JPS6019495A - リパ−ゼによる油脂類のエステル交換反応方法 - Google Patents

リパ−ゼによる油脂類のエステル交換反応方法

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JPS6019495A
JPS6019495A JP58126392A JP12639283A JPS6019495A JP S6019495 A JPS6019495 A JP S6019495A JP 58126392 A JP58126392 A JP 58126392A JP 12639283 A JP12639283 A JP 12639283A JP S6019495 A JPS6019495 A JP S6019495A
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丸銭 詔司
Wataru Matsumoto
渉 松本
Nozomi Yasuda
安田 望
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Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、リパーゼを用いる油脂類のエステル交換反応
方法に関するものである。詳しくは、リパーゼによる油
脂類のエステル交換反応を加水分解反応とエステル合成
反応の2段階で行う反応方法に関するものである。
油脂のエステル交換反応は、加工油脂の製造において水
素添加とともに重要な技術である。
従来のエステル交換反応は、金属ナトリウム等の無機触
媒等の存在下で行われているが、このような化学的方法
は交換する脂肪酸の結合部位に対する位置選択性が低い
という欠点がある。
一方、油脂等の加水分解酵素であるリパーゼ(EC31
13)は加水分解反応だけでなく、エステル合成反応を
も触媒することが知られているCM、 1wai、Y、
Tsujisaka、J、Fukumoto、 J、G
en、八pp1、 Microbiol、10 13.
 (1964)参照〕。リノく−ゼを用いる油脂のエス
テル交換反応は酵素の持つ基質特異性、及び位置特異性
等の高選択性に加えて常温常圧で反応が進行するなどの
利点を有するため省エネルギー、省資源の観点からも期
待されるものである。
一般に酵素反応は水溶液中で行うことが常識とされてい
るが、リパーゼによる油脂のエステル交換反応の場合、
水の比較的多い反応系では加水分解反応が優先し、好ま
しい反応生成物を得ることが困難である。そのため、従
来公知のリパーゼによる油脂のエステル交換反応は極度
に水分を低くおさえた反応系で行われている。例えば、
特開昭55−71797号公報には反応系に存在する水
分が基質に対して0.1重量%以下の方法が記載されて
いる。また、特開昭52−104506号公報には少量
の水の存在下、或いは基質に対して0゜2〜1重量%の
存在下で行う方法か記載されている。
しかしながら、上記の従来公知の方法のように極度に水
分の少ない反応系では酵素が十分に水和されず、反応す
るための最適な構造を取れないため、酵素は完全に活性
化されず、反応速度も非常に遅い。また、酵素組成物の
調製にあたり、酵素組成物中の過剰な水分の除去のため
に複雑な乾燥操作を要する。このため、乾燥による酵素
の失活は免かれず、乾燥時間及び含水率の調節等は極め
て経験的なものであり、安定した反応操作は望めない。
さらに、酵素組成物の繰り返し使用において、極めて水
分の少ない系では酵素組成物中の水分が徐々に減少する
ことから酵素活性は漸次減衰する。このため、反応前に
極く微量の水分を再添加する必要があるが、その量を調
節することは極めて困難である。
以上のように、リパーゼによる油脂のエステル交換反応
は無機触媒を用いる化学的な方法よりも有利な点を持っ
ている反面、多くの問題点を抱えており、工業的利用の
ためにはこれらの問題点を技術的に解決する必要がある
本発明の目的は、リパーゼによる油脂類のエステル交換
反応の工業的利用を達成すべく、反応系内のリパーゼを
充分活性化し、工業化が可能な程度にまで反応速度を高
めるとともに安定な反応を維持するための反応操作の開
発にある。
さらに、本発明の別の目的は、反応系内におけるリパー
ゼの不活性化を防止し、リパーゼの効果的な再使用を可
能にすることにより、該エステル交換反応工程の経済性
を高めることにある。
本発明者らは、かかる目的を達成すべく、リパーゼによ
る油脂類のエステル交換反応に関し鋭意研究を重ねた結
果、リパーゼの有する機能を最大限に発揮させることの
できる反応操作方法を見い出すことができた。
リパーゼに関しては、辻阪、岩井らの先駆的研究〔例え
ば、(11J、 Gen、 Appl、 Microb
iol、10+13. (1964) 、(21Bio
chem、 Biophys、 Acta、 489、
 415 (1977) 、(311bid、5几、1
5’6. (1979) 、及び(4) Agric、
 Biol、 Chem、 40.655. (197
6)等参照〕により、位置特異性、及び加水分解の逆反
応であるエステル合成反応の触媒として使用できること
が実証されている。その中で、エステル合成作用におけ
るグリセロールの位置特異性は加水分解における位置特
異性と一致しており、グリセロールと脂肪酸からのリパ
ーゼによるグリセリド合成では反応系中の水分含量が最
終の合成率を支配していることを実験的に立証している
本発明者らは、これらの事実をもとに反応工学的に油脂
類のエステル交換反応の解析を行った結果、油脂類の一
エステル交換反応速度rが基本的に次式で表されること
を見い出した。
r=k (DG)(FA) ここで、kは総括反応速度定数、(DG)はジグリセリ
ド濃度、(FA)は脂肪酸濃度である。また、kは反応
系内の水分に大きく依存する。
油脂のエステル交換反応速度に関しては、従来、反応速
度論的な研究報告は殆どなされていない。
本発明者らは、油脂類のエステル交換反応速度に関する
基礎的な研究・検討を、単純化された系つまりトリラウ
リンとカプリン酸からなる系で行った。経時的な組成変
化に対応する可能なすべての反応経路に基づく反応速度
式によるコンピューターを用いた解析の結果、トリグリ
セリドと脂肪酸が直接脂肪酸基を交換し、新たなトリグ
リセリドを生成する反応は生起し得ないと結論された。
一方、ジグリセリドと脂肪酸のエステル化によって新た
なトリグリセリドが生成する反応経路の仮定、所謂ジグ
リセリドをエステル交換反応の中間体とした仮定では実
験値と計算値が非常によ(一致し、上記の基本的な反応
速度式を導くことができた。
即ち、本発明者らは、リパーゼによる油脂類のエステル
交換反応には水とジグリセリドと脂肪酸が不可欠である
という知見に基づき、さらに、反応系の水分を制御する
ことにより、大幅な反応効率の向上と生成物収率の向上
を達成し7、本発明を完成した。
本発明の構成の要件は、ジグリセリドが油脂類のエステ
ル交換反応における中間体であるという知見に基づき、
従来、油脂類のエステル交換反応において好ましくない
副産物とされるジグリセリドを積極的に反応に取り入れ
、且つ人為的に反応平衡を゛制御することを基本とする
ものである。
本発明のリパーゼによる油脂類のエステル交換反応方法
は、油脂類のエステル交換反応を2段の反応で行うこと
を特徴とするものであり、第1段反応はリパーゼによる
油脂類の加水分解反応を主とするものであり、第2段反
応はリパーゼによるグリセリドのエステル合成反応を主
とするものである。尚、上記した2段の反応は連続した
操作で゛行うことができる。また、反応収率を高めるた
め、多段槽型操作を採用することもできる。
本発明の方法は、第1段反応即ち加水分解反応を主とす
る反応段階においては比較的多量の水分を添加した系で
反応を行うことが望ましい。即ち、水分は油脂類1重量
部に対し0.01重量部以上、好ましくは0.02重量
部以上添加するのが良(、該範囲内の量の水分の添加に
より、通常の酵素反応が進行する温度である20〜50
℃で混合攪拌することにより1〜4時間で反応は平衡に
達し、ジグリセリド含量が全グリセリドに対し15〜5
0重量%の反応生成物が得られる。最適な量の水分は油
脂類IM量部に対し0.02〜0,10重量部であり、
該範囲内の量の水分を添加した系を用いることにより、
ジグリセリド含量が全グリセリドに対し20〜40重量
%の反応生成物が得られる。
次に、第2段反応即ちエステル合成反応を主とする反応
段階では、エステル交換を目的とする脂肪酸を第1段反
応の反応生成物に添加し、20〜50℃の温度を保ちな
がら混合攪拌する。脂肪酸の添加により系の反応は急速
に加水分解反応からエステル合成反応にシフトし、第1
段反応で生成したジグリセリドはエステル合成反応によ
りエステル化され、目的とするトリグリセリドが得られ
る。
本発明の方法で用いるリパーゼとしては、1−ジグリセ
リドの1.3−位置特異性を有するりパーゼが好ましく
、これに該当するリパーゼとして、リゾプスデレマー(
肋セ」徂虹如力狙紅)、リゾプスヤホニカス(■旦並旦
ユ鉦匹に旦)等を挙げることができる。
本発明のさらに好ましい方法は、選択的なエステル交換
反応を達成するために、上記第1段反応即ち加水分解反
応段階で生成するジグリセリド中に占める1、2 (2
,3)−ジグリセリドの割合が70重量%以上、より好
ましくは90重量%以上となるように加水分解反応を行
うものである。
ジグリセリドはしばしばアシル基転移反応がおこり得る
不安定な構造を有するため、加水分解反応温度を40℃
以下とすることが望ましく、反応時間゛も反応温度を4
0℃とした場合10時間以内とすることが望ましい。
本発明のさらに好ましい方法は、上記第2段反6即ちエ
ステル合成反応段階において反応系内の水分を除去する
ことを特徴とするものである。エステル合成反応段階に
おいては、脂肪酸を添加することにより反応平衡のシフ
トがおこるが、さら・ に反応系内の水分を除去するこ
とによりエステル合成反応速度は加速され、加水分解反
応速度は徐々に減速される。
エステル合成反応段階における反応系内の水分の除去は
、乾燥した不活性ガスを反応系内に通気し、さらに反応
系外に排気することにより、反応系内の水分を効果的に
同伴除去することができる。
該不活性ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリ
ウムガス等の爆発性がなく油脂類に対し反応性の無いも
のであれば良い。反応系内への通気は反応器内の液相部
へのバブリングの他、気相部への吹き込みによる方法を
用いることができる。
不活性ガスの通気による水分同伴除去において、排気さ
れる混合ガスは冷媒により水の凝固点以下に冷却された
凝縮器を通過させることにより混合ガスに含まれる水蒸
気は氷となりトラップされ、不活性ガスと水蒸気は完全
に分離される。分離された不活性ガスはさらに反応系内
に還流することにより再利用することができる。
また、本発明の方法において、前記リパーゼの使用量は
基質となる油脂類に対し20〜10000 U / g
が望ましく、より望ましくは100〜1000U/gで
ある。但し、酵素の活性単位(U)は、オリーブ油乳化
液5mlと0.1 Mリン酸塩緩衝液4mlに、酵素を
加え37℃で30分間反応したときに0.05 N水酸
化ナトリウム水溶液0.06m1に相当する脂肪酸を生
成する毎に1活性型位(IJ )とした。以下に示す実
施例中の酵素の活性単位も同様である。さらに、リパー
ゼの安定化、分散性を計る目的で担体を共存させること
が望ましい。
該担体としては、珪藻土、活性炭、石膏、ゼオライト等
の無機物担体、又はセルロース、キトサン、キチン等の
有機物担体等若しくは無機−有機複合担体等が用いられ
る。
本発明の方法の第2段反応(エステル合成反応)段階に
おける脂肪酸の添加量は油脂類1重量部に対し0.4〜
2.0重量部とすることが好ましい。該脂肪酸としては
炭素数2〜22の直鎖の飽和又は不飽和の脂肪酸が利用
でき、例えばパルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸
等を利用することができる。また、上記脂肪酸は所定の
量の全部を一度に添加する他に、反応の進行に伴って徐
々に添加する方法も用いることができる。添加脂肪酸の
中で例えば融点の高いステアリン酸、パルミチン酸等を
用いる場合、反応温度で不均一となることがあるが、そ
のような場合はリパーゼに対して不活性な有機溶媒に脂
肪酸を熔解し均一系として反応を行うことができる。こ
の種の有機溶媒としては、n−ヘキサン、工業用ヘキサ
ン、石油エーテル等があり、脂肪酸1重量部に対し1〜
10重量部用いることができる。
本発明における反応温度は、第1段反応(加水分解反応
)段階、第2段反応(エステル合成反応)段階ともに通
常の酵素反応と同様に20〜70℃で行うことができる
。但し、第1段反応段階では、生成したジグリセリドの
アシル基転移反応が反応温度に依存するため、50℃以
上で行うことは適当ではなく、40℃以下で行うことが
望ましい。
本発明の方法は、前述のように、油脂類のエステル交換
反応を加水分解反応とエステル合成反応の2段反応とし
て構成しているため、微量の水分を用いる反応系と比較
し効率的な反応を行え、従って、従来、加水分解により
生成する部分グリセリドを低くおさえるために反応速度
を犠牲にしなければならなかった1段の反応と比較する
と飛躍的な反応速度の向上と同時に最終生成物中のジグ
リセリド、モノグリセリド等の部分グリセリド含有量を
低減させることができ、画期的な反応操作方法である。
反応速度を大き(することは反応器の運転時間を短縮し
効率的で生産性の高いプロセスを可能にするのみならず
、酵素或いは酵素含有組成物の反応器内での滞留時間を
短縮できるため反応器内で受ける攪拌に伴う応力や表面
の物理的変化等が原因となる酵素の失活或いは酵素含有
組成物の形状変化をより少なくすることができる利点を
も有する。また、本発明の方法では、従来の酵素含有組
成物の調製における乾燥操作に見られるような煩雑な手
間が不用となるとともに無理な乾燥による酵素の失活は
完全に回避できること、さらに、極く微量の水分を用い
る従来の方法では加水分解をおさえるため厳重な初発水
分の調節が必須であったが、本発明の方法では基質とな
る油脂類に対し3〜10重量%の範囲の水分量であれば
第2段反応のエステル合成反応段階での水分除去操作に
より容易に水分を除去できるため、非常に操作性の点で
効果的である。
さらに、本発明の方法では、酵素含有組成物の繰り返し
使用に際しても厳重な水分の制御を必要とせず、2回目
以降の反応においても反応系内に水を添加することによ
り酵素は再び活性化され、富に高い酵素活性を維持でき
るため、安定した反応操作が可能である。しかも、本発
明の方法によれば、5回或いはそれ以上の酵素の再使用
が可能であり、工程の経済性を飛躍的に向上させること
ができる。
次に実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが
、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない
実験例1 キトサン(共和油脂工業■製、商品名フローナックN)
8gを10%酢酸水溶液60g中に添加混合し、キトサ
ン酢酸塩ゲルを形成し、さらに、該ゲルに水440g及
びセライ)32gを添加して均一混合物とした後、これ
をアセトン2000g中に滴下混合して、不溶物を遠心
分離により回収し、さらに、該不溶物をアセトン100
0g中に添加混合した後、濾別し、風乾後、真空下で脱
アセトン乾燥し、キト号ン酢酸塩−セライトからなる担
体を得た。次いで、リゾプスデレマー(Dizo us
 delemar)由来(7)IJハ−セ(98000
U/g) 103mgを水0.5gに溶解し、これを上
記キトサン酢酸塩−セライト担体2.Ogに吸着させ、
固定化酵素を得た。
パーム軟部油38gとn−ヘキ号ン120gの混合物に
上記固定化酵素を添加し、これを閉鎖反応容器内におい
て、反応温度40°Cで攪拌し加水分解反応を行った。
経時的に反応混合物を分取し、イア1−ロスカン(■へ
TR03CAN ) T H−−10によるシンクログ
ラフィー法(J、 J、 5zakasits eta
l、、 Anal、 Chem、J45.351 (1
970) 、M、 Tanaka et al、、 L
ipids 15 (10) 、 872 (1980
)等参照〕により、1,3−ジグリセリド、1. 2 
(2,3)−ジグリセリド、脂肪酸、トリグリセリド等
の分析を行った。但し、シンクログラフィー法における
展開溶媒は、ベンゼン:クロロホルム:ギ酸−70: 
30 : 2を用いた。これらの結果を第1図に示した
。第1図中、TGはトリグリセリド、1. 2 (2,
3)−DGは1. 2 (2,3)−ジグリセリド、1
.3−DGは1,3−ジグリセリド、MGはモノグリセ
リド、FFAは脂肪酸をそれぞれ示す。
゛本実酸で用いたりシブスプレマー由来のリパーゼは、
1−位及び3−位を選択的に加水分解する特異性を有す
る。従って、第1図から明らかなように、反応初期は1
.2 (2,3)−ジグリセリドのみが生成している。
反応時間が長くなると1.3−ジグリセリドの割合が多
くなるが、これは、該リパーゼによる影響ではなく、1
.2 (2゜3)−ジグリセリドが非酵素的アシル基転
移反応により1,3−ジグリセリドに変換したものと考
えられる。このような転移反応に関しては、奥付らの報
告がある( S、 Okumura、 M、 Iwai
、 T、 Tsujisaka、 Agric、Bio
l、 Ch、em、、45 185 (1981)参照
〕。このような非酵素的アシル基転移反応を考慮しない
とすれば、第1図に見るように、約3時間程度で加水分
解反応は平衡に達していることがわかる。
反応時間をさらに長くすると、当然1.3−ジグリセリ
ドの割合は増加してくる。また、反応温度をさらに高く
すると、当然非酵素的アシル基転移反応速度が大となる
加水分解反応を主とする第1段反応の次に脂肪酸を添加
してエステル合成反応を主とする第2段反応を行う場合
、1.3−ジグリセリドは、1゜3−位置特異性を有す
るリパーゼによる合成の基質として望ましくない。従っ
て、】、3−ジグリセリドの生成割合の小さい段階で加
水分解反応を止め、次のエステル合成反応段階に入るこ
とが望ましい。このようなことから、加水分解反応がほ
ぼ平衡に達した時点、或いは平衡に達するすこし前で脂
肪酸を添加してエステル合成反応段階に入ることがより
望ましい。
実験例2 本実験例では、加水分解反応段階における添加水分量に
よる反応平衡への影響について検討した。
固定化酵素は添加水分量以外は実験例1と同様に調製し
た。また、反応条件等も実験例1と同様にして行った。
水分量(対基質重量)1.3%、2.6%、5.3%及
び10.5%の場合について、それぞれ加水分解反応が
平衡に達するのに要する時間(hr)及び平衡状態での
反応混合物中のジグリセリド含量(全グリセリドに対す
る重量%)を調べ第1表に示した。第1表から明らかな
ように、加水分解反応の平衡状態は初発水分量により決
定され、さらに水分量を増加させれば平衡状態における
DG(ジグリセリド)含量がより増加してくることがわ
かる。
第1表 各水分量下での第1段反応(加水分解反応)実施例1 実験例1と同様の反応条件で、第1段反応(加水分解反
応)を3時間行った。次に、ステアリン酸(日本油脂製
、NAA−180>57g及びn−ヘキサン165gを
添加し、40℃で第2段反応(エステル合成反応)を行
った。反応混合物を経時的に分取し、カラムクロマトグ
ラフィーによりトリグリセリド画分を分取した(カラム
クロマトグラフィーの条件;担体、フロリジル、展開溶
媒、n−ヘキサン:エチルエーテル=85:15)。分
取したトリグリセリド画分の固体脂含有率(S F C
)を測定した。SFC測定における調質条件は、油脂を
完全に液状にした後、0℃に30分間放置して固化し、
20℃で2時間放置した後、30℃及び20℃でそれぞ
れ1時間及び2時間放置することを7回繰り返すことに
より行った。
SFCの測定は常法(^、0.C8S、 Recome
ndedPractice Cd 16−815oli
d Fat Content )に従って、プラクシス
モデル(PRAXIS MODEL ) S F C−
900を用いて行った。第2段反応(エステル合成反応
)段階における反応時間0. 4. 8. 12、及び
20時間目のトリグリセリド画分のSFCを第2図に示
した。第2図から明らかなように、反応時間8時間以降
からはトリグリセリドの物性は殆ど変化していない。従
って、カカオバター代用脂の製造を行う場合、8時間程
度で反応を終了し、トリグリセリド画分を分取し、溶剤
分別等で中融点トリグリセリドを分取すればよいことが
わかる。
比較例1 実験例1と同様のバーム軟部油とn−ヘキサンの混合物
に、固定化酵素の添加とともにステアリン酸く日本油脂
製、NAA−180) 57 g及びn−へキサン16
5gを添加すること以外は、実験例1と同様の反応条件
でエステル交換反応を行った。反応混合物を経時的に分
取し、実施例1と同様に、カラムクロマトグラフィーに
よりトリグリセリド画分を分取しSFCを測定した。こ
れらの結果を第3図に示した。第3図から明らかなよう
に、実施例1の結果(第2図)に比較して経時的物性(
S F C)変化が非常に遅い。
実施例2、及び比較例2,3 第4図にフローシートで示した装置を用いて次のように
して油脂のエステル交換反応を行った。
バーム軟部油38gを、リゾプスデレマー由来のリパー
ゼ(98000U/g)103mgを水2゜0gに溶解
しこれを実験例1と同様の担体2.OgLこ吸着させて
調製した固定化酵素、及びn−ヘキサン120gととも
に40℃で2時間閉鎖反応器A内で攪拌機1aにより攪
拌し、第1段反応(加水分解反応)を行った。
次に、攪拌を一時停止し、ステアリン酸(日本油脂製、
NAA−’180) 34.2 gを添加し攪拌を再開
するとともに、反応器A内の液相部1に、不活性ガスで
ある窒素を窒素リザーバー〇からポンプCにより乾燥剤
充填層Bを通して乾燥させた乾燥窒素を吹き込み、気液
平衡関係が成立する気相部2の水蒸気を含んだ同伴不活
性ガスを反応系外に排気することにより、反応系内の水
分含量をを含んだ同伴不活性ガスは、ドライアイスで一
20℃程度に冷却された表面凝縮器Fを通ることでn−
へキサンは液化し、水蒸気は氷となり、気−液一固の3
相に分離され、液化したn−ヘキサンは反応器Aに還流
した。
反応終了後、攪拌を停止し、生成物を回収した。
反応生成物ば、゛ジェイ、プラム(J、 Blulll
)らの方法(Lipid、 5.601. (1970
)参照〕に従って、ヘキサメチルジシラザン(HMDS
) 、)リメチルクロロシラン(7MO3)、(和光純
薬製)を用いてトリメチルシリル化し、昇温ガスクロマ
トグラフィーにより分析した。その結果を第2表に示し
た。
第2表に示した如(、本発明による方法(実施例2)で
は、第1段反応の加水分解反応によりジグリセリドが2
4.6重量%生成しているが、第2段反応のエステル交
換反応及びエステル合成反応によりジグリセリドは徐々
に減少し、8時間後は11.5重量%にまで減少し、さ
らに12時間後は7.4重量%まで減少した。一方、比
較例として、実施例2と同様の固定化酵素を使用し、最
初からステアリン酸を添加した場合(比較例2)、及び
最初からステアリン酸を添加し且つ少量の水分(基質に
対して0.3重量%)を用いて反応を行った場合(比較
例3)の結果を合わせて第2表に示したが、比較例2の
場合つまり最初からステアリン酸を添加した所謂1段で
完了させる反応の場合ではエステル交換は進行するもの
のその速度は遅く、一度生成したジグリセリドは反応平
衡に達するまで増加の傾向を示し、再エステル化による
ジグリセリドの減少は認められなぶった。また、比較例
3の場合つまりジグリセリドの生成を極力おさえる目的
で非常に微量の水分を反応系内に添加した場合、第2表
から明らかなように、反応速度は非常に遅く、本発明の
反応方法と比較するとその反応速度は1/7以下であり
、事実上工業プロセスとしては成り立たないことがわか
る。また、このようにジグリセリドの生成を恐れるあま
り反応時間を長くとることで酵素活性の低下は著しく、
反応終了後回収した酵素剤を再び反応に使用することは
殆ど不可能である。
第2表 パーム軟部油−ステアリン酸系の エステル交換反応 実施例3及び比較例4 実施例2と同様の方法で第1段反応(加水分解反応)段
階及び第2段反応(エステル合成反応)段階からなるエ
ステル交換反応を行い、反応終了後、固定化酵素を回収
した。回収固定化酵素に、原料油脂に対して5.0重量
%に相当する水を吸着させた。該固定化酵素を用いて、
実施例2と同様に加水分解反応段階及びエステル合成反
応段階からなるエステル交換反応を繰り返し行った。エ
ステル合成反応段階の8時間目の反応混合物を、実施例
2と同様にトリメチルシリル化し、昇温ガスクロマトグ
ラフィーにより分析した。一方、比較例4として、加水
分解反応段階を行わず、最初から脂肪酸を添加して反応
を行った場合について同様の分析を行った。これらの分
析の結果より、原料油脂と反応混合物中のトリグリセリ
ド中の炭素数50のトリグリセリド(C50)と炭素数
54のトリグリセリド(C54)の変化量の絶対値の和
(1ΔC501+lΔC541)を計算し、第5図に、
実施例3に係る分析結果を折れ線1で、また比較例4に
係る分析結果を折れ線2でそれぞれ示した。
また、反応混合物中の全グリセリド中に占めるジグリセ
リド含量も第5図に、実施例3に係る分析結果を折れ線
3で、また比較例4に係る分析結果を折れ線4でそれぞ
れ示した。
第5図から明らかなように、実施例3の場合は、反応速
度が非常に速やかであるが、比較例4の場合は、繰り返
し反応によって反応速度が顕著に低減している。
【図面の簡単な説明】
第1図は実験例1の加水分解反応における反応混合物中
の各成分の経時的変化を示すグラフ、第2図は実施例1
の第2段反応(エステル合成反応)段階における反応混
合物中のトリグリセリド画分のSFCの経時的変化を示
すグラフ、第3図は比較例1のエステル交換反応におけ
る反応混合物中のトリグリセリド画分のSFCの経時的
変化を示すグラフ、第4図は実施例2で用いた本発明の
実施に好適な装置のフローシート、第5図は実施例3及
び比較例4の繰り返し反応における、反応混合物中のト
リグリセリド成分の変化量の推移及び反応混合物中の全
グリセリド中に占めるジグリセリド含量の推移を示すグ
ラフである。 A・・・反応器 B・・・乾燥剤充填層C・・・ポンプ
 D・・・窒素リザーバーE・・・窒素ポンベ F・・
・凝縮器 1a・・・攪拌機 l・・・液相部 2・・・気相部 特許出願人 旭電化工業株式会社 温度 〔°C) 第3図 温DLr℃) 第4図 第5図 繰り返し反応回数 手続補正書 昭和59年 4月19日 1、事件の表示 特願昭58−126392号・ 2、発明の名称 リパーゼによる油脂類のエステル交換 反応方法 3、補正をする者 事件との関係 特許出願人 (03B)°旭電化工業株式会社 4、代理人 東京都港区赤坂九丁目6番29号 パシフィック乃木坂601号 自発補正(出願口から1年3月以内の補正)6、補正の
対象 明細書の発明の詳細な説明の欄 7、補正の内容

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 +11油脂類の加水分解反応を主とする第1段反応と、
    エステル合成反応を主とする第2段反応の連続する2段
    の反応により構成されることを特徴とするリパーゼによ
    る油脂類のエステル交換反応方法。 (2)リパーゼが1,3−位置特異性を有するリパーゼ
    である、特許請求の範囲第+11項記載のリパーゼによ
    る油脂類のエステル交換反応方法。 (3)第1段反応が全グリセリド中15〜50重量%の
    ジグリセリドの得られる反応である、特許請求の範囲第
    (11又叫(2)項記載のリパーゼによる油脂類のエス
    テル交換反応方法。 (4)第1段反応が全グリセリド中20〜40重量%の
    ジグリセリドの得られる反応である、特許請求の範囲第
    (1)又は(2)項記載のリパーゼによる油脂類のエス
    テル交換反応方法。 (5)第1段反応によって得られるジグリセリドが全ジ
    グリセリド970重量%以上の1. 2 (2゜3)−
    ジグリセリドを含有するジグリセリドである、特許請求
    の範囲第(1)〜(4)項何れかに記載のリパーゼによ
    る油脂類のエステル交換反応方法。 (6)第1段反応によって得られるジグリセリドが全ジ
    グリセリド990重量%以上の1. 2 (2゜3)−
    ジグリセリドを含有するジグリセリドである、特許請求
    の範囲第(11〜(4)項何れかに記載のリパーゼによ
    る油脂類のエステル交換反応方法。 (7)第2段反応が脂肪酸を添加してエステル合成反応
    を行う反応である、特許請求の範囲第(1)〜(6)項
    何れかに記載のリパーゼによる油脂類のエステル交換反
    応方法。 (8)脂肪酸の添加量が油脂類1重量部に対し0.4〜
    2.ONN郡部ある、特許請求の範囲第(7)項記載の
    リパーゼによる油脂類のエステル交換反応方法。 (9)第2段反応において、反応系内の水分除去を行う
    、特許請求の範囲第(1)〜(8)項何れかに記載のリ
    パーゼによる油脂類のエステル交換反応方法。 (10)乾燥した不活性ガスを継続的或いは断続的に反
    応系内に通気し、さらに反応系外に排気して反応系内の
    水分を同伴除去することにより、水分除去を行う、特許
    請求の範囲第(9)項記載のリパーゼによる油脂類のエ
    ステル交換反応方法。 (11)反応系外に排気されたガスを凝縮器を通過させ
    て水分を分離除去し、反応系内に還流させる、特許請求
    の範囲第(10)項記載のリパーゼによる油脂類のエス
    テル交換反応方法。
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