JPS6045009B2 - 熱間圧延線材コイルの搬送方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は線材コイルの搬送方法、特に熱間圧延された
線材を引き続き移送しながら冷却する場合にコイル温度
を全体に亘つて均一化することができる線材コイルの搬
送方法に関するものである。

熱間圧延された鋼線材を捲取機のレイングヘツドから
コイル状にして直後に設けた移送コンベア上に載置し、
該移送コンベアにて線材コイルを一定間隔づつずらせて
互いに重なり合う状態で移送しつつ冷却する方法におい
ては、線材コイルの重合密度の相違に基づく温度偏差を
充分解消できず、冷却の均一性を計ることは困難であつ
た。 そこで、本発明者等は従来の鋼線材の冷却、特に
徐冷方法を改良するものとして、線材コイルの移送に複
数の段差部を有するコンベアを用いかつその移送単位長
さ当りの線材リング重合数を多くした層厚コイルの状態
で線材を移送しながら冷却する緩速冷却方法を開発し、
所望の効果が得られることを確認した。この冷却方法の
概略を第１図にて説明する。 第１図に示すように、熱
間圧延機および冷却ゾーンを経て送られてくる線材は捲
取機のレイングヘツド１によりコイル状］こ捲取られて
次の移送コンベア（ローラコンベア）２上に落下される
。

該ローラコンベア２上に載置される線材コイル３はコン
ベアの移送に従つて各リングが一定間隔ずらした重合状
態で移送されてゆき、保熱カバー４で包囲しかつ複数に
区分された保熱ゾーンに入り、段階的に所望の冷却曲線
に沿つて緩速冷却される。またこの保熱ゾーン内では線
材コイル３は重。合密度の高い層厚コイル状に移送され
ると共に、ローラコンベア２に設けた１以上の段差部５
でほぐされ、必要に応じて冷媒吹き付けられる。保熱ゾ
ーンを出た層厚コイルは適宜急冷され、集束装置６によ
つて集束される。 なお、本発明において用いる層厚コ
イルとは移送コンベア上に載置される線材が、一定間隔
ずらして互いに相重なり合つた状態で、線材コイル移送
方法１Ｔｒｌ、当り５０〜５００のリング数が存在する
ものを意味する。

しかして、上述の第１図の冷却設備においては、保熱カ
バー４で包囲された保熱ゾーン内における線材の冷却は
、比較的ゆつくりした冷却速度で徐冷しなければならな
いので、保熱カバー４内の温度管理および線材コイル自
体の断面方向の均一冷却について厳密な制御を行なう必
要がある。保熱カバー４内の雰囲気温度の均一化は、例
えばカバー内に設けた攪拌ファン等の手段で行なうこと
ができるが、線材コイル自体の温度については密度の高
い層厚コイルの状態で移送するため、温度偏差が生じ易
い。特に、層厚コイルにおける重なり密度の大きい両縁
部の内部の温度が最も高くなり、この部分の抜熱を計る
ことが必要とされる。第１図の冷却方法においては上記
高温個所の抜熱Ｊ手段どしてコンベア段差部の層厚コイ
ルのほぐしと冷媒吹き付けを採用し、良好な結果を得て
いる。本発明はこのような線材コイルの保熱ゾーン内に
おける緩速冷却に際し、特別な冷媒吹き付けの如き手段
を積極的に採用せずにコンベア速度の変更によつてコイ
ル温度の均一化を計ることができる熱間圧延線材コイル
の搬送方法を提供することを目的とするものである。

以下本発明方法の詳細を説明する。

本発明方法においては保熱ゾーン内での線材コイルの搬
送を基本的には層厚コイル状態で行なわれるが、該保熱
ゾーン内での該層厚コイルにほぐしを付与して温度偏差
を少なくするため、移送コンベア上の線材コイルの部分
的な層薄部を形成させるものである。

具体的に言えば、保熱ゾーン内の移送コンベアは段差付
となつているので、この段差部前後のコンベア速度を異
ならしめて線材コイルをある段階では密の状態で次の段
階では粗の状態で搬送することを特色とする。線材コイ
ルの保熱ゾーン内での搬送形態としては、例えば段差部
間のコンベア速度を交互に緩急となる如くして、コイル
の粗密を交互に行なわせることが考えられるが、本発明
では粗密交互に限ることなく、少なくとも保熱ゾーン内
で１個所コイルを粗状態で搬送せしめることが包含され
ていればよい。

なお、本発明において線材コイルの密度を粗にするとい
うことは、これによつて層厚コイルにおいては温度が降
下し難い層密部中心の温度が十分降下する程度に重合密
度を減少させることを言う。第２図は本発明を実施する
ための一例を示すもので、第３図は第２図における保熱
ゾーン内の段差付移送コンベアを部分的に示すものであ
る。

第１図と符号の同一のものは同様の装置および部材を示
す。図示の如く保熱ゾーン内の線材コイルは粗密交互に
搬送される。

例えば、第３図において段差部５を介して直列配置され
たＡ，Ｂ，Ｃゾーンについてみると、ＢゾーンとＡおよ
びＣゾーンのそれぞれのコンベア速度の関係は、Ａ＞Ｂ
＜Ｃとなつており、したがつて、線材コイル３はＢゾー
ンにおいて重合密度の高い層厚コイルとなつているのに
対し、ＡおよびＣゾーンでは密度の低い層厚コイルとな
つている。このため、ＡおよびＣゾーンでは層薄コイル
が丁度ほぐされた状態となつてコイルが移行されること
から、層厚コイル状態では保熱ゾーン内雰囲気にさらさ
れなかつたコイル内部位が層薄化によつて雰囲気にさら
され、その部位の温度降下をもたらすことになる。その
結果コイル温度の均一化が可能となる。なお、層薄化の
後再び層厚化されるとコイル内は復熱現象で温度が上昇
する傾向を示すので、層薄化する個所は複数回繰り返す
ことがより効果的である。

第４図は第３図のＡ，Ｂ，Ｃゾーンにおける温度降下の
現象を模式的に示したものである。

図の鎖線ａ″は保熱ゾーン内を層厚コイルの状態を維持
ｊして移送した場合のコイル両側層密部の中心温度の変
化で、鎖線ｂ″は同様の楊合におけるコイル外表面温度
の変化を示す。実線ａは本発明の如くコイルを粗密の状
態で移送した場合のコイル層密部中心温度曲線、実線ｂ
は同様の楊合のコイル外表・面温度曲線である。図から
れかるようにコイル゜を層厚コイルのまま連続して移送
する場合には、ａ″，ｂ″線に示す如く徐々に降下して
いくが、特に中心部温度についてはその勾配はゆるやか
で、経時的に中心部と外表面との温度偏差は広がる傾向
）を示す。これに対し本発明方法によれば、Ａゾーンに
おいて中心部温度はａ″線に比べ急激にａ線の如く降下
し、逆にｂ線の外表面温度の降下はｂ″線に比べゆるや
か（これは同一長さのゾーンを通過する場合本発明の方
が短時間で通過することから）であるため、両者の温度
偏差は小さくなる。次のＢゾーンでは層厚コイル化され
るため、復熱現象で温度偏差は広がるが、再び層薄化さ
れるＣゾーンでは中心部温度の降下が著しく、結果的に
Ａゾーンにおける温度偏差以下の範囲まで偏差を減少す
ることが可能となる。なお、第２図において、７は保熱
ゾーン４内の雰囲気温度を均一にしコイル外表面部の温
度をほぼ均一にするための攪拌ファンで、適宜保熱カバ
ー４の天井部に取付けられる。

また、図示はしていないが最も温度の下がり易いコイル
側面および下面の温度を補償するためヒータあるいはバ
ーナ等をコンベアのローラ間およびカバー側面に設けて
おくことが望ましい。本発明において線材コイルの搬送
の段差付移送コンベアを用いたのは、コイル密度を粗か
ら密あるいは密から粗へと変更する場合に、段差部を境
にすればその密度変更が円滑に行なわれコイル全体に亘
つて一様な所望密度に形成し易いためである。

平坦な同一レベルのコンベアを区分して速度を変えると
、コイル乗り移り個所でコイルが乱れ、一様な密度に形
成し難い。本発明方法を実施する場合において、実際の
コイル密度を粗密にするためのコンベア速度を例示すれ
ば、層厚コイル形成のためのコンベア速度は２〜３Ｔｒ
Ｌ，／分程度、層薄コイル形成のためのコンベア速度は
５〜１５７Ｔ１．／分程度とすればよい。

以上説明した如く本発明方法によれば、線材コイルは緩
速冷却を施される保熱ゾーン内にて少くともある一定区
間粗の密度状態で搬送されることから、この区間でコイ
ル温度偏差が小さくでき、コイルの均一冷却が達成され
る。この場合冷媒吹付手段をコイルほぐ化部に用いるこ
とを組合せることによつて更にコイルの均一冷却が達成
される。しかも本発明ではコイルの搬送手段自体の速度
を変更することによつて行なわれるため、操作が非常に
容易であり生産性を低下させることもない。

【図面の簡単な説明】

第１図は線材コイルの徐冷ラインの概要を示す配置図、
第２図は本発明方法を適用したラインを”示す配置図、
第３図は第２図の要部説明図、第４図は本発明の効果を
示す図表である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 熱間圧延された線材を一定間隔ずらした互いに重な
   り合うリング群の状態で包囲環境にある保熱ゾーン内を
   移送するに際し、該保熱ゾーン内の線材コイルの搬送を
   段差付移送コンベアにて行ない、該移送コンベアの少く
   とも１個所の段差部前後のコンベア速度を異ならしめ、
   線材コイルの重合密度を変えて搬送することを特徴とす
   る熱間圧延線材の搬送方法。