JPS6036645A - 複合シリンダ−ライナ− - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は強靭複合シリンダーライナーの提供に関する。

内燃機関に使用されているシリンダーライナーは、ピス
トンリングと同時摺動し気密性を保持しなければならな
いことから、基本的に耐摩耗性と耐焼付性が必要とされ
る。この目的のため、従来シリンダーライナーの用途に
は、Ａ型黒鉛を有しＯｒ、　Ｂ％ｐ、ｖ％Ｍｏ、Ｎｂ等
の耐摩耗性向上元素を含有する特殊鋳鉄鋳物が専ら用い
られてきている。

しかし乍ら、最近の内燃機関の大型化、またその軽量化
、低燃費化の要求に伴い、上記従来材質では強度的に不
足を来たしており、強度面での向上が切望されている。

強度の向上の目的のためには、ライナー材質により高強
度のものを選ぶことも考えられるが、シリンダーライナ
一本来の必要特性である耐摩耗性・耐焼付性を損うおそ
れがあり、実際上限界がある。またライナー肉厚を厚肉
化することも有効であるが、この場合には軽量化という
目的には逆行％　５ する。そこで、外層を強靭性に優れる材質で形成この場
合、（１）溶着部にセメンタイト過多等を起こし、強度
面、熱伝導面での問題が発生し、また（ＩＩ）　内層材
質中に外層材質が混合、拡散することにより、内層材質
が変化する、という問題がありこの問題を解消すること
が望まれている。

ところで、シリンダーライナーの使用状況と破損原因に
ついて分析すると、 （１）耐摩耗性、耐焼付性を必要とする部分け、ピスト
ンリングとの接触部、即ちライナー内表面のみである。

（１１）シリンダーライナーの破損は、その外表面を起
点とする。

ことが知られる。

本発明はかかる点に着目して、シリンダーライナーに従
来例をみない複合化技術を適用し、叙上の目的を達成せ
んとするものである。

すなわち、本発明の複合シリンダーライナーは、ｏ６ その内層（内表面近傍）は耐摩耗性、耐焼付性に優れる
特定化学組成の特殊鋳鉄材質で形成する一方、外層（外
表面近傍）は強靭性に優れる特定の黒鉛鋼材質で形成し
、かつ前記内層と外層との間の中間層は、各層間溶着部
の改善及び内層材質の健全化のための特定化学組成の特
殊鋳鉄材質で形成して、外層と中間層、中間層と内層と
が各々冶金的に溶着一体化し、全体として必要な耐摩耗
性・耐焼付性の使用特性を損わず所期目的とする強度の
向上、層間溶着部の改善及び内層材質の健全化を計るこ
とに成功したものである。

以下本発明について詳述する。

本発明の複合シリンダーライナーは、第１図に示すよう
な構造を具備してなる。すなわち、その外層αは後に詳
述される強靭性に優れる黒鉛鋼材質からなり、一方その
内層６は耐焼付性、耐摩耗性に優れる特定化学組成の特
殊鋳鉄材質からなり更に中間層ａけ、各層間溶着部の改
善及び内層材質の健全化のための特定化学組成の特殊鋳
鉄材質で形成して、外層と中間層、中間層と内層とが、
ｌＶ＆＋７ 各々冶金的に溶着一体化されて構成されている。

本発明の多層構造を有する複合シリンダーライナーは遠
心力鋳造法により容易に製造できる。すなわち、まず外
層を鋳込んだ後、適宜タイミングで中間層材質を鋳込み
、更に適宜に内層材質を鋳込み、各音を溶着一体化する
。

なお遠心力鋳造法には、横型、傾斜型、竪型のいずれも
適用可能である。

次に、本発明の複合シリンダーライナーの外層を形成す
る黒鉛鋼材質について説明する。

本発明では強靭性に優れるライナー外層材として、次の
ような成分組成のものを使用することを特徴とする。す
なわち、外層は重量秀で０１．０〜２．０　％、Ｓｉ　
Ｏ，６−３，０％、Ｍｎ　Ｏ０２〜１．０％、ＰＯ，１
％以下、Ｓ　Ｏ，１％以下／と、Ｎ１２．５％以下、Ｃ
ｒ１．Ｑ％以下、Ｍｏｌ、０％以下、Ｓｎ０．３％以下
、Ｃｕ４．０％以下、Ｔｉ　、　Ｚｒ　、希土類元素の
１種又は２種以上の合計０．１％以下、Ａｌ、　Ｃａ　
、　Ｂａ　、　Ｓｒの１種又は２種以上の合計０．２％
以下のうち１種又は２種以上を含み、残部Ｆｅおよび通
常の不純物からなり、特開昭ＧＯ−３６Ｇ４５（３） はぼ球状の黒鉛と基地を主体とする黒鉛鋼からなる。

そこで、上記特定材質の化学成分、顕微鏡組織等につい
て、下記に詳述する。

（１）化学成分 ｃ　：　１．０〜２．０％ 外層の黒鉛鋼材質は、はぼ球状黒鉛と基地とからなり（
たたし少量のセメンタイトの晶出は問題ない）、強靭性
を最重要視するものである。しかしてＣ１，０％未満で
は、溶解、鋳造温度が高くなり、コストアップを招く不
利があり、一方２．０　％を越えると黒鉛が球状でなく
なる傾向が大となり強靭性が低下する。

１Ｍ：ｏ、６〜３．０％ Ｓｌは黒鉛の晶出と密接な関係があり、０．６％未満で
け殆んど黒鉛の晶出が困難となり、強靭性の劣化を招く
。しかし３．０％を越えると、基地中に固溶したＳｌの
材質脆化の傾向が著しくなる。

Ｍｎ　：　０．２〜１．０％ ＭｎけＳと結合し、Ｓの悪影響を除去するのに有限　９ 効である。Ｍｎｏ、２％未満ではその効果がなく、一方
１０％を越えると材質を硬く、脆くするためである。

Ｐ　：　０．１％以下 Ｐは溶湯の流動性を高めるが、材質を脆くする本材質の
場合０．１％以下とする。

ｓ　：　０，１％以下 ＳもＰと同様に材質を脆弱にするため０．１　％以下と
する。

Ｎｉ　、　Ｃｒ　、　Ｍｏ　、　Ｓｎ 阻、　Ｏｒ　、動、　Ｓｎは強靭性の向上に有効であり
、Ｎｉ２．５％以下、Ｃｒ０．８％以下、Ｍｏ０．６％
以下、８ｎＯ１３褒以下の１種もしくけ２種以上の含有
によりライナーの強靭化が可能となる。各々の作用およ
び成分限定理由を以下に説明する。

Ｎｉ：２，５％以下 Ｎｉは黒鉛化と基地の強化に有効に作用するが２．５％
を越えると経済的に不利となり、またベーナイト、マル
テンサイト、未変態組織を発生し易くなり、かえって脆
くなる場合があるため陽１０ である。尚、好ましくは０．５％以上の含有が効果的で
ある。

Ｃｒ：１．０％以下 Ｃｒは基地の強化作用と共に、セメンタイトの安定作用
を有する元素であるが、１．０％を越えると黒鉛の晶出
が困難となって、強靭性を劣化させるためである。尚、
好ましくけ０．１％以上の含有が効果的である。

Ｍｏ：１．０％以下 ＭＯはＮ１と同様に強靭性向上に効果を奏するが１．０
％を越えると硬くなって、かえって強靭性を劣化するた
めである。尚、好ましくけ０．１　％以上の含有が効果
的である。

Ｓｎ：０．３％以下 上舵外層材質はその鋳造条件によっては、基地中にフェ
ライトが過多となって、耐力、疲労強度の低下を招来す
ることがある。その場合、パーライト安定作用のあるａ
ｎをその効果が飽和する０、３　％の範囲内で添加する
のが有効である。

尚、好ましくけ０．０３％以上の含有が効果的であＮＱ
ｌす る。

Ｃｕ：４．０％以下 ＣｕはＳｎと同様にフェライトの析出を抑え、パーライ
トを安定する作用がある。また耐腐食性を改善する。シ
リンダーライナーの外面側は一般に水冷されており、外
面からの腐食もライナー破損の原因（腐食疲労）となる
。

そのため、Ｃｕを含有させると、より、耐事故性が向上
するが４．０％を越えても効果は飽和するため、４．０
％を上限とする。尚、好ましくは０．１％以上の含有が
効果的である。

Ｔ１、Ｚｒ、希土類元素：１種又は２種以上の合計が０
．１％以下 これらの元素の１種又は２種以上を添加含有せしめるこ
とによって、黒鉛鋼材質における鋳造巣の発生を確実に
防止することができ、より健全な材質が得られる。この
さい、これらの元素は全て強力な脱酸剤である故、過剰
に添加すると過酸化状態をきたし、溶湯の流動性を阻害
する。このため、その添加量は合計量で０．１重特開昭
ＧＯ−３６６４５（４） 量％以下とする。尚、好ましくけ０．０２％以上の含有
が効果的である。

Ａ／％Ｃａ、Ｂａ％Ｓｒ：１種または２種以上の合計が
０．２％以下 組織の微細化、黒鉛化を目的と１−て、接種が行われて
いることが知られている。本発明ライナーにおいても接
種を行うことにより材質改善が計られることは後述の通
りである。

接種効果は、時間とともに７エイデイングを起すため、
厚肉鋳物のような凝固まで長時間を要するものでは、通
常のＦｅＳｉでは接種効果があまり期待できない。その
場合、これらの元素を１種もしくは２種以上含有させる
と接種の持続性が改善される。この目的のためには、１
種もしくは２種以上の合計量が０．２％以下で良く、そ
れ以上の含有では効果は比例的に向上しないため、コス
ト面で不利となる。尚、好ましくは０．０２％以上の含
有が効果的である。

（１１）外層材質の接種 一般に、接種は鋳造組織の微細化、黒鉛化の隘１３ 助長のために有効である。そして上記材質についても接
種技術を応用すれば、より微細かつ均一に黒鉛の分布し
た材質が得られる。このさい接種量は８１分として０．
０５〜１．０％が適当である。

すなわち０．０５％未満では接種効果が期待できず一方
、１．０％を越えても相応の効果が得られないためであ
る。接種剤とし、ては一般にＦｅＳｉが好適であるが、
より接種効果を高めるものとしてＣａｄｉまた、Ｃａ、
　ＡＩ！、Ｂａ％Ｓｒを１種もしくは２種以上含むＦｅ
Ｓｉがあり、この使用により、より組織の微細均一な材
質が得られる。なお接種後におけるＳ１含有量は前記限
定成分範凹に調整される。

＠）外層材質の顕微鏡組織 本材質の顕微鏡組織は、はぼ球状の黒鉛と基地が主体で
あり、少量の共晶セメンタイトが含まれる場合もある。

セメンタイトは脆いため、本発明の目的からは、共晶セ
メンタイトの晶出はできるだけ抑えられる方が望ましい
。基地は主としてパーライトであり、一部フエライト、
陥１４ ベーナイト、マルテンサイト、残留オーステナイトが認
められる場合がある。フェライトは靭性面で優れており
、目的によっては析出させる方が望ましい場合もある。

ベーナイト、マルテンサイト、残留オーステナイトにつ
いては、材質を劣化させるため、発生しないように努め
るべきである。

次に、本発明の複合シリンダーライナーの内層を形成す
る特殊鋳鉄材質について説明する。

本発明では耐摩耗性、耐焼付性に優れるライナー内層材
として、次のような成分組成のものを使用することを特
徴とする。すなわち、内層は重量％で、Ｃ２，５〜４．
０％、Ｓｉ　ｏ、ｓ　〜２．５　％、Ｍｎ０．３〜１．
５％、Ｐ　Ｏ，０５〜１．５％、Ｓ　０１３％以下と、
Ｎ１２．５％以下、ｃｒｌ、５％以下、Ｍｏ０．８％以
下、ＳｎＯ，５％以下、ｃＢ、ｏ％以下、Ｂ、’Ｉ’ｉ
、Ｖ、Ｎｂ％Ｚｒの１種又は２種以上の合計１．０％以
下、Ａｌｌ’、Ｃａ、Ｂａ、　Ｓｒ、希土類元素の１種
又は２種以上の合計０．２係以下のうち１種又は２種以
上を含み、残部Ｆｓおよび通常の不純物からなる鋳鉄材
質である。

Ｎｏユ５ そこで、上記特定材質の化学成分、顕微鏡組織等につい
て、下記に詳述する。

（１）化学成分 Ｃ：　２．５〜４．０％ 内層材質は耐焼付性、耐摩耗性を必要とし、そのために
は、よく延びた黒鉛と炭化物（Ｆｅ５Ｃ、Ｃｒ複炭化物
、ｖＰＡ化物等）が必要である。２．５％未満では、黒
鉛量、炭化物量のいずれも不足し、耐焼付性、耐摩耗性
が劣化する。一方４．０％を越えると、黒鉛・炭化物い
ずれも多くなり過ぎて脆くなる。

Ｓｉ：０．８〜２．５％ Ｓｌけ黒鉛化能を有し、黒鉛量と炭化物量の比率を決定
する重要な元素である。０．８％未満では黒鉛量が不足
し、耐焼付性が劣化する。２．５％を越えると炭化物が
少くなり耐摩耗性が劣化する。

Ｍｎ　：　０．３〜１．５％ ＭｎけＳの害を除くとともに基地の強化に有効である。

この目的のためには０．３％以上必要である。

一方１．５％を越えると硬くなり過ぎて脆くなる。

１梱ＢａＧＯ−３６ｆ；４５　（５） Ｐ　：　０．０５〜１．５％ Ｐは一般に材質の機械的性質を劣化させる元素として知
られているが、ライナー内層材質においては、Ｐを含有
させることによって、Ｐ共晶物を生成し、Ｐ共晶物が耐
焼付性、耐摩耗性向上に大きな効果を発揮する点で有効
な元素である。耐焼付性、耐摩耗性向上のためには、０
．０５％未満ではその効果が期待できず、また１、５％
を越えると機械的性質が劣化し７、欠は落ち摩耗を発生
し易くなる。

Ｓ　：　０．３％以下 Ｓは材質の機械的性質を劣化させる、いわゆる不純元素
であるが、本発明内層材質として問題のない範囲として
０．３％以下とする。

Ｎｉ　、　Ｃｒ　、　Ｍｏ　、　５ｎ Ｎｉ　、　Ｃｒ　、　Ｍｏ　、　Ｓｎは基地を強化し、
強靭性向上硬度アップに有効であり、Ｎ１Ｊ５％以下、
Ｃｒｌ、５％以下、ＭｏＱ、８％以下、ｓｎｏ、５％以
下の１種もしくは２種以上の含有により、本発明ライナ
ーのより耐摩耗性向上が可能となる。これら元素各々の
作＆ユフ 用および成分限定理由を以下に述べる。

Ｎｉ：２，５％以下 Ｎ１け基地の強化に有効に作用するが、２．５％を越え
ると、経済性の面で不利となるばかりでなく、焼入れ組
織（ベーナイト、マルテンサイト）、未変態組織を発生
し易くなり、かえって脆くなる。また、焼付を発生し爲
くなる。尚、好ましくは０．５％以上の含有が効果的で
ある。

Ｃｒ：１．５％以下 Ｎ１と同じく基地の強化に有効であるが、一方炭化物生
成傾向が強い。そのため１．５％を越えると、黒鉛量が
低下し、耐焼付性、強靭性が劣下する。尚、好ましくは
０．１％以上の含有が効果的である。

Ｍｏ：ｏ、８％以下 Ｎ１と同じく基地の強化に有効であるが、Ｏ，Ｓ％を越
えると、経済面、および焼入れ組織生成の面で問題とな
る。尚、好ましくは０．１％以上の含有が効果的である
。

Ｓｎ：０．５％以下 ｎ１Ｂ Ｓｎはフェライトを抑え、パーライトを安定させる作用
がある。しかし乍らその作用は本材質の場合０．５％を
越えても飽和するため、０．５％以下とする。尚、好ま
しくけ０．０３％以上の含有が効果的である。

Ｃｕ：　４．０％以下 ＣｕはＳｎと同様、フェライトを抑え、パーライトを安
定させる作用があるが、その他に耐腐食性向上の効果が
大きい。ライナー内面の摩耗には腐食摩耗も含まれるた
め、耐摩耗性向上のためには、Ｃｕを含有させる方が好
結果が得られる。その場合耐腐食性向上作用の飽和する
４、０％を上限とする。

尚、好ましくは０．１％以上の含有が効果的である。

８％Ｔｉ、Ｖ、　Ｎｂ、　Ｚｒ　：　１種または２種以
上針１．０％以下 耐摩耗性を向上させるために、Ｐ共晶物、セメンタイト
（鉄炭化物）を生成させることによって、その目的はほ
ぼ達せられるが、より耐摩耗性を向上させるためには、
高硬度の炭化物を生成させることが有効である。この目
的のため集１９ にけＢ、Ｔｉ、Ｖ　、　Ｎｂ、　Ｚｒが適切であり、い
ずれも、セメンタイトよりも高硬度の炭化物を生成させ
る。しかしながら、これらはいずれも強力な脱酸剤であ
るため、多量に含有させると溶湯の流動性を減じ、鋳造
欠陥を発生し易くなる。

そのため、１．０％以下とする。尚、好ましくけ０．０
２％以上の含有が効果的である。

Ａｅ、Ｃａ、Ｂａ、Ｓｒ、希土類元素：　１種または２
種以上計０．２％以下 組織の微細化、黒鉛化を目的として、接種が行われてい
ることが知られている。本発明ライナーにおいても接種
を行うことにより、材質改善が計られることは後述の通
りである。

接種効果は、時間とともにフエイデイングを起すため、
厚肉鋳物のような凝固まで長時間を要するものでは、通
常のＦａＳｉでは接種効果があまり期待できない。その
場合、これらの元素を１種もしくは２種以上含有させる
と、接種の持続性が改善される。この目的のためには、
１種もしくは２種以上の合計量が０．２％以下で良く、
特開■ＨＧＯ−３６６４５（６） それ以上の含有では効果は比例的に向上しないため、コ
スト面で不利となる。尚、好ましくは０．０２％以上の
含有が効果的である。

（１）　内層材質の接種 一般に、接種は鋳造組織の微細化、黒鉛化の助長のため
に有効である。そして上記材質についても接種技術を応
用すれば、より微細かつ均一に黒鉛の分布した材質が得
られる。このさい接種量はＳｉ分として０．０５〜１．
０％が適当である。

すなわち０．０５％未満では接種効果が期待できず一方
、１．０％を越えても相応の効果が得られないためであ
る。接種剤としては一般にＦｅＳｉが好適であるが、よ
り接種効果を高めるものとしてＣａｄｉまた、Ｃａ　ｓ
　Ａｌ、Ｅａ％Ｓｒ、希土類元素を１種もしくは２種以
上含むＦｓＳｉがあり、この使用により、より組織の微
細均一な材質が得られる。

なお接種後におけるＳ１含有量は前記限定成分範囲に調
整される。

（Ｉｌｌ）　内層材質の顕微鏡組織 片状黒鉛、炭化物、Ｐ共晶、基地とからなる。

ｈ２１ 基地は、パーライトが望ましく、フェライトは耐摩耗性
が低下するため、できるだけ少くする方が良い。また、
基地中にベーナイト、マルテンサイトが析出すれば、高
硬度となり、耐摩耗性は向上するが、焼付を発生し易く
なるため、できるだけ少くする方が望ましい。

次に、本発明の複合シリンダーライナーの中間層につい
て説明する。

既述したように外層及び内層の２層のみで複合ライナー
を鋳造した場合、層間溶着部及び内層材質の健全さに問
題があり、これを解消するために外層と内層の間に、中
間層を設け、３層鋳造することが必要となる。尚、中間
層を２層以上（中間層を２層とした場合、外層と内層を
合せると、計４層となる。）に分割すれば、材質面の改
善はより大きくなるが、実際生産上、コスト面で不利と
なる。

中間層の材質は、詳細は後述するが、内層材質の健全化
の目的も有しているため、できるだけ内層材質に近い方
が望ましい。また、中間層の肉厚０２２ については、５〜５０１Ｍとする。この理由は、中間層
鋳込時に外層が溶かされ、内層鋳込までは、鋳込厚さよ
りも１０〜３０ＭＭ拡大するが、内層鋳込時に内層によ
って１０〜３０ｍ１ＪＩ溶かされることになり、５層未
満では中間層を設ける理由が少なくなり、実質上２層鋳
造と同一となる。また、５Ｉｎ１未満の場合、鋳込み重
量は極めて少なくなり、鋳造そのものも難しくガる。一
方、５０１ＩＩＭを越える必要はなくまたライナーの肉
厚（摺動面部で８０Ｈの肉厚が最大である。）から、実
際上５０ＭＭが限度である。尚この肉厚は、鋳込時の鋳
込肉厚であると共に、製品としての肉厚でもある。

中間層の材質については、内層材質にできるだけ近い方
が望ましいが、外層材質と混合するため実［＠上、内層
材質と同一の材質とはなり得ない。

本発明では、中間層の材質として、次のような成分組成
のものを使用することを特徴とする・すなわち、中間層
は重量％で、Ｃ２，０−４，０％、８１０．８〜３．０
％、Ｍｎ　Ｏ，４〜１．２　％、Ｐ　Ｏ，６％以下、８
０．２％以下／と、Ｎｉ３．５％以下、Ｃｒ０．８％以
下、ｒも祁 Ｍｏ０．６％以下、Ｓｎ０．３％以下、ＡＩ！、Ｃａ、
　Ｂａ、　Ｓｒの１種又は２種以上の合計０．２％以下
、のうち１種又は２種以上を含み、残部Ｆｓおよび通常
の不純物と外層からの不可避的混入元素とからなる特殊
鋳鉄材質である。

そこで、上記特定材質の化学成分、顕微鏡組織等につい
て下記に詳述する。

（１）化学成分 Ｃ：　２．Ｑ〜４．０％ ２．０％未満では、材質の黒鉛化が不充分となり熱伝導
、強靭性の面で問題を発生する。一方４．０％を越える
と、黒鉛が多くなり過ぎて脆くなる。

Ｓｉ：０．８〜３，０％ Ｏ，Ｓ％未満では、黒鉛化が不足し、熱伝導、強靭性の
面で問題を発生し易くなる。一方３．０饅を越えると、
フェライトが多くなり、強度面の不足を来たすと共に、
フェライト中に溶は込んだＳｌが靭性面を劣化させる。

Ｍｎ：０．４〜１．２　％ Ｍｎけ、Ｓと結合して８の害を防ぎ、また、基地性開口
；ｊＧＯ−３６６４５（７） のパーライトを安定化し強度を増す。そのためには０．
４％以上必要であり、また１、２％を越えるとかえって
脆くなる。

Ｐ　：　０．６％以下 Ｐは溶湯の流動性を高めるが、材質中にＰ共晶物を生成
し、材質を脆くする。この作用は、Ｐ量に比例して大き
くなるが、中間層材質として問題のない範囲として０．
６％以下とする。

Ｓ　：　０．２％以下 Ｓは結晶粒界にＳ化合物を生成し、材質を脆くする。こ
のため、中間層材質として実害のない範囲で０．２％以
下とする。

Ｎｉ　、　Ｃｒ　、　Ｍｏ　、　５ｎ Ｎｉ　、　Ｏｒ　、　Ｍｏ　、　Ｓｎは強靭性の向上に
有効であり、１ｉ１２．５％以下、Ｃｒ０．８％以下、
Ｍｏ０．６％以下、５ｎＯ１３％以下の１種もしくは２
種以上の含有によりライナーの強靭化が可能となる。尚
、上記元素は鋳込前に含有させる場合と、鋳込前には含
有させ々くても、外層材質に含有されていたものが溶は
込んで来る場合との二つの原因により含有される。

ｈ２５ 各々の作用および成分限定理由を以下に説明する。

Ｎｉ：２．１５％以下 Ｎ１は黒鉛化と基地の強化に有効に作用するが２．５％
を越えると、経済性の面で不利どなるばかりでなく、焼
入れ組織（ベーナイト、マルテンサイト）、未変態組織
を発生し易くなり、かえって脆くなる場合があるためで
ある。尚、好ましくは０．５％以上の含有が効果的であ
る。

Ｃｒ：０．８％以下 Ｃｒは基地の強化作用と共に、セメンタイトの安定化に
作用する。す力わち、ｃｒｏ、ｓ％を越えると、ｃ、ｓ
ｉの調整によってもセメンタイトが晶出ｌ−で脆くなり
、外層材質の目的に合致しなくなるためである。尚、好
ましくけ０．１％以上の含有が効果的である。

ＭＯ；０．６％以下 ＭＯは基地の強化に有効であるが、あまりその含有量を
増加しても効果が飽和し経済的でなくまた材質を硬く、
脆くする作用も現われるため０．６％以下とする。尚、
好ましくは０．１％以上擁１２６ の含有が効果的である。

Ｓｎ＋Ｑ、３％以下 上記夕１層材質はその鋳造条件によっては、基地中にフ
ェライトが過多となって、耐力、疲労強度の低下を招来
することがある。その場合、パーライト安定作用のある
Ｓｎをその効果が飽和する０、３を重％の範囲内で添加
するのが有効である。尚、好ましくけ０．０３％以上の
含有が効果的である。

ｈｅ、　Ｃａ、　Ｂａ、　Ｓｒ　：　１種または２種以
上の合割が０．２％以下 添加理由は、外層の場合と同様で、接種効果のフエイデ
イング防止のためであり、この目的のために」二記元素
の１種もしくは２種以上の合計駿が０．２％以下の添加
を行う。それ以上の含有では効果は比例的に向上せず、
コスト面で不利となるためである。尚、好ましくは０，
０２％以上の含有が効果的である。ところで、上記元素
は、鋳込前に含有させてなくても、外層から必然的に溶
は込む場合も含まれる。

ｈｂ　２フ その他： 中間層材質としては、含有させる必要性は少ない、もし
くは、全くないが、外層材質に含有されていたために必
然的に含有される元素がある。例えば、Ｃｕ、希土類元
素、Ｔ１、Ｚｒである。

中間層鋳込厚さ、鋳造条件によっても変化するが、中間
層材質鋳込前には全く含有されなかった場合でも、各々
外層含有量（ｗｔ、４表示）の３０％〜７０％が中間層
に必然的に含有される。

（１）　中間層材質の接種 一般に、接種は鋳造組織の微細化、黒鉛化の助長のため
に有効である。そして上記材質についても接種技術を応
用すれば、より微細かつ均一に黒鉛の分布した材質が得
られる。このさい接種量は８１分として０．０５〜１．
０％が適当である。

すなわち０．０５％未満では接種効果が期待できず一方
、１．０％を越えても相応の効果が得られないためであ
る。接種剤としては一般にＦｅＳｉが好適であるが、よ
り接種効果を高めるものとしてＣａｄｉ　”！た、Ｃａ
、　Ａｊ’、　Ｂａ、　Ｓｒを１種もしくは２種以上含
むＦｅ８１があり、この使用により、より組織の微細均
一な材質が得られる。なお接種後におけるＳｉ含有量は
前記限定成分範囲に調整される。

（１ｕ）中間層材質の顕微鏡組織 中間層を設ける目的は、既述したように、溶着改善及び
内層材質が外層の影響を受けることの防止の２点であり
、従って強度面ではＳｔり重視する必要はないが、かと
ｂつてあまり脆くなりすぎると問題となる。以上の点か
ら、理想としては、黒鉛と基地のみからなることが望ま
しい。しかしながら、実際には、セメンタイトが晶出す
る場合もあるが、限度量以下（面積率で１５％以下）で
あれば問題はない。基地は、パーライト若しくはフェラ
イト（両者の混合を含む）が望ましい。ベーナイト、マ
ルテンサイトは材質を脆くするため、できるだけ抑える
。

以上の通り、本発明は特定の化学組成を有する外層材と
中間層材と内層材より々るものであるが、更に次に説明
する熱処理が施される。

すなわち、遠心力鋳造された複合シリンダーラｈ　２９ イナーは、組織安定化、歪取りを目的とした、オーステ
ナイト域以下の温度での焼鈍が施される。

通常この目的のための温度は４００〜６５０℃である。

この歪取り焼鈍に比較して、コスト的々面では不利とな
るが、■材質の強靭性向上、■基地組織の高硬度化、■
基地組織の均一化の面で、オーステナイト域温度での熱
処理を施せば、材質の改善が可能となる。強靭性を目的
とするか、高硬度化を目的とするかによって温度域は変
化するが、一般にＳＯＯ〜１０００℃が適切である。こ
の温度域に保持した後、特に高硬度化を目的とする場合
には、特に冷却速度を大きくする必要がある（内径７４
０φの大形シリンダーライナーでも、部分的には２００
０℃Ａｒ位までは可能）。かくしてオーステナイト域温
度で熱処理した後には、通常４００〜６５０℃の歪取り
焼鈍が追加される。

次に本発明の実施例を掲げて説明する。

〈実施例〉 次のような鋳造条件で、第１表＆　１　、＆　２、庖３
の複合シリンダーライナーを製造した。

集３０ ＮｂＢ２ ０鋳造金型内径：　６４０’ ０鋳造方法　；　横型遠心力鋳造 ｏＧ／ＦＥｋ；　６４０φでＧ　＆　１２０ＧＯ鋳込厚
さ　；　外　層　’１０１１ 中間層　２５ｆｆ 内　層　３５１ＪＩ Ｏ化学組成　；　第１表に示す （重量％、残部Ｆｓおよび不純物） ０硬度分布（ＨＢ）　：　第２図に示すＯ機械的性質　
；　第２表に示す なお、従来の単層シリンダーライナー の一般的な機械的性質は、引張強さ１８〜２５慶飼、伸
び０．２〜０．８％の範囲にある。

Ｏ顕微鏡組織　； ／Ｐａ　１　、Ａ　３のシリンダーライナーの径が６６
０φ（外層材質）と５００φ（中間層材質）と４６０φ
（内層材質）部における顕微鏡組織について黒１を第３
図工・■（外層）、第４図工・■（中間層）及び符Ｕ８
０，１ｉＧＯ−３６Ｇ４５　（９）第５図工・■（内層
）に、高３を第６図１・■（外層）、第７図工・■（中
間層）及び第８図１・■（内層）に各々示す。

但し、■は倍率５０．　■は同４００である。

Ｏ製　品； 本鋳造品を切削して外径６０ｏφ、内径４４０φのシリ
ンダーライナーを得た。

第２表　機械的性質（引張試験） 内層；　φ４６０ 外層；　φ５６０ 歯！３３ 以上のように、本発明の複合シリンダーライナーは、破
壊の起点となり特に強靭性に優れることが要求されるラ
イナー外層は既述の黒鉛鋼材質で形成し、一方ライナー
内層はその使用特性に適合する耐焼付性、耐摩耗性に優
れた特定化学組成の特殊鋳鉄材質で形成し、かつ中間層
は、各層間溶着部の改善及び内層材質の健全化のための
特定化学組成の特殊鋳鉄材質で形成して、外層と中間層
！中間層と内層とが各々冶金的に溶着一体化してなるも
のであるから、各層間溶着部は改善され、内層材質も健
全化され、ライナー内面における本来の使用特性を損う
ことなく、その高強度化を計ることができる。

なお本発明に係る複合シリンダーライナーは、遠心力鋳
造法を利用することによって、所期の特性を備えたもの
が容易に製造でき、各層間の溶着状況にも問題を生じな
い。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る複合シリンダーライナーの構造例
を現わす横断面図、第２図は実施例の硬集況 変分布グラフで、横軸に内面からの距離を、縦軸に硬度
を示したものである。第３図工・■乃至第８図工・■け
本発明の複合シリンダーライナーの実施例における顕微
鏡写真であって、第３図工・■及び第６図工・■は外層
組織を、第４図工・■及び第７図工・■は中間層組織を
、第５図工・■及び第８図工・■は内層組織を各々示す
。 （−）・・・外層、（ｂ）・・・内層、（ｏ）・・・中
間層。 １１開ｎａＧＯ−３６６４５（１ｏ） 手続補正書（方式） 昭和５８年１２月　８日 昭和５８年　特許　願第１４５５００　号発　明　の名
称 複合シリンダーライナー 浦１ｒをする名 事件との関係　特許出１人 曳理人　り５７７

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １、重量哄で、 Ｃ：１．Ｏ−２，０囁 ８１：０．６〜３．０％ Ｍｎ　：　ｏ、５２〜１．０％ Ｐ　：　０．１％以下 Ｓ　：　０．１％以下 と、 Ｎ１：２．５％以下 Ｃｒ：ｌ、０％以下 Ｍｏ：１．０％以下 Ｓｎ：０．３％以下 ｃｕ：４．ｏ％以下 Ｔ１、Ｚｒ、希土類元素の１種又は２種以上の合計二０
   ．１％以下 Ａｅ、　Ｃａ、　Ｂａ、　Ｓｒの１種又は２種以上の合
   計＝０．２％以下 隘２ のうち１種又は２種以上を含み、残部Ｆθおよび通常の
   不純物からなり、はぼ球状の黒鉛と基地を主体とする黒
   鉛鋼材質の外層と、重量％で、 Ｃ：　２，０〜４．０％ Ｓｉ：０．８〜３．０％ Ｍｎ：　０．４〜１．２％ ｐ　；　ｏ、ａ％以下 Ｓ　：　０．２呪以下 と、 Ｎｉ；ｌａ、５％以下 Ｃｒ：０．８％以下 Ｍｏ：０．６％以下 ８ｎ：０．３％以下 ）、１．　Ｃａ、　Ｂａ、　Ｓｒの１種又は２種以上の
   合計：０．２％以下 のうち１種又は２種以上を含み、残部実質的Ｆａおよび
   通常の不純物と外層からの不可避的混入元素とからなる
   中間層と、 重量幅で、 ？＆３ Ｃ：　２．５〜４．０％ ｓｉ：ｏ、８〜２．５％ Ｍｎ　：　０．３−１．５％ Ｐ　：　０．０５〜１．δ慢 Ｓ　：　０，３％以下 と、 Ｎ１：２．５％以下 Ｃｒ：１．５％以下 Ｍｏ；Ｑ、９％以下 Ｓｎ：０，５％以下 Ｃｕ：４．０％以下 Ｅ、Ｔｉ、Ｖ、　Ｎｂ、　Ｚｒ　（Ｄ　１種又は２種以
   上の合計＝１．０襲以下 ＡＩ！、Ｃａ、　Ｂａ、　Ｓｒ、希土類元素の１種又は
   ２種以上の合計＝０．２％以下 のうち１種又は２種以上を含み、残部Ｆｅおよび通常の
   不純物からなる内層とからなり、外層と中間層、中間層
   と内層とが各々冶金的に溶着一体化されて々ることを特
   徴とする覆合シリンダーライナー。 Ｔ、ｔｉｉａ昭６Ｏ−３６６４５（２）