JPS6034358Y2 - 煙除去装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は煙等の様に空中に浮遊する汚染物質を除去する
装置に関するものであり、更に詳しくは空中に浮遊する
微細粒子をコロナ放電等によって帯電せしめてこれを集
塵電極上に捕集する所謂電気集塵方式を用いた煙等の除
去装置に関するものである。

一般に流路中にコロナ放電電極を設けた従来の電気集塵
装置では、殆んどの放電電極がその周囲のあらゆる方向
に向って放電する様になっているが、この様な装置を煙
等の様に粘着性でしかも極微細な浮遊粒子を多量に含む
汚染空気の浄化に使用すると、汚染空気中の煙濃度が増
すに従い放電電流が著しく減少する結果集塵効果が低下
し、この集塵効果は時間の経過と共に更に急速に低下す
る欠点があったが、これは次の様な理由によるものと考
えられる。

いま、第１図ａに示す様に流路中に細線状の放電電極を
張架した従来の集塵装置における対向電極上のコロナ電
流の分布を調べてみると第１図すに示す様に電極位置の
左右に広く分布していて電極の上下左右のあらゆる方向
に向って放電していることを示している。

また、第２図ａに示す様な魚骨状電極を流路中に設けた
従来の装置においても対向電極板上のコロナ電流分布は
第２図すに示す様に電極位置の左右に広く分布していて
細線状電極と同様に電極の周囲のあらゆる方向に向って
放電していることを示している。

一般に、放電電極に高電圧を印加してコロナ放電を起さ
せると発生したコロナイオンは秒速ｔｏｒｎ前後の所謂
コロナ風を伴いつつシャワー状に対向電極に向って突進
するので放電電極のコロナ発生部近傍には負圧部分を生
じ、該負圧部分に向って空気の流入が起る。

従って前述の細線状電極や魚骨状電極を用いた従来の集
塵装置の様に、電極を取り巻いてあらゆる方向に向って
放電する場合には放電電極近傍の前記負圧部分に向って
あらゆる方向からコロナ風に抗して流路中の汚染空気が
流入して乱流を起すので、放電電極の周辺には常に煙粒
子が存在することになり、この煙粒子の一部は静電誘導
によって放電電極に付着してこれを汚染し、時間の経過
と共に集塵効果を低減せしめ、また他の煙粒子はコロナ
シャワーの放射を受けて放電電極と同極性に帯電して対
向電極に向って移動するが、コロナイオンの速度に比べ
て帯電粒子の速度は遥かにおそいので、煙の量が多いと
きは放電電極の周辺に生じた雲状の帯電粒子が放電電極
と対向電極間の電場を遮蔽することになり、その結果放
電電極が減少して煙粒子の帯電性が悪くなって集塵効果
が減少するものと考えられる。

本考案者等はさきに、内面に電極板を設けた流路の内部
に、一方向の突出端においてのみ放電する放電電極の２
個を、前記突出端を互に外方に向けて設けた場合、前記
突出端のそれぞれから前記電極板までの距離をｒｌ、ｒ
２としたとき、これ等突出端間の距離１をｒ１＋ｒ２よ
り大きくして放電電極の汚染を防止することを提案した
。

前記提案においてｒ１＋ｒ２はそれぞれの突出端におけ
る放電が互に干渉しはじめる距離であり、１がｒ１＋ｒ
２より小さくなると２個の放電電極を取り巻いてあらゆ
る方向に放電することになり、その結果放電電極に向っ
てコロナ風に抗する汚染空気の流入が生ずる様になる。

本考案は、かかる知見に基づいて前記提案を改良し、従
来の装置における前述の諸欠点を除去して優れた煙除去
効果を長時間にわたって維持するコンパクトな煙除去装
置を提供することを目的とするものである。

次に図に基づいて本考案の構成を説明する。

第３図ａは本考案の一実施例の断面を示す図であり、第
４図はその斜視図であるが、本考案の煙除去装置はこれ
等の図に示す様に、内面に電極板１を有する煙等の流路
２の内部に、両端の突出端１２．１２において放電する
コロナ放電電極４と電極１と絶縁した２個の環体５及び
６を設け、第１環体５と第２環体６は同軸的に且つ間隔
を置いて配置され、放電電極４は第１環体５及び第２環
体６の中に設けられ且つ一方の突出端１２が第１環体５
より流路２の流入側に突出し、他方の突出端１２が第２
環体６より流出側に突出した構造になっている。

第５図も本考案の一実施例の斜視図であるが故国に示す
本考案の煙除去装置は、内面の相対する２面に電極板１
，１を有する長方形断面の流路２の内面に、両端に刃物
状の突出端１２．１２を有する放電電極４及び第１環体
５、第２環体６が設けられており、これ等環体はそれぞ
れに２枚の板状部材１５．１５と流路の側壁より形成さ
れており、第１環体５と第２環体６を貫通して設けた放
電電極４の突出端１２．１２はそれぞれ流路の流入側及
び流出側に向けて前記環体から突出している。

更に第６図も本考案の他の一実施例の断面図であるが、
故国に示す本考案の煙除去装置は、内面に電極板１を有
する流路２の内部に放電電極４と第１環体５及び第２環
体６が設けられており、これ等第１環体５及び第２環体
６は中央部に空気取入口３を残して一体に接合されてお
り、放電電極４は突出端１２を有する突出片１６の２個
を前記環体の内部に導電的に植設して一体に形成され、
それぞれの突出端１２，１２のうち一方を流路の流入側
に向け、他方を流路の流出側に向けて前記環体から突出
している。

本考案における流路２は電極板１、放電電極４、第１環
体５及び第２環体６を収容し且つ煙等の汚染空気を移送
するものであって、第４図に示した様に円筒状流路でも
よいが第５図に示した長方形断面の流路や或いは長円形
断面の流路でもいずれでもよく、また断面の大きさが流
路に沿って異なっていてもよく、本考案は流路の形状及
び数に限定されない。

流路２が円筒状流路の場合には第４図に示す様に針状突
出端から放電する放電電極を流路の軸芯に沿って設ける
と流路内の放電が均一に行なわれて煙除去効果を一段と
増すことが出来る。

また、流路２が長方形断面或いは長円形断面の流路の様
に横長断面の流路の場合に放電電極４は第５図に示す様
な刃物状の突出端から放電する放電電極や第７図に示し
た様に鋸刃状の突出端から放電する放電電極を用いるこ
とができる。

また、第７図の鋸刃状電極の代わりに第８図に示した様
に基板１３の端縁に細線１４を波形に取付けて突出端を
形成してもよく、前記基板の端縁に複数個の針状突出端
を並列させた放電電極でもよい。

電極板１は流路２の内壁に沿って設けた単なる板状電極
でもよいがメツシュ状又は緻密に巻いたスパイラル状の
電極でもよい。

また電極板１はコロナ放電電極４の対向電極であると同
時に集塵電極を兼ねるものであるから、煙に対してなる
べく吸収性であることが望ましく。

この様な吸収性電極は導電性スポンジ等で作ることがで
きるが、有機、無機の各種吸収性部材と金網等を積層す
ることによっても作ることができる。

流路２の流出側開放端２０には、必要に応じて、例えば
反撥電極と集塵電極の組合せよりなる公知の集塵器の如
き集塵手段を設けてもよい。

放電電極４の突出端１２．１２を突出せしめている第１
環体５及び第２環体６の材料は絶縁性材料でも導電性材
料でもいずれでもよいが少なくとも電極板１に対して絶
縁されていることが必要である。

また、これ等環体は第４図に示す様に流路２から独立し
ていてもよいが、放電電極４を取り巻いてその突出端１
２．１２を突出せしめて且つ電極板１との間を汚染空気
が流通し得れば第５図に示す様に一部分が流路の内壁に
よって構成されていてもよい。

更に第１環体５及び第２環体６は第４図、第５図に示す
様にそれぞれが独立していてもよいが第６図に示す様に
、中央部に空気取入孔３を残して２個が接合されていて
もよい。

また第１環体５及び第２環体６を導電材料で作るときは
第６図に示した様に、放電電極４をこれ等環体と導電的
に接続して設けることもできる。

次に本考案の作用効果について説明する。

いま、かかる構成の本考案の煙除去装置の放電電極４と
電極板１の間に図示してない高圧電源により高電圧を印
加して突出端１２．１２からコロナ放電を起させると、
第３図ａに示す様に前記突出端から発生するコロナシャ
ワー８はコロナイオンと同極性の電圧を印加されている
放電電極本体の反撥を受るから、前記突出端より前方に
偏って前記電極板上に放射されるが、一部は帯電粒子間
の反撥のために前記突出端より放電電極側に寄った電極
板１上にも放射される。

この様にして、突出端１２，１２から放射されるコロナ
シャワーは第１環体５及び第２環体６がないときは、点
線８′で示す様に互に干渉し合って第３図すに点線で示
す様に電極板１上において連続したコロナ電流分布とな
り、あたかも放電電極４を取り巻いてあらゆる方向に放
電している様になるが、本考案においてはコロナシャワ
ー８は第１環体５及び第２環体６を帯電せしめて、更に
これ等環体の反撥を受けるから実線で示す様に互に干渉
し合うことなく、放電電極４の中央部に対応する電極板
１上にはコロナシャワーの放射されない部分１８を形成
する。

かくして、放電電極本体の反撥を受けて突出端１２．１
２より前方に偏って放射されるコロナシャワーに伴って
発生するコロナ風もコロナイオンと共に放電電極から離
れる方向に放散されるから、コロナ風のために突出端１
２．１２の近傍に生じた負圧部分に流れ込む空気流１１
は、全くコロナ風に抗することなく、放電電極の側面に
沿ってその中央部から第１環体５及び第２環体６を通っ
て突出端１２に向って一方向的に流れ込むことになる。

次に、流路２の流入側開放端１９より該流路内に送入さ
れる煙等を含んだ汚染空気７は、流路の流入側を向いて
いる突出端１２の前面でコロナ風を伴なったコロナシャ
ワー８の放射を受けてＷ板１の近傍に押しやられ、コロ
ナシャワーに被曝して帯電した煙粒子を該電極板に捕捉
せしめつつ流路内を該電極板に沿って流出側に移動して
ゆくから、汚染空気流７は流路内を進むにつれて煙粒子
の濃度が下層部で濃く、上層部において稀薄な気流とな
る。

この様にして、最上層部に殆んど煙粒子を含まない前記
気流７はやがて前述のコロナシャワーの放射を受けない
部分１Ｂを通過するが、一方、本考案の放電電極４は前
述するところにより、コロナ風によって生じた前記突出
端近傍の負圧部分に向って、放電電極の側面に沿ってそ
の中央部より一方向に空気が流れ込むのであるから、該
空気１１は前述のコロナシャワーの放射を受けない部分
１８を通過する気流７の最上層部即ち煙粒子を殆んど含
まない部分から第１環体５と第２環体６の間を通って、
しかもコロナ風に抗することなく、その供給を受けるこ
とになる。

かくして、放電電極４は常に煙粒子を含まない空気流１
１に包まれるから煙粒子によって汚染されることがない
。

次いで、コロナシャワーの放射を受けない部分１８を通
過した気流７の下層部の煙粒子は更に流出側を向いてい
る突出端１２からのコロナシャワーの放射を受けて電極
板１に捕捉されるから、気流７はやがて完全に煙を除去
されて流出側開放端２０から排出される。

以上説明した様に本考案によるときは、放電電極４は常
に清浄空気に包まれていて汚染されることがなく、また
流路内に送入された汚染空気は常に電極板１に押しやら
れたまま該電極板に沿って移送され、しかもコロナ風に
抗して放電電極に向って流入することがないから、帯電
煙粒子が放電電極近傍に存在して放電電場を遮蔽するこ
とがなく、従って汚染空気中の煙濃度を増しても放電電
流が著しく減少して煙除去効果が低下することも少なく
、また長時間の運転においてその効果が低下することも
ない。

また、本考案においては、第１環体５及び第２環体６に
よって、突出端１２に向う清浄空気流１１とコロナ風が
判然と区別されているので前記清浄空気の流入が一段と
容易であり、従って放電電極の汚染防止性が極めて優れ
ている。

更に本考案によるときは、１環体５及び第２環体６のた
めに突出端１２．１２から放電電極本体側に寄って放射
されるコロナシャワーが少ないので、突出端１２．１２
間の距離を短縮することができる。

従ってそれだけ装置をコンパクトにするこができる。

また本考案において放電電極４を第１環体５及び第２環
体６と導電的に接続すると、これ等環体によるコロナシ
ャワーの反撥が一段と強められるので突出端１２，１２
への清浄空気の流入が更に容易になり、且つ第１環体５
及び第２環体６が流路中の帯電煙粒子に対して反撥電極
の作用をするので本考案の効果を一段と増大させること
ができる。

【図面の簡単な説明】

該１図ａ及びｂは従来の装置を示す断面図と敗因の装置
における放電特性を示す図であり、第２図ａ及びｂも同
様に他の従来の装置の断面図とその放電特性を示す図で
ある。 第３図ａ及びｂは本考案の一実施例の断面図とその作用
を説明する図であり、第４図は第３図に示す装置の斜視
図である。 第５図は本考案の更に他の一実施例の斜視図であり、第
６図も本考案の他の一実施例の断面図である。 第７図、第８図はそれぞれに本考案の放電電極の一実施
例を示す斜視図である。 １・・・・・・電極板、２・・・・・・流路、３・・・
・・・空気取入孔、４・・・・・・コロナ放電電極、５
・・・・・・第１環体、６・・・・・・第２環体、７・
・・・・・汚染空気流、８・・・・・・コロナシャワー
、８′コロナシヤワー、９・・・・・・コロナ放電電極
（細線状）、１０・・・・・・コロナ放電電極（魚骨状
）、１１・・・・・・清浄空気流、１２・・・・・・突
出端、１３・・・・・・基板、１４・・・・・・波形細
線、１５・・・・・・板状部材、１６・・・・・・突出
片、１７・・・・・・環体取付具、１８・・・・・・コ
ロナシャワーの放射を受けない部分、１９・・・・・・
流入側開放端、２０・・・・・・流出側開放端、２１・
・・・・・反撥電極、２２・・・・・・集塵電極、２３
・・・・・・高圧端子。

Claims (4)

【実用新案登録請求の範囲】
1. （１）内面に電極板１を有する流路２の内部に、それぞ
   れに電極１と絶縁された第１環体５及び第２環体６を流
   路に沿って同軸的に間隔を置いて設け、これ等環体の内
   部に設けた放電電極４は突出端１２において放電する放
   電電極であって、前記突出端１２の１つが、第１環体５
   より流路の流入側に突出し、他の突出端１２が第２環体
   ６より流路の流出側に突出していることを特徴とする煙
   除去装置。
2. （２）突出端１２．１２が針状の突出端である放電電極
   ４を、円筒状流路２の軸芯に沿って設けた実用新案登録
   請求の範囲第１項記載の煙除去装置。
3. （３）放電電極４が刃物状又は鋸刃状の突出端より放電
   する放電電極である実用新案登録請求の範囲第１項記載
   の煙除去装置。
4. （４）放電電極４が第１環体５及び、又は第２環体６の
   内面に植設されている実用新案登録請求の範囲第１〜第
   ３項のうちいずれか１項記載の煙除去装置。