JPH0333047Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 この考案はソレノイドに電気を通すと可動磁芯
がソレノイド内に吸引されるようにした電磁プラ
ンジヤーに関する。

「従来の技術」 従来の電磁プランジヤーを第３図に示す。この
従来の電磁プランジヤーにおいてはソレノイド１
１はボビン１２上にまかれ、この例ではボビン１
２の両端のつば１３，１４の間にソレノイド１１
が巻かれており、そのボビン１２はソレノイド１
１の軸芯位置において中心孔が形成されており、
その中心孔内に非磁性材、例えば真鍮、銅などの
パイプ１５が嵌合されている。その非磁性パイプ
１５内に例えば鉄芯の可動磁芯１６がその一端よ
り出入自在に配され、その非磁性パイプ１５の他
端内に磁性材の受部１７が嵌合挿入されている。

その受部１７の外端面に磁気ヨーク１８の一端
が連結され、磁気ヨーク１８の他端はソレノイド
１１の外側を通つて、可動磁芯１６の突出端部の
周面と近接対向している。図においては磁気ヨー
ク１８として一端がふさがれた筒状体１８ａと、
その開放端をふさぐ円形板体１８ｂとより構成さ
れ、筒状体１８ａ内にソレノイド１１が挿入さ
れ、ボビンのつば１４がその閉塞板に対接される
と共に受部１７がその閉塞板に固定連結されてい
る。板体１８ｂは中心孔を持つており、その中心
孔の内に非磁性パイプ１５が嵌合挿入されてい
る。その非磁性パイプ１５を介して板体１８ｂの
内周面が可動磁芯１６の側面と近接対向してい
る。

受部１７の内端面に円錐台状凹部１９が形成さ
れ、可動磁芯１６の内端部は凹部１９に嵌合挿入
することができるように円錐台状凸部とされてい
る。

ソレノイド１１に電流を流すと矢印で示すよう
に磁束２１が可動磁芯１６、受部１７、磁気ヨー
ク１８よりなる閉磁路を通り、これによつて可動
磁芯１６及び受部１７間に吸引力が発生し、可動
磁芯１６は受部１７に吸引される。この場合、可
動磁芯１６が最も突出した状態で可動磁芯１６と
受部１７との間の最も近い距離L₁が小さいほど
磁束２１が通る閉磁路の磁気抵抗が小さくなつて
大きな吸引力が得られる。従来においては前記距
離L₁を比較的大きくし、可動磁芯１６の移動長
いわゆるストローク長を大きくすると吸引力が小
さくなるため、比較的大きな吸引力を持ち、しか
も移動長を長くすることができなかつた。なお凹
部１９及び可動磁芯１６の内端部を尖つた形状と
しているのもストローク長を大きくするためであ
つたが、十分でなかつた。

ちなみに第３図に示した従来の電磁プランジヤ
ーの距離L₁（ストローク長）に対する吸引力の特
性は第２図の曲線２３に示すようにストローク長
を長くするとその吸引力は比較的速く低下してし
まう。従来の電磁プランジヤーにおいては、その
可動磁芯１６が受部１７に接近するとその吸引力
は必要以上に大きくなる欠点があつた。

この考案の目的は大きなストローク長を得るこ
とができ、しかも吸引力も比較的大きく、かつ、
その製造の組立てが容易な電磁プランジヤーを提
供することにある。

「問題点を解決するための手段」 この考案によれば受部には非磁性パイプ内に挿
入された凸部が一体に形成され、その凸部の外周
面と非磁性パイプの内周面との間にリング状の挿
入凹部が構成され、つまり可動磁芯の内部がその
挿入凹部内に挿入されることができるようにされ
る。また非磁性パイプの外周面と対接して、受部
より可動磁芯側に延長部が一体に形成されてい
る。一方、可動磁芯はその内端部は前記挿入凹部
内に挿入することができるように、つまり受部の
凸部が挿入されるように内端面に円錐形凹部が形
成されている。このように構成することによつて
可動磁芯が最も突出した状態で受部と一体の延長
部が可動磁芯の内端と接近し、この磁気空隙を含
む閉磁気回路が構成され、その閉磁気回路の磁気
抵抗が小さく、しかもこの延長部は可動磁芯の移
動を邪魔しないため大きなストローク長を得るこ
とができる。

「実施例」 第１図は、この考案による電磁プランジヤーの
実施例を示し、第３図と対応する部分には同一記
号をつけてある。この考案においては受部１７の
内端部は非磁性リング１５に挿入された円錐状凸
部２４とされ、その凸部２４の外周面と非磁性パ
イプ１５との間にリング状の挿入凹部２５が構成
される。また受部１７と一体に、非磁性パイプ１
５の外周面と接したリング状の延長部２６が形成
される。一方、可動磁芯１６の内端面に円錐状凹
部２７が形成され、凹部２７に凸部２４を嵌合挿
入することができるようにされる。

この構成によれば可動磁芯１６が最も突出した
状態で可動磁芯１６と受部１７の凸部２４との最
も近い距離L₃より、延長部２６と可動磁芯１６
との間の最も近い距離L₂が小さく選定されてい
る。従つてソレノイド１１に電流を流したことに
もとづく磁束２１は可動磁芯１６と延長部２６と
の間の空隙を集中して通り、磁束２１が通る閉磁
路の磁気抵抗は同一ストローク長に対し、従来の
ものよりも小さくなり、かつ可動磁芯１６の移動
に対し延長部２６は邪魔にならず、大きな吸引力
が得られる。逆に同一吸引力でストローク長が得
られる。例えば、受部１７の長さａを15mm、その
延長部２６の内径を12.8mm外径を15mmとし、ソレ
ノイド１１として線径が0.29mmのものを1500回巻
いた直流抵抗が23.4Ωのものに、直流電流を500
ｍＡ流した場合において、その受部１７、磁気ヨ
ーク１８側より、延長部２６の先端までの距離Ｌ
を変化させた時のストローク長に対する吸引力の
関係を第２図に示す。曲線３１は、Ｌが10.5mm、
曲線３２はＬが11.5mm、曲線３３，３４，３５，
３６，３７，３８はそれぞれＬが12mm、12.5mm、
14mm、16mm、17mm、18mmの場合である。

この図より明らかなように延長部２６を設ける
ことによつて、ストローク長を長くすることがで
きることは、第３図に示した従来の電磁プランジ
ヤーに対する曲線２３と比較することにより容易
に理解できる。延長部２６の長さを長くするほど
ストローク長を変化して吸引力はほゞ一定の部分
が長くなる。従つて所望の吸引力のものを、容易
に得ることができる。可動磁芯１６が受部１７に
接近してもそれほど吸引力が大きくならない。従
つて強い衝撃で受部１７に可動磁芯１６があたる
恐れはない。

この第１図をみれば理解されるように可動磁芯
１６の先端の外周縁と、延長部２６の先端の内周
縁とが近接し、かつ非磁性パイプ１５の厚さが薄
いため、可動磁芯１６と延長部２６との間を集中
して通る磁束は可動磁芯１６の移動方向とほゞ並
行しているため、その磁束２１による可動磁芯１
６に対する吸引力が有効に作用する。つまり可動
磁芯と受部とが接近していても、その磁束が通る
方向が可動磁芯１６の移動方向に対して斜めにな
ると同一量の磁束が通つても、その磁束により可
動磁芯１６を横方向に吸引する成分が大となり、
受部１７への吸引力が低下する。しかしこの第１
図に示した考案の電磁プランジヤーにおいては、
その点で大きな吸引力が得られる。

また、この考案の電磁プランジヤーにおいては
この受部１７に凸部２４と延長部２６とが一体に
構成されており、その延長部２６の内周面に接す
るように非磁性パイプ１５の一端が嵌合挿入され
ており、第３図に示した従来のものと比較して部
品点数が増加することなく、かつその組立ても容
易に行うことができる。延長部２６の長さを選定
してその最適ストロークと吸引力とを選ぶことが
できるが延長部２６の厚さを選定して同様に特性
を変えることができる。なお、磁気ヨーク１８と
しては円筒状に構成される場合に限らず、Ｕ字状
に形成して、その両端間にソレノイド１１を配置
するようにしてもよい。

「考案の効果」 以上述べたようにこの考案の電磁プランジヤー
によれば、比較的大きくストローク長を取ること
ができ、しかもその吸引力も大きく、かつ、組立
ても容易なものが得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案による電磁プランジヤーの一
例を示す断面図、第２図はストローク長に対する
吸引力の関係を示す特性図、第３図は従来の電磁
プランジヤーを示す断面図である。 １１：ソレノイド、１２：ボビン、１５：非磁
性パイプ、１６：可動磁芯、１７：受部、１８：
磁気ヨーク、２４：凸部、２５：挿入凹部、２
６：延長部。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 ソレノイドの中心孔内に非磁性パイプが同軸的
   に配され、その非磁性パイプ内に可動磁芯が出入
   自在に一端において突出して配され、上記非磁性
   パイプの他端に磁性材の受部が配され、その受部
   に連結された磁気ヨークが上記ソレノイドの外側
   を通り、上記可動磁芯の突出端部の側面に近接し
   て位置するように延長された電磁プランジヤーに
   おいて、 上記受部と一体に形成され、上記非磁性パイプ
   内に挿入され、その非磁性パイプの内周面との間
   に挿入凹部を構成する凸部と、 上記受部に一体に形成され、上記非磁性パイプ
   の外周面と接して上記可動磁芯側に延長された延
   長部と、 上記可動磁芯の内端面に形成され、上記受部の
   凸部と嵌合することができる凹部とが設けられ、 上記可動磁芯が最も突出した状態で、その可動
   磁芯と上記凸部との最も近い距離L₃よりも、そ
   の可動磁芯と上記延長部との最も近い距離L₂が
   小に選定されていることを特徴とする電磁プラン
   ジヤー。