JPS6112271Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は左右一対の前部座席を後部座席に向け
て転向可能とした車両用座席に関するものであ
る。

車両において、前部座席と後部座席との間の対
話等の便宜のため、前部座席を後部座席に向けて
転向できるように設置したものがある。この場
合、前部の一対の座席は互に近接しているため、
両座席は一般にこれを同時にさせなければならな
い。また、前部座席と後部座席を対向せしめた場
合、両者間のレツグスペースが狭く窮屈である。

そこで本考案は左右一対の前部座席を別々に単
独で転向し得るように操作を簡易ならしめるとと
もに必要に応じて一方の前部座席のみを後向きと
することができ、かつ前部座席を後向きとしたと
きに後部座席との間に広いレツグスペースが形成
される座席構造を提供することを目的とするもの
で、第１の前部座席はその回転中心上におけるや
や前方寄り位置に設定し、第２の前部座席はその
回転中心を座席中心部線上におけるやや前方寄り
位置から所定間隔だけ上記第１の前部座席から離
れる側に偏心した位置に設定するとともに、上記
第１の前部座席を車室内の一方の側面より離れる
方向に、上記第２の前部座席を車室内の他方の側
面との間の空間の方向にそれぞれ単独に回転し後
向き可能としたことにより、上記の目的を達成す
るものである。また本考案の座席構造において
は、第２の前部座席の側方の折たたみ式補助席が
付設されている場合、座席転向時においても両座
席間に補助席を使用し得る間隔が確保できるので
極めて便利である。

以下、補助席を備えた前部座席に本考案を適用
した実施例について説明する。

第１図においてS₁は前部座席、S₂は後部座席で
あり、前部座席S₁は基台４に回転可能に支持さ
れ、後部座席S₂へ向けて転向可能である。

第２図に示すように前部座席S₁は、第１の座席
１および第２の座席２とにより構成され、第１の
座席１は車室の一方の側面に沿う位置に設置さ
れ、第２の座席２は、第１の座席１の側面に配置
されている。第２の座席２の一方の側面には折た
たみ式補助席３がヒンジ（図示せず）により結合
されている。５は車両の乗降口であつて、補助席
３を第２の座席２方向に起立せしめることによ
り、乗員は乗降口５から後部座席S₂へ自由に通行
することができる。

第１の座席１の回転中心１１は座席中心線Ａ上
であつて、座席１のの座席前後方向中心よりもや
や前方寄りに偏心した位置１１に設定してある。
第２の座席２の回転中心２１は、第１の座席１の
回転中心１１と同じ前方寄り位置で、かつ座席中
心線Ｂよりも第１の座席１から離れる側、即ち乗
降口５に偏心した位置に設定してある。

第１の座席１の回転中心１１は、座席１を図中
時計方向に回転したときに、座席前部隅角が車室
側面に当接しない位置まで前方寄りにしてある。
第２の座席２の座席中心線Ｂよりの偏心距離は、
座席２を図中時計方向に180゜回転したときに第
１および第２の座席１、２間に補助席３を使用状
態に設置する間隔を確保し得る距離としてある。

なお、第２の座席２に折たたみ式補助席３が付
設されていない場合、前記偏心距離は少くとも第
２の座席２を図中時計方向に90゜もしくは180゜
回転させた状態で第１の座席１が第２の座席２に
干渉することなく自由に回転できる距離とする。

次に、前部座席S₁の使用態様について説明す
る。

第２図に示す如く前向きの使用状態にある第１
の座席１、第２の座席２および補助席３を後向き
に転向せしめるに際しては、第３図に示す如く、
先ず補助席３の背当て３１を前方を倒し、座部３
２とともに第２の座席２の側面に沿つて起立させ
る。

次に、第４図に示す如く、第２の座席２を補助
席３とともに時計方向に回転中心２１を中心とし
て180゜回転させる。回転中心２１は第２の座席
２の前方かつ第１の座席１から離れる方向に偏心
せしめてあるので、両座席１、２は互に近接して
いるにかかわらず、第２の座席２は第１の座席１
と干渉することなく回転できる。

次に、第５図に示す如く、第１の座席１を回転
中心１１を中心として時計方向に180゜回転させ
る。この場合、第１の座席１の回転中心１１は座
席の前方に偏心せしめてあるので、座席の前部隅
角１２は車室の側面に当接することなく回動する
ことができる。また、既に転向された第２の座席
２の回転中心２１は乗降口５の方向に偏心されて
いるので補助席３と第１の座席１との間には充分
なスペース６が確保されているので、第１の座席
１は回転時に補助席３と干渉することはない。

更に、第６図に示す如く、上記スペース６に補
助席３を倒し、その背当て３１を起立させること
により第１および第２の座席１、２および補助席
３を転向せしめて使用状態とすることができる。

上記の実施例は第２の座席２に折たたみ式補助
席３を備えた車両の前部座席の実施例であるが、
本考案は補助席３を有しない前部座席にも勿論適
用し得るものである。

そしていずれの場合においても、第１の座席１
の回転中心１１を座席中心より前方に偏心させ、
第２の座席２の回転中心２１を座席中心よりも前
方かつ第１の座席１と反対側に偏心させたことに
より、第１および第２の座席１、２をそれぞれ単
独で、かつ互に干渉することなく転向させること
ができる。従つて両座席１、２を共に転向させ、
あるいは座席１、２のいずれかのみを転向させる
など、そのときの状況に応じて任意に後部座席S₂
と向い合せて使用することができる。また前部の
両座席１、２の回転中心が前方に偏心しているの
で、前部座席１、２を転向させて後部座席S₂と向
い合せたとき、両者間に広いレツグスペースが得
られる。またこれにより、後部座席S₂への乗降が
便利になる。

更に、上記実施例の如く本考案を第２の座席２
の折たたみ式の補助席３を備えた前部座席に適用
すれば、第２の座席２を転向したときに該座席２
と第１の座席１との間にできるスペースにより補
助席３をも使用することができる。

このように本考案によるときは、互に近接して
配設した左右一対の前部座席を互に干渉すること
なく単独で転向させることができるとともに、そ
のときの必要に応じて種々の態様で使用すること
が可能となる。

【図面の簡単な説明】

図は本考案の実施例を示すもので、第１図は車
両の座席の側面図、第２図は平面図、第３図ない
し第６図は前部座席を転向させるときの操作を示
す図である。 S₁……前部座席、S₂……後部座席、１，２……
前部座席を構成する第１および第２の座席、Ａ…
…第１の座席の座席中心線、１１……第１の座席
の回転中心、Ｂ……第２の座席の中心線、２１…
…第２の座席の回転中心、３……折たたみ式補助
席、５……車両の乗降口。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 車室内の一方の側面に沿う位置に配設した第１
   の座席と、前記第１の座席の側面に近接し車室内
   の他方の側面との間に空間を有する位置に配設し
   た第２の座席とで、左右一対に構成した前部座席
   を転換可能とした車両において第１の前部座席は
   その回転中心線上におけるやや前方寄り位置に設
   定し、第２の前部座席はその回転中心を座席中心
   線上におけるやや前方寄り位置から所定間隔だけ
   上記第１の前部座席から離れる側に偏心した位置
   に設定するとともに、上記第１の前部座席を車室
   内の一方の側面より離れる方向に、上記第２の前
   部座席を車室内の他方の側面との間の空間の方向
   にそれぞれ単独に回転し後向き可能としたことを
   特徴とする車両用座席。