JPS6039536Y2 - 軸受 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は自動車のラック・ピニオン式操向装置に使用さ
れる軸受に関する。

自動車のラック・ピニオン式操向装置においては、ステ
アリングシャフトの先端に付されたピニオンと噛み合う
ラックを備えるラック付バーかチューブ内に軸方向移動
可能に配置され、バーの両端に連結された屈曲可能なリ
ンク機構（タイロッド、ナックルアーム等）を介して車
輪の方向を変えるように構成され、バーの軸方向移動を
支承案内する軸受かチューブの両端部に設けられている
。

又、バーの両端に付された屈曲機構部を保護するために
、ゴム材料製ベローズか該屈曲部を覆うようになしてチ
ューブの端部に取付けられており、バーの移動時におけ
るベローズの伸縮に伴なう内部空室の容積の増減に対応
するために、たとえば両側ベローズの内部空室を互いに
連通させる小径のトランスファホースをチューブに沿っ
て配置する等の手段が講じられている。

上記した軸受に対しては、走行中に振動を吸収して振動
による騒音の発生等を防止し得ること、バー、チューブ
に対する適合性にすぐれて、比較的に大なる寸法公差の
設定か許されること、製作、組立が容易であること等を
要求され、更に両ベローズの内部空室をチューブの内部
空所を介して互いに連通させる空気通路を備えているこ
とが望まれている。

上記の要求に対し、有効に対応し得る軸受の構造か実公
昭５６−３９７４７号公報に記載されている。

第１図は同公報に記載されている軸受の構造を示すもの
で略円筒形状を呈して径方向の肉厚をチューブ内周面と
バーの外周面との間の隙間寸法と略同等に製せられた軸
受本体１が放射状に配列された長孔状を呈する偶数等の
切欠２により分割され、互いに隣接する分割部分を連結
する連結部４は切欠２の端部に交互に設けられて反対側
に開口３を形成し、各連結部４は軸受本体１との接合部
にヒンジ部５を形成して外方へ反り曲った形状を備えて
おり、一方の端部において互いに対向している連結部４
の外周に係止用突起６を付されている。

上記の構成を備える軸受は、連結部４に付された係止用
突起６がチューブに穿たれた係止孔と合致するごとくな
してチューブに挿入され、係止用突起６と係止孔との嵌
合によりチューブに対する相対移動を止められ、本体１
及び連結部４の外側をチューブの内周側に支えられて、
本体１の内周面によりラックバ−を支承案内するのであ
るが、本体１は軸方向に伸びる切欠１２により分割され
、軸方向両方の端部に交互に位置する連結部によって結
合される構造となっているために、バー及びチューブと
の適合性を示すとともに、自らの弾性により振動に対す
る順応性を示し、連結部４か反りを有してバー周面から
離れていることにより切欠２を通して軸受の両側が互い
に連通されるので、チューブの両端部に取付けられた両
ベローズの内部空室をチューブの内部空所を介して互い
に連通させるように構成されている。

しかしながら、本例の軸受はチューブとの相対移動の制
止が、連結部４の外側に付された係止用突起６をチュー
ブに穿たれた係止孔に嵌合される構成となっているため
に、両者を合致させることにや）困難性があり、本体１
の両側を互いに連通させるために、切欠２の端部の連結
部４を湾曲させるとともに、反りを付する等の手段が講
じられているので、構造が複雑となって製作の困難性を
免れることができない。

本考案の軸受は弾性を備え耐摩耗性に富む合成樹脂材料
をもって製せられ、バーを支承する軸受部と、該軸受部
から一体的に伸びる延長部分とを有し、該延長部分の外
周側に環状の係止用凹溝を付されるとともに、一端から
他端へ切通された通気用スリンを有する構成を備え、延
長部分の係止用凹溝をチューブの内側に形成された環状
突起に係合させることによってチューブに対する軸方向
の相対移動を制止されるとともに、両ベローズの内部空
室を通気用スリット及びチューブ内空所を介して互いに
連通させるものである。

軸受部には端部から延長部分の中間へ達する複数条のス
リットが配設されて、チューブ及びバーとの嵌合におけ
る適合性を付与させる。

又、軸受部の外周面とチューブの内周面の間に隙開示が
設けられると共に、軸受部と支承部を連結する部分の肉
厚を、軸受部と支承部の肉厚よりも薄く形成されて、軸
受部の摺動抵抗の増大を防止すると共に、軸受の振動吸
収特性の向上を図る。

以下図示の実施例について説明する。

第２図及び第３図に示された実施例においては、バー１
０を支える軸受部２０の両側に軸受部２０に比し、や）
大径に製せられた支承部２１を有し、ゴム材料製ベロー
ズ１７をチューブ１１に取付けるための環状取付溝１３
を設けることによってチューブ１１の内側に形成された
環状突起１４に嵌合する係止用溝２３及びチューブ１１
に穿たれた通気孔１２に連通ずる環状の通気用溝２２を
付され、一端から他端へ達する１条通気用スリット２５
及び軸受部２０側端部から係止用溝２３の中程へ至る３
条のスリット２６を付されている。

上記の構成になる軸受は全長にわたって切通された通気
用スリット２５において径方向にくい違いを生じさせて
１のヨ字形状変形させることによって外径寸法を縮小さ
せてチューブ１１に挿入し、係止用溝２３がチューブ１
１の環状突起１４と合致した位置で円筒形状に復帰させ
た後に、バー１０を挿入し、支承部２１をチューブ１１
の内周面に支えさせて軸受部２０によりバー１０を支え
るように組立てられる。

軸受部の外周面とチューブの内周面の間に隙間が設けら
れ、軸受部と支承部を連結する部分の肉厚を、軸受部と
支承部の肉厚よりも薄く形成されている。

ベローズ１７の内部空室は通気孔１２→通気用溝２２−
通気用スリット２５、又はチューブ１１の開口部→通気
用スリット２５を径でチューブ１１の内部空所と連通ず
る。

上記した本考案の軸受は、軸受部から延長する部分に設
けられた係止用溝をチューブの内側に設けられた環状突
起に係合させることによって軸方向に位置決めされる構
成となっているために、従来技術における係止用突起と
係止孔の嵌合による位置決め構造の場合に比し、軸受と
チューブとの結合が極めて容易であり、全長にわたって
切通された通気スリットを備えていることにより、ベロ
ーズ内部空室の連通が完全であり、チューブの内周面及
びバーの周面に対し適当な弾性を保って接触し、組立て
に当っては１の１字状に変形させて外径寸法を縮小させ
ることができるために装着作業も極めて容易に行うこと
ができる。

更に、本考案は以下の効果を奏するものである。

■ 軸受部の外周面とチューブの内周面の間に隙間が設
けられているため、バー、軸受部及びチューブの半径方
向寸法のバラツキを容易に吸収できる。

したがって、半径方向寸法のバラツキに起因する軸受部
の摺動抵抗の増大を防止できる。

■ 軸受部と支承部を連結する部分の肉厚を、軸受部と
支承部の肉厚よりも薄く形成された合成樹脂材製の軸受
であるため、軸受部と支承部を連結する部分の柔軟性が
良好である。

したがって、軸受の振動吸収特性を向上することができ
る。

■ 半径方向寸法のバラツキに起因する軸受部の摺動抵
抗の増大が防止できることから、軸受の寿命を向上する
ことがでる。

【図面の簡単な説明】 第１図は先行技術による軸受の一例を示す断面図、第２
図は本考案による軸受の組立状態を示す断面図、第３図
は本考案の軸受の斜視図である。 １・・・・・・軸受本体、２・・・・・・切欠、３・・
・・・・開口、４・・・・・・連結部、５・・・・・・
ヒンジ部、６・・・・・・係止用突起、１０・・・・・
・バー、１１・・曲チューブ、１２・・開通気孔、１３
・・・・・・環状取付溝、１４・・・・・・環状突起、
１７・・・・・・ベローズ、２０・・・・・・軸受部、
２１・・・・・・支承部、２２・・・・・・通気用溝、
２３・・・・・・係止用溝、２５・・・・・・通気用ス
リット、２６・・・・・・スリット。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. チューブ１１に嵌合して前記チューブ１１を貫通するバ
   ー１０の運動を案内する軸受であって、前記バー１０を
   支承する軸受部２０及び支承部２１と、前記チューブ１
   １の内側に形成された環状突起１４に嵌合する係止用溝
   ２３と、軸方向一端から他端へ切通された通気用スリッ
   ト２５とを有し、前記軸受部２０の外周面と前記チュー
   ブ１１の内周面の間に隙間が設けられると共に、前記軸
   受部２０と前記支承部２１を連結する部分の肉厚を、前
   記軸受部２０と前記支承部２１の肉厚よりも薄く形成さ
   れて戒る合成樹脂材料製軸受。