JPS6015750B2 - 合成繊維用油剤 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は合成繊維用油剤に関し、特にウオータージェッ
トルームで無糊製織するのに適した合成繊維用油剤に関
するものである。

ポリェス′テル、ポリアミド等の合成繊維の通常の非高
高性マルチフィラメントャーンあるいはそれを仮撚加工
した加工糸を経糸としてウオータージェットルームで製
織することは従来より一般に行われている。

この従来法においては製織性を向上させる目的で通常製
織準備工程において経糸糊付が施される。近年工程簡略
化、製織コストの低減を目的としてこの経糸糊付を省略
して無糊製織する試みがなされるようになった。無糊製
織するためには製織工程に至る以前の適当な段階で経糸
たるマルチフィラメント糸条に糊付に代わる集東性付与
手段を施す必要があり、通常級糸工程において集東性油
剤を付与することが工程簡略化上有利であるとされてお
り、また集東性油剤付与に加えてインターレース処理や
加撚を行うことにより一段と集東性を向上させることも
提案されている。糊付に代わる集東性はかかる集東性油
剤付与、インターレース処理、加撚等の方法によってか
なり満足し得る程度のものが得られるが、ウオータージ
ェットルームによる製織の際には綜紙の上下運動による
経糸同志の摩擦（乾時対糸摩擦）および筋運動による湿
時対金属摩擦によって経糸に毛羽が多発し、これが糸切
れ、従って製織作業の中断という問題をひき起こす。従
来提案された無糊製織用の油剤はその殆んどが粘鋼成分
または固形成分を水溶液または水性ェマルジョンとして
付与するかあるいは溶融物として付与するもので、これ
によって集東性はある程度向上するが、隆糸の乾時対糸
耐摩耗性および湿時対金属耐摩耗性を向上させるものは
先に本発明者等が提案したもののほかには殆んど見当ら
ない。本発明は前記乾時対糸耐摩耗性並びに湿時対金属
耐摩耗性を向上させることができるウオータージェット
ルームによる無糊製織に特に好適な合成繊維用油剤に関
するものであり、次の１発明よりなる。

１ １〜３価のアルコールのプロピレンオキサイドとエ
チレンオキサィドのランダム付加物であってプロピレン
オキサイドとエチレンオキサイドの付加モル数の比が１
／１〜１／４でかつ分子量が５０００以上である化合物
（Ａ）が油剤全量に対し５〜２の重量％、ポリオキシェ
チレンアルキルェーテル、ポリエチレングリコールの脂
肪酸ェステル、多価アルコールの部分ェステルおよび多
価アルコールの部分ェステルのエチレンオキサィド付加
物の群から選ばれた１種または２種以上の非イオン界面
活性剤（Ｂ）が油剤全量に対し５〜４曜重量％、高級脂
肪酸のアルカノールアミン塩（Ｃ）が油剤全量に対し１
〜２５重量％を占めるように（Ａ），（Ｂ），（Ｃ）３
成分を分子量が３２０以下の脂肪族一塩基酸ェステル（
Ｄ）に熔解または分散させたことを特徴とする合成繊維
用油剤。

（以下本発明油剤という）本発明油剤はストレート油剤
として使用するのに適した粘度と均一性を有し、合成繊
維マルチフイラメントヤーンにウオータージエツトルー
ムによる無糊製織に通した高度の耐摩耗性（乾時対糸お
よび緑時対金属）を付与し、かつ精練によって容易に除
去され、染色性を損わず、場合により染色前の精練を必
要とせず、また製織によるウオータージェットルームの
筋の摩耗損傷が特に少ない新規な組成の組合せからなる
ものである。

本発明油剤を構成する前記成分（Ａ）は、ウオータージ
ェットルームによる無糊製織用経糸の乾時対糸耐摩耗性
および湿時対金属耐摩耗性を改善する作用効果を有する
もので、その分子量が大きいほど上記作用効果が大であ
り、その分子量が３００正未満のものは不適である。

また分子量の上限は配合量にもよるが油剤粘度を過度に
高くしない約２５００の華度であり、特に分子量５００
０〜２００００ものが好ましい。１〜３価のアルコール
としては例えばブタノール、ジヱチレングリコール、グ
リセリン等を使用することができ、これらのアルコール
にプロピレンオキサイド（ＰＯ）とエチレンオキサィド
（ＥＯ）を１／１〜１／４の付加モル比の範囲でランダ
ム付加させ、分子量が５０００以上の化合物を製造する
。

ＥＯに対するＰＯの付加モル比ＰＯ／ＥＯが１を越える
と乾時対糸耐摩耗性改善効果が顕著でなくなり、逆にＰ
Ｏ／ＥＯが１′４より小さくなると湿時対金属耐摩耗性
改善効果が不十分となる。またアルコールのアルキル基
が過度に長鎖のものは乾時対糸耐摩耗性改善効果が顕著
でなくなる。特にアルコールのアルキル基としては炭素
数が約２〜４のものが適当である。ＰＯとＥＯはランダ
ムに付加していることが粘度の観点より必要であり、こ
れがブロック状に付加したものは粘度が高過ぎて実用性
に欠ける。本発明に特に好適な成分（Ａ）としては、ジ
エチレングリコールのＰ○，ＥＯランダム付加物で、Ｐ
Ｏ／ＥＯが１′入分子量約１００００の化合物、プタノ
ールのＰ○，ＥＯランダム付加物でＰＯ／ＥＯが１′１
、分子量約７０００の化合物を挙げることができる。本
発明油剤を構成する前記成分（Ｂ）は成分（Ａ）による
経糸の耐摩耗性（乾時対糸および緑時対金属）を妨がな
いでかつ油剤成分相互の均一性（相溶性）保持と精練性
を良くする作用効果を有するもので、前記の如き脂肪族
系の非イオン界面活性剤の中から適宜選択される。

そしてこれは１種類だけ配合してもよいが、２種類以上
併用しても勿論よい。また成分（Ｂ）のＨＬＢは低い方
が耐摩耗性阻外作用が小さく、特にＨＬＢ１ａ〆下のも
のが好ましい。本発明に好適な成分（Ｂ）の具体例とし
ては例えばポリオキシェチレンラウリルエーテル、ポリ
エチレングリコ一ルジラウリルェステル、グリセリンモ
ノオレィン酸ェステル等を挙げることができる。本発明
油剤を構成する前記成分（Ｃ）は成分（Ｂ）と同じく、
油剤成分相互の均一性（相溶性）保持と精練性を良くす
る作用効果を有すると同時に糸が接触する金属の摩耗損
傷を減らす作用効果も有するもので、例としてオレィン
酸のトリェタノールアミン塩及びオレィン酸のトリィソ
ブロパノールアミン塩を挙げることができる。

本発明油剤を構成する前記成分（Ｄ）は、成分（Ａ），
（Ｂ）および（Ｃ）を溶解または分散し、経糸の耐摩耗
性改善に寄与し（特に湿時対金属耐摩耗性を向上させ）
、かつ油剤全体の粘度を低く維持（本発明油剤が室温で
液状を維持するように）して均一軸剤付与を達成する作
用効果を有するもので、従釆紙糸油剤の一成分として使
用されている比較的分子量の大きなものとは違い、分子
量が３２０以下の低分子量脂肪族一塩基酸ェステルであ
る。分子量が３２０より大きな脂肪族一塩基酸ェステル
を使用すると油剤の粘度が高くなり過ぎ、室温で流動性
がわるいものになってしまい、経糸への均一油剤付着が
達成できなくなる。本発明に好適な成分（Ｄ）の具体例
としてはメチルオレェート、ブチルラウレート等を挙げ
ることができる。尚、従釆よりコーニングオイルの主成
分として用いられている鉱物油は、湿時対金属耐摩耗性
を改善する効果がないので（Ｄ）成分からは除外される
。本発明油剤は前記した如く（Ａ），（Ｂ），（Ｃ）お
よび（Ｄ）成分を主成分としているが、（Ａ），（Ｂ）
，（Ｃ）および（Ｄ）以外の成分、例えば水、鉱物油、
（Ｄ）以外の陰イオン界面活性剤等を本発明油剤の作用
効果を妨げない範囲で少量混合して使用することは差支
えない。本発明油剤の付与対象となる糸条はウオーター
ジェットルームによる無糊製織用の経糸として使用する
合成繊維マルチフィラメントヤーンであり、通常の非嵩
高性マルチフィラメントヤーンおよび仮撚加工を施した
マルチフィラメントャーンである。

池剤付与手段としては公知のオィリングローラ方式を採
用するのが適当であるが、油剤浴中に糸条を浸澄する方
式も採用できる。油剤は室温でストレート油剤として適
用する。油剤の付着量は通常約１〜４重量％（対繊維）
で十分である。この油剤付与は紡糸工程と製織準備工程
との間の任意の段階で行う。経糸に集東性を与えるため
に本発明油剤付与前または付与後、特公昭３６−１２２
３ぴ号公報、持公昭３７−１１７５号公報等によって公
知のインターレース処理（流体噴射交絡処理）によって
経糸を構成する単糸同志を交絡させ、かくしてウオータ
ージェットルームによる無糊製織用合成繊維マルチフィ
ラメントャーンを製造する。インターレース処理による
単糸同士の交絡の度合は、経通し等の製織準備工程の作
業性や製織性に支障をきたさない程度の集東性が得られ
るようにする必要があり、仮撚加工糸については後述す
る交絡度が１００以上となるようにインターレース処理
することが好ましい。本発明では特に７母／３８のポリ
エチレンテレフタレートマルチフィラメントヤーンの仮
撚加工糸にインターレース処理および本発明油剤処理を
施した糸条および５Ｍ／２４ｆのポリエチレンテレフタ
レートマルチフィラメントャーンの通常の非高高性糸（
フラットャーン）にインターレース処理および本発明油
剤処理を施した糸条が実用上好適である。以上述べた如
く本発明油剤は、乾時対糸耐摩耗性および湿時対金属耐
摩耗性を改善し、ウオータージェットルームによる無糊
製織における製織性を著しく向上させる効果を有するウ
オータージェットルームによる無糊製織用合成繊維用油
剤として極めて有用なものである。

また本発明油剤は通常のオィリングローラによって室温
に糸条に付与することができ、使用中油剤の濃度変化、
粘度変化や層分離がなく安定した付与ができ、しかもス
トレート油剤であるから付与後乾燥する必要がなく、粘
着あるいはスカム発生等の障害を何等伴わない。以上の
利点に加えて本発明油剤はこれを付与して無糊製総して
得た織布を精練する際簡単に除去されるため精練上の支
障がなく、多くの場合精練せずにそのまま染色しても差
支えない。またインターレース処理はマルチフィラメン
トャーンの延伸工程あるいは仮撚江程中に簡単に組込む
ことができるから、従来工程をそのまま利用でき、本発
明油剤処理も前記の如く極めて簡単に行うことができる
から工程上の煩雑さは殆んどない。そして以下に具体例
を示すとおりウオータージェットルームによる製織性に
優れており、これによって従来より著しく安価に（染色
）織物を製造することができるものである。以下に実施
例を示して本発明の効果を一段と明確にするが、実施例
中の乾時対糸耐摩耗度、湿時対金属耐摩耗度および交絡
度は経糸として用いるマルチフィラメントャーンについ
て以下に記載する方法で測定した値である。

【ィ｝ 乾時対糸耐摩耗度東洋精機製作所製のラビング
テスターを用い、１本の試料マルチフィラメントャーン
について交叉角４０ｏ、ねじり回数１回の交点３個を作
り、試料マルチフイラメントャ−ンに５００夕の荷重を
かけて摩擦回数１００回／分の速度で繰返摩擦を行い、
試料が摩耗して単糸毛羽を発生するまでの摩擦回数（ｎ
＝２０本の平均）で示す。

‘ロ｝ 湿時対金属耐摩耗度 長さ１５ｗ岬、幅３比舷、厚さ１．５肋のステンレスス
チール製矩形平板（該平板の両長端縁はいずれも長さ方
向全長に亘つて曲率半径０．７５肌の丸味をつけてある
）を長さ方向の中心軸を回転軸として回転するような糸
−金属摩擦装置を用い、１本の試料マルチフィラメント
ャーンの一端をフックに固定し、他端を該摩擦装置の矩
形平板にその回転軸を中心に２回巻き付けて４５夕の荷
重を吊した状態となし、２分毎に水を噴霧しながら矩形
平板を１５０回／ｍｉｎの速さで回転させて試料マルチ
フィラメントヤーンと矩形平板の長さ方向の縁とを摩擦
させ、試料が摩耗して単糸毛羽が発生するまでの時間（
ｎ＝２４本の平均）を分で示す。

し一 交絡度 長さ１０比泳のマルチフィラメントャーン１本をその下
端にマルチフィラメントャーンデニールの１／１０に相
当する荷重（単位夕）をかけて垂直に吊し、上から１肌
のところでマルチフィラメントャーンを２分割し、そこ
へ細い針をさし込んでその針の両端にそれぞれマルチフ
ィラメントャーンの平均単糸デニールに相当する荷重（
単位のを吊し、該荷重を２弧／ｓｅｃの速度で落下させ
、その落下が止まった所までの落下距離（肌）を読む。

同様に試料についてこの操作を５ｑ副綾り返し、その落
下距離の平均値をＸとすると、聡度＝学。

で示す。実施例 １ 常法によって溶融紡糸および延伸して得たポリエチレン
テレフタレートマルチフイラメントヤーン（７９／３８
）を、スピナータィプの仮撚機を用いて仮燃し、仮撚に
連続して交絡度が約２００になるようにインターレース
処理した後、該ヤーンに第１表に示す如き配合割合（重
量部）で種々の油剤成分を配合して調製した５種の油剤
Ａ〜Ｅを油剤付着量が１．６重量％（対繊維）になるよ
うにオィリングローラを用いて付与し、しかる後巻取っ
た。

次にかくして得られた仮撚加工糸の耐摩耗性を測定した
。なお比較のために油剤処理を行わない糸条（迫油ナシ
）についても耐摩耗性を測定した。結果を第２表に示す
。またこれらのャーンを整経、ビーミングを経て糊付け
をすることなく経糸としてウオータージェットルームで
製織し、その製織性を調べた。

なお緯糸には仮撚加工してないポリエチレンテレフタレ
ートマルチフィラメントヤーン（７母／３斑 を用いた
。製織性を第２表に併記した。・ ｘ ＰＯ／ＢＯ付加モル比＝１／３ 分子量１５，０
００×＊ ＰＯ／ＥＯ付加モル比＝１／１ 分子量 ７
，０００第２‐第２表より明らかな如く、本発明油剤（
Ａ〜Ｄ）を付与したポリエチレンテレフタレートマルチ
フィラメントヤーンは乾時対糸および緑時対金属耐摩耗
性に殴れ、ウオータージェットルームによる無糊製織性
も良好である。

また、本発明油剤を付与したヤーンを使用してウオータ
ージェットルームで１００反製織した後の筋の摩耗は軽
微であつた。一方従釆のコーニングオイルを付与したポ
リエチレンテレフタレートマルチフイラメントヤーンは
特に湿時対金属耐摩耗性に劣り、ウオータージェットル
ームによる無糊製織性も不良である。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ １〜３価のアルコールのプロピレンオキサイドとエ
   チレンオキサイドのランダム付加物であってプロピレン
   オキサイドとエチレンオキサイドの付加モル数の比が１
   ／１〜１／４でかつ分子量が３０００以上である化合物
   （Ａ）が油剤全量に対し５〜２０重量％、ポリオキシエ
   チレンアルキルエーテル、ポリエチレングリコールの脂
   肪酸エステル、多価アルコールの部分エステルおよび多
   価アルコールの部分エステルのエチレンオキサイド付加
   物の群から選ばれた１種または２種以上の非イオン界面
   活性剤（Ｂ）が油剤全量に対し５〜４０重量％、高級脂
   肪酸のアルカノールアミン塩（Ｃ）が油剤全量に対し１
   〜２５重量％を占めるように（Ａ），（Ｂ），（Ｃ）３
   成分を分子量が３２０以下の脂肪族一塩基酸エステル（
   Ｄ）に溶解または分散させたことを特徴とする合成繊維
   用油剤。