JPS6030464Y2 - デイ−ゼルエンジンの吸気通路装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は、ディーゼルエンジンの着火遅れ期間を短く
して燃焼騒音を低減させる吸気通路装置に関する。

ディーゼルエンジンはピストン圧縮により吸入空気の温
度を高めて、シリンダ内に噴射された燃料を着火、燃焼
させるものである。

この際燃料は液体の状態で噴射されるので、噴射された
燃料は気化するのに時間を要し、すぐには着火せず、着
火遅れの期間がある。

特にアイドル運転や低速低負荷運転では着火遅れ期間が
長く、大部分の燃料が着火遅れ期間内に噴射されるため
、着火時点までに蓄積された燃料が一気に燃焼するので
、定容燃焼に近づいてシリンダ内の圧力上昇率が高くな
り（いわゆるディーゼルノック）、激しい振動を生じる
とともに、燃焼に伴なう中高周波の騒音レベルが増大す
るという問題点があった。

（尚、ガソリンエンジンにおいては実開昭５４−１２６
２５号公報等の混合気加熱機構が知られている。

）この考案は、上記のごとき問題点に着目してなされた
もので、ディーゼルエンジンの吸気通路を主通路と副通
路の２系統にするとともに、主通路に絞り弁を、また副
通路に加熱手段を設け、アイドル、低速低負荷運転時に
は、副通路から空気を吸入して吸入空気量を少なくし、
かつ加熱することにより、シリンダ内の吸気の温度を高
めて着火性を良くし、これによって、着火遅れ期間を積
極的に短縮してアイドル、低速低負荷運転時におけるエ
ンジンの振動および騒音を低減させることを目的とする
。

以下図面に基づいてこの考案の実施例を説明する。

第１図は、この考案の第１の実施例を示し、図において
、１はディーゼル機関のシリンダヘッド、２はこのシリ
ンダヘッドに設けられた吸気弁、３は吸気マニホルド、
４はこの吸気マニホルドの始端に接続されたエアクリー
ナである。

そして、上記吸気マニホルド３には主通路５とこの主通
路よりも断面積の小さな副通路６とがそれぞれ独立して
平行に設けられ、副通路６の始端は直接上記エアクリー
ナ４に連通され、かつ後端は上記主通路５に合流されて
いる。

７は上記主通路５内に設けられた吸入空気量調整用の吸
気絞り弁で、この絞り弁７はアクセルペダル（図示省略
）と連動されており、アイドル運転のようにアクセルペ
ダルが踏み込まれていない時には全閉状態となっている
。

また、上記副通路６はこの実施例ではその断面積を主通
路５の断面積の４紛の１程度に細く形威し、かつ副通路
６の外周には空隙部８を形威し、この周囲空隙部８にエ
ンジンの冷却水を導入し、この副通路６を加熱するよう
になっている。

すなわち、この副通路６を加熱する冷起水は、シリンダ
ヘッド１内を循環して熱せられた冷却水の一部をシリン
ダヘッドの吸気マニホルド取付フランジ部に設けた水孔
９および吸気マニホルド３に設けた導入孔１０を通して
上記副通路外周の空隙部８内に導き、出口管１１を通し
てラジエタ（図示省略）に循環させることにより、空隙
部８内を流通させて副通路６を加熱している。

従って、エンジンがアイドル運転や低速低負荷運転の状
態にある時には、絞り弁７が全閉またはその開度が極め
て微少に絞られているので、エンジンに吸入される空気
はほとんど副通路６を通過する。

そして、この副通路６を通過する空気は、副通路の断面
積が小さく、かつ周壁がエンジンの冷却水で加熱されて
いるため、少量となりかつ温められる。

このように、エンジンのシリンダ内に吸入された空気は
既に副通路において温められており、かつ少量であるた
め、高温のシリンダ内残留ガスに希釈される割合が大き
くなり、ピストン圧縮開始時の吸気温度が高くなる。

従って、ピストン圧縮により吸入空気の温度が大巾に高
められ、シリンダ内に噴射された燃料は直ちに燃焼を開
始することになるので、着火遅れによる急激なシリンダ
内圧力の上昇を防止でき、アイドル運転や低速低負荷運
転でのエンジンの振動、騒音が低減するのである。

次に、第２図はこの考案の他の実施例を示し、第１の実
施例とほぼ同様に構成されている吸気マニホルド３の副
通路６のまわりの空隙部８に、エンジンの排気を導入し
て、副通路６を加熱するようになっている。

すなわち、吸気マニホルド３の前端および後端には上記
空隙部８に連通ずる出口管１１および入口管１２が連結
されており、エンジンの排気マニホルド（図示省略）か
ら取出し、入口管１２を通して空隙部８内に導入され、
副通路６を加熱して出口管１１より排気マニホルド後方
の排気管に帰還されるのである。

なお、この実施例を示す第２図において、第１図の実施
例と同じ構成のものについては、第１図の実施例と同じ
符号を付しである。

以上のごとくこの考案に係るディーゼルエンジンの吸気
通路装置は、吸気通路を主通路と副通路の２系統にする
とともに、主通路に絞り弁を、また副通路に加熱手段を
設け、アイドル運転や低速低負荷運転時には、主通路を
絞って吸入空気のほぼ全量を副通路から供給するように
構成したので、吸入空気量が少なくなり、かつ加熱され
るため、シリンダ内の吸気の温度が高くなって着火性が
良くなり、着火遅れ期間を短縮することができ、これに
よってアイドル、低速低負荷運転時におけるエンジンの
振動および騒音を低減させることができる。

また上記加熱手段を副通路の外周に空隙部を設け、この
空隙部にエンジンの冷却水または排気を導入するように
構成すれば、本装置を構造簡単かつ安価に構成すること
が可能となる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係るディーゼルエンジンの吸気通路装
置の一例を示す要部断面説明図、第２図は本考案の実施
例を示す要部断面説明図である。 １・・・・・・シリンダヘッド、３・・・・・・吸気マ
ニホルド、５・・・・・・主通路、６・・・・・・副通
路、７・・・・・・吸気絞り弁、８・・・・・・空隙部
。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 吸気通路を通して空気のみを吸入し、燃焼室内で燃料を
   噴射供給するディーゼルエンジンにおいて、上記吸気通
   路を、断面積を可変調節できる吸気絞り弁装置を備えた
   主通路と、これよりも断面積が小さくかつ上記吸気絞り
   弁装置をバイパスする副通路との２系統に構成し、上記
   副通路に加熱手段を設け、エンジン温度にかかわらず着
   火遅れ期間の長くなるエンジンのアイドル、低速低負荷
   域においてのみバイパス吸気絞り弁装置を閉作動して主
   通路を絞って、エンジンの吸入空気量のほぼ全量を上記
   副通路から供給し、他の運転域においては上記吸気絞り
   弁装置を開作動して吸入空気量のほぼ全量を上記主通路
   から供給するように構成したことを特徴とするディーゼ
   ルエンジンの吸気通路装置。