JPS6041909Y2 - 偏平縫いミシン - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は三本乃至四本の偏平縫いミシンにおいて、上
飾り糸の飾り巾を変えて針糸との組合せを容易に変える
ことができるようにした偏平縫いミシンに関する。

偏平縫いミシンはニット地のような伸縮度の比較的大き
な生地を縫い合わせる場合に、ことに下着やベビー服な
どで縫い合わせ部の肌ざわりを良＜シ（縫い合わせ部が
段になってころつかないようにする）、縫い目の適度な
強度や弾性を得るため使用されているが、従来のミシン
では上飾り糸は三本針乃至四本針の端から端の針まで針
山全域に亘って振られて全ての針糸と組合せられるよう
になっており、一部の針糸のみとの組合せができるよう
になっていなかった。

この考案は縫製箇所に応じて上飾り糸の飾り巾を変える
ことができるようにした偏平縫いミシンを得ることを目
的とするもので、以下その実施例を図面によって説明す
る。

第１図において、上軸１に固着の偏心クランク２に一端
を連結したロッド３の他端は飾り振り軸４に固着のレバ
ー５に連結され、飾り振り軸４を上軸に連動して揺動さ
せるようにしており、その揺動量はロッド他端に穿設さ
れ、レバー５に突設の長溝６に遊嵌するピン７の位置を
ナツト８を弛めて変えることにより調整されうるように
なっている。

飾り振り軸４はまた該軸に固着の振り腕１０振り腕下端
に回動かつ軸方向に摺動可能に嵌合する円筒乃至円柱状
のスライダー１１及び垂直に軸支されるスプレッダ−軸
１２上端に設けられ、クランクピン１３を振り腕下端に
穿設の軸方向の長孔（図示しない）を通して上記スライ
ダー１１に摺動可能に嵌合させたクランク１５とよりな
る連動機構を介して上記スプレッダ−軸１２に揺動運動
を伝え、スプレッダ−軸１２は更にその下端に締着のカ
ラー１６該カラーの突出部に一端を軸支した二叉ロッド
１７及び一端を前記二叉ロッドの他端に軸着するととも
に基部をミシン本体１８に取着のブラケット１９に回動
可能に軸支されるキャリヤー軸２０上端に固着したレバ
ー２１を介して上記キャリヤー軸２０を揺動させキャリ
ヤー軸下端部に固着のキャリヤー針２２自由端部に止着
されるキャリヤー針２３をキャリヤー軸２０を中心とし
て揺動させて上飾り糸の通される目孔２５（第３〜６図
参照）を形成したキャリヤー針先端部を上針２６の手前
側より後方へ進退させるようになっている。

ここでブラケット１９は上端部に形成の横孔２７を通し
て螺込まれる一対の止めネジ２８によりミシン本体１Ｂ
に止着されるようになっており、止めネジ２８を弛め、
該ネジを案内としてブラケットを横方向に動かし、止め
ネジを締め直すことでキャリヤー針を横方向に変位させ
、該針を右針外側の非作用位置より上針間を進退する作
用位置へ或いはその逆に切り換えることができるように
なっている。

なお、第１図には図示されていないが、キャリヤー２２
上には第３〜６図に示されるように上飾り糸の通される
糸道３０が取り付けてあり、上飾り糸３１が糸道３０を
通ってキャリヤー針２３に通されるようになっている。

上記カラー１６にはまた二叉ロッド１７が軸着されてい
るほかスプレッダ−３３の基部がネジ３４により止着し
てあり、スプレッダ−軸の揺動によりキャリヤー針２３
と同調してスプレッダ−３３が既知のように上針２６の
手前側を往復動し、縫い目よりキャリヤー針２３に延び
る上飾り糸３１を引掛けて振るようにしている。

第２図は第１図に示される三本針の偏平縫いミシンにお
いて、キャリヤー針を中間針と右針の間を進退するよう
セットしたとき形成される縫い目を示している。

第３〜６図は布表面における上記縫い目の形成過程を示
すもので、上針２６が下死点より上昇し始めたときスプ
レッダ−３３及びキャリヤー針２３も往行を開始しく第
３図）、やがてスプレッダ−３３が中間の針径側よりキ
ャリヤー針量の上飾り糸３１を捕捉する（第４図）。

上飾り糸を捕捉したスプレッダ−３３は上針２６が上昇
して布Ｗを抜は出したのち、更に往行をつＳ゛けて上飾
り糸を左方に引張り、同時にキャリヤー針２３がスプレ
ッダ−と糸道間の上飾り糸を後方に引張る（第５図）。

そしてスプレッダ−が往行を終え、キャリヤー針が前進
を終えたとき各上針が左針はスプレッダ−によって引張
られ屈曲形成されるループ内を中針は手前側のループ外
を、また右針はキャリヤー針を挾んで中針の反対側をそ
れぞれ降下する（第６図）。

ついでスプレッダ−が復動するとともにキャリヤー針が
上飾り糸を中針の回りに屈曲させ、かつ弛んだ上飾り糸
を吸収しながら後退し、第３図の状態に復帰する。

本考案に係る偏平縫いミシンは第７図に示されるように
身生地Ｗ端にレース地のような装飾用テープＴを縫い付
けるのに適している。

身生地端に装飾用テープを縫い付けるのに従来は第８図
に示されるように身生地端を縁かくり縫いして該部のほ
つれ防止を行ったのち装飾用テープＴの一側を重ねて二
本針で偏平縫いし、上飾り糸で両者の境目を覆うととも
に飾り巾を極力狭くしてテープの装飾性を損わず、見栄
えが悪くならないようにしており、そのためオーバーロ
ックミシンと偏平縫いミシンの二台のミシンを要し、二
工程が必要であったが、本考案のミシンを使用すれば右
側の針糸ステッチ３７と該ステッチに組合わされるルー
パ糸３８とで身生地端のほつれ防止を、上飾り糸３１で
境目の被覆を行って一台のミシンによリ一工程で従前の
ものと同様の機能を有する縫い目を形成することができ
るようになるからである。

なお、上記実施例ではキャリヤー針はスプレッダ−とと
もにスプレッダ−軸により揺動されるようになっている
が、スプレッダ−の作動機構とは別個の作動機構を設け
て揺動させるようにしてもまたソレノイドやエアーシリ
ンダーなどによりスプレッダ−と同期して往復直線運動
させるようにしてもよい。

第２図に示されるような縫い目より通常の偏平縫いに切
り換えるには止めネジ２８を弛めてブラケット１９を横
方向に動かしキャリヤー針２３を右側の針外側に寄せる
かキャリヤー針を不作動若くは取外し或いは上飾り糸を
キャリヤー針の目孔２５より外すことにより行われる。

上記実施例は三本針の例を示すものであるが、四本針の
ものではブラケットの取付位置を調節しキャリヤー針を
中間の雨上針量に或いは右針と、その隣の上針間に位置
するようセットする。

前者により上飾り糸が左側の針糸ステッチとその隣りの
針糸ステッチに組合わせられる第９図に示されるような
縫い目が後者により左側の針糸ステッチと中間の両針糸
ステッチに組合わせられる第１０図に示されるような縫
い目が形成される。

図示するような構造を備えたミシンではまたピン７の位
置を変えることによりスプレッダ−の揺動量を変え、或
いはカラー１６の取付角度を変えることによりスプレッ
ダ−の揺動範囲をずらして上飾り糸を中間と右側の針糸
ステッチと組合わせることが可能であり、四本針のミシ
ンにおいては、キャリヤー針を右側の針とその隣の針と
の間を進退するようセットし、かつスプレッダ−の揺動
量を少くし或いはその揺動範囲をずらして上飾り糸を左
側の針糸ステッチには組み合わせられないようにすれば
第１１図に示されるような装飾性のある縫い目を形成す
ることができる。

なお、上記において、ピン７の位置を変えてスプレッダ
−の揺動量を変えればキャリヤー針の揺動量も変化し、
またカラー１６の取付角度を変えればキャリヤー針の揺
動範囲もずれるが、前者においては二叉ロッド１７の各
端部を軸支するピンの位置を上記ピン７と同様に径方向
に調整できるようにしたり、或いは偏心ピンにすればキ
ャリヤー針の揺動量を補正することができ、また後者に
おいても二叉ロッドを軸支するピンを上述するように偏
心ピンにしたり或いはスプレッダ−３３が止着されるカ
ラーを二叉ロッドが軸着されるカラーとは別個に設けて
単独で取付角度を調整できるようにすれば上記問題に対
処することができる。

上飾り糸が主針の針糸ステッチと組み合わないようにす
るためにはスプレッダ−の揺動量を小さくしたり、揺動
範囲を反時計方向にずらすほかにスプレッダ−の取付位
置を変えて上方に引上げることによっても可能である。

スプレッダ−を引上げればスプレッダ−によって捕捉さ
れた上飾り糸の縫い目までの勾配がきつくなり、スプレ
ッダ−の往行に伴って左方に引張られるとき縫い目に至
る上飾り糸が降下する主針に接触し主針が上飾り糸のル
ープ内に降下することができなくなるからである。

本考案の偏平縫いミシンは以上のように、上針の手前側
を往復動するスプレッダ−の動きと同期して上飾り糸の
通されるキャリヤー針を所望の上針間に進退するようセ
ットすることができるようになっており、これにより上
飾り糸の飾り巾を変えて一部の針糸のみとの組み合わせ
ができるようになっているもので、使用箇所によって該
箇所や縫合される生地にマツチした飾り巾にすることが
可能である。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る偏平縫いミシンの要部斜視図、第
２図は第１図に示されるミシンによって形成される縫い
目の斜視図、第３〜６図は生地表面に表われる同縫い目
の形成過程を示す平面図、第７図は同縫い目の一使用例
を示す断面図、第８図は従来法によって縫合される生地
の断面図、第９図は四本針の場合において形成される縫
い目の一例を示す平面図、第１０図は他の例の平面図、
第１１図は更に別の例の平面図を示すものである。 １・・・・・・上軸、４・・・・・・飾り振り軸、１２
・・・・・・スプレッダ−軸、１６・・・・・・カラー
、１７・・・・・・二叉ロッド、１９・・・・・・ブラ
ケット、２０・・・・・・キャリヤー軸、２２・・・・
・・キャリヤー、２３・・・・・・キャリャー針、 ２６・・・・・・上針、 ３０・・・・・・糸道、 ３３・・・・・・スプ レッダ−０

Claims (6)

【実用新案登録請求の範囲】
1. （１）上軸に連動して上下動し、横方向に並列する三乃
   至四本の上針と、上針の上下動と同期して上針の並ぶ方
   向への左右動と、送り方向への前後動を合皮した楕円運
   動を行うルーパと、上軸に連動して各上針の手前を揺動
   し上飾り糸を捕捉して側方に振るスプレッダ−とを備え
   た偏平縫いミシンにおいて、上記スプレッダ−３３の径
   路より糸供給源側に位置する上飾り糸３１が通されるキ
   ャリヤー針２３と、スプレッダ−３３と同期してキャリ
   ヤー針２３を並列する上針２６のうち、所望の上針間に
   進退させる作動機構を設け、キャリヤー針２３はスプレ
   ッダ−３３が往行して上飾り糸を捕捉するとき、上記上
   針間に進んでスプレッダ−３３によって捕捉された上飾
   り糸の供給源側部分を送り方向に向ってつき出し、スプ
   レッダ−が往動するとき後退して上記上針間より上飾り
   糸を伴って抜は出すよう作動される偏平縫いミシン。
2. （２） キャリヤー針はその位置が横方向に調整可能
   である登録請求の範囲第１項記載の偏平縫いミシン。
3. （３）作動機構はスプレッダ−３３を揺動させるスプレ
   ッダ−軸１２に連結され、その機構中にスプレッダ−軸
   に連動して揺動し、かつキャリヤー針２３を支持するキ
   ャリヤー２２が取着されるキャリヤー軸２０を有してい
   る登録請求の範囲第１項記載の偏平縫いミシン。
4. （４）キャリヤー軸２０はミシン本体１８に横方向に位
   置調整可能に取着されるブラケット１９に軸支される登
   録請求の範囲第３項記載の偏平縫いミシン。
5. （５） 作動機構はキャリヤー針を往復直線運動させ
   る機構である登録請求の範囲第１項記載の偏平縫いミシ
   ン。
6. （６）上記機構中にはソレノイド若しくはエアーシリン
   ダーを含んでいる登録請求の範囲第５項記載の偏平縫い
   ミシン。