JPS606013Y2 - 電極板の配列移送装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は金属電解に用いる電極板を、電解槽に装入する
のに先立って、精度よく配列して移送する装置に関する
。

一般に金属、特に銅、鉛などの非鉄金属の電解精度にお
いては、電極板として乾式法あるいはその他の方法で得
られた粗銅、粗鉛を鋳造したものを陽極板と賦型解法な
どで得られた純銅純鉛のシートを陰極板として用いてい
る。

電解作業の効率を高めるために電解槽には多数の電極板
を所定の間隔を保って並べて配置している。

そこで電極板を電解槽に装入するには電極板の移送段階
で予め電極板を所定の間隔を保って配列すれば装入作業
の能率を高めることができる。

このため各種の電極板移送装置が考えれており、例えば
、す７トなどにより電極板を懸吊して受台まで運び、こ
の受台に連接して回動するコンベヤに一定間隔ごとに移
載する型式のものなどがある。

これらの場合には、いずれにしても所定間隔を形成する
ために、コンベヤの上面に予め所定間隔ごとに電極板の
耳部が係着する溝を設ける手段や、あるいはコンベヤの
移送速度を定ピツチに設定する手段が装置構成の前提と
なる。

移送速度を制御する型式のものは、電極板をコンベヤに
移載するアームなどの動きと、コンベヤの送りとが正確
に連動しなければならないためにコンベヤの正確な送り
が必要となる。

他方、コンベヤ上面に溝を設ける型式では移送速度の変
動に拘らず電極板を所定間隔に配列することができるも
のの陽極板の耳部のように耳部下面のテーパ部分が載置
されるときに陽極板の傾動を矯正する手段を設けること
が難しい、また電極板の配列間隔は一通りに限定される
ためピッチを変えることができないだけでなく配列され
た陽極板の間に陰極板を差込む余地がなく、陽極板と陰
極板の組込工程には用いることができないなどの不都合
が指摘される。

そこで本考案はコンベヤ上面を陽極板の傾動防止と陰極
板の組込とに適する形状とし、更に移送速度を制御する
型式の利点を最大限に発揮できるようにコンベヤのピッ
チを複数段に切換えるようにしたものであり、その構成
は、電極板を両側から吊り下げて移送するチェーンを設
け、該チェーンの上面に電極板の耳部ないしクロスバ一
端部を載置する外側部が突出したプレートを設ける一方
、前記チェーンが巻掛けられるスプロケットを回転駆動
する複数のシャフトを設け、該各シャフトに該各シャフ
トを駆動して前記スプロケットを互いに異なる定ピツチ
で回転させるラチェット機構をそれぞれ設けると共に、
該各ラチェット機構を択一駆動する駆動機構を設けたこ
とを特徴とする。

以下、本考案を図面に示す実施例に基づいて詳細に説明
する。

電極板１の移送方向に沿って設けた支持台２の長手方向
に電極板１を両側から懸吊して移送するように２列のコ
ンベヤチェーン３ａ、３ｂを設け、該チェーン３ａ、３
ｂの幅を電極板１の両側から耳部ないしクロスバ−の端
部が突出する位置に応じて設定する。

一方、支持台２の両側端部には前記チェーン３ａ、３ｂ
と歯合する一対のスプロケット４，５を設け、前記チェ
ーン３ａ、３ｂを支持台２の長手方向に沿って架設する
。

また該スプロケット４，５をシャフト６．７の両端にそ
れぞれ嵌着すると共に該シャフト６．７を前記支持台２
の両端部に回転自在に固定し、該シャフト６．７を回転
軸とするスプロケット４，５により前記チェーン３ａｗ
３ｂを電極板１の移送方向に沿って回動する。

前記支持台２の両端に設けたスプロケット４，５のうち
、一方のスプロケット４のシャフト６中央部にはラチェ
ツト歯８を固定し、このラチェツト歯８に係脱自在に係
合する爪９をピン１０を介して油圧シリンダ１１のロッ
ド１１ａに連結し、更に油圧シリンダ１１を支持台２に
固定してその駆動機構を形成する。

このようなラチェットによる駆動では、油圧シリンダ１
１のロッドｌｌａが上下に往復動するのに伴ってその上
昇過程で爪９がラチェツト歯８の歯を一個ずつ押上げて
ラチェツト歯８を回転させるので、ラチェツト歯８のピ
ッチに応じた一定の回転をシャフト６を介してスプロケ
ット４に伝達し、チェーン３ａ、３ｂを定ピツチで回動
する。

更に該シャフト６の両端にはギヤ１２．１３を固定する
一方、該シャフト６と平行にシャフト１４を支持台２に
軸装し、該シャフト１４の両端にギヤ１２゜１３と歯数
の異なるギヤ１５．１６を固定すると共に、それらのギ
ヤ１２と１５．１３と１６をそれぞれ歯合させて伝動経
路を形成する。

更に該シャフト１４の中央部には前記ラチェツト歯８と
歯形の方向が互いに逆向きとなるよう形成されたラチェ
ツト歯１７を固定し、このラチェツト歯１７に係脱自在
に係合する爪１８をピン１９を介して油圧シリンダ２０
のロッド２１に連結し、更に油圧シリンダ２０を支持台
２に固定してその駆動機構を形成する。

従って、油圧シリンダ２０のロッド２１が上下に往復動
すると、その上昇過程で爪１８がラチェツト歯１７の歯
を一個ずつ押上げてラチェツト歯１７を回転させ、その
回転はシャフト１４、ギヤ１５，１６及び１２，１３、
シャフト６を介してスプロケット４に伝達されてチェー
ン３ａｔ３ｂを前述のラチェット機構とは異なる定ピツ
チ、すなわちギヤ歯数比に逆比例した定ピツチで駆動す
る。

ここで、シャフト６とシャフト１４はギヤ１２，１３と
ギヤ１５，１６により連動しているので、例えば一方の
ラチェツト歯８が爪９と係合して回転する時、この回転
力は他方のシャフト１４に伝えられるが、ラチェツト歯
８゜１７は互いに歯形の方向が逆向きとなっていると共
にシャフト６．１４も互いに逆向きに回転するので、他
方のラチェツト歯１７は爪１８と係合せずに空回りする
。

同様にラチェツト歯１７が爪１８と係合して回転すると
きには他方のラチェツト歯８は空回りの状態になり、相
互に他方の回転を妨げずにスプロケット４を各ピッチに
応じた間隔で回動する。

更にこれらラチェット機構の作動を制御するため油圧シ
リンダ１１．２０には切換回路２２を接続し、一方のラ
チェット機構を作動状態にするとき、他方のラチェット
機構を停止してラチェットの回転を相互に切換えるよう
にしている。

尚、必要に応じてピッチ間隔が異なるラチェット機構を
更に並設してもよい。

次にスプロケット４，５に架設して回動されるチェーン
３ａ、３ｂの上面には電極板１の傾動を防止するためと
、位置決めを正確に行うために継目間隔を狭くしかつ外
側部が突出した移載用のプレート２３を設ける。

電極板１のうちでも陽極板（アノード）は粗銅又は粗鉛
などを鋳造して造る関係から、その周縁部分にはテーパ
２４が設けられている。

このため陽極板１ａの耳部をコンベヤチェーン２６など
に係着して陽極板１ａを吊り下げた状態のまま移送する
場合、陽極板１ａのテーパ部分２４がコンベヤチェーン
２６に載るト第４図のように陽極板１ａが傾動し移送が
不安定になると共に、この陽極板１ａの配列に陰極板を
差込むことが困難になる。

そこで通常は耳部の先端下面を矯正部分２５としてテー
パを設けず、陽極板１ａを鉛直に吊り下げることができ
るようにしている。

ところが陽極板１ａはおよそ１５０に９から３００に９
に及ぶ重量があり、この重い陽極板１ａを吊り下げて移
送するコンベヤチェーン２６は充分な強度を具えなけれ
ばならない。

このため各チェーン３ａ、３ｂ自体の幅を耳部の突出長
さが許すだけで充分に広くする必要があるが各チェーン
３ａ。

３ｂの幅を広くする場合には前述のように耳部のテーパ
部分２５がチェーン３ａ、３ｂに載置して陽極板１ａが
傾動しないようにする必要がある。

そこで、本装置では、リンクプレート２７をピン２８で
連結してなるチェーン３ａ、３ｂの上面に、外側部が上
方に突出した移載用のプレート２３を設ける。

この場合、耳部の矯正部分２５がテーパ部分２４に移行
する位置に対応してプレート２３に段差を設は突出部分
を形成するとよい。

またチェーン３ａ、３ｂのプレート２３に載置する電極
板１をチェーン３ａ、３ｂに懸吊した状態で一定間隔ご
とに配列するには、電極板１の位置決めを容易に行うよ
うに電極板１がある程度チェーン３ａ、３ｂの上面を摺
動できる方がよい。

チェーンの継目部分ｅが広過ぎると電極板１の摺動に伴
って耳部ないしクロスバ−の端部がこの継目ｅに喰込ん
で損傷するなどの不都合を生ずることになる。

そこでチェーンの継目部分ｅが出来るだけ狭くなるよう
に前記プレート２３の長さを設定すると共にその上面を
平滑にして電極板１の位置決めを容易にする。

以上説明したように本考案の配列移送装置は、ラチェッ
ト機構によってコンベヤチェーンを一定ピッチで正確に
送ると共にこのラチェット機構を複数個組合せることに
よってコンベヤチェーンのピッチを切換えるようにした
ため、電極板の配列が正確であるだけでなく、配列した
陽極板の間に陰極板を差込む場合に、その電極板どうし
の間隔を電解条件に合わせて変えることができるため実
用上の利点が大きなものになっている。

また更にチェーン上面に移載用のプレートを設けである
ので電極板の位置決めを精度よく容易に行うことができ
る点も本装置の顕著な利点になっている。

次に、本装置を電極板の配列装置と組合せた場合の実施
例を第６図に基づいて説明する。

多数の陽極板３１の耳部３２をそれぞれ支持し且つ溶湯
面３３側に対して鋳型面３４側が進行方向を向くように
これらの陽極板３１を不定間隔で懸吊する送り出しコン
ベヤ（図示せず）に、この送り出しコンベヤから送り込
まれて来る陽極板３１を一定間隔に配列し直すように本
考案の配列移送装置（配列コンベヤ）３０を連接し、更
に該配列コンベヤ３０と前記送り出しコンベヤとの間に
これら送り出しコンベヤ及び配列コンベヤ３０による陽
極板３１の懸吊位置よりも高い懸吊位置で陽極板３１の
耳部３２を支持する移載台３７が設置されている。

送り出しコンベヤの搬出端部には、この送り出しコンベ
ヤの搬出端に達した陽極板３１の耳部３２の鋳型面３４
に接触して、送り出しコンベヤの図示しない駆動モータ
の作動を停止させるリミットスイッチが設けられている
。

一方、配列コンベヤ３０の支持台（架台）２の上部には
移載台３７に懸吊した陽極板３１の耳部３２の溶湯面３
３側に接触して、これを配列コンベヤ３０へ引き寄せる
揺動フック３９を具えた二本の引き込み用流体圧シリン
ダ（図示せず）が設置されている。

この引き込み用流体圧シリンダのピストンロッド４１の
先端に形成された案内ブロック４２のピストンロッド４
１の６復動方向（図中、左右方向）に貫通する摺動棒４
３の先端には、揺動ピン４４によってピン止めされた揺
動フック３９が図中、矢印方向に揺動自在に支持されて
おり、これによって揺動フック３９は、移載台３７に懸
吊された陽極板３１の耳部３２を鋳型面３４側から溶湯
面３３側へ乗り越えられるようになっている。

又、揺動フック３９によって移載台３７から配列コンベ
ヤ３０へ陽極板３１を引き寄せる際、この揺動フック３
９が図に示した状態から矢印と逆の方向にこれ以上揺動
しないように、揺動フック３９と案内ブロック４２との
間に位置して揺動フック３９の回り止めを行なうストッ
パ４５が摺動棒４３に固設されており、揺動フック３９
を閉じた状態に維持しておくため、この揺動フック３９
とストッパ４５とは戻し用ばね４６により相互に連結さ
れている。

更に、案内ブロック４２とこの案内ブロック４２の後方
に突出する摺動棒４３の後端に固定された止め金具４７
との間には、この止め金具４７に係止される圧縮コイル
ばね４８が取り付けられており、この圧縮コイルばね４
８が陽極板３１を配列コンベヤ３０へ引き寄せる際のダ
ンパとして機能する。

なお、本実施例では移載台３７から配列コンベヤ３０へ
の陽極板３１の移動が滑らかに行なわれるように、移載
台３７の上面を配列コンベヤ３０へ向けてゆるやかな下
り斜面に形成している。

架台２の両側に固設された二本の対向する位置決め用流
体圧シリンダのピストンロッド先端には、配列コンベヤ
３０へ移載される陽極板３１を常にこの配列コンベヤ３
０の一定位置に位置決めするため、陽極板３１が配列コ
ンベヤ３０へ引き寄せられる際に配列コンベヤ３０上に
突出して陽極板３１の耳部３２の鋳型面３４に接触し、
揺動フック３９との間にこの陽極板３１を挾持する位置
決めピン３８が取り付けられている。

次に、本実施例の作動を説明すると、先づ陽極板３１が
移載台３７へ搬入されるのに伴って、引き込み用流体圧
シリンダが作動して揺動フック３９を配列コンベヤ３０
側へ引き戻し、移載台３７で待機している陽極板３１が
配列コンベヤ１６へ引き寄せられる。

この陽極板１の引き込み作業中に上昇端に達するラチェ
ツト歯８の爪９がコンベヤ駆動用流体圧シリンダ１１の
作動によって下降に転すると、位置決め用流体圧シリン
ダが作動して位置決めピン３８を配列コンベヤ３０上に
突出させる、なお爪９が下降する際には、この爪９がラ
チェツト歯８と係合しないのでラチェツト歯８は回転せ
ず、従って配列コンベヤ３０が逆方向に動き出すような
虞は全くない。

一方、引き戻し中の揺動フック３９により配列コンベヤ
３０を移動していた陽極板３１の耳部３２の鋳型面３４
が位置決めピン３８に接触するが、引き込み用流体圧シ
リンダのピストンロッド４１と一体の案内ブロック４２
が圧縮コイルばね４８のばね力に抗して摺動棒４３を摺
動腰揺動フック３９の停止にかかわらず引き込み用流体
圧シリンダのストローク長さ分だけ更に移動するため、
陽極板３１は圧縮コイルばね４８のばね力によって位置
決めピン３８側に押し付けられた状態となり、位置決め
基準面となる陽極板３１の耳部３２の鋳型面３４力５確
実に位置決めピン３８に接触する。

こののち、引き込み用流体圧シリンダの作動によって揺
動フック３９が移載台３７側へ進出する。

これら揺動フック３９の移動中に、位置決め用流体圧シ
リンダが作動して配列コンベヤ３８上から位置決めピン
３８を後退させ、次にコンベヤ駆動用流体圧シリンダ１
１が作動して爪９が上昇し、この爪９に係合するラチェ
ツト歯８を−ピツチ分だけ回転して配列コンベヤ３０に
懸吊された陽極板３１を一定距離だけ移動する。

なお、揺動フック３９が移載台３７に懸吊された陽極板
３１の耳部３２を乗り越える際には、揺動ピン４４を中
心に揺動フック３９が揺動するため、何ら不都合を生じ
ない。

以上の操作を反復してゆくことによって、陽極板３１が
送り出しコンベヤから次々と配列コンベヤ３０へ移載さ
れるが、一定距離ずつ移動する配列コンベヤ３０の一定
位置に陽極板３１を移載してゆくため、配列コンベヤ３
０には、一定間隔で陽極板３１が配列してゆくことにな
る。

しかも、開放水平鋳型によって鋳造された陽極板３１の
耳部３２は、その肉厚のばらつきが大きいため、従来の
ように溶湯面３３を基準面とした場合には、配列コンベ
ヤ３０に配列される陽極板３１の胴部の間隔が一定にな
らなくなる虞があったが、本考案では鋳型面３４を基準
面とすることができるので、配列コンベヤ３０に配列さ
れる陽極板３１の胴部の間隔を高精度で一定に維持する
ことが可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る装置の概要を示す斜視図、第２図
は駆動部分の平面図、第３図ａはチェーンの部分側面図
、第３図すはチェーンの部分平面図、第３図Ｃはチェー
ンの正面図、第４図は陽極板の傾動状態を示す説明図、
第５図は電極板の懸吊状態を示す説明図、第６図は本装
置を配列装置に組合せた実施例の概略図である。 図面中、１は電極板、１ａは陽極板、２は支持台、３ａ
、３ｂはチェーン、４，５はスプロケツ）、６．７はシ
ャフト、８はラチェツト歯、９は爪、１０はピン、１１
は油圧シリンダ、１１ａはロッド、１２．１３はギア、
１４はシャフト、１５．１６はギア、１７はラチェツト
歯、１８は爪、１９はピン、２０は油圧シリンダ、２１
はロッド、２２は制御回路、２３はプレート、２４はテ
ーパ部分、２５は矯正部分、２６はコンベヤチェーン、
２７はリンクプレート、ｅは継目間隔、２８はピンであ
る。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 電極板を両側から吊り下げて移送するチェーンを設け、
   該チェーンの上面に電極板の耳部ないしクロスバ一端部
   を載置する外側部が突出したプレートを設ける一方、前
   記チェーンが巻掛けられるスプロケットを回転駆動する
   複数のシャフトを設け、該各シャフトに該各シャフトを
   駆動して前記スプロケットを互いに異なる定ピツチで回
   転させるラチェット機構をそれぞれ設けると共に、該各
   ラチェット機構を択一駆動する駆動機構を設けたことを
   特徴とする電極板の配列移送装置。