JPS6040552B2 - ウオ−タ−ジエツトル−ム無糊製織用合成繊維経糸油剤 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はウオータージェットルームで無糊製織するのに
通した合成繊維の経糸用油剤に関するものである。

ポリヱステル、ポリアミド等の合成繊維の通常の非嵩高
性マルチフィラメントャーンあるいはそれを仮撚加工し
た加工糸を経糸としてウオータージェットルームで製織
することは従来より一般に行われている。

この従来法においては製織性を向上させる目的で通常製
織準備工程において経糸糊付が施される。近年工程簡略
化、製織コストの低減を目的としてこの経糸糊付を省略
して無糊製織する試みがなされるようになった。無糊製
織するためには製織工程に至以前の適当な段階で経糸た
るマルチフィラメント糸条に糊付に代わる集東付与手段
を施す必要があり、通常紡糸工程において素性油剤を付
与することが工程簡略化上有利であるとされており、ま
た集東性油剤付与に加えてィンタ−レース処理や加燃を
行うことにより一段と集東性を向上させることも提案さ
れている。糊付に代わる集東性はかかる集東性油剤付与
、インターレース処理、加撚等の方法によってかなり満
足し得るものが得られるが、ウオータージェットルーム
による製機の際には綜縦の上下運動による経糸同士の摩
擦（乾時対糸摩擦）および機運動による湿時対金属摩擦
によって経糸に毛羽が多発し、これが糸切れ、従って製
織作業の中断という問題をひき起こす。従来提案された
無糊製織用の油剤はその殆んどが粘鋼成分または固形成
分を水溶液または水性ェマルジョンとして付与するかあ
るいは熔融物として付与するもので、これによって集東
性はある程度向上するが、経糸の乾時対糸耐摩耗性およ
び湿時対金属耐摩耗性を向上させるものは先に本発明者
等が提案したもののほかには裕んど見当らない。本発明
は前記乾時対糸耐摩耗性並びに湿時対金属耐摩耗性を向
上させることができるウオータージェットルームによる
無糊製織に特に好適な合成繊維経糸用油剤に関するもの
であり、その要旨、１〜３価のアルコールのプロピレン
オキサィドとエチレンオキサィドのランダム付加物であ
ってプロピレンオキサイドとエチレンオキサイドの付加
モル数の比が１／１〜１／４でかつ分子量が５０００以
上である化合物Ａが油剤全量に対し５〜２の重量％、ポ
リオキシエチレンアルキルエーテル、ポリエチレングリ
コールの脂肪酸ェステル、多価アルコールの部分ェステ
ルおよび多価アルコールの部分ェステルのエチレンオキ
サィド付加物の群から選ばれた１種または１種以上の非
イオン界面活性剤Ｂが油剤全量に対し２０〜４■重量％
を占めるように両者を分子量が３２０以下の脂肪族一塩
基酸ェステルＣに溶解または分散させた３０ｑＣでのレ
ッドウッド粘度が１５硯砂以下であることを特徴とする
ウオータージェットルーム無糊製織用合成繊維経糸油剤
（以下本発明曲剤という）である。

本発明油剤はストレート油剤として使用するのに適した
粘度と均一性を有し、合成繊維マルチフイラメントヤー
ンにウオータージエツトルームによる無糊製織に通した
高度の耐摩耗性（乾時対糸および湿時対金属）を付与し
、かつ精練によって容易に除去され、染色性を損わず、
場合により染色前の精練を必要としない新規な組成の組
合せからなるものである。

本発明油剤を構成する前記成分Ａは、ウオータージェッ
トルームによる無糊製織用経糸の乾時対糸耐摩耗性およ
び湿時対金属耐摩耗性を改善する作用効果を有するもの
で、その分子量が大きいほど上記作用効果が大であり、
その分子量が３００氏未満のものは不適である。

また分子量の上限は配合量にもよるが油剤粘度を過度に
高くしない約２５００硯華度であり、特に分子量５００
０〜２００００のものが好ましい。１〜３価のアルコー
ルとしてはえばブタノール、ジエチレングリコール、グ
リセリン等を使用することができ、これらのアルコール
にプロピレンオキサイドＰＯとエチレンオキサイドＥＯ
を１／１〜１／４の付加モル比の範囲でランダム付加さ
せ、分子量が５０００以上の化合物を製造する。

ＥＯに対するＰＯの付加モル比ＰＯ／ＥＯが１を越える
と乾時対糸耐摩耗性改善効果が顕著でなくなり、逆にＰ
Ｏ／ＥＯが１／４より小くなると湿時対金属耐摩耗性改
善効果が不十分となる。またアルコールのアルキル基が
過度に長鎖のものは乾時対糸耐摩耗性善効果が顕著でな
くなる。特にアルコールのアルキル基としては炭素数が
約２〜４ののが適当である。ＰＯとＥＯはランダムに付
加していることが粘度の観点より必要であり、これがフ
ロック状に付加したものは粘度が高過ぎて実用性に欠け
る。オキサィドに特に好適な成分Ａとしては、ジエチレ
ングリコールのＰ○，ＥＯランダム付加物で、ＰＯ／Ｅ
Ｏが１／３、分子量約１００００の化合物、ブタノール
のＰ○，ＥＯランダム付加物でＰＯ／ＥＯが１／１分子
量約７０００の化合物を挙げることができる。本発明油
剤を構成する前記成分Ｂは成分Ａによる経糸の耐摩耗性
（乾時対糸および湿時対金属）を妨げないでかつ油剤成
分相互の均一性（相溶性）保持と精練性を良くする作用
効果を有するもので、前記の如き脂肪族系の非イオン界
面活性剤の中から適宜選択される。

そしてこれは１種類だけ配合してもよいが、２種類以上
併用しても勿論よい。また、成分ＢのＨＬＢは低い方が
耐摩耗性阻害作用が小さく、特にＨＬＢＩ沙〆下のもの
が好ましい。本発明に好適な成分Ｂの具体例としては例
えばポリオキシェチレンラウリルヱーテル、ポリエチレ
ングリコ一ルジラウリルエステル、グリセリンモノオレ
イン酸ェステル等を挙げることができる。本発明油剤を
構成する前記成分Ｃは、成分ＡおよびＢを溶解または分
散し、経糸の耐摩耗性改善に寄与し（特に湿時対金属耐
摩耗性を向上させ）、かつ油剤全体の粘度を低く維持（
本発明油剤が室温で液状を維持するように）して均一油
剤付与を達成する作用効果を有するもので、従来紙糸油
剤の一成分として使用されている比較的分子量の大きな
ものとは違い、分子量が３２０以下の低分子量脂肪族一
塩基酸ェステルである。

分子量が３２０より大きな脂肪族一塩基酸ェステルを使
用すると油剤の粘度が高くなり過ぎ、室温で流動性がわ
るし、ものになってしまい、経糸への均一紬剤付着が達
成できなくなる。本発明に好適な成分Ｃの具体例として
はメチルオレェート、ブチルラウレート等を挙げること
ができる。尚、従釆よりコーニングオィルの主成分とし
て用いられる鉱物油は、湿時対金属耐摩耗性を改善する
効果がないのでＣ成分からは除外される。本発明油剤は
前記した如くＡ，ＢおよびＣ成分を主成分としているが
、Ａ，ＢおよびＣ以外の成分、例えば水、鉱物油、陰イ
オン界面活性剤等を本発明油剤の作用効果を妨げない範
囲で少量混合して使用することは差支えない。

その場合Ａ，ＢおよびＣ成分の合計が油剤全体の９５重
量％以上を占めるようにするのがよい。本発明油剤の付
与対象となる糸条はウオータージェットルームによる無
糊製織用の経糸として使用する合成繊維マルチフィラメ
ントャーンであり、通常の非嵩高・性マルチフィラメン
トャーンおよび特に仮撚加工を施したマルチフィラメン
トャーンである。

油剤付与手段としては公知のオィリングローラ方式を採
用するのが適当であるが、油剤浴中に糸条を浸債する方
式も採用できる。油剤は室温でストレート油剤として適
用する。油剤の付着量は通常約１〜４重量％（対繊維）
で十分である。この油剤付与は級糸工程と製織準備工程
との間の任意の段階で行うことができるが、仮撚加工糸
の場合は仮撚ヒートセットと製織準備工程との間の任意
の工程で行なうのが好ましく、非嵩高性マルチフィラメ
ントャーンの場合は延伸に引き続くヒートセットと製織
準備工程との間の任意の工で行なうのが好ましい。経糸
に集東性を与えるために本発明油剤付与前または付与後
、特公昭３６−１２２３ぴ号公報、特公昭３７−１１７
５号公報等によって公知のインターレース処理（流体噴
射交絡処理）によって経糸を構成する単糸同士を交絡さ
せ、かくしてウオータージェットルームによる無糊製織
用合成繊維マルチフィラメントャーンを製造する。

インターレース処理による単糸同士の交絡の度合は、経
通し等の製織準備工程の作業性や製織性に支障をきたさ
ない程度の集東性が得られるようにする必要があり、仮
撚加工糸については後述する交絡度が１００以上となる
ようにインターレース処理することが好ましい。本発明
では特に７母／３８のポリエチレンテレフタレートマル
チフィラメントャーンの仮撚加工糸にインターレース処
理および本発明油剤処理を施した糸条および５Ｍ／２４
ｆのポリエチレンテレフタレートマルチフィラメントヤ
ーンの通常の非嵩高性糸（フラットャーン）にインター
レース処理および本発明油剤処理を施した糸条が実用上
好適である。以上述べた如く本発明油剤は、乾時対糸耐
摩耗性および湿時対金属耐摩耗性を改善し、ウオーター
ジェットルームによる無糊製織における製織性を著しく
向上させる効果を有するウオータージェットルームによ
る無糊製織用合成繊維経糸油剤とし極めて有用なもであ
る。

また、本発明油剤は通常のオィリングローラによって室
温で簡単に糸条に付与することができ、使用中油剤の濃
度変化、粘度変化や層分離がなく安定した付与ができ、
しかもストレート油剤であるから付与後乾燥する必要が
なく、粘着あるいはスカム発生等の障害を何等伴なわな
い。以上の利点に加えて本発明油剤はこれに付与して無
糊製織して得た織布を精練する際簡単に除去されるため
精練上の支障がなく、多くの場合精練せずにそのまま染
色しても差支えない。また、インターレース処理はマル
チフィラメントャーンの延伸工程あるいは仮燃工程中に
簡単に組込むことができるから、従来工程をそのまま利
用でき、本発明油剤処理も前記の如く極めて簡単に行な
うことができるから工程上の煩雑さは殆んどない。

そして以下に具体例を示すとおりウオータージェットル
ームによる製織性に優れており、これによって従来より
著しく安価に（染色）織物を製造することができるもの
である。以下に実施例を示して本発明の効果を一段と明
確にするが、実施例中の乾時対糸耐摩耗度、湿時対金属
耐摩耗度および交絡度は経糸として用いるマルチフィラ
メントャーンについて以下に記載する方法で測定した値
である。

｛ィ’乾時対糸耐摩耗度東洋精機製作所製のラビングテ
スターを用い、１本の試料マルチフィラメントャーンに
ついて交叉角４０ｏ、ねじり回数１回の交点３個を作り
、試料マルチフィラメントャーンに５００夕の荷重をか
けて摩擦回数１００回／分の速度で操返摩擦を行ない、
試料が摩耗して単糸毛羽を発生するまでの摩擦回数（ｎ
＝２０本の平均）示す。

（ｏ｝ 緑時対金属耐摩耗度 長さ１５仇吻、幅３仇肋、厚さ１．５帆のステンレスス
チール製矩形平板（該平板の両長端緑はいずれも長さ方
向全長に亘つて曲率半径０．７５脚の丸味をつけてある
）を長さ方向の中心軸を回転軸として回転するような糸
−金属摩擦装置を用い、１本の試料マルチフィラメント
ャーンの一端をフックに固定し、他端を該摩擦装置の矩
形平板にその回転軸を中心に２回巻き付けて４５夕の荷
重を吊した状態となし、２分毎に水を噴霧しながら矩形
平板を１５０回／ｍｊｎの速さで回転させて試料マルチ
フィラメントヤーンと矩形平板の長さ方向の緑とを摩擦
させ、試料が摩耗して単糸毛羽が発生するまでの時間（
ｎ＝２４本の平均）を分で示す。

し一 交絡度 長さ１００弧のマルチフィラメントャーン１本をその下
端にマルチフィラメントヤーンデニールの１／１０に相
当する荷重（単位夕）をかけて垂直に吊し、上から１肌
のところでマルチフィラメントャーンを２分割し、そこ
へ細い針をさし込んでその針の両端にそれぞれマルチフ
ィラメントャーンの平均単糸デニールに相当する荷重（
単位のを吊し、該荷重を２弧／ｓｅｃの速度で落下させ
、その落下が止まった所までの滋下距離（肌）を読む。

同機の試料についてこの操作を５０回繰り返し、その落
下距離の平均値をＸとすると、交絡度＝弊。

で示す。実施例 １ 常法によって溶融紡糸および延伸して得たポリエチレン
テレフタレートマルチフイラメントヤーン（７Ｗ／３拭
）を、スピナータィプの仮撚機を用いて仮燃し、仮撚に
連続して交絡度が約２００になるようにインターレース
処理した後巻取った。

次にかくして得た仮撚加工糸に第１表に示す如き配合割
合（重量部）で種々の油剤成分を配合して調製した８種
の油剤Ａ〜日を油剤付着量が１．６重量％（対繊維）に
なるようにオィリングローフを用いて付与し、しかる後
油剤処理後のャーンの耐摩耗性を測定した。なお、比較
のために油剤処理を行わない糸条（迫油ナシ）について
も耐摩耗性を測定した。結果を第２表に示す。また、こ
れらのャーンを整経、ビーミングを経て糊付けをするこ
となく経糸としてウオータージェットルームで製織し、
その製織性を調べた。

なお、緯糸には仮燃加工してないポリエチレンテレフタ
レートマルチフィラメントヤーン（７幻／３８）を用い
た。製織性を第２表に併記した。第１表※ ＰＯ／８０
付加モル比＝１／３、分子量１５ ，０００※※ Ｐ
Ｏ／ＥＯ 付加モル比＝１／１、分子量 ７ ，０００
第２表より明らかな如く、本発明油剤（Ａ〜Ｄ）を付与
したポリエチレンテレフタレートマルチフィラメントャ
ーンは乾時対糸および湿時対金属耐摩耗性に優れ、ウオ
ータージェットルームによる無糊製織‘性が良好である
。

一方、本発明油剤に属さない比較油剤および従釆のコー
ニングオィルを付与したポリエチレンテレフタレートマ
ルチフィラメントャーンは特に湿時対金属耐摩耗性に劣
り、ウオータージェットルームによる無糊製織性が不良
である。

第 ２ 表

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ １〜３価のアルコールのプロピレンオキサイドとエ
   チレンオキサイドのランダム付加物であつてプロピレン
   オキサイドとエチレンオキサイドの付加モル数の比が１
   ／１〜１／４でかつ分子量が５０００以上である化合物
   Ａが油剤全量に対し５〜２０重量％、ポリオキシエチレ
   ンアルキルエーテル、ポリエチレングリコールの脂肪酸
   エステル、多価アルコールの部分エステルおよび多価ア
   ルコールの部分エステルのエチレンオキサイド付加物の
   群から選ばれた１種または１種以上の非イオン界面活性
   剤Ｂが油剤全量に対し２０〜４０重量％を占めるように
   両者を分子量が３２０以下の脂肪族一塩基酸エステルＣ
   に溶解または分散させた３０℃でのレツドウツド粘度が
   １５０秒以下であることを特徴とするウオータージエツ
   トルーム無糊製織用合成繊維経糸油剤。