JPS6056405B2 - 板材焼入れ装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は板材の焼入れに適した装置の改良に関するも
のてある。

従来から金属板材、特に航空機用アルミニウム合金の
板材に急速焼入れを施すには、多数の板材を横行に釣り
下けて同時に加熱炉に装入して加熱昇温させた後、加熱
炉の下方に設置された水槽内に投入するようにした装置
、或いはローラーハース加熱炉に送入して加熱昇温した
後、冷却帯へ移送して水スプレーによつて冷却するよう
にした装置が用いられている。

しかし前者の場合には間欠処理となり、その上、横行
に多数の板材を取り付けるには、多大の労力と時間を必
要とするはかりてなく、加熱炉底部に設けた大きな底部
扉を開扉して板材を炉内に装入するため、炉内雰囲気の
放散又は外気の炉内流入が激しいため、炉内熱エネルギ
ーの損失が大きく、又炉底部の開扉出口と水槽の水面ま
ての距離が板材の巾により一定以上縮小することがてき
ないため規定の焼入れ遅れ時間内に板材を水中に投入す
ることが困難な場合がある。

又、後者の場合には金属板材を加熱炉に送入して連続
操業するには極端に長い加熱炉を必要とし、又冷却帯に
おける水スプレーによる冷却ては、一般に良好な焼入れ
を期待することが困難である。

本発明はこのような問題点を解決するためになされたも
ので、加熱帯１こ多段式ローラーハース炉を設け、コン
パクトな構造で多数の板材を連続的に処理することによ
つて、多数枚の同時処理による煩雑な操作を必要とせず
、しかも単一板の操作によつて熱エネルギーの損失を防
止するようにした板材焼入れ装置を提供することを目的
とするものである。

以下本発明の実施例を図面によつて説明すれば、第１図
及び第２図は加熱帯の一例を示し、１は金属板材の炉前
搬送コンベヤ、２は該コンベヤ１に近接してその後方に
配設した分配室で、複数本の分配ロール５を水平に配設
し、チエン駆動によつて正逆方向に回転可能にすると共
に、適宜の駆動機構によつて上下移動可能としてある。

３は分配室２の後方に近接して配設した多段式ローラー
ハース炉で、炉内を複数段に区分して各段室のローラー
ハース炉はチエン駆動によつて各段毎に正逆方向に回転
可能にしてある。４は多段式ローラーハース炉３の最下
端部に設けた最終ローラーハース炉て、各ロールは正方
向（金属板材の移送方向）にのみ回転可能にしてある。

６は最終ローラーハース炉４の後部に一体的に連設した
保温室で、複数本のロールを水平方向に配設し、各ロー
ルを正方向にのみ回転可能にしてある。

７は前記分配室２の入口扉、８は分配室２出口扉、９は
多段式ローラーハース炉３及び最終ローラーハース炉４
の各段室に設けた入口扉、８″は保温室６の．出口扉で
ある。

なお、多段式ローラーハース３の各段室及び最終ローラ
ーハース炉４の入口扉９は夫々単独操作可能とし、又分
配室２、多段式口ーラーハース炉３、最終ローラーハー
ス炉４及び保温室６は夫々熱風て加熱昇温されるように
なつて．いる。上記のように構成したので、炉前搬送コ
ンベヤ１によつて搬送されてきた金属板材は分配室２の
入口扉７の開扉と同時に分配ロール５上に移送され、入
口扉７は閉扉する。

分配ロール５上に移送・された金属板材は分配室２より
多段式ローラーハース炉３に移送される。即ち、分配室
２が適宜の駆動機構によつて上方に移動させられ、分配
室２の出口と多段式ローラーハース炉３の各段室の入口
とが合致すれば、夫々の扉８及び９が開いて金属板材が
分配ロール５より多段式ローラーハース炉３の各段室に
移送され、夫々の扉８及び９が閉扉される。このように
して炉前搬送コンベヤによつて搬送されて来た金属板材
を順次多段式ローラーハース炉３の各段室に移送して加
熱昇温させ、昇温時間が完了した後、均一に加熱昇温さ
れた金属板材は、扉８，９を開いて分配室２との間て授
受させ、分配室２を下動させて最終ローラーハー）ス炉
４に移送し、さらに保温室６に移送し、保温室の出口扉
８″の開扉によつて後記の冷却帯へ移送する。次に炉前
搬送コンベヤ１より分配室２へ次の金属板材を移送して
、同様に多段式ローラーハース炉３へ移送して加熱を行
うものである。上記において、金属板材の各位置ての授
受は夫々各部のロール回転によつて行われ、又分配室２
と多段式ローラーハース炉３の各段室の入口とは金属板
材の通過時適宜の締付金具（図示せす）によつて締結せ
られ、炉内雰囲気の漏洩を防止す”るようになつている
。第１Ａ図及び第２Ａ図は本発明の別の実施態様を示し
、分配室２″を固定式とし、多段式ローラーハース炉３
″と一体的に形成して昇降分配装置５″を適宜の駆動機
構によつて上下移動可能としたもので、その他の構成に
ついては前記の実施例と同様である。

即ち１″は炉前搬送コンベヤ、２″は分配室、３″は多
段式ローラーハース炉、４″は最終ローラーハース炉、
５″は昇降分配装置、６″は保温室であり、分配室２″
、多段式口ーラーハース炉３″、最終ローラーハース炉
４″及び保温室６″は熱風によつて昇温され、金属板材
を加熱するようにしてある。今、炉前搬送コンベヤ１″
によつて搬送されて来た金属板材は、分配室２″の入口
扉７″の開扉と同時に昇降分配装置５″上に移送され、
入口扉７″は閉扉する。

昇降分配装置５″に移送された金属板材は前記の実施態
様におけると同様に該昇降分配装置５″の上行によつて
多段式ローラーハース炉３″の各段室に移送され、昇温
時間が完了して均一に加熱昇温された後、再び昇降分配
装置５″を介して最終ローラーハース炉４″へ移送され
、保温室６″より出口扉８″を開いて後記の冷却帯へ移
送される。次に昇降分配装置５″は炉前搬送コンベヤ１
″より次の金属板材を受け取つて多段式ローラーハース
炉３″へ移送する。金属板材の各位置における授受は各
部のロール回転によつて行われる。即ち、昇降分配装置
５″のロール９″の回転は、分配室２″内において多段
式ローラーハース炉３″の各段室の高さ位置に設置され
た爪クラッチ１０によつて行われるものであり、爪クラ
ッチ１０はモーター（図示せず）によつて正逆回転し、
爪クラッチ１０の駆動爪はシフター１１と操作杆１２を
介してシリンダー１３により前後に移動するようになつ
ている。駆動爪が前進してロール９″に装着されている
従動爪に噛合するとロール９″は正逆方向に回転して金
属板材を炉前搬送コンベヤ１″又は多段式ローラーハー
ス炉３″の各段室より授受することができる。又最終口
ーラーハース炉４′のロール駆動は多段式ローラーハー
ス炉３″のロールと別駆動である。次に第３図は、多段
式ローラーハース炉の後部に昇降多段式移送ローラーハ
ースを配設したものであり前記の発明と同一目的を達成
するものである。１４は炉前搬送コンベヤで、その後方
に近接して最上段のローラーハース１５と中下段のロー
ラーハース１６よりなる多段式ローラーハース炉を配設
し、炉内を複数段に区分して各段室のローラーハース１
６−１，１６−２，１６−３，１６−４．１６−５のロ
ールはチエン駆動によつて正逆方向に回転可能とし、最
上段のローラーハース１５のロールは正方向（金属板材
の移送方向）にのみ回転可能としてある。

１７，１８は多段式ローラーハース炉１５，１６の後室
に配設した昇降多段式移送ローラーハースで、各段のロ
ーラーハース１７−１，１７−２，１７−３，１７−４
，１７−５及び最終移送ローラーハース１８の間隔を夫
々前記多段式ローラーハース炉１５，１６の各段室の間
隔に等しくすると共に、最終移送ローラーハース１８の
み正方向に回転可能とし、その他の各段のローラーハー
スは正逆方向に回転可能としてある。

１９は最終移送ローラーハース１８の後方下端部に近接
して各段式ローラーハース炉の後部室に一体的に連設し
た保温室で、複数本のロールを水平方向に配設してなり
、各ロールは正方向にのみ回転可能としてある。

２０は多段式ローラーハース炉の最上段のローラーハー
ス１５に設けた入口扉、２１は保温室１９に設けた出口
扉である。

昇降多段式移送ローラーハース１７，１８は適宜の駆動
機構によつて多段式ローラーハース炉の各段室の間隔寸
法だけ上下移動するものて、第４図に示すように炉の後
部室の側壁にロール軸移動用の長孔２５を削設し、該長
孔２５に断熱材よりなる遊動子２４を挿入して軸受部を
断熱すると共に、内部側壁には内部シール板２２を、又
外部側壁には外部シール板２３を設けて炉内の雰囲気を
”外部と遮断するようにしてある。昇降多段式移送口ー
ラーハース１７及び最終移送ローラーハース１８の各段
のロールは図示のように自在接手を介してモーターによ
つて回転するようにしてある。又、多段式ローラーハー
ス炉の最上段のローラーハース１５とその他のローラー
ハース１６とは別駆動であり、昇降多段式移送ローラー
ハース１７と最終移送ローラーハース１８と夫々別駆動
である。今、炉前搬送コンベヤ１４によつて搬送されて
来た金属板材は多段式ローラーハースの最上段の口ーラ
ーハース１５の入口扉２０の開扉と同時に炉内に移送さ
れ、扉２０は閉じられる。

昇降多段式移送ローラーハース炉１７及び最終移送ロー
ラーハース１８が上行してローラーハース１７−１が多
段式ローラーハース炉の最上段のローラーハース１５と
同一高さになつたとき金属板材力拍一ラーハース１５よ
りローラーハース炉１７−１に移送され、次に昇降多段
式移送ローラーハース１７及び最終移送ローラーハース
１８が下降してローラーハース１７−１が多段式ローラ
ーハース炉のローラーハース１６−１と同一高さになり
、金属板材はローラーハース１７−１よりローラーハー
ス１６−１に移送され、この間にローラーハース１５の
入口扉が開扉して次の金属板材か搬送コンベヤ１４より
ローラーハース１５に移送される。このようにして金属
板材はローラーハース１５より１７−１へ、１７−１よ
り１６−１へ、１６一１より１７−２へ、１７−２より
１６−２へ、１６−２より１７−３へ、１７−３より１
６−３へ、１６−３より１７−４へ、１７−４より１６
一４へ、１６−４より１７−５へ、１７−５より１６−
５へ、１６−５より最終移送ローラーハース１８へと順
次移送されて、最終ローラーハース１８より保温室１９
を介して後記の冷却帯へと移送されるものである。

第５図及び第６図は冷却帯の一実施例を示すものてある
。

冷却帯２６は加熱帯に接続せられ、適当数の金属板材の
通過室２７に分割し、各室にポンプＰを接続してモータ
ーＭで駆動して通過室２７に冷却水を充満させるように
してある。

２８は冷却帯２６の入口側に設けた上下一対の流出防止
ジェットノズルで、モーターＭ″で駆動されるポンプＰ
″よりジェット水を噴出して通過室２７より冷却水の漏
出を防止するようにしてある。

２９，３０はジェットノズル２８の前方に設けた上下一
対の絞りロールで、下部ロール２９は固定され、上部ロ
ール３０はシリンダーによつて押圧され、適時上動させ
て絞り作用を解くようにしてある。

３１は絞りロールの前方に設けた上下一対の熱風噴出ノ
ズルで、モーターＭ″″によつて駆動される送風機Ｆよ
りの熱風で絞りロールよりの漏水を飛散蒸発させ、冷却
水による加熱帯への影響を皆無にするものである。

３２は冷却帯２６の出口側に設けた上下一対の流出防止
ジェットノズルで、モーターＭ″″″て駆動されるポン
プＰ″″よりのジェット水の噴出で冷却帯２６より水の
流出を防止するものてある。

３３は金属板材のクランプ本体て、第６図、第８図及び
第９図に示すように前後移動自在のラック付ロッドを有
し、前端部に開閉自在にクランプ爪３５をピニオン３６
″と共に枢着して、該ピニオン３６″をラック付ロッド
３４に噛合させてある。

クランプ本体３３は操作チエン３６に締結せられ、又、
ラック付ロッド３４は操作チエン３７に締結されて、夫
々別駆動されるようになつている。３８は冷却完了後、
金属板材を搬出するための搬送コンベヤである。

今、操作チエン３７の操作によつてラック付ロッド３４
が通過室２７内を前進すれば、クランプ本体３３が従動
前進する。

このときラック付ロッド３４はクランプ本体３３に対し
て先行し、ピニオン３６″が回転してクランプ爪３５が
開き前進する。このとき上部絞りロール３０がシリンダ
ーによつて上動し、クランプ本体３３の前進を妨げるこ
となく、クランプ本体３３が通過すれば下動してクラン
プ本体３３の上に位置する。そして加熱帯の出口扉が開
いてクランプ本体３３が加熱帯内の金属板材の先端部に
到達したときラック付ロッド３４の操作チエン３７を操
作して逆転させ、ラック付ロッド３４を引けば、クラン
プ爪３５は閉じて金属板材を挾持し、クランプ本体３３
が従動して後退する。

このときクランプ本体３３の操作チエン３６の駆動部に
制動力を作用させれば、クランプ爪３５が強力に金属板
材を挟持して急速に冷却水の充満した冷却帯へ引き入れ
ｌる。又、上部絞りロール３０はシリンダーによつてク
ランプ本体３３に圧接し、クランプ本体３３の後退と同
時にクランプ本体３３及びクランプ爪３５の上曲面に沿
つて回転し、クランプ爪３５の先端より金属板材に付着
した水を絞り脱水する。このようにして急速焼入れされ
た金属板材は搬送コンベヤ３８によつて外部へ搬出する
。第７図及び第１０図及び第１１図は冷却帯の別の実施
例を示し、加熱帯の後端に連絡通路３９を介して予備室
３８を接続し、該予備室３８を、そ″の後端部下端を支
点としてシリンダー４３によつて冷却槽へ向つて下方に
傾斜できるようにしてある。

加熱帯て加熱昇温された金属板材は加熱帯の出口扉４０
を開扉して連絡通路３９を通り、予備室３８の入口扉４
１を開扉して予備室３８に移送され、予備室３８に設け
た停止杆４４に当接して停止する。

扉４０，４１は金属板材の通過後直ちに閉じられる。金
属板材が停止杆４４によつて停止すると同時に、予備室
３８が、その後端部下端を支点としてシリンダ−４３に
よつて適当角度まで傾斜して出口扉４２のフランジ部と
水槽入口開口部４７が当接し、出口扉４２が開扉すると
同時に停止杆４４がシリンダーの作用によつて脱杆し、
送りロール４５の駆動鎖車４６により金属板材を水槽に
急速に投入する。

このとき金属板材の投入速度か送りロール４５の周速よ
り遅くなれば、鎖車４６に装着した一方向クラッチの作
用によつて、送りロール４５は自転し、金属板材の投入
速度に追従するようになつている。第１１図は冷却水槽
を示し、投下された金属板材は水槽中に設置されたロー
ラーシュート４８上を降下して水中に入る。このとき金
属板材は加熱昇温されて高温になつているため、投入時
に発生する水沫及び水蒸気を、水面に近接して設けた排
風機４９によつて排出除去する。又ローラーシュート４
８上を降下した金属板材は緩衝器５０の作用によつて停
止し、ローラーシュート４８の終端に架設したチェーン
コンベヤ５２に設けた引掛け突起５３に、金属板材の先
端を引掛けて上行し、上行するに伴つて金属板材が姿勢
を変えつつチェーンコンベヤ５２によつて上行し、外部
のコンベヤ５１に移載される。上述のように本発明の焼
入れ装置においては、加熱帯に多段式ローラーハース炉
を設け、多数の金属板材を連続的に処理することによつ
て、多数の金属板材の同時処理による従来の煩雑な操作
を省略して労力と時間を節約し、しかも金属板材の単数
枚つつの処理によつて金属板材の各出入口の面積を小さ
くすると共に開扉時間も短かくして、炉内の熱エネルギ
ーの損失を少くし、入力の節減と省エネルギーに多大の
効果を有するものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の板材焼入れ装置の実施例を示すもので、
第１図は加熱帯の縦断側面図、第２図は第１図のＡ−Ａ
線における縦断平面図、第１Ａ図は加熱帯の別の実施態
様を示す縦断側面図、第２Ａ図は第１Ａ図のＢ−Ｂ線に
おける縦断平面図、第３図は加熱帯の縦断側面図、第４
図は第３図におけるＣ−Ｃ線における拡大断面図、第５
図は冷却帯の概略縦断側面図、第６図は第５図のＥ上線
における縦断平面図、第７図は冷却帯の別の実施例を示
す縦断側面図、第８図は第５図、第６図におけるクラン
プ装置の拡大側面図、第９図は第８図の平面図、第１０
図は第７図のＤ−Ｄ線における縦断平面図、第１１図は
水槽の縦断面図てある。 ２，２″・・・・分配室、３，３″・・・・・・多段式
ローラーハース炉、４９４′゛゜０゜゜最終ローラーハ
ース炉、６，６″・・・・・・保温室、１５，１６・・
・・・・多段式ローラーハース炉、１７・・・・・・昇
降多段式ローラーハース、１８・・・・・・最終移送ロ
ーラーハース、１９・・・・保温室。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 加熱帯において加熱昇温させた金属板材を、急速に
   冷却水の充満した冷却帯に移送して焼入れを施すように
   した装置において、加熱帯における多段式ローラーハー
   ス炉の前面に分配室を設け、分配室を介して多段式ロー
   ラーハース炉の各段室に金属板材を送入して加熱昇温さ
   せた後、再び多段式ローラーハース炉の各段室より分配
   室に金属板材を受け取り、多段式ローラーハース炉の下
   端部に設けた最終ローラーハース炉を介して金属板材を
   冷却水の充満した冷却帯に強制的に移送するように構成
   したことを特徴とする板材焼入れ装置。 ２ 分配室を多段式ローラーハース炉に沿つて上下移動
   可能にした特許請求の範囲第１項記載の板材焼入れ装置
   。 ３ 分配室を固定し、該分配室の内方において昇降分配
   装置を多段式ローラーハース炉に沿つて上下移動可能に
   した特許請求の範囲第１項記載の板材焼入れ装置。 ４ 加熱帯において加熱昇温させた金属板材を急速に冷
   却帯に移送して焼入れを施すようにした装置において、
   加熱帯における多段式ローラーハース炉の後室に、昇降
   多段式移送ローラーハースを配設し、昇降多段式移送ロ
   ーラーハース炉を昇降させて多段式ローラーハース炉の
   各段室との間に金属板材を繰返し往復授受させて漸次下
   部の段室に移送して金属板材を加熱昇温させた後、昇降
   多段式移送ローラーハースの下端部に設けた最終移送ロ
   ーラーハースを介して金属板材を冷却水の充満した冷却
   帯に強制的に移送するように構成したことを特徴とする
   板材焼入れ装置。