JPS6111458Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、渦流室式デイーゼル機関の燃焼室の
改良に関する。

従来のこの種燃焼室としては、例えば第１図に
示すようなものがある。即ち、第１図において、
ピストン１に形成した燃焼室２とシリンダヘツド
３に口金４を嵌着して形成した渦流室５とを前記
口金４に形成した連絡孔６を介して連通させる。
又、渦流室５には、燃料噴射ノズル７と予熱栓８
とを設けている（特開昭54−96614号公報参照）。

このような燃焼室においては、圧縮行程の終期
に主燃焼室２から連絡孔６を介して渦流室５に空
気が押し込まれて該室５内に強い渦流が生成され
る。従つて、この渦流中に噴射された燃料は、微
粒化しつつ蒸発して空気と混合し、着火燃焼され
る。又、燃焼が開始されると、渦流室５の内圧が
急激に上昇するため、連絡孔６を経て主燃焼室２
へと押し出され、この主燃焼室２内の空気も含め
て二次的混合と燃焼とが進行し、ピストン１の上
面に圧力が作用して膨張行程中に有効仕事が取り
出される。

ところが、従来では、単に撚焼期間の短縮化等
のみを重視して強い渦流を形成すべく渦流室５を
球形に近いものとしていたため、必ずしも良好な
燃焼が行われるとは限らなかつた。即ち、渦流が
強くなると、噴射された燃料の拡散率が低下する
ので着火時間遅れが大きくなる。

又例えば実公昭43−23601号公報にもみられる
ように、予熱栓が強い渦流中に配設されている
と、渦流室全体に予熱栓の熱が拡散されてしまう
ので、局部的にせよ高温度の空気場が要求される
始動時の着火性が悪化するなど、始動時には必ず
しも強い渦流を必要とせず、この渦流のために始
動性が悪化することもあつた。

本考案は、上記に鑑みてなされたものであつ
て、渦流室を接合された２室で構成し、両室の接
合面でかつ主室との連絡孔より渦流方向後方位置
に、渦流方向前方が凹となる段差を設けることに
より、全体としての渦流の強さを変更することな
く流れのよどみ領域を形成し、この領域に予熱栓
を設けることによつて燃料の拡散性を向上させ高
温の空気場を形成して特に始動時等の着火遅れ時
間を短縮させることを目的とする。

以下本考案を第２図〜第４図に示された実施例
について説明する。尚、図中、従来と同一の機能
を有する部分には同一の符号を付ける。

図において、ピストン１には主燃焼室２を形成
すると共に、シリンダヘツド３には口金４を嵌着
して渦流室５を形成する。この渦流室５は、シリ
ンダヘツド３側に形成された略半球状の上室５ａ
と、口金４側に形成された略半球状の下室５ｂと
を接合して構成されるが、下室５ｂを上室５ａよ
り接合面断面積を大きくすることにより、接合一
端部の内壁面に渦流方向前方が凹となる段差５ｃ
を形成している。尚接合他端の内壁面は面一とさ
れ、この面一部分の接線方向に沿う連絡孔６を口
金４に穿設して主燃焼室２と渦流室５とを連通さ
せている。前記段差５ｃは該連絡孔６に対して渦
流方向後方に設ける。

又、前記渦流室５には、燃焼噴射ノズル７と予
熱栓８とを装着するが、予熱栓８を前記段差５ｃ
によるよどみ部に設けると共に、この予熱栓８に
向つて燃料を噴射されるように段差５ｃと対向す
る部分に燃料噴射ノズル７を取り付けている。

上記の構成において、圧縮行程の終期には主燃
焼室２から連絡孔６を経て渦流室５内に空気が押
し込まれる。従つて、渦流室５内には、従来同様
に渦流が生成される。

ここに渦流室５を形成する上室５ａと下室５ｂ
との接合面には渦流方向前方が凹となる段差５ｃ
が設けられているため、この段差５ｃの近傍即
ち、段差５ｃによつて形成されたよどみ部には前
記渦流によつて乱流が生成される。又、燃料噴射
ノズル７から燃料が噴射されると、その一部は渦
流に乗つて旋回するが、残りは前記よどみ部に到
達する。このようにしてよどみ部に到達した燃料
は、壁面との接触によつて蒸発されつつ渦流に乗
つて渦流室５内全域に運ばれると共に、よどみ部
に生成された乱流によつて空気とすみやかに混合
する。その結果、渦流が極めて強い場合にも燃料
の過濃混合気が形成され難くなり、燃焼期間が短
縮化されると共に、空気利用率が向上してスモー
クの生成が抑制される。

一方、前記よどみ部で生成される乱流中に燃料
が噴射されるため、燃料がすみやかに拡散して着
火遅れ時間が短縮される。このために、圧力の急
上昇が回避されて騒音が低減する。又、予熱栓８
を前記よどみ部に設けているので従来のように予
熱栓が強い渦流にさらされることなく、このよど
み部の空気が集中的に加熱される。従つて、局部
的であるが、空気の高温度場が形成されるので始
動性が向上する。

このように上記実施例では、段差５ｃで形成さ
れたよどみ部に向つて燃料を噴射すると共に、よ
どみ部に予熱栓８を設けることにより、流れの防
害となる突出部（予熱栓）を渦流中から取り除い
てより強い渦流を生成されるようにし、かつ、よ
どみ部の乱流の発達を助長するようにしている。

又、実施例では、渦流室５を形成する上室５ａ
と下室５ｂとを共に半球形としたものであるが、
第４図に示すように両室５ａ，５ｂを半円筒とし
てもよい。

以上説明したように、本考案は、主燃焼室と連
通された渦流室を接合された２室で構成し、各室
の接合断面積を異にして両室の接合面であつてか
つ連絡孔の渦流方向後方位置に渦流方向前方が凹
となる段差を与えることにより、この段差による
よどみ部に乱流を発生させると共に該よどみ部に
予熱栓を設けたものであるから、渦流室に供給さ
れた燃料が前記よどみ部に発生する乱流によつて
すみやかに拡散されるため、着火遅れ時間がより
短縮化されると共に、過濃混合気量が低減されて
燃焼時間が短縮される。このために、空気利用率
が大幅に向上していわゆる完全燃焼に近い燃焼が
行われ、スモークの生成が抑制されて燃費が向上
し、かつ、着火遅れ時間の短縮による騒音の低下
と、熱負荷の低減とが行われ、ひいては燃焼ピー
ク温度の低下にともなう排気特性の改善も行われ
る。

また前記よどみ部が始動時に予熱栓により局部
的に高温化されて始動性が著しく向上する。しか
もこの予熱栓は渦流の妨害とならないように連絡
孔の渦流方向前方を避けて後方位置のよどみ部に
設けたからより強い渦流を生成でき、よどみ部に
おける乱流の発達を促進すると共に、着火した混
合気を強い渦流に搬送させることができるもので
あつて、これによつてもよどみ部以外の燃料の着
火遅れ期間を短縮して上記した効果を更に助長さ
せる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の一例を示す燃焼室の断面図、第
２図は本考案の一実施例を示す燃焼室の断面図、
第３図は第２図のＡ−Ａ断面図、第４図は本考案
の他の例を示す第２図のＡ−Ａ断面に相当する断
面図である。 ２……主燃焼室、５……渦流室、５ａ，５ｂ…
…室、５ｃ……段差、６……連絡孔、７……燃料
噴射ノズル、８……予熱栓。

Claims (1)

1. 【実用新案登録請求の範囲】 (1) 主燃焼室に連絡孔を介して連通された渦流室
   を、接合された２室で構成すると共に、各室の
   接合断面積を異にして、両室の接合面でかつ前
   記連絡孔より渦流方向後方位置に、渦流方向前
   方が凹となる段差を形成し、該段差によつて形
   成されるよどみ部に予熱栓を設けたことを特徴
   とする渦流室式デイーゼル機関の燃焼室。 (2) 渦流室の段差部と対向する位置に燃料噴射ノ
   ズルが設けられ、前記段差部に向かつて燃料が
   噴射されることを特徴とする実用新案登録請求
   の範囲第１項に記載の渦流室式デイーゼル機関
   の燃焼室。