JPS6023489B2 - 静止誘導電器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は変圧器やりアクトル等の静止誘導電器に係り、
特に巻線からのもれ磁束を制御するための磁気クランプ
を備えた静止誘導電器の改良に関する。

静止誘導電器では小形軽量化により巻線からのもれ磁束
量が多くなっている。

もれ磁束の増加はタンク部や鉄心等を構成する内部構造
物に発生する漂遊損失を増大させると共に、局部的な温
度上昇をも誘引させるために、製品の性能や信頼性等種
々の観点から問題視されている。このような不都合を除
去、もしくは軽減させるために、最近では巻線の上下端
に珪素鋼板等の磁性薄板からなる環状の磁気クランプを
配備し、巻線からのもれ磁束を積極的に吸引し、鉄心継
鉄等の磁気抵抗が低い所に磁束を流入させ、他の構造物
への侵入磁束量を抵滅させるもれ磁束制御の方法が行わ
れている。この従釆技術を第１図及び第２図について詳
細に説明する。第１図は内鉄形変圧器の縦断側面図であ
る。

この図において、１は鉄心脚、２，３は鉄心脚１の上下
端に配置される鉄心継鉄で、池相の鉄心脚間を磁気的に
結合する構造となっている。鉄心脚１及び鉄心継鉄２，
３の側面には当板１０や締金具４，５が当てられパイン
ドテープ（図示していない）等により強固に縦付けられ
ている。この鉄心脚１には同軸状に者回された内側巻線
６と外側巻線７があり、その上下端には珪素鋼板等の強
磁性薄板を巻回して形成した環状の磁気クランプ８，９
が配置されている。なお図中、１１〜１４はリード線を
示す。上記の如く構成された変圧器では、内側巻線６と
外側巻線７の間からのもれ磁束■は、巻線上端部におい
ては第１図に示すように、磁気クランプ８に吸引され、
その後その中を円周方向に流れ鉄心総鉄２の下端部に侵
入する。

そのため、続金臭４，５や鉄心脚１等に侵入するもれ磁
束が大幅に減少する結果、これらに発生する損失も大き
く減少する。そしてこのクランプは、また局部過熱の防
止に大きな効果を発揮することになる。しかし、この従
釆構造によれば第２図に示すように、磁気クランプ８を
巻線６，７と鉄心継鉄２の間に配置する必要があり、鉄
Ｏ脚１が高くなって、変圧器全体の重量だけでなく鉄心
に発生する鉄損も増加する。この欠点を除くためには、
磁気クランブを鉄○継鉄と巻線との間に挿入しないで、
鉄心窓外の継鉄と同じ高さのレベルに配置すればよいが
、この様にすると、磁気クランプは第３図に示す様に、
リード線１１，１３の引出し用空間１５により、半円形
状クランプ８ａと扇形状クランプ８ｂに分割されること
になる。

しかし、この構造では、磁気クランプ８ａと８ｂはそれ
ぞれの間に大きなリード線引出し用空間１５や相間空間
１６があるばかりでなく、鉄心脚１及び継鉄２との間に
も空隙１７，１８が存在しており、これらの空間１５，
１６及び空隙１７，１８は磁気クランプ８ａ，８ｂに吸
引される磁束に対して大きな磁気抵抗を示すため、磁気
クランプ８ａ，８ｂの持つ効果を著しく損うことになる
。また、第４図に示す様に、磁気クランブ１９を継鉄と
巻線との間に挿入しないで、鉄心窓外において各相の鉄
心脚１全部にまたがって配置し、各相で発生したもれ磁
束をこの磁気クランプ１９中で互に相殺するものも提案
されている。

ところが、この様なものにおいて、第５図に示す様に、
リード線１１，１３の引出し用空間１５を設けると、磁
気クランプはこの空間１５により、舟形状磁気クランプ
１９ａと山形状磁気クランプ１９ｂに分割される。この
ため、これらの磁気クランプ１９ａ，１９ｂ間で磁束が
流れ難くなり、各相全部にまたがって磁気クランプを配
置した際に期待される三相としての打消し効果が得られ
ず、磁気クランプの効果が低下する。なお、第６図に示
す様に、タンク２０１こ強磁性 ，村からなる磁気結合
部材２１を取付け、分割された各磁気クランプ１９ａ，
１９ｂ間を小さな空隙を介して磁気的に結合する方法も
あるが、リード線引出し用空間１５は一般に大きくとる
必要があるため、リード線１ １，１３と磁気結合部材
２１との間の間隔も大きくしなければならず、結局タン
ク一巻線間距離が大きくなって変圧器寸法が増大する。

本発明の目的は、上記した従釆技術の欠点をなくし、磁
気クランプの効果を低下させることなく、小形軽量化が
可能な静止誘導電器を提供するにある。

この目的を達成するため、本発明は、鉄心窓外に配置さ
れかつリード線引出し用空間で分割された磁気クランプ
の少なくとも互に隣接するものを、鉄心継鉄部付近に設
けた補助磁気クランプで磁気的に結合し、分割された各
磁気クランプで吸引した磁束を補助磁気クランプに導く
様にしたことを特徴とする。

以下、本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する
。

第７図は本発明の一実施例に係る３相３脚変圧器の平面
図、第８図は第７図のＡ−Ａ断面の詳細図である。

これらの図において、磁気クランプは継鉄２と巻線６，
７との間には挿入されないで、鉄心窓外に配置され、か
つ巻線６，７からのりード線１１，１３の引出し用空間
１５によって分割されている。すなわち、Ｕ相及びＷ相
の磁気クランプはそれぞれ１個の半円形状磁気クランプ
８ａと２個の扇形状磁気クランプ８ｂからなり、Ｖ相の
磁気クランプは４個の扇形状磁気クランプ８ｂからなっ
ている。そして、これらの各磁気クランプ８ａ，８ｂは
、これらによって吸引された磁束■の磁気回路となる珪
素鋼板等の強磁性薄板の積層体からなる補助磁気クラン
プ２２により互に磁気的に結合されている。この補助磁
気クランプ２２の構造は、リード線引出し用空間１５や
相間部でのりード線引出上げ用の相間空間１６を充分に
確保するために、厚さを出来るだけ薄くし、その分高さ
を高くする。また、補助磁気クランプ２２は締金具４に
ボルト２３等により固定されるが、この際クランプ２２
のボルト用穴を高さ方向の長穴等に形成しておくことに
より、巻線６，７や磁気クランプ８ａ，８ｂ類を粗立て
た後、補助磁気クランプ２２の高さ方向の位置を調整し
、その下端面が磁気クランプ８ａ，８ｂの上面と突き合
せ接合して磁気結合せれる様にすることができる。本実
施例によれば、巻線６，７からのもれ磁束■は、分割さ
れる各磁気クランプ８ａ，８ｂに吸引された後、補助磁
気クランプ２２に侵入し、その中を長さ方向、つまり水
平方向に流れるため、３相効果により補助磁気クランプ
２２内部で相殺される。

したがって、締金具４等の構造材に侵入する磁束を低減
し、大幅な損失抵減を図ることができる。しかも、磁気
クランプは継鉄２と巻線６，７との間に挿入されておら
ず、かつリード線引出し用空間１５を有するため、継鉄
２と巻線６，７との間の磁気クランプ挿入用空間や、巻
線６，７と磁気クランプとの間のりード線引出し用空間
が不要となる。したがって、鉄心脚１の高さを増大する
必要がなく、磁気クランプの磁束吸引効果が弱められる
こともない。さらに、補助磁気クランブ２２を鉄０側に
設けているため、第６図の従釆例の様にタンク２０側に
磁気結合部材２１を設置した場合に比べて、巻線−タン
ク間距離を大きくしないで済むほか、磁気クランプと補
助磁気クランプとは突き合せ接合で非常に小さな空隙の
みでの接合であるため、磁気抵抗がより４・さくなり、
磁気クランプの効果をより高めることができる。第９図
及び第１０図は第７図及び第８図の実施例をさらに具体
化した実施例を示すもので、第９図は綿金具４、磁気ク
ランプ８ａ，８ｂ及び補助磁気クランプの配置関係を斜
め上方から見た斜視図、第１０図は磁気クランプ８ａ，
８ｂを取付基部より切断した場合の第９図の正面図であ
る。

分割された各磁気クランプ８ａ，８ｂは、変圧器組立時
の誤差により全部が同一延長線上に、しかも水平に保持
することが難かしい。そのため、１個の共通な補助磁気
クランプ２２だけで各磁気クランブ８ａ，８ｂを良好に
磁気結合させることは困難で、補助磁気クランプの構造
に工夫をこらす必要がある。第９図及び第１０図はこの
場合の実施例である。第１０図に示す様に同一水平線上
に配置されてし、ない各磁気クランプ８ａ，８ｂと１個
の共通な補助磁気クランプ２２との間には、これらの間
を個々に磁気結合するための別の各調整用補助磁気クラ
ンプ２４が設けられており、これらはボルト２３等で締
金具４に固定されるが、この際、前述の如く各補助磁気
クランプ２４のボルト用穴を長穴等にしておくことによ
り、各補助磁気クランプ２４の取付位置を各磁気クラン
プ８ａ，８ｂの互に異なる配置状態に合わせて調整し、
これらを良好に磁気結合することができる。

したがって、本実施例によれば、第７図及び第８図の実
施例の効果を簡単な構造で実現することが可能となる。

また、製作誤差等による各磁気クランプ８ａ，８ｂの水
平位置のバラッキも容易に補うことができる。第１１図
〜第１４図は、分割された各磁気クランブと共通な補助
磁気クランプとの間を磁気結合するための調整用補助磁
気クランブの他の各例を示す。

なお、ここでは第１０図の分割された各磁気クランプの
うち、２個の磁気クランプ８ｂだけを敬出して示してい
る。これらの各図に示した形状の各調整用補助磁気クラ
ンプ２４ａ〜２４ｄにおいても、同一水平線上に配置さ
れていない各磁気クランプを良好に磁気結合することが
できる。また、第１５図は本発明の他の実施例に係る変
圧器の縦断側面図である。この実施例では、補助磁気ク
ランプ２２が締金具４と継鉄２または当板１０との間に
介挿されている。したがって、補助磁気クランプ２２を
取付けるためにボルト等を用いなくても、締金具４、継
鉄２をパインドテープで固定する時、一緒に固定するこ
とができ、組立作業が簡単になる効果がある。第１６図
及び第１７図は本発明のさらに他の実施例に係る３相３
脚変圧器の平面図、及び同変圧器のＶ相及びＷ相付近の
詳細平面図である。

この実施例では、分割された各磁気クランプのうち、互
に隣接するＵ相とＶ相の扇形状磁気クランプ８ｂ、Ｖ相
とＷ相の扇形状磁気クランプ８ｂが各別の補助磁気クラ
ンプ２５で磁気結合されている。この際、補助磁気クラ
ンプ２５は、第１７図に示す様に、継鉄２と締金具４と
の間に介在する当板１０の厚さ分の空間に挿入すること
ができるため、補助磁気クランプ２５を取付けることに
よる内部構造材の体積増加を防止することができると共
に支持も簡単になる効果が得られる。この構造によるも
れ磁束の磁気回路は、磁気クランプ８ｂ→補助磁気クラ
ンプ２５→継鉄２の様になり、扇形状の磁気クランプ８
ｂは継鉄２をバイパスとする磁気回路を形成することに
なる。また、Ｕ相とＷ相の半円形状の磁気クランプ８ｂ
は独立して磁気回路がなくなるので、これらについては
鉄Ｏ脚１の積層面に取付けた別の補助磁気クランプ２６
で磁気結合することにより、磁気性能の低下を防ぐ様に
する。前記各実施例は３相３脚変圧器に適用した場合に
ついて述べたが、本発明はこれに限らず、例えだ第１８
図に示す様な単相４脚変圧器、３相５脚変圧器等に適用
することもできる。

この第１８図の実施例では、分割された磁気クランプが
全て扇形状の磁気クランプ８ｂになるため、補助磁気ク
ランプ２２はこれらの扇形状クランプ８ｂを全て磁気結
合することになる。これにより前述の３相３脚変圧器の
場合と同機な効果が得られる。また、分割された磁気ク
ランプの形状としては、前記各実施例の様な半円形、扇
形に限らず、例れま矩形等、任意の形状を採用すること
ができる以上説明した様に、本発明によれば、簡単な横
造により、鉄心脚の高さを高くすることなく小形軽量化
を図り、かつ磁気クランプを分割したことによる性能低
下を防ぐことができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の変圧器の一例を示す縦断側面図、第２図
は同変圧器の磁気クランプの配置状態を示す縦断側面図
、第３図〜第６図は従来の変圧器の他の各例を示す平面
図、第７図は本発明の一実施例に係る変圧器の平面図、
第８図は同変圧器のＡ−Ａ′断面図、第９図は本発明の
さらに具体的な実施例に係る変圧器の磁気クランプ及び
補助磁気クランプの配置状態を示す斜視図、第１０図は
第９図の一部切断正面図、第１１図〜第１４図は調整用
補助磁気クランプの他の各例を示す正面図、第１５図は
本発明の他の実施例に係る変圧器の縦断側面図、第１６
図及び第１７図は本発明のさらに他の実施例に係る変圧
器の平面図及び要部詳細平面図、第１８図は本発明のな
おさらに他の実施例に係る変圧器の平面図である。 １・・・鉄心脚、２・・・鉄心継鉄、６，７・・・巻線
、８ａ，８ｂ…磁気クランプ、１１，１３・・・リード
線、１５…リード線引出し用空間、２２，２４，２４ａ
〜２４ｃ，２５，２６…補助磁気クランプ。 汁 １ ８０ す２図 うト３ 図 汁午図 一Ｐ ５図 才６図 オフ図 オ８図 了ｑ図 ア１０図 マＦＩＩ 図 ア’Ｚ函 オ１３６刀 うそｌ４図 オー５図 了’６図 オー７図 オー８図

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 鉄心脚部と、この鉄心脚部の両端に配置され鉄心脚
   部間を磁気的に結合する鉄心継鉄部と、前記鉄心脚部に
   巻回された巻線と、この巻線の両端における鉄心窓外に
   配置された磁気クランプとを備え、この磁気クランプを
   リード線引出し用空間で分割したものにおいて、前記分
   割された磁気クランプの少なくとも互に隣接するものを
   、前記鉄心継鉄部付近に設けた補助磁気クランプで磁気
   的に結合したことを特徴とする静止誘導電器。 ２ 特許請求の範囲第１項において、前記補助磁気クラ
   ンプは、前記磁気クランプに突き合せ接合され、かつ前
   記巻線の巻軸方向位置が調整可能に取付けられているこ
   とを特徴とする静止誘導電器。