JPS6116662Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本考案は、電磁弁等に使用するソレノイドに関
するものである。

〔従来のソレノイド〕

従来のソレノイドにおいては、第１図に示すよ
うに、磁気枠ａと可動鉄心ｃとの間に、空隙ｄ
（0.1〜0.2mm）の他に非磁性の案内パイプｅ（厚
さ0.3mm以上）が存在し、磁気枠ａと案内パイプ
ｅとの間に補助磁気枠ｂを設けていても、両者間
の磁気抵抗が増大して磁路における磁束密度が減
少し、固定鉄心ｆと可動鉄心ｃとの間の電磁力が
弱められ、また上記案内パイプｅの存在がソレノ
イドの小形化を制限するという欠点があつた。

また、単に上記非磁性の案内パイプｅを省略す
ると、補助磁気枠ｂと可動鉄心ｃとの間の吸引力
によつて可動鉄心ｃが補助磁気枠ｂに接触する恐
れがあり、このため補助磁気枠ｂが摩耗し易くな
る。

〔考案が解決しようとする問題点〕

本考案は、案内パイプを省略したことで、少な
い消費電力で大きな電磁力が得られると共に小形
化が可能でありながら、ボビンの軸孔に挿着する
磁性フランジ状部材の筒部の摩耗を防いでソレノ
イドの寿命を増加させることを、解決すべき問題
点とするものである。

〔問題点を解決するための手段〕

本考案は、ボビンに捲回した励磁用コイルの外
側に磁路を形成する磁気枠を配設し、該ボビンの
軸孔に、コイルへの通電時に相互に電磁力が作用
する一対の鉄心を嵌設し、上記ボビンを、非磁性
のリール状ボビン本体の軸孔内に補強兼磁気抵抗
低減用の磁性フランジ状部材における筒部が挿着
されたものにおいて、上記磁性フランジ状部材の
筒部内面に耐摩耗性材料から成る薄膜を被着し、
該ボビンの軸孔に上記一対の鉄心を直接嵌設し
て、上記フランジ状部材の筒部を徴小な空隙を介
して可動鉄心と直接対向させると共に、フランジ
状部材のフランジ部を磁気性に接触させたことに
よつて、上記問題点を解決した。

〔作用〕

磁性フランジ状部材の筒部に被着した耐摩耗性
の薄膜は、その厚さが薄いので磁気抵抗の増加が
型めて少ないから、磁性フランジ状部材の筒部に
耐摩耗性の薄膜を被着しても、筒部と可動鉄心と
の直接対向によつて両者間における磁気抵抗の増
加は殆どない。

また、筒部と可動鉄心間の吸引力によつて可動
鉄心が筒部に接触しても、筒部に被着した耐摩耗
性の薄膜が筒部の摩耗を防ぐ。

〔考案の効果〕

本考案は、フランジ状部材と可動鉄心間の非磁
性の案内パイプを省略して両者を直接対向させた
ことにより、これらの間に非磁性の案内パイプを
有するものと比べて、磁路における磁気抵抗が低
減するので、少ない消費電力で大きな電磁力を得
ることができるばかりでなく、案内パイプの省略
によつてソレノイド全体の小形化が可能となつて
製造コイストも低減できる。

また、フランジ状部材の筒部内面に耐摩耗性材
料らなる薄膜を被着したので、非磁性の案内パイ
プを省略して可動鉄心と該筒部とを徴小な空隙と
介して直接対向させたことで両者が接触する恐れ
があつても、可動鉄心と筒部との接触による筒部
の摩耗を防いでソレノイドの寿命を増加させる。

〔実施例〕

以下、本考案の実施例を図面に基づいて詳略に
説明するに、第２図において、ボビン１に捲回し
た励磁用のコイル２は、その外側に磁路を形成す
る磁気枠３が配設されており、上記ボビン１の中
心における軸孔１ａの一端に固定鉄心５が直接嵌
着固定され、該軸孔１ａの他端にコイル２への通
電時に固定鉄心５に吸着される可動鉄心６が軸方
向に摺動可能に嵌設されている。而して、上記固
定鉄心５における上端露頭部分は磁気枠３の天板
部３ａに嵌着固定している。

上記ボビン１は、第３図に示すように、ボビン
２が捲回される非磁性体のリール状ボビン本体７
と第４図に詳細に示すような補強兼磁気抵抗低減
用の磁性フランジ状部材８とにより構成されてい
る。上記ボビン本体７は、軸管部７ａとその両端
のフランジ部７ｂ，７ｂとを備えたものであり、
その軸孔７ｃの一端側にはフランジ状部材８の筒
部８ａが挿着される拡径部７ｄが形成されてい
る。

この拡径部７ｄは、ボビン本体７の軸孔７ｃの
内径よりも僅かに小径のフランジ状部材８の筒部
８ａが嵌着されるようにしたものである。また、
上記フランジ状部材８は、上記筒部８ａとボビン
本体７のフランジ部７ｂに当接するフランジ部８
ｂとを備え、且つそれらに渦電流除去用のスリツ
ト８ｃを切設し、さらに上記筒部８ａの内面にカ
ニゼン（商品名）メツキ、硬質クロムメツキ、あ
るいはテフロン（商品名）のコーテイングなどの
耐摩耗化処理を施している。而して、ボビン本体
７にフランジ状部材８の筒部８ａを挿着すること
によりボビン１が構成され、該ボビン１をソレノ
イド内に組込んだ状態においては、フランジ状部
材８の筒部８ａ内に徴小な空隙９（0.1〜0.2mm）
を隔てて可動鉄心６が挿嵌され、且つフランジ状
部材８におけるフランジ部８ｂが磁気枠３の一部
を構成する磁気板４の内面と接触するように構成
される。

上記構成を有するソレノイドは、第２図に示し
たコイル２への非通電磁時には、可動鉄心６がば
ね（図示せず）等によつて固定鉄心５から離反す
る方向に付勢され、コイル２への通電時には、可
動鉄心６が上記ばね等の付勢力に抗して固定鉄心
５に吸着されるものである。

而して、上記ソレノイドにおいては、フランジ
部８ｂを磁気板４に接触させたフランジ状部材８
の筒部８ａが、可動鉄心６とわずかな間隔で且つ
広い面積で直接対向しているため、磁路における
磁気抵抗が低減して磁束密度が増大し、しかもフ
ランジ状部材８は渦電流除去用スリツト８ｃを備
えるため供給電力が有効に利用され、これらの作
用によつて可動鉄心６と固定鉄心５との間には少
ない消費電力で大きな吸引力が得られる。また、
上記ボビン１はそのボビン本体７がフランジ状部
材８によつて補強されるので、ボビン本体７の軸
孔７ｃ内他の案内パイプを挿着する必要はなく、
全体的に小形化が可能になると共に、材料費及び
加工コストの低廉化をはかることがきる。

また、上記のようにボビン本体７にフランジ状
部材８の筒部８ａを嵌着した場合に、第２図に示
すようにボビン本体７の軸孔７ｃの内径がフラン
ジ状部材８の筒部８ａの内径より広い状態にある
ため、喩えボビン本体７にコイル２を捲回するこ
とにより軸管部７ａが鎖線で示すように内側に張
出しても、軸孔７ｃの内面が可動鉄心６と摺擦し
て可動鉄心６の摺動が阻害されるようなことはな
い。

第５図は、本考案に他の実施例を示し、一対の
鉄心１５，１６を共に可動としたもので、それに
組込んだボビン１１は、ボビン本体１７と、第４
図に示すものと同様なフランジ状部材１８の一対
とにより構成している。上記ボビン本体１７は、
軸管部１７ａとその両端のフランジ部１７ｂ，１
７ｂとを備え、且つ軸孔１７ｃの両端に拡径部１
７ｄ，１７ｄが形設され、これらの拡径部１７
ｄ，１７ｄに、フランジ状部材１８，１８の筒部
１８ａ，１８ａを挿着したものである。

而して、このように構成したボビン１１を用に
れば、ソレノイド磁路における磁気抵抗が低減す
ると共に渦電流の除去により供給電力の有効利用
がなされ、小電力で大きな電磁力を得ることがで
きる。また、ボビン本体１７はその両端が一対の
フランジ状部材１８，１８によつて補強されるた
め、より大きな負荷に耐えることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来のソレノイドの断面図、第２図は
本考案の実施例の断面図、第３図はそのボビンの
分解断面図、第４図はそのフランジ状部材の斜視
図、第５図は本考案の他の実施例の断面図であ
る。 １，１１……ボビン、１ａ，１０ａ……軸孔、
２，１２……コイル、３，１３……磁気枠、５，
１５……固定鉄心、６，１６……可動鉄心、７，
１７……ボビン本体、７ｃ，１７ｃ……軸孔、
８，１８……フランジ状部材、８ａ，１８ａ……
筒部、８ｂ，１８ｂ……フランジ部、９，１９…
…空隙。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ボビンに捲回した励磁用コイルの外側に磁路を
   形成する磁気枠を配設し、該ボビンの軸孔に、コ
   イルへの通電時に相互に電磁力が作用する一対の
   鉄心を嵌設し、上記ボビンを、非磁性のリール状
   ボビン本体の軸孔内に補強兼磁気抵抗低減用の磁
   性フランジ状部材における筒部が挿着されたもの
   において、上記磁性フランジ状部材の筒部内面に
   耐摩耗性材料から成る薄膜を被着し、該ボビンの
   軸孔に上記一対の鉄心を直接嵌設して、上記フラ
   ンジ状部材の筒部を徴小な空隙を介して可動鉄心
   と直接対向させると共に、フランジ状部材のフラ
   ンジ部を磁気枠に接触させたことを特徴とするソ
   レノイド。