JPS6114703B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、フアクシミリ等に用いられる走査ヘ
ツドの如き移動体の駆動伝達装置に関するもので
ある。

フアクシミリ装置においては、例えば、走査機
能を達成する走査ヘツドを備えており、これを、
例えば原稿または記録紙の移動方向と直交する主
走査方向に往復運動させて原稿の読取りまたは記
録紙への像の記録を行つている。この場合、走査
ヘツドを、記録媒体である記録紙または読取媒体
である原稿に対して、適確かつ円滑に往復動させ
ることが、読取りまたは記録走査を正しく行わせ
る上で、重要な要素となつている。

ところで、上記したような走査ヘツドを往復動
させるための駆動機構としては種々提案されてい
るが、この一例に、第１図に示す如く、両プーリ
１，２の間に掛け渡したワイヤー３の一端および
他端を走査ヘツド４に係止せしめ、駆動モータ５
を正逆回転させることにより、回転ドラム７上に
巻き付けられたシートＳの読取りまたは記録を行
わせるべく、走査ヘツド４を、案内軸６に沿つて
所程行程量、往復動させるようにしたものがあ
る。この駆動機構における動力伝達手段として
は、ワイヤーを用いたものであるが、この他、タ
イミングベルトや平ベルトあるいはＶベルト等、
種々のものを用いている。このようなワイヤーと
かベルト類を動力伝達手段として用いる場合、こ
れらは通常可撓性のものであつてワイヤーやベル
ト自身の撓みがあり、高精度に動力伝達を行うた
めには、被駆動源である走査ヘツドの質量に対し
て、ワイヤーやベルト自体に、充分大きなテンシ
ヨンを与えてやらなければならない。

しかし乍ら、ワイヤーとかベルトに対して、走
査ヘツドを高精度に送るべくある程度強いテンシ
ヨンを与えてやると、ベルトの耐久性を損うばか
りでなく、駆動源の負荷が増大し、駆動モータを
最適効率で運転したりあるいは動力伝達機能を達
成する上で得策ではない。また、平ベルト等のベ
ルトを用いた場合、このベルトは、これの移動方
向と直交する方向には剛性を有しないため、動力
の伝達を行う際、振動を生じ易く走査ヘツドを高
精度に送る上で支障を来たしている。なお、この
点についての詳細は後述する。

ところで、上述した従来技術の欠点は、光学系
あるいは原稿台を往復動させるようにした電子写
真複写機とか、記録ヘツドを往復動させるように
した、電子計算機の出力装置に用いられるプリン
ターなどにも共通している。例えば、電子写真複
写機で原稿台を移動させる方式のものにおいて
は、ドラムにワイヤーを巻き付け、このワイヤー
の一端および他端を原稿台に係止せしめて、上記
ドラムを正逆回転させることにより原稿台を往復
動させている。また、光学系の移動方式の電子写
真複写機でも類似した駆動機構を用いている。

本発明は叙上の点に鑑みなされたものであつ
て、動力伝達手段として断面が湾曲形状をなしか
つ弾性体よりなる伝動ベルトを用い、フアクシミ
リの走査ヘツドや電子写真複写機の原稿台等の移
動体を高精度に送り得るようにした駆動伝達装置
を提供することを目的とする。

以下、図示の実施例により本発明を説明する
が、この実施例の説明にあたつては、便宜上、フ
アクシミリ装置を適用する。

第２図は、フアクシミリ装置の一例のドラム式
模写電送装置の要部を示している。図において、
ドラム１０の周面には原稿または記録紙（符号Ｓ
で示す）が巻き付けられ、このドラム１０は、主
走査用駆動モータ１１の駆動作用により、伝達ギ
ヤ系を介して矢印方向に回転する。一方、副走査
用駆動モータ１２の軸１２ａに固定されたプーリ
１３と、アイドルプーリ１４とには、環状の伝動
ベルト１５が張られた状態で掛け渡されており、
このベルト１５には、取付け部材１６を介して移
動体としての走査キヤリア１７が固定的に取付け
られている。走査キヤリア１７の一端は、ドラム
１０の軸方向に横架された案内軸１８に嵌挿さ
れ、他端は図示されない案内部材によつて支持さ
れている。走査キヤリア１７の上部には読取りヘ
ツド２０と記録系ユニツト２１とが取付けられて
いる。

ここで、主走査駆動用モータ１１の回転駆動作
用により、ドラム１０が一方向に回転するのに対
し、副走査用駆動モータ１２が正逆回転すること
により、動力伝達機能を達成する伝動ベルト１５
を介して走査キヤリア１７が、ドラム１０と平行
した方向に往復動する。この際、読取り走査を行
う場合には、読取りヘツド２０内に設けられた光
電変換機能を有するセンサーにより、ドラム１０
の周面に巻き付けられた原稿を読取つてゆく。ま
た、記録走査を行う場合には、記録系ユニツト２
１に取り付けられたスタイラスホルダー２１ａの
スタイラス電極により、ドラム１０の周面に巻き
付けられた記録紙への記録を行う。なお、ここで
言う主走査とは、ドラム上の、回転方向の走査線
を描いていく方向を言い、また副走査とは、走査
線をドラムの軸方向にずらしていく方向を言う。
従つて、走査キヤリアの移動が副走査を構成する
ことになり、その移動が高精度に行われるか否か
によつて画像品質に大きく影響することになる。

ここで本発明の特徴とするところは、動力伝達
手段としての伝動ベルト１５を特殊形状にしたこ
とである。即ち、これは、例えば比較的薄いスチ
ールベルトからなり、ベルトの移動方向と直交す
る方向の断面部が、第５図に示すように半径Ｒの
湾曲した形状となつている。そして、例えば人為
的にそのベルトに、湾曲状態を矯正する方向の外
力が加えられたとき、上記直交する方向に伸張さ
れ、かつ外力が取り除かれたとき、湾曲形状に復
元するような弾性作用を有している。

このように構成された伝動ベルト１５を両プー
リ１３，１４の間に掛け渡すと、このベルトの、
両プーリの周面に掛け渡された部分は、この弾力
に抗して、第４図に示すようにフラツトの状態と
なり、かつ両プーリの周面に密接する。この状態
で伝動ベルト１５を駆動させるのである。なお、
伝動ベルト１５を、厚さ0.1mm程度の薄いスチー
ル製のもので構成することにより、屈曲性も備わ
り、両プーリに円滑に装着することができる。

伝動ベルト１５をこのように構成することによ
り、ベルトに対して長手方向にそれ程テンシヨン
を与えなくても、充分な剛性が得られる。従つて
駆動モータの負荷が増大することもなく、また、
動力伝達も円滑に行われる。これに対し、従来例
では、駆動源であるステツピングモータあるいは
シンクロナスモータの回転駆動力を走査キヤリア
に伝達するのに、Ｖベルト、平ベルト、タイミン
グベルト、ステンレスワイヤ等をそれぞれ用いた
ものであるが、これによるものでは、圧縮および
曲げに対して剛性を持たないから、駆動源による
駆動力を走査キヤリアへ正確に伝達するために
は、走査キヤリアの移動精度に応じた、ベルトの
張設方向に対してのテンシヨンを充分に与えてや
らねばならない。これは、ベルトの耐久性能ある
いは動力伝達機能の面から得策ではない。

また、本発明に用いられる伝動ベルトによれ
ば、ベルトの移動方向と直交する方向に対して剛
性を有しているため、いわば結果的にベルトの移
動方向に剛性を有することになるから、ベルト即
ち走査キヤリアの振動を生じにくい。即ち、駆動
源としてステツピングモータ等を使用して、走査
キヤリアを間欠送りする際、走査キヤリア自体、
所定の質量を有しており、この慣性により駆動モ
ータの動きに対して走査キヤリアが忠実に駆動さ
れない場合がある。特に、従来例では、ベルトの
移動方向に対して剛性を持たないため、前述した
如くベルトにテンシヨンを与えたり、あるいは走
査キヤリアに対してバツクテンシヨンを与えた
り、ブレーキをかけたりするような方法がとられ
ていた。これに対し、本発明に用いられる伝動ベ
ルトは、この移動方向に剛性を有しているため、
上記したような諸手段を講じる必要がない。

なお、第３図および第４図に示すように、一方
側を駆動側プーリ１３に掛け渡した伝動ベルト１
５の表面に、従来回転可能のテンシヨンローラ２
２を圧接させて、ベルトの送り力を付与するよう
にしてもよい。なお、この場合は、片側のみのテ
ンシヨンローラ圧接方式であるが、第６図に示す
ように両側方式としてもよい。また、この方式以
外に、伝動ベルト１５の側端縁部に、パーフオレ
ーシヨンを穿設し、かつプーリ１３を爪車で構成
して、パーフオレーシヨンと爪車とを互に噛み合
わせるようにした駆動方式としてもよい。なお、
本発明実施例ではフアクシミリを適用して述べた
が、この他、光学系または原稿台等の移動体を往
復動させるようにした電子写真複写機や、記録ヘ
ツドを往復動させるようにした、電子計算機の出
力装置に用いられるプリンターや、これらに類似
した装置にも適用することができる。

以上本発明によれば、駆動源の負荷を増大させ
ることなく、走査ヘツド等の移動体を、円滑かつ
高精度に送ることができるとともに、駆動源から
の回転駆動力を正確に伝達し得るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の駆動伝達装置を具備したフアク
シミリの一例を要部のみ示す斜視図、第２図は本
発明の駆動伝達装置を具備したフアクシミリの一
例を要部のみ示す斜視図、第３図は本発明装置に
具備された伝動ベルトを駆動側のプーリに掛け渡
しかつテンシヨンローラを圧接させた態様を示す
側面図、第４図は上記プーリとテンシヨンローラ
と伝動ベルトとの装着態様を示す正断面図、第５
図は第３図からのＡ−Ａ線に沿う断面図、第６図
はテンシヨンローラを駆動側プーリの両側に圧接
させるようにした駆動方式の一例を示す側面図で
ある。 １２……駆動源、１５……伝動ベルト、１７…
…移動体。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 往復運動する移動体と、少なくとも２つのプ
   ーリ間に張設された状態で前記移動体を取付け、
   前記プーリのうち少なくとも１つのプーリから伝
   達される駆動源からの駆動作用によつて駆動さ
   れ、前記移動体を張設方向に移動させるための伝
   動ベルトとを有し、前記伝動ベルトは、この移動
   方向と直交する方向の断面部が湾曲形状をなし、
   かつ外力が加えられたとき、前記直交する方向に
   対して直線状に伸張され、外力が取り除かれたと
   き、湾曲形状に復元し得るような弾性体であり、
   前記プーリを通過する部分が該プーリの周面に密
   接することを特徴とする移動体の駆動伝達装置。