斜めに切断し、その中心軸上に雌ねじを設け
て成る第一のクサビ部材と、外周面に滑り止めの
凹凸を有し上記第一のクサビ部材と組合せられた
とき取付穴に適合する円柱を形成する第二のクサ
ビ部材から成る装置が開示されている。この装置
を取付穴に挿入し、第一のクサビ部材に取付けた
ボルトをねじ込んで締付けると、両クサビ部材の
クサビ作用により装置が穴の内部に強固に固定さ
れる。

然しながら、この装置にも、円柱状の部材の材
料費及び加工工数がかさみ、高価でなるという問
題点がある。

本発明は叙上の観点に立つてなされたもので、
その目的とするところは、穴の内部にボルトの端
部を固定する装置として、極めて簡単で安価な装
置を提供することにある。

以下、図面により本発明の詳細を具体的に説明
する。

第１図は本発明にかかるボルト固定装置の一実
施例を示す立体分解図、第２図は第１図のボルト
固定装置を用いて管体端部に板をボルトで固定組
付けた状態を示す一部破断側面図、第２ａ図は第
２図に示すボルト及び板を取り外した状態を示す
一部破断側面図、第３図は第１図のボルト固定装
置を用いてパイプ製のスチール家具の脚端にキヤ
スタをボルトで固定した状態を示す一部破断側面
図、第４図は第１図に示したスリーブの他の一実
施例を示す断面図及び平面図、第５ａ図及び第５
ｂ図は第４図に示したスリーブを用いたボルト固
定装置の他の一実施例を示す一部破断側面図であ
る。

第１図中、１０は通常のねじ部を有する六角ナ
ツト１４と、短管の一端を斜めに切断して成るス
リーブ１６とから構成されたボルト固定装置であ
り、１２は上記ナツト１４に適合するねじ部と頭
部１３を有し所望の穴に挿入固定される六角穴付
ボルトである。このスリーブ１６の一方の端面１
８は中心軸に対して傾斜した平面となつている
が、その傾斜角は45度程度とすることが推奨され
る。

次に第２図について説明する。

第２図中、２０は板、２２は管体である。

而して、ボルト１２を板２０の孔に挿入し、次
いでスリーブ１６をボルト１２に傾斜面とは反対
側から嵌め込み、更にナツト１４を取付けた状態
で管体２２へ挿入する。

然るときは、スリーブ１６の傾斜面１８の先端
が管体２２の内壁面とナツト１４の一側面の間に
進入してナツト１４の廻り止めとなるので、ボル
ト１２を締付けると、ナツト１４はスリーブ１６
の斜面１８に沿つて管体２２の開口側に移動し、
斜面１８のクサビ作用により強固に固定される。

然るときはその状態でナツト１４は、スリーブ
１６により強固にクサビ止めされたまゝになり、
第２ａ図に示されるように、ボルト１２を管体２
２の内部にナツト１４及びスリーブ１６を残した
まゝ緩めることができる。

このボルト固定装置１０は、適当なボルト１２
の軸部にスリーブ１６を挿入して、ナツト１４を
ボルト１２のねじ部に取付けた状態にして、取扱
い易いユニツトとして貯蔵することができる。

このボルト固定装置１０は、第１図及び第２図
に破線１８′によつて示されているように、スリ
ーブ１６の端部の傾斜面１８に平行に切断するこ
とによつて、更に安価なものにすることができ
る。この切断されたスリーブの機能は先に述べた
ものと全く同じであるが、このスリーブは管状の
材料から平行な切断によつて分断することができ
るので、材料を節約でき、且つ製作費がより少な
くなる。

次に第３図について説明する。

第３図中、３０は軸受ユニツト３４と貫通孔３
６とを有するキヤスタ、３２は脚、３５はゴム又
は合成樹脂製のワツシヤである。

先ず、ボルト１２をキヤスタ３０の孔３６の中
に挿入し、先に述べたような方法で、スリーブ１
６をボルト１２に傾斜面とは反対側から装着し、
ナツト１４を取付けた後、脚３２に挿入してボル
ト１２を締付けると、キヤスタ３０が脚３２にし
つかりと取付けられることになる。

管体の穴の内部に於けるボルト固定装置のナツ
トの心出しに関して、クサビの原理の結果として
ナツトは穴の中心から多少ともずれて取付けられ
るが、図面では本発明の作用効果を明瞭にするた
めに、その偏心を特に誇張して描いている。

然しながら実際には、多くの場合、例えばボル
ト固定装置が第３図に示されるように管体端部の
内部に挿入されるべきとき等は、心出しは極めて
良好である。

ナツトが管体の内部に軽く滑動できる状態で嵌
合するように、管体３２の内径に対しナツト１４
の頭部の対角寸法、即ち軸直角最大寸法が適切に
選ばれるならば、クサビ結合されたときのナツト
の偏心誤差はかなり小さくできる。この場合に生
ずる僅かの偏心は実際上問題にならず、特にナツ
トは管体の内部にかなりの距離だけ入り込んでい
るという事実を考慮に入れれば、偏心誤差は通常
問題とならない。

上記の説明及び図面に於て、本発明のボルト固
定装置の中に具備されるスリーブ１６は、例えば
管状の材料を分断することなどによつて作られた
管状部材として図示された。然しながら、このス
リーブは又、例えばスタンピング又はローリング
等によつて板材から作ることもできる。（その場
合にはスリーブはやゝ幅の広い縦長のスリツト又
はスロツトを設けられる。）或場合にはモールド
加工された合成樹脂材料を利用することもでき
る。

前述のことから明らかなように、重要欠くべか
らざる事は、スリーブ１６が押出し又は引抜き加
工されるとき、少なくとも一端に傾斜面を形成す
ることである。

スリーブ１６の傾斜面と反対側、即ちボルト１
２の頭部１３側の端面は、固定されるべき部材、
即ちこの場合には板２０に当接することが、第２
図から解るであろう。これは、或場合には締付け
られる時にこの部材２０が管体の端部ではなくス
リーブ１６に押しつけられることが起り得るとい
う事を意味する。

管体端部に固定されるべき部材が管体端部に確
実に押しつけられるように、スリーブ１６のナツ
ト１４とは反対側の端面が管体の端面から僅かに
奥に入つた位置でスリーブ１６がクサビ止めされ
るようにするため、以下に述べるような幾つかの
簡単な配虜が払われる。

スリーブ１６が確実にクサビ止めされて固定さ
れる前に僅かな距離だけ穴の開口に向かつて滑動
するような場合には、第３図に示すようにゴム又
は合成樹脂で作られた弾性ワツシヤ３５を、スリ
ーブ１６と外部部材即ちこの場合キヤスタ３０の
球軸受板３４との間に挿入する。クサビ止めされ
た状態になる前のスリーブの僅かの変位はワツシ
ヤの変形によつて吸収され、キヤスタは脚３２の
端部に強く締付けられる。

柔らかいワツシヤの代りに固いワツシヤを使用
することもできるが、その場合には、ボルト固定
装置１０がクサビ止めで位置を固定された後にそ
のワツシヤを適当な方法で除去しなければならな
いことがある。

又例えば、コンクリート壁の穴の内部等にボル
トを固定するときのように、スリーブが確実にク
サビ止めされる前に、スリーブが相当大幅に変位
することを考虜に入れなければならない場合に
は、ボルト固定装置は第４図及び第５図に示され
るように構成することが推奨される。

この実施例では、スリーブ４６は大体スリーブ
１６と同じように形成されるが、内方に折曲げら
れた小さいフラツプ即ちラグ４５を備えている。

図から解るように、このラグ４５は、傾斜面４
８と完全な円筒部の境界にあり、円筒の一部を内
側に折曲げて構成する。

この場合はナツト４４とスリーブ４６とに小さ
いつるまきばね５０を補足し、更に前の実施例と
同様に適当なボルト４２を加えてユニツトを形成
する（第５ａ図参照）。

尚、つるまきばね５０は内方に突出したラグ４
５とボルト４２の頭４３との間に配置される。

外部部材、例えば前述の板２０を固定するため
にこのユニツトが穴の内部に嵌込まれるときは、
ばね５０はこの外部部材と接触し、スリーブ４６
を常に外部部材から、従つて穴の開口端からも隔
てるものである。

スリーブ４６の傾斜面と反対側は、クサビ止め
された後は穴の開口端から充分内側に配置され、
その結果、当然のことながら、固定されるべき部
材はその穴が管体の端部であるか壁の穴であるか
に拘わらず、その穴の内壁を形成する部材に対し
て直接に且つ強固に取り付けられる。

第５ｂ図に示されたボルト固定装置は、つるま
きばね５０が、使用されるボルトの頭４３とスリ
ーブ４６のラグ４５との間に置かれた軽い合成樹
脂のスリーブ５２と置換されている以外は、第５
ａ図に示した固定装置４０と同形である。合成樹
脂の円筒体５２は、第５ａ図のつるまきばね５０
と全く同じ目的を果し、スリーブ４６を穴の開口
端から離して保持する。

締付けの間にスリーブ４６が外方に幾分滑動す
る場合には、合成樹脂の円筒体５２は容易に変形
して、スリーブ４６の変位を吸収する。

本発明は叙上の如く構成されるから、本発明に
よるときは、穴の内部にボルトの端部を固定する
装置として、材料費も加工工数もかからず、従つ
て安価に大量生産できるボルト固定装置を提供し
得るものである。

尚、本発明は叙上の実施例に限定されるもので
はない。即ち、例えば、本実施例に於ては、ナツ
トは標準のものであり、本発明の固定装置を作る
際に使用することのできる最も安価な部品を示し
ている。然しながら、このナツトは例えば四角ナ
ツト、二面取りナツト等でもよく、又本発明に依
る上述のクサビ止めの原理を維持しながら、特殊
の目的のために特別に形成されたナツト機構を使
用することもでき、スリーブの形状も本発明の目
的の範囲内で自由に設計変更できるものであつ
て、本発明はそれらの総てを包摂するものであ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明にかかるボルト固定装置の一実
施例を示す立体分解図、第２図は第１図のボルト
固定装置を用いて管体端部に板をボルトで固定組
付けた状態を示す一部破断側面図、第２ａ図は第
２図に示すボルト及び板を取に外した状態を示す
一部破断側面図、第３図は第１図のボルト固定装
置を用いてパイプ製のスチール家具の脚端にキヤ
スタをボルトで固定した状態を示す一部破断側面
図、第４図は第１図に示したスリーブの他の一実
施例を示す断面図及び平面図、第５ａ図及び第５
ｂ図は第４図に示したスリーブを用いたボルト固
定装置の他の一実施例を示す一部破断側面図であ
る。 １０，４０，４０′……ボルト固定装置、１
２，４２……ボルト、１３，４３……ボルトの
頭、１４……ナツト、１６，４６……スリーブ、
１８，４８……スリーブ傾斜端面、２０……板、
２２……管体、３０……キヤスタ、３２……脚、
３４……軸受ユニツト、４５……ラグ、５０……
つるまきばね、５２……円筒体。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 下記(a)項及び(b)項記載の構成要素から成る穴
   の内部にボルトの端部を固定する装置。 (a) ボルトの端部を挿入固定すべき穴の内径より
   やゝ小さい軸直角方向最大寸法を有し且つその
   中心に上記ボルトに適合する雌ねじ部が設けら
   れたナツト。 (b) その最小曲率半径が上記穴半径より小さい外
   周面と上記ボルトの軸部を挿入し得る中心孔と
   を有する管状部材であつて、少なくともその一
   端面が中心軸に対し傾斜した平面となつてお
   り、その傾斜面とは反対側から上記ボルトが挿
   通され次いで上記ナツトが取り付けられた状態
   で上記穴内部に挿入されたとき、上記傾斜面側
   の先端が上記穴の内壁面とナツトの一側面との
   間に進入して上記ナツトの廻り止めを形成する
   スリーブ。 ２ スリーブの一端面のみが中心軸に対して傾斜
   しており、他の一端面が中心軸に対して実質上直
   角である特許請求の範囲第１項記載の穴の内部に
   ボルトの端部を固定する装置。 ３ 中心軸に対して傾斜した一端面の傾斜角が略
   45度である特許請求の範囲第２項記載の穴の内部
   にボルトの端部を固定する装置。 ４ スリーブの両端面が共にその中心軸に対し同
   一の傾斜角を有し且つ互いに平行である特許請求
   の範囲第１項記載の穴の内部にボルトの端部を固
   定する装置。 ５ スリーブの両端面の中心軸に対する傾斜角が
   いずれも略45度である特許請求の範囲第４項記載
   の穴の内部にボルトの端部を固定する装置。 ６ スリーブが管材を斜めに切断して得られた環
   状体である特許請求の範囲第１項乃至第５項のい
   ずれか一に記載の穴の内部にボルトの端部を固定
   する装置。 ７ ナツトが六角ナツトである特許請求の範囲第
   １項記載の穴の内部にボルトの端部を固定する装
   置。 ８ 下記(c)項乃至(e)項記載の構成要素から成る穴
   の内部にボルトの端部を固定する装置。 (c) ボルトの端部を挿入固定すべき穴の内径より
   やゝ小さい軸直角方向最大寸法を有し且つその
   中心に上記ボルトに適合する雌ねじ部が設けら
   れたナツト。 (d) 上記ボルトの軸部が貫通する中心孔と、上記
   ボルトの座面に接触する座面とを有し、その中
   心軸方向に変形可能な部材。 (e) 上記穴の内径より小さい外形と上記ボルトの
   軸部を挿入し得る中心孔とを有する管状部材で
   あつて、少なくともその一端面が中心軸に対し
   傾斜した平面となつており、その傾斜面とは反
   対側から上記変形可能な部材を介して上記ボル
   トが挿通され次いで上記ナツトが取り付けられ
   た状態で上記穴の内部に挿入されたとき、上記
   傾斜面側の先端が上記穴の内壁面とナツトの一
   側面との間に進入して上記ナツトの廻り止めを
   形成するスリーブ。 ９ スリーブの一端面が中心軸に対して傾斜して
   おり、他の一端面が中心軸に対して実質上直角で
   ある特許請求の範囲第８項記載の穴の内部にボル
   トの端部を固定する装置。 １０ 中心軸に対して傾斜した一端面の傾斜角が
   略45度である特許請求の範囲第９項記載の穴の内
   部にボルトの端部を固定する装置。 １１ スリーブの両端面が共にその中心軸に対し
   同一の傾斜角を有し且つ互いに平行である特許請
   求の範囲第８項記載の穴の内部にボルトの端部を
   固定する装置。 １２ スリーブの両端面の中心軸に対する傾斜角
   がいずれも略45度である特許請求の範囲第８項記
   載の穴の内部にボルトの端部を固定する装置。 １３ スリーブが管材を斜めに切断して得られた
   環状体である特許請求の範囲第８項乃至第１２項
   のいずれか一に記載の穴の内部にボルトの端部を
   固定する装置。 １４ スリーブがその内面に突出するラグを有
   し、変形可能な部材がスリーブとボルトの間に挿
   入され上記スリーブのラグとボルトの頭部の間で
   圧縮されるつるまきばねである特許請求の範囲第
   ８項乃至第１３項のいずれか一に記載の穴の内部
   にボルトの端部を固定する装置。 １５ スリーブが軟質物質から成る円筒体である
   特許請求の範囲第８項乃至第１３項のいずれか一
   に記載の穴の内部にボルトの端部を固定する装
   置。 １６ 軟質物質が合成樹脂である特許請求の範囲
   第１５項記載の穴の内部にボルトの端部を固定す
   る装置。 １７ ナツトの六角ナツトである特許請求の範囲
   第８項記載の穴の内部にボルトの端部を固定する
   装置。