JPS6039480B2 - ガスシ−ルドア−ク溶接用フラツクス入りワイヤ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は等脚性の良好な水平すみ肉溶接金属を与えるガ
スシールドアーク溶援用フラックス入りワイヤに関する
ものである。

・水平すみ肉溶接におけるビード形状の評価ポイントと
しては、一般に次の３項目が挙げられている。

｛１｝ 等脚性が優れているか否か。

■ アンダーカットの発生を防止し得たか否か。

｛３｝ 揃の良い、しかも平らなビードが形成されてい
るか否か。勿論溶接施工部の状況如何にもよるが、上記
３項目は継手強度にとって重要な意義を有しており、特
に造船や橋梁建設の分野では、相当に慎重且つ厳密な事
前検討を加えた上で溶接材料（被覆アーク溶援棒やガス
シールドアーク溶接用ワイヤ等）を定するのが一般的で
ある。

しかるに現，在市場に提供されている溶接材料の中から
上記条件を悉く満足するものを探すことは極めて困難で
あり、特に高能率という特性を有するガスシールドアー
ク溶接用のフラックス入りワイヤ（以下単に複合ワイヤ
という）の市販品には、上記３条件を全て満足するもの
が見当らない。即ち被覆アーク溶接棒は、用途が広範に
亘る為夫々の目的に合わせた溶接榛が提供される様にな
り種々の専用溶接棒を入手することができるが、複合ワ
イヤについては専用ワイヤについての検討が余り進んで
いないという状況にあり元々銘柄が少ない上に、複合ワ
イヤを用いる半自動溶接では手溶接の如きコンタクト溶
接ができない為、トーチ角度やワイヤの狙い位置が変動
し易く、上記３条件のうち、等脚性を満足することが特
に困難となっている。又母村側の影響も無視できず、例
えば有機ジンクリッチプラィマ一等の塗布されたペイン
ト鋼板の溶接では等脚性が著しく不安定になり、熔接作
業性を優先してトーチ角度を楽な姿勢に保持すると下胸
長が過大になる傾向を見せ、逆に上脚を十分形成すべく
トーチ角度を無理に変更すると運棒が不安定になって上
胸側にアンダーカットが多発し、手直し溶接が必要にな
ってくる。又無理に設計胸長を得ようとすると、余分な
落着金属が必要となり、コスト高になると共に過剰入熱
の為に母材の変形を招く場合もある。本発明はこの様な
事情に着目してなされたものであって、すみ肉部の半自
動熔接に適用した場合トーチ角度が変動したり、トーチ
移動（蓮榛）の安定性が低下しても良好な等脚性が有す
ると共にアンダーカットのない且つ揃いの良好な平滑ビ
ードを形成することのできる様な複合ワイヤの提供を目
的とするものである。

上述の目的に適うものとして提供される本発明のワイヤ
とは、Ｔｉ０２：２５〜５の重量％（以下単に％）、Ｍ
ｇ０：５〜２５％、弗化物：７〜２５％、Ｍｎ：２〜３
０％、Ｓｉ：１〜１５％を必須成分として含有し、且つ
葦特筆（重量比）が。

２５〜〇‐６０であるフラックスを、軟鋼製外皮中に１
０〜３０％（対ワイヤ全重量）充填したものであり、こ
れによって前記３条件を満足するすみ肉溶接金属を形成
することが可能となった。

又上記条件を満足する他、フラックス中にＭｇと川のい
ずれか一方又は双方を、合計で０．１〜６％の範囲で含
ませたところ、溶瓶移行がスプレー状となりｒスパッタ
発生量を著しく軽減することが可能となった。以下本発
明における成分特定並びに数値限定の根拠を説明し、本
発明の構成及び作用効果を明らかにしていく。

Ｔｉ０２：２５〜５０％Ｔｉ０２アークの安定性を向上
すると共に、生成スラグの被包性を良くするものである
が、２５％未満ではこれらの効果が発揮されず、アーク
が不安定になってスパッタが多発すると共に、スラグの
被包が不十分になって凹ビード‘こなり易い。

他方５０％を越えるとスラグが被り過ぎになって不揃い
且つ不等胸ビードが形成されるので好ましくない。Ｍｇ
○：５〜２５％ Ｍｇ０はスラグの剥離性を向上すると共に、ビードの止
端を滑らかにする成分であるが、５％未満ではこれらの
効果が期待できず、逆に２５％を越えると熔融スラグが
玉状に分離する額向を見せ、スラグの被りが急激に悪く
なってアンダーカットの多発やビードの凸型化を招く。

弗化物：７〜２５％蟹石、発化アルミニウム、弗化バリ
ウム、弗化ナトリウム等の金属弗化物として添加され、
生成スラグの粘性を調整する。

即ち上記範囲内においては被包性にとって良好な粘性が
与えられ、光沢のある平滑なビードが形成される。しか
し７％未満ではスラグの粘性が過剰となりビード‘こ光
沢がなく且つ不揃いになり、他方２５％を越えると、ス
ラグの流動性が過剰になってスパッタの増大を招き易く
、且つ凹凸ビードが形成される。Ｍｎ：２〜３０％ 脱酸剤としての機能を発揮し溶着金属の機械的性質を改
善するが、２％未満では脱酸不足の為に気孔が発生し、
他方３０％を越えると、落着金属の引張強さが高くなり
過ぎて衝撃性能が悪くなり、溶解０２濃度を少なくして
気孔が発生しやすくなる。

Ｓｉ：１〜１５％ Ｍｎと同様の機能を有する他、ビードのなじみを良好に
するという性質もある。

しかし１％未満ではビー−ドのなじみが悪く、又脱酸不
足による気孔が多発してくる。一方１５％を越えるとＭ
ｎの場合と同様衝撃性能が悪くなると共に溶解０２濃度
を少なくする方向に作用して気孔が発生し易くなると共
に、アークが非常に粗く且つ強くなってスパッタ増につ
ながり、更にアンダーカットも発生し易くなる。峯特筆
：ｏ‐２５〜ｏ‐６０ 前述の５成分を夫々規定の範囲内で含むフラツクスを充
填した軟鋼外皮製のフラックス入りワイヤは、トーチ角
度や熔接速度等が適正な条件範囲に守られている限り、
等脚ｉ性、形状及び揃い等の各項目においてほぼ理想的
なビードを形成するということが分かった。

しかし実際の溶接では、トーチ角度が変動したり、溶接
速度が変化したり、或いは有機ジンクリッチプラィマ等
のペイント塗布鋼板を熔接しなければならない場合等に
遭遇し、等織性の劣化を余儀なくされることの方が多い
。そこでこの様な悪条件下でも等脚ビードを形成し得る
条件について種々検討し、ア−ク性状やビード形状の等
脚性に及ぼす影響を明らかにすることができた。即ち一
般にビードが凹型化するにつれて等脚性は劣化するが、
アークの広がりを抑え且つスラグの粘性を下げていくと
、上述の如き悪条件下でも等脚性が非常に良くなるとい
うこと、並びに上記によって等脚性が良くなっても、ス
ラグの彼包性が劣化した場合には凸型の２段ビードが形
成され易いこと等が判明した。即ち等脚性を維持すると
共にビードの凹凸をなくす為には、スラグの被包性を良
好に保持すると共にピードの凹型を防止することが不可
欠であることが分かった。しかるところ、たまたま前記
のＴｉ０２は既述の如くスラグの彼包性を向上する成分
であり、且つ前記弗化物は同じく既述の如くビード外観
を平滑化して凹型化を防ぐ部分であるから、これらを前
述の範囲内で配合するという条件だけでなく、これらの
配合比を工夫すれば最も好ましいビード形状が得られる
のではないかと考え、これらの配合比を種々変動させた
フラックスを調製し、軟鋼製外皮に充填して試作ワイヤ
を作り実験を行なった。く溶接条件＞ ワイヤ雀：１．６肋中 溶接電流：３４０Ａ（ＯＣＲＰ） 溶髪電圧：３３Ｖ 溶接速度：５０ｃの／分 シールドガス：１００％Ｃ０２、２５夕／分溶接姿勢：
水平すみ肉熔接供試鋼板：ペイント塗布鋼板（有機ジン
クリッチプラィマ：３岬肌塗布）１２側ｔ×８５肋Ｗ×
１０００肌夕２枚継手形状：Ｔ型すみ肉継手 トーチ角度：第１図参照（図の角度は、等脚性が劣下し
易い角度）＜評価方法＞ 断面マクロ試験片を作製し、上脚長と下脚長の差により
、次の様に評価した（第２図参照）。

○・・・・・・１．５側以下、等脚性が非常に良好△・
・・・・・２．０以下、等脚性が良好×・・・・・・２
．仇肋超、等脚性が悪い第２図において○、△、×の各
印の下に記した数字は、上脚長と下脚長の差（実測値、
単位：肌）であるが、第２図から明瞭に理解される様に
、Ｔｉ０２と発化物の含有量が夫々前述の規定範囲内で
あっても、拳指蟹で与えられる重量比が、０．２５〜０
．６０の範囲内であれば、１．５柳以下、せいぜい２．
物舷以下の脚長差におさえることができ、満足な結果と
言い得るが、上記範囲を外れると、４０側近くに及ぶ脚
長差を示し、等脚性という点で満足できるものとは言い
難い。

尚参考写真はビードの断面マクロを示し、Ａ〜Ｄは夫々
峯特筆が、０．４５（評価○）、０．２６（評価△）、
０．１９（評価×）、夕０．７０（評価×）のものを示
す。上記各条件を満足する複合ワイヤは、トーチ角度が
大きく変動する場合や、有機ジンクリッチプラィマ等の
ペイントを塗布した鋼板を高速熔接する場合でも、等脚
性が良好であると共にアンダー０カットが発生せず、し
かも揃の良い平滑なすみ肉ビードを形成することができ
、本発明の所期の目的は見事に達成された。

ところで炭酸ガスシールドアーク溶接における問題点と
していまいま取り挙げられるものの中夕に、スパッタの
多発がある。

スパッタの発生量が多いと溶接後の処理工数が増大して
溶接コスト上不都合であるだけでなく、ノズルに対する
スパッタの付着という問題があり、短時間のうちにシー
ルド不足を招き、又ワイヤの逆議合性が劣化、時に０溶
接の続行が不可能となる。そこで上記の成果に満足せず
、更にスパッタ発生量の低下という効果も得ようと考え
、鋭意研究を進めたところ、ＡＩ又はＭｇを単独若しく
は併用して上記フラツクス中に配合すれば良いとの知見
を得、好適な配合範タ囲を探求した結果、前記フラック
ス中のＡＩとＭｇの合計が（単独の場合はいずれか一方
が）０．２〜６％の範囲であれば、スパッタ発生量を大
幅に減少せしめる得るとの結論に至った。この原因は、
アークが非常に安定化すると共に、溶接移行が細０かし
、スプレー状になった為であると考えられているが、上
記配合範囲は次に示す実験結果に基づいて定めたもので
ある。＜実験方法＞ 第３図に示す様に、トーチ２を下向き姿勢で固定し、Ｔ
型すみ肉試験片３を４５度傾斜させて走行台車５に固定
し、そのまわりに浦集皿４を配置した。

尚１はヮィャフィーダを示し、第４図は捕集皿４及び試
験片３の平面図である。走行台車５を第３図の紙面貫通
方向に一定速度で走行させ、３２０Ａ−３３Ｖの条件下
、１００％Ｃ０２のシールドガスを２５そ／分の割合で
供給しながら溶接を行ない、トーチ２や捕集皿４に付着
したスパッタを採取し、単位時間当りの浦集量を測定し
たところ、第５図に示す様な結果が得られた、尚使用ワ
イヤは１．６側めであり、第５図の機軸にはフラックス
中の金属ＡＩと金属Ｍｇの総和を示した。

第５図から明白な様にＡＩとＭｇの単独又は併用におけ
るこれらの合計量が０．２〜６％の範囲ではスパッタ発
生量が減少したが、この範囲をわずかでも外れると、ス
パッタ発生量が急激に増大する傾向を示した。フラック
スの組成については、上述した通りであり、上記条件を
満足する限り他の成分組織については特段の制限がなく
、一般的に使用されているアーク安定剤やスラグ形成剤
等を自由に配合することができるが、ワイヤ全重量に対
するフラツクスの充填比率は無制限に許される訳ではな
く、ワイヤ全重量に対して１０〜３０％の範囲でなけれ
ばならない。

即ちフラックス充填量が１０％末満では、生成スラグの
絶対量が不足する為スラグの被包性が低下し、アンダー
カットの多い凸型ビードになり易く、一方３０％を越え
ると、生成スラグ量が過大になる為スラグが溶融池を覆
い過ぎ、ビードの揃いが劣化してくる。本発明のワイヤ
は上述の如く構成されているので、以下要約する様な効
果が得られる。

｛１｝ トーチ角度が変動する溶接やペイント塗布鋼板
の高速溶媒であっても、等卿性が良好であると共にアン
ダーカットが驚く、しかも揃の良い平滑ビードが得られ
る。

■ 炭酸ガスアーク溶接（半自動及び全自動）における
顕著な欠点（スパッタの多発）を大中に軽減でき、溶接
後の処理工数が少なくなり、且つノズルに対するスパッ
タ付着事故が激減した。

又該効果は、（Ｃ０２十Ａｒ）、（Ｃ０２十０２）、（
〜＋０２）等の混合シールドガスアーク溶接においても
遺感なく発揮される。次に本発明の実施例を示す。

第１表に示す成分組成のフラックスを軟鋼製外皮中に充
填（充填率：１５〜１６％）して１．６側めの複合ワイ
ヤを試作し、前出の溶接条件と全く同一の条件で溶接し
た。

結果は第１表に示す。船 球 葦 。

Ｘ○ 毒奪 きり Ｚｑ 登極 Ｑ 儀 暑さ ふ亀 ー◎ ※ 第１表から次のように考察することができる。

（Ａ−１）Ｔｉ０２が不足し、弗化物が過剰である。

従ってスラグの被包性が悪くなり、アンダーカットの多
い凸型ビードもこなった。又ＮやＭｇを含ますスパッタ
が多発した。（Ａ−２）Ｔｉ０２が過剰で弗化物が少な
い。

その為揃いの悪い凹型の不等胸ビードとなり、ビード表
面の光沢も悪かった。スパッタについては（Ａ−１）と
同じである。（Ａ−３） Ｍ５のが過剰でＭｎが不足している為、アンダーカット
の多い凸型ビードとなった。

また脱酸不足による気孔が多く、ＡＩとＭｇを３％含有
しているにかかわらずスパッタ発生量の軽減効果は得ら
れなかった。（Ａ−４） Ｍｇ０が不足し、Ｍｎが過剰である。

その為ビードのなじみが悪くスラグの剥離性も悪くなる
。又Ｍｎ過剰に基づく気孔が多くみられた。スパッタに
ついては（Ａ−１）と同じである。（Ａ−５） Ｓｉが不足しているのでビードの揃いとなじみが悪く、
又脱酸不足による気孔の発生が認められた。

スパッタについては（Ａ−１）と同じである。（Ａ−６
） Ｓｉが過剰の為ア−クが強過ぎ、アンダーカットが発生
すると共に、Ｍｇ含有にもかかわらずスパッタの多発を
招いた。

（Ａ−７） Ｔｉ０２、弗化物、Ｍｂの、Ｍｎ、Ｓｊの個々について
は本発明の条件を満足するが、里指掌の比が本発明の条
件を満足せず、等脚性が悪かった。

これらに対し、（Ｂ−１）〜（Ｂ−４）は特許請求の範
囲第１項の要件を満足し、（Ｂ−５）〜（Ｂ−１０）は
特許請求の範囲第２項の要件を満足するので、夫々本文
に記載した様な効果を挙げている。

【図面の簡単な説明】

第１図は実験におけるトーチの狙いを示す説明図、第２
図はＴｊ０２、発化物の効果を示すグラフ、第３図はス
パッタ発生量測定装置の側面図、第４図は同平面図、第
５図は金属ＡＩと金属Ｍｇの効果を示すグラフである。 第５図第１図 第２図 第３図 第４図

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ＴｉＯ＿２：２５〜５０重量％（以下単に％）、Ｍ
   ｇＯ：５〜２５％、弗化物７〜２５％、Ｍｎ：２〜３０
   ％、Ｓｉ：１〜１５％を必須成分として含有し、且つ（
   弗化物）／（ＴｉＯ＿２）（重量比）が０．２５〜０．
   ６０であるフラツクスを、軟鋼製外皮中に１０〜３０％
   （対ワイヤ全重量）充填したものであることを特徴とす
   るガスシールドアーク溶接用フラツクス入りワイヤ。 ２ ＴｉＯ＿２：２５〜５０％、ＭｇＯ：５〜２５％、
   弗化物：７〜２５％、Ｍｎ：２〜３０％、Ｓｉ：１〜１
   ５％、Ａｌ及び／又はＭｇ：０．２〜６％を必須成分と
   して含有し、且つ（弗化物）／（ＴｉＯ＿２）（重量比
   ）が０．２５〜０．６０であるフラツクスを、軟鋼製外
   皮中に１０〜３０％（対ワイヤ全重量）充填したもので
   あることを特徴とするガスシールドアーク溶接用フラツ
   クス入りワイヤ。