JPS6048181B2 - 創傷カバ−剤 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は広域創傷部の修復治癒を助長するカバー剤に
関するものてあつて、更に詳しくは創傷部における組繊
細胞の生育を助長すると共に創傷部からでる体液を創傷
部面から除去し、しかも外部からの細菌侵入による創傷
部面の感染を防止する、新規な創傷カバー剤を提供する
ものてある。

創傷部は火傷、皮膚剥離（植皮用）、物理的傷害など
によつて起生されるが、これらの治療法としては、硝酸
銀を含む軟膏基剤や、局所抗生剤を含む軟膏基剤などを
用いてなる被覆療法が一般的に行われている。 この療
法は、創傷部に該軟膏を塗布することにより、体液を吸
収させると共に細菌感染を防止して治癒しようとするも
のてある。

しかして、該療法では積極的に組繊細胞の生育を助長
する手段が採られていないために、完治までに長時間か
かるという欠点がある。

近時かかる療法に代つて、人間の皮膚を用いるホモグ
ラフト法と豚皮を用いるヘテログラフト法とが検討され
採用されている。

しかし、ホモグラフト法は人間の皮膚を用いるために
その応用範囲には自ずと限界があり、またヘテログラフ
ト法においても、新鮮な豚皮では熱湯洗浄殺菌などの煩
雑な操作を必要とする上に、品質の均一なものが得られ
にくいという問題がある。

一方、凍結乾燥した豚皮を用いる試みもなされ、一部
で臨床テストもされているが、使用時無菌的に生理食塩
水に浸漬して軟化させるという煩雑な操作を必要とする
うえに、処置後豚皮上に水などが付着すると、水が浸入
して治癒を遅らせるなどの不都合がある。

さらに、近時カバー剤として、ポリメチルグルタメー
ト、ポリベンジルグルタメートやシリコーンゴム、ポリ
アミド又はポリエステルなどの繊維からなるフロック状
物、ポリビニルホルマールスポンジなどが提案されてい
るが、組織に対する付着性、体液の吸収孔、透湿性など
の点において、未だ満足なものが見い出されていないの
が現状である。

従つて本発明の第１の目的は、創傷部組織への付着性が
良好てしかも組繊細胞の生育を助長する創傷カバー剤を
提供することにある。

本発明の第２の目的は、創傷部からでる体液を吸液によ
り除去しうると共に外部からの水又は細菌類の侵入を防
止した創傷カバー剤を提供することにある。

かかる本発明の目的は、微孔性高分子フィルムと吸液性
薄葉材料と生体親和性高分子フィルムとがこの順序で積
層されていることにより達成される。

本発明の創傷カバー剤によれば、創傷部への付着性が良
好であると共に組繊細胞の生育を助長するので、創傷部
の治癒も早く、しかも細菌などによる感染も防止される
という特徴を有する。

本発明の実施に当つて使用される微孔性高分子フィルム
とは、外部から水や細菌などを侵入させず、しかも創傷
部の面の湿分を蒸散させるに充分な孔径を有する微孔を
無数に有するものてあつて、例えば微孔性フッ素樹脂フ
ィルム、微孔性ポリウレタン樹脂フィルム、微孔性ポリ
オレフィン樹脂フィルム、微孔性ポリスルホン樹脂フィ
ルムなどの微孔性高分子フィルムが用いられるが、とり
わけ微孔性フッ素樹脂フィルムは、特に校水性が高く、
しかも均一な微孔を形成てきるのが好ましいものてある
。微孔性高分子フィルムにおける微孔の孔径は、１００
八〜１００μ几、好ましくは１０００人〜１０ｐ几の範
囲であつて、１００Ａ以下ては湿分の蒸散を阻害するた
めに好ましくなく、１００ｐｍ．以上では水などが侵入
するために好ましくないものである。

また本発明の実施に当つて用いられる吸液性薄一葉材料
としては、創傷部から出る体液を吸収するものであれは
特に制限されす、例えば厚さ５〜３００Ｐｒｒ！．のガ
ーゼ、不織布、発泡体などが挙げられる。さらに生体親
和性高分子フィルムとしては、コ・ラーゲン、ケラチン
、キチンなどの蛋白質からなる、厚さ２０００ＰｒｒＬ
以下、好ましくは１０〜５００ｐｍ，の範囲のものが挙
げられるが、とりわけコラーゲンからなるフィルムは、
組繊細胞の生育に大きく寄与するので好ましいものてあ
る。

これらの生体親和性高分子フィルムには、その柔軟性を
高め、皮膚に対する刺激をなくするために、グリセリン
、ポリエチレングリコールの如き多価アルコールで、４
００〜５０００の分子量を有するものを、５呼量％以下
の量で配合することができる。

また生体親和性高分子フィルム自体を多孔質化しておく
と、体液の分必量が多い場合には、該フノイルムの孔（
０．０５〜１００ｐｍ）を経由して、速やかに吸液性薄
葉材料に吸収され、治癒が早められるのて好ましいもの
てある。

また生体親和性高分子フィルムには、体液などにより融
解されるのを防止するために、紫外線照・射などの光照
射又はアルデヒドの如き化合物を用いて適度に架橋する
ことは好ましいことである。

このように微孔性高分子フィルムと吸液性薄葉材料と生
体親和性高分子フィルムとを複合してなる創傷カバー剤
には、必要に応じて創傷治癒促進）効果を有する硫酸ム
コ多糖例えばコンドロイチン硫酸、ヒアルロン硫酸など
を前記フィルム層を配合しておき、これを所望形状に切
断して創傷部位に外科用接着テープて固定するか、或い
は予めカバー剤片の周辺部に額縁状に生体適合性接着剤
を−形成しておいて固定するなどして用いられるもので
ある。本発明の創傷カバー剤は以上のように構成されて
いるので、微孔性高分子フィルムによつて外部からの水
や細菌の侵入が防止されるのて生体親和性高分子フィル
ムの融解が起生せず、しかも吸液性薄葉材料によつて体
液が吸収され、さらに生体親和性高分子フィルムによつ
て創傷部の治癒が促進されるので、創傷部の修復が速い
という特徴を有する。

以下本発明の実施例を示す。

実施例 厚さ８０μｍ１平均孔径０．４５ｐ７ｎの微孔性フッ素
樹脂フィルム面に感圧性接着剤を斑点状に塗布し、この
上に厚さ１００μｍ１坪量２０ｙＩｄのナイロン製不織
布を貼り合せ、さらにこの不織布面に前記接着剤を斑点
状に塗布して、アルデヒドにて架橋したコラーゲンフィ
ルム（厚さ１５０μｍ１グリセリン含有量（９）重量％
）を貼り合せて、創傷カバー剤を得た。

該カバー剤を１０匹のウイスター系ラット（体重２５０
〜３００ｙ）の用いて試験をした。

試験は、ラット背部の毛を剃り、中性石ケン液で洗浄し
、さらにアルコールで消毒し、背中線を介して、３ｃｍ
×３ＣＩｎ角の皮膚剥離創傷部を１ケ所ずつ作り、一方
に実施例のサンプルをエチレンオキサイドガスにて滅菌
処理して貼り付け、他方に凍結乾燥した豚皮を滅菌した
生理食塩水に無菌的に浸漬（２吟間）したものを貼り付
け、夫々生体用接着剤で固定し、さらにガーゼを被せて
外科用接着テープで固定して、１０日後の融解状態の有
無を観察した。

試験結果は第１表の通りであつたが、実施例のサンプル
と豚皮とでは創傷部への付着性の点では差は認められな
かつたが、豚皮を用いた方は経日と共に融解が認められ
、特に創傷部と豚皮との界面に体液が認められ、治癒も
遅かつた。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 微孔性高分子フィルムと吸液性薄葉材料と生体親和
   性高分子フィルムとがこの順序で積層されていることを
   特徴とする創傷カバー剤。 ２ 微孔性高分子フィルムが微孔性フッ素樹脂フィルム
   である特許請求の範囲第１項記載の創傷カバー剤。 ３ 微孔性高分子フィルムの平均孔径が１００Å〜１０
   ０μｍである特許請求の範囲第１〜２項の各れかに記載
   の創傷カバー剤。 ４ 生体親和性高分子フィルムがコラーゲンフィルムで
   ある特許請求の範囲第１項記載の創傷カバー剤。 ５ コラーゲンフィルムが多価アルコール類を含むもの
   である特許請求の範囲第４項記載の創傷カバー剤。