JPS6110908Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は空気シリンダその他の流体シリンダに
より開閉される物品把持装置の改良に関するもの
である。

例えば、自動車の艤装ラインにおいては、ライ
ンコンベアの側方に設けられた部品待機位置から
組付けられるべき部品を自動的に組付位置まで搬
入するために各種の物品把持装置が必要とされて
いる。この種の物品把持装置は作動の確実性、保
守の容易性等の観点から物品把持アームを空気シ
リンダ、油圧シリンダ等の流体シリンダにより開
閉させるのが普通であるが、万一空気洩れや油洩
れ等の故障が物品把持中に正ずると把持アームが
開いて物品を落下させて製品を損傷したり、各種
機器を破損するおそれがあり、特に作業員の頭上
に物品搬入装置を配したような場合には重大な事
故を生ずる危険性がある等の問題的があつた。

本考案は前記のような問題点のない物品把持装
置を目的として完成されたものであり、以下、図
示の自動車艤装ラインに使用した実施例により詳
細に説明する。

１は自動車艤装ラインのコンベア上を一定速度
で搬送される車体Ａの運転席前面位置に内装パネ
ルＰを自動的に搬入する保持装置であり、該保持
装置１はコンベアの上方に設けられたレール上を
縦横に走行しうる台車と該台車に昇降動自在に設
けられた昇降アーム１′とよりなり、該昇降アー
ム１′はその下端方部を車体Ａの前面窓枠部Ｃに
向つて傾斜する傾斜アーム２としてある。また、
傾斜アーム２の下端部には水平面に対して約45゜
傾斜した回転軸３が設けられており、この回転軸
３は傾斜アーム２に設けられるモータ４により傘
歯車５，５′を介して回転される。そして、回転
軸３には第１図の状態において水平な一対の軸受
６が取付けられており、その内部を貫通する軸７
に本考案の物品把持装置が取付けられている。即
ち、軸７の右端には物品把持装置の基体８がブラ
ケツト９を介して設けられており、この基体８の
下端には略Ｌ字状の把持アーム１０の中間部がピ
ン１１により揺動自在に枢着されている。そし
て、この把持アーム１０は一端方部を物品把持を
適確に行なわせるためのゴム製の摩擦部材が設け
られた把持部１２に形成するとともに他端方部を
下向きの屈曲部１３に形成して該屈曲端部１３を
基体８に取付けられた流体シリンダ１４の基体８
の長孔２０に沿つてピン１１の側方を上下動でき
るピストンロツド１５の先端にリンク１７をもつ
て連結し、ピストンロツド１５が後退すると第３
図に示されるように把持アーム１０の屈曲端部１
３がリンク１７により引上げられるので把持アー
ム１０は開き、逆にピストンロツド１５が伸長す
ると第２図に示されるように把持アーム１０の屈
曲端部１３がリンク１７を介して押し下げられる
ので把持アーム１０が閉じるようにされている。
また、把持アーム１０が把持状態のときリンク１
７はピストンロツド１５の軸線方向とほぼ直交す
るように長さが設定されている。また、前記軸
７，７間には桁材１８が架設され、該桁材１８に
は複数個のバキユームヘツド１９を把持アーム１
０に対向させて設けることにより内装パネルＰの
把持をより確実ならしめている。

このように構成されたものは、保持装置１の昇
降アーム１′を自動車艤装ラインのコンベアの側
方に設けられた内装パネル待機位置へ移動させ、
流体シリンダ１４のピストンロツド１５を第２図
のように伸長させて把持アーム１０を閉じること
により内装パネルＰを把持した後、コンベア上を
一定速度で搬送されている車体Ａの内部まで内装
パネルＰを搬入するのであるが、万一搬送中に何
等かの原因によつて流体シリンダ１４に空気洩れ
や油洩れが生じるような故障が発生しても、内装
パネルＰが落下することがない。何故ならば、把
持アーム１０が閉じの位置にあるとき内装パネル
Ｐの重量は把持アーム１０を反時計方向に回転さ
せるモーメントを生じ、把持アーム１０の屈曲端
部１３に連結されたリンク１７を右方向に押す力
を生ずるが、前述のようにこのときリンク１７は
ピストンロツド１５の軸線方向に対してほぼ直交
する方向をなしているので、リンク１７はピスト
ンロツド１５を横方向から押圧するのみであり、
この押圧力は長孔２０によつて支えられるためピ
ストンロツド１５を軸線方向に移動させることが
できない。そのため、流体シリンダ１４に空気洩
れや油洩れが生じてピストンロツド１５が自由に
摺動できる状態となつても把持アーム１０は第２
図の状態に自己ロツクされたままとなり、流体シ
リンダ１４が積極的にピストンロツド１５を引上
げない限りは内装パネルＰを確実に把持した状態
を維持する。このようにして内装パネルＰは内装
パネル待機位置から車体Ａの上方へ運ばれ、開か
れたボンネツトＢと前面窓枠部Ｃとの間へ降下さ
れる。ところが、内装パネルＰの横幅は一般に車
体の前面窓枠部の開口幅よりも大きいので、内装
パネルＰを水平に支持したままでは車体内部への
搬入は不可能であるから、モータ４を回転させて
回転軸３を15゜〜45゜程度回転させる。この結
果、軸７及びこれに取付けられた物品把持装置は
傾斜した回転軸３を中心軸として円錐面を描いて
斜上方に振り上げられることとなり、内装パネル
Ｐの前面窓枠部Ｃへの投影長さは小さくなるから
内装パネルＰを前面窓枠部Ｃから車体内部へ搬入
することができる。このとき、傾斜アーム２が開
かれたボンネツトＢと同方向に斜上方に振り上げ
られているので、内装パネルＰとボンネツトＢと
の間で干渉が生じることもない。このようにして
内装パネルＰが車体内部へ搬入された後はモータ
４の逆回転により第１図に示される水平位置まで
戻されてこの状態に保持されるので、この間に作
業員が車体Ａへの取付けを行えばよい。かくして
取付けが完了したら、流体シリンダ１４のピスト
ンロツド１５を第３図のように後退させて把持ア
ーム１０を開き、昇降アーム１′を斜上方に移動
させて物品把持装置を車体Ａから脱出させる。

本考案は前記説明によつて明らかになように、
基体に枢着された把持アームの下向きの屈曲端部
と把持アームの開閉用の流体シリンダの長孔に沿
つてピンの側方を上下動する。ピストンロツド先
端とを結びリンクを把持アームが把持状態のとき
ピストンロツドの軸線方向に対してほぼ直交する
ように設定したものであるため、把持アームが閉
じて物品を把持している際に流体シリンダが故障
した場合には把持アームにかかる物品の重量はリ
ンクを介してピストンロツドを横方向に押すのみ
であり、この押圧力は長孔によつて支えられるの
でピストンロツドをその軸線方向に動かすおそれ
はなく、流体シリンダを積極的に作動させない限
り自然に把持アームが開くことはないから、物品
の落下事故を完全に防止することができることと
なる。しかも、本考案の把持アームは流体シリン
ダの先端が把持アームを枢着しているピンの側方
を上下動するにつれて大きく上下に揺動して物品
の把持を行うので、内装パネルのような物品の把
持を行わせるに好適なものである。

従つて、本考案は従来の物品把持装置の問題的
を解決したもので、構造が簡単で保守が容易で故
障が少ないうえ作動が確実な相俟ち実用的価値極
めて大なものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は自動車艤装ラインに用いた本考案の実
施例を示す一部切欠正面図、第２図は同じく要部
の一部切欠正面図、第３図は同じく状態を異にし
て示す要部の一部切欠正面図である。 ８……基体、１０……把持アーム、１２……把
持部、１３……屈曲端部、１４……流体シリン
ダ、１５……ピストンロツド、１７……リンク、
２０……長孔。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 一端を把持部１２に形成し他端を下向きの屈曲
   端部１３に形成した把持アーム１０を基体８に中
   間部のピン１１をもつて揺動自在に枢着するとと
   もに、該屈曲端部１３と、把持アーム開閉用の流
   体シリンダ１４の基体８の長孔２０に沿つてピン
   １１の側方を上下動するピストンロツド１５の先
   端とを、該把持アーム１０が把持状態にあるとき
   前記ピストンロツド１５の軸線方向とほぼ直交す
   るリンク１７をもつて連結したことを特徴とする
   物品把持装置。