JP2711391B2 - 改質油の製造法 - Google Patents

改質油の製造法

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JP2711391B2
JP2711391B2 JP63033009A JP3300988A JP2711391B2 JP 2711391 B2 JP2711391 B2 JP 2711391B2 JP 63033009 A JP63033009 A JP 63033009A JP 3300988 A JP3300988 A JP 3300988A JP 2711391 B2 JP2711391 B2 JP 2711391B2
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    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は固定化リパーゼによる油脂の改質、更に詳細
には界面活性剤等の活性発現剤存在下で固定化された固
定化リパーゼによる油脂のエステル合成、又はエステル
交換反応による油脂の改質およびこの方法に使用する新
規な固定化リパーゼに関する。
<従来技術> 良質な油脂はトリグリセリド(以下TGと略す)が主成
分であるがパーム油のようにジグリセリド(以下DGと略
す)分の多い油脂はDGを除去するかTGに変換することが
望まれている。
リパーゼは油脂のエステル合成又はエステル交換反応
の触媒能を持つことが広く知られており、油脂の加工に
広く用いられている。またリパーゼの固定化についても
担体に化学的、物理的に固定化する方法、又は担体で包
括する方法など研究が進んでいる。ところで、エステル
の加水分解と合成は可逆反応であり、油脂のTG化の場合
下式(1)に示すように左から右に反応が進行する。
DG+FFA(遊離脂肪酸)TG+H2O (1) 上述のようにリパーゼは加水分解反応と合成反応とい
う相互に可逆の反応を触媒することにより、(1)式の
反応系に於て水分の多い系においては反応式からも明ら
かなように加水分解反応が進行し、水分の少ない系にお
いては合成反応が進行する。
さて、一方TGの加水分解物の一つであるDGを多く含む
油脂、例えばパーム油、米油、オリーブ油等では、TG中
にDGが多量に存在する為に、SFI(固体脂含有率係
数)の低下、結晶核生成の妨害、チョコレート製造
工程におけるテンパリング操作の難渋、フライ油とし
て使用するばあい高温下で加水分解を起しやすく、した
がって油脂の劣化を早める等の問題が生じる。このDGは
他のTGの加水分解物のMG(モノグリセリド)、FFA(遊
離脂肪酸)とは異なってTGから除去し難い物質である。
何故ならばMG及びFFAはDGと同様にTGと共融混合物を
作り、結晶核の生成を妨害する作用を有するが、アルカ
リ精製や蒸留、脱酸でTGからかなりの量を分離可能であ
るのに対し、DGについては、現在工業的に有効な分離方
法が存在しないからである。
このためDGの除去に関して、最近、前述のリパーゼを
用いるエステル合成反応(DG+FFA→TG+H2O)の利用が
検討されている。
例えば、可逆的に乾燥した系(反応系の水分濃度1800
ppm以下)で固定化リパーゼを作用させてエステル合成
を行ないDGをTGに変換する方法である(特開昭57−8787
号)。
この方法では、TGとともに生成してくる水分若しくは
低級アルコールを減圧留去又は吸収剤を用いて除去して
いる。
しかしながらこの方法では、リパーゼを水の存在下で
セライト等の担体に分散または吸着させた後に減圧乾燥
するという従来法に従って調製された固定化リパーゼを
用いている為にDGをTGに移行させるのに長時間要する
(3日以上)という欠点がある。
従って、現在のところエステル合成反応を用いて効率
よくしかも速やかにDGをTGに変換させる方法は報告され
ていない。
一方エステル交換による油脂の改質法については、リ
パーゼを脂肪酸誘導体と接触下に乾燥して得られた酵素
剤を用いて水分800ppmのバーム油中融点画分をエチルス
テアレート(1:1)に配合した系でエステル交換する方
法が開示されている(特開昭62−134090号)。
その他、水、グリセリン等で以って予め湿潤処理した
リパーゼ製剤を用いて水分1500ppm、パーム油中融点画
分とステアリン酸とn−ヘキサンの混合系でエステル交
換反応を行なう方法が開示されている(特開昭61−1490
97号)。
〔発明が解決しようとする課題〕
油脂のエステル合成ではDGをTGに移行させるのに3日
以上の長時間を要し製造設備は小型にできず酵素剤の使
用量が多くなる為実用的でなかった。
一方特開昭62−134090号に開示されているエステル交
換反応においても反応率が80%に達するのに1〜3日を
要した。このため副反応が生じ見かけ上酵素の位置特異
性が低下し、製造される油脂の物性が変化する等の問題
があった。製造設備も小型に出来ず酵素剤も多量に使用
するため原単位が高くなり実用的でなかった。反応系の
水分も800ppmと高いのでTGの加水分解反応が同時に起
り、得られる製品の歩留りが低く又品質の劣化問題であ
った。
他方(特開昭61−149097号)による方法では水分の多
い系である為TGの加水分解が起り易く歩留りの低下、品
質の低下という欠点があり、又500ppm以下の水分の系で
は反応速度が著しく低下するという欠点がある。
したがって本発明の第1の目的は、このような欠点の
ないエステル合成又はエステル交換反応により油脂を改
質する方法を提供することである。
本発明の第2の目的は、エステル合成又はエステル交
換反応により、油脂を連続的に改質する方法を提供する
ことである。
本発明の第3の目的は、上記方法において触媒として
使用する新規な固定化リパーゼを提供することである。
<課題を解決するための手段> 本発明の第1の目的は、活性発現剤存在下に固定化担
体にリパーゼを固定化して得られる固定化リパーゼを、
水分300ppm、以下、好ましくは150ppm以下の系で、油
脂、または油脂と遊離脂肪酸および/またはそのエステ
ルに作用させてエステル合成又はエステル交換反応を行
わせることにより達成される。
本発明の第2の目的は、上記特定の固定化リパーゼを
ガラムに充填し、このカラムに油脂、または油脂と遊離
脂肪酸および/またはそのエステルを連続的に通過せし
めることにより達成される。
本発明の第3の目的は、特定の活性発現剤存在下に固
定化担体にリパーゼを固定化することにより達成され
る。
本発明において油脂のエステル合成とは、DGと遊離脂
肪酸またはそのエステルを反応させてTGに変換すること
をいう。また、油脂のエステル交換とは、脂肪酸残基の
異る二種又はそれ以上のTG相互において相互に脂肪酸残
基の交換が行われるが、TGに遊離脂肪酸が反応し遊離脂
肪酸残基がTG中の1つ以上の脂肪酸残基と交換する反
応、TGと脂肪酸エステルが反応し一つ以上の脂肪酸エス
テル中の脂肪酸残基がTG中の脂肪酸残基と交換する反
応、又はTGとDGまたはMGが反応して、DGまたはMG中の脂
肪酸残基がTG中の脂肪酸残基と交換する反応等をいう。
本発明においてリパーゼの固定化の際に用いられる活
性発現剤としては、種々の界面活性剤およびポリオール
化合物を使用することができる。
界面活性剤としては食添用乳化剤例えばレシチン、シ
ョ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリ
グリセリン脂肪酸エステル、モノグリセリド、プロピレ
ングリコール脂肪酸エステル等が好ましいが、食添用以
外の乳化剤も用いることができる。また、界面活性剤と
しては精製されたホスファチジルコリン、ホスファチジ
ルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール及び
ホスファチジルセリン等をも当然用いることができる。
またポリオール化合物としては例えばグルコース、フラ
クトース、ガラクトース、蔗糖、マルトース、セロピオ
ース、ラクトース、ラフィノース、スタキオース、デキ
ストリン等の糖類、ソルビトール、エリスリトール、エ
チレングリコール等の多価アルコールを用いることがで
きる。ただし、グリセリンは含まれない。これらの活性
発現剤は単独もしくは二種以上組合せて用いることも可
能である。
上記活性発現剤の使用量は特に限定されないが、通常
リパーゼに対して20重量%(以下%は全て重量%とす
る)以上、好ましくは50〜500%が適当である。
リパーゼとしてはたとえば、リゾップス属(Rhizopu
s)、アスペルギルス属(Aspergillus)、ペニシリウム
属(Penicillium)、キャンディダ属(Candida)、シュ
ウドモナス属(Pseudomonas)、ムコール属(Mucor)及
びジョートリカム属(Geotrichum)由来のリパーゼを用
いることができる。
本発明において、固定化担体としては、吸着型担体及
び包括型担体のいずれも使用できる。吸着型担体として
はセライト、白土、活性炭、セルロース及びその誘導
体、キトサン及びその誘導体、イオン交換樹脂等があ
り、包括型担体としては光硬化性樹脂、寒天、アルギン
酸ソーダ等がある。
本発明に使用する固定化リパーゼを製造するにはま
ず、リパーゼと活性発現剤を脱イオン水、蒸留水等の水
又は緩衝液に分散又は溶解させる。
次に固定化担体として吸着型担体を用いる場合、上記
水溶液を担体に均一散布し、固定化リパーゼ剤とする。
その後必要ならば減圧乾燥等で水分を除去すればよい。
また包括型担体を用いる場合は、上記水溶液と担体モ
ノマーを混合した後、重合を行ない固定化リパーゼ剤と
する。その後必要に応じて水分を除去すればよい。
本発明に用いる油脂としてはモノグリセリド、ジグリ
セリド等の部分グリセリドを多く含む油脂、例えばパー
ム油、米油、オリーブ油、コーン油等が挙げられる。も
ちろん上記以外の油脂、例えばナタネ油、サンフラワー
油、大豆油、紅花油等の液体油又はラード、タロー、ビ
ーフケンネン脂等の固体脂を用いても何の問題もない。
また必要に応じて上記油脂類にミリスチン酸、パルミ
チン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノ
レン酸及びγ−リノレン酸等の脂肪酸またはそのエステ
ルを単独又は2種類以上組み合せて添加してもよい。こ
の脂肪酸および/またはエステルの添加量は油脂100重
量部あたり1〜1000重量部、好ましくは10〜100重量部
が適当である。
さて、固定化リパーゼを用いてエステル合成反応また
はエステル交換反応を行なう為には、まず原料油(油脂
又は油脂と脂肪酸および/またはそのエステルの混合
物)の水分濃度を300ppm以下、好ましくは150ppm以下に
調整し、次に固定化リパーゼを該原料油に添加して行
う。
固定化リパーゼの添加量は特に限定されるものではな
いが、通常原料油100重量部あたり2〜30重量部添加す
ればよい。
エステル合成反応のばあいには、TGの生成とともに水
分も生成するが、この生成した水分を反応系より除去す
る必要がある。水分の除去方法としては、減圧留去、モ
レキュラーシーブ等の脱水剤の使用、窒素ガス等の乾燥
不活性ガスの使用等が挙げられる。
ともかく、エステル合成反応の反応系中の水分濃度は
合成分解分岐点水分濃度以下が好ましいが、エステル交
換反応のみを行う場合も含めて、通常は300ppm以下にコ
ントロールすればよい。またクルードパーム油等をもち
いる場合は300ppmでも反応は可能であるが、1〜150ppm
に調整する方が好ましい。
反応は30〜90℃の温度範囲で1〜24時間で行なえばよ
い。
反応様式は上述のようなバッチ反応で行なってもよ
く、カラム、流動槽等を用いる連続反応で行なってもよ
い。連続法の場合もエステル合成が進むに伴ない水(H2
O)が生成されてくるので、水分濃度が上昇し水分はエ
ステル合成分解分岐点水分濃度附近に到達しエステル合
成反応が自動的に緩慢になりひいては停止してしまう。
従って反応油中の水分濃度を低下させる必要がある。こ
の方法としては乾燥不活性ガスを通気して水分除去を行
なう方法があり流動槽型連続方法に有利に適用できる。
一方、固定床型連続反応の場合はリアクター出口から
排出される水分濃度の上昇した反応油を反応器外で脱水
剤充填塔、減圧脱水槽、不活性ガス脱水塔等のいずれか
一つ又は二つ以上を組合せて用いて脱水してリアクター
入口に戻しリサイクルさせる方式が適用できる。
今まで述べてきたように固定化リパーゼによる油脂類
のエステル合成反応において、酵素固定化時に活性発現
剤を存在させることにより、低水分下(反応系の水分濃
度300ppm以下)では、従来酵素のみの固定化酵素剤では
全く合成活性が発現しなかったものでも合成活性を示す
ようになるという効果がもたらされる。
さて、リパーゼを用いたエステル合成反応及びエステ
ル交換反応は、一般には水と油との界面で反応が進むと
言われており、油中に界面活性剤を添加することにより
ミセルを形成し、加水分解を抑制してエステル交換反応
を促進するという方法が知られている(特開昭57−1987
98号)。しかし本発明が適用される反応系はそれよりも
かなり低い水分濃度(300ppm以下)であること、及び酵
素は担体に固定化されていることなどミセル形成による
効果は期待できない。また、実際に界面活性剤を反応系
中に添加しても油脂のエステル合成活性の増加は認めら
れなかった。しかがって本発明における活性発現剤の作
用は特開昭57−198798号の場合のような、ミセルの形成
ではなく、リパーゼの担体への固定化の状態に寄与して
いるものと考えられる。なお固定化時に共存させた活性
発現剤は反応後も反応油中へのリークは殆どなく固定化
リパーゼに吸着しており、この考えを裏付けている。
なお、本発明の固定化リパーゼは、油脂の改質だけで
なくその他のエステル化合物の合成あるいはエステル交
換反応にも当然用いることができる。
以下本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。
<実施例1> シュードモナス属由来の精製リパーゼ酵素を40mgずつ
3画分に分け、この内の1つの画分にのみ更に市販レシ
チン(味の素(株)製)を100mg添加した。
次にこれら3画分にそれぞれ2gの水を添加して、溶解
させた後に、各2gのセライト画分に添加し、よく撹拌し
た。そして、その後に3画分いづれも40℃15mmHgで3時
間乾燥処理した。このようにして水分約1%の3種類の
固定化リパーゼを調整した。一方、クルードパームオレ
イン(TG含量86.2%、DG含量8.4%)を20gづつ含有する
3画分(画分A、B及びCとする)を減圧乾燥して全て
水分60ppmになるように調整した。
尚、画分Bのみ減圧乾燥する前に市販のレシチン(味
の素(株)製)を油脂中に0.1g添加しておいた。
このようにして調製した3画分それぞれにモレキュラ
ーシーブ3A 8gを添加した後、前述の各固定化リパーゼ
剤を添加してバッチ様式でエステル合成反応をスタート
させた。
この時の組み合せは画分Aには活性発現剤存在下で固
定化したリパーゼ剤を、画分B及びCにはそれぞれ活性
発現剤不存在下で固定化した固定化リパーゼ剤を添加し
た。反応条件は60℃、10時間で反応中は絶えず乾燥窒素
ガスを反応系に通して生成してくる水分を留去した。こ
のため反応系の水分濃度は100ppm以下に保持された。
10時間後に反応をとめ、各画分中のTG含量を測定し、
その結果を表1に示した。又同時に反応油中のレシチン
の量をP(燐)をパラメーターとして定量することによ
り算出した。また、TG組成変化を炭素数別に測定しその
結果を表1に示した。表1から分かるようにエステル合
成と同時にエステル交換も起っていた。
<実施例2> シュードモナス属由来の精製リパーゼ20mgと市販のレ
シチン(味の素(株)製)100mgを水2gに溶解し、これ
をセライト2gに混合した。次いでこの混合物を40℃、15
mmHgの条件で3時間乾燥して水分約1%の酵素剤を調製
した。
活性発現剤としてレシチンのかわりに、蔗糖脂肪酸エ
ステル(三菱化成食品(株)製S−1670)、ソルピタン
脂肪酸エステル(関東化学(株)Span60)、ポリグリセ
リン脂肪酸エステル(阪本薬品工業(株)MO−750)、
をそれぞれ用いた以外は全く同一の条件で固定化リパー
ゼ剤を調製した。また対照として活性発現剤を添加しな
いこと以外は全く同一の条件で固定化リパーゼ剤を調製
した。
このようにして得た各種リパーゼ剤2gを、減圧乾燥処
理により水分濃度70ppmに調製したクルードパームオレ
イン各20g(TG86.5%)にそれぞれ添加してバッチ方式
でエステル合成反応を行なわせた。
尚、反応は60℃、24時間撹拌して行なった。反応中は
反応系を2mmHgの減圧下におき、反応系中の水分濃度を1
00ppm以下に調整しておいた。
反応後、それぞれの油脂中のTG含量を測定した。結果
を2表に示した。
<実施例3> シュードモナス属由来の市販リパーゼ1g及び市販レシ
チン(味の素(株)製)2gを水15g中に溶解させた。次
にこの溶液にマンビル社製セライト(No.535)10gを添
加して混合した後に10mmHgの条件で4時間乾燥してレシ
チンを含有する固定化リパーゼ剤を調製した。一方、ク
ルードパーム油(TG含量87.5%)80g及びパルミチン酸2
0gを混合した後、減圧乾燥により水分濃度を80ppmに調
整した。このようにして得た原料油100gに対して固定化
リパーゼ剤10gを添加して更には脱水剤として乾燥窒素
ガスを1(v/v/分)で通気しながら40℃で24時間撹拌し
て反応させた。反応時間中は反応系の水分濃度は100ppm
以下に調整されていた。尚、対照としてレシチン無添加
以外は全く同一の方法で調製した固定化リパーゼ剤を用
いて同一の方法を行った。さらに、原料油としてクルー
ドパーム油100gを使用する以外は、上記レシチン含有固
定化リパーゼ剤を用いて同一の方法を行った。反応終了
後のそれぞれの油脂中のTG含量を測定した。結果を表3
に示した。
<実施例4> リパーゼとしてリゾップス属由来のリパーゼ、活性発
現剤として市販粉末レシチン、固定化担体としてはマン
ビル社製セライトNo.560を用いた以外は全く前述の実施
例3と同様の方法で活性発現剤の存在下で固定化した酵
素剤を調製した。
また、この場合も市販粉末レシチンを添加しない以外
は全く同様の方法で調製した酵素剤を対照とした。
一方、クルードパームオレイン(TG含量86.2%)を減
圧乾燥により水分濃度を70ppmに調製した原料油を得
た。
この原料油20gに上記固定化リパーゼ剤2gを添加して6
0℃、24時間撹拌しながらバッチ方式でエステル合成反
応を行った。尚、反応時間中は反応系を2mmHgの減圧下
におき、生成してくる水分を除去しながら反応系の水分
濃度を100〜20ppmに保った。反応終了後各油脂中のTG及
びDG含量を測定した。結果を第4に示した。
<実施例5> シュードモナス属由来の精製リパーゼ0.1g及び市販の
レシチン(味の素(株)製)0.5gを水8g中に添加して溶
解させた。
次にこの水溶液にマンビル社製セライト(No.545の10
0mesh篩上)10gを添加して混合した後に10mmHgの条件下
で3時間乾燥して水分濃度約0.4%の固定化リパーゼ剤
を調製した。
この固定化リパーゼ剤10gをカラム(30φ×36.5mm)
に充填した。
一方モレキュラーシーブ3A 75gをカラム(24φ×290
mm)に充填した脱水塔を作りクッションタンクと第1図
のように継いでバイオリアクターシステムを組み立て
た。全系を60℃に保ちクルードパームオレイン(TG含量
85.3%、DG含量9.5%、水分700ppm)をクッションタン
クに充填しリサイクルポンプ(第1図中の4)でリサイ
クルさせた5時間後に原料入口(第1図A)から10g/h
の速度でクルードパームオレインを通液し反応出口(第
1図C)から10g/hの速度で引抜いてTG含量を分析し
た。連続的にTG含量90.0%、水分100ppmの反応油が得ら
れた。比較例として、モレキュラーシーブを充填しない
で反応させた。反応出口(第1図C)のTG含量は83.8
%、水分は400ppmであった。この比較例では、モレキュ
ラーシーブを使用していないため、リアクター入口での
水分は700ppmであり、このため、エステル合成反応は起
らず、逆に加水分解反応が起り、水が消費されるため、
反応出口における水分濃度が400ppmに低下したものであ
る。
<実施例6> 実施例4と同様の方法で活性発現剤の存在下で酵素剤
を調製した。またこの場合も活性発現剤を添加しない以
外は全く同様の方法で調製した酵素剤を対照した。
一方精製パーム油を20gとなたね白絞油80gを40℃で混
合し、減圧乾燥により水分を100ppmに調整し原料油とし
た。この原料油20gに、モレキュラーシーブ3Aを2gと、
上記固定化酵素剤2gを添加し、振盪法で60℃3時間反応
せさた後TG組成変化を炭素数別に測定した。結果を表5
に示した。尚、反応系中の水分濃度は絶えず100ppm以下
に調整されていら。
この実施例が示すように本発明に係る固定化リパーゼ
剤はエステル交換にも使用できた。
実施例7 シュードモナス属由来の精製リパーゼ50mgおよび市販
蔗糖(純正化学製)150mgを水1gに溶解させた後、この
水溶液をマンビル社製セライド(No.535)5gに添加混合
して固定化リパーゼ剤を調製した。
上記のうち市販蔗糖を添加しない他は全く同様に調製
した固定化リパーゼ剤を対照1とした。また対照1と同
様に調製した後30mgHg、40℃5時間乾燥したものを対照
2とした。
一方原料油としては減圧乾燥により水分濃度を60ppm
以下に調整したクルードパームオレインを用いた。反応
はこの原料油20gに対して固定化リパーゼ剤1g/モレギュ
ラーシーブ3A12gを加え、60℃24時間撹拌しながらエス
テル合成反応を行なった。反応系中の水分は5〜30ppm
であった。又比較例として原料油に蒸溜水を添加して水
分濃度800ppmにしたものに固定化リパーゼ剤1gを加えて
60℃24時間撹拌した。
クルードパーム油中のTGをガスクロで定量した結果を
表6に示す。なお原料油中のTG含量は87.5%であった。
水分800ppmの系ではエステル合成は起らず加水分解が
起っていること、水分の低い系でも実施例(蔗糖添加酵
素剤)においてのみエステル合成反応が進んでいること
が判る。
実施例8 シュードモナス属由来の精製リパーゼ20mgと蔗糖(純
正化学等級)100mgを水2gに溶解し、これをセライト2g
に混合し固定化リパーゼ剤とした。
活性発現剤として蔗糖のかわりに市販レシチン(味の
素製)、マルトース(東京化成、G.R.)、セロビオース
(東京化成G.R.)、ラフィノース(東京化成G.R.)、エ
リスリトール(和光純薬)、をそれぞれ用いた以外は全
く同一の条件で糖類等を含有する固定化リパーゼ剤を調
製した。
このようにして得た各種リパーゼ剤4gを、減圧乾燥処
理により水分濃度70ppmに調製したクルードパームオレ
イン各20g(TG87.5%)にモレキュラーシーブ3A8gを添
加した反応液に添加してバッチ様式でエステル合成反応
を行った。反応は60℃で行ない16時間反応後の反応液中
のTG含量を測定した。その結果を表7に示した。
実施例9 リゾップス属由来の市販リパーゼ1gおよび市販レシチ
ン又は蔗糖0.3gをとり水4gに溶解させた。次にこの溶液
にマンビル社製セライト(No.535)20gを添加してよく
混合し固定化リパーゼ剤とした。
この固定化リパーゼ2gを乾燥せずにそのまま(水分15
%)、内径1cm×10cmのカラムに充填した。これにモレ
キュラーシーブ3A35gを充填したカラムに通して水分を
約60ppmにした反応基質(クルードパームオレイン:な
たね油、60:40混合油、TG含有率91.8%)をポンプで定
量的に流し連続的に、エステル交換反応を行わせた。
3時間までの初溜分をカットし、66時間まで運転した
所、反応液水分約100ppmの油脂が、TG収率99〜101%で
得られた。加水分解を殆ど起さずにエステル交換反応が
進行したことがわかる。
対照としてレシチン、蔗糖といった活性発現剤を添加
しない他は上記と同様の方法で調製した固定化リパーゼ
を40℃6時間乾燥して水分1%にしたものを用いた。結
果を表8に示す。
なお、TG収率は次式により求めた。
エステル交換反応が進むとTG組成は平衡に達する。そ
の平衡値はC50:20.5%、C52:44.6%、C54:33.4%であっ
た。
エステル交換率は下の式から求めたが、いずれも約60
%であった。
実施例10 リゾップス属由来の市販リパーゼ10gおよびレシチン3
gをとり水40gに溶解させた。次にこの溶液に珪藻土(マ
ンビル社製No.535)200gを添加してよく混合し固定化リ
パーゼ剤とした。この固定化リパーゼ剤各1gを内径1cm
高さ10cmのカラム6本に充填した。
これに水分をそれぞれ約60ppm、約100ppm、約150pp
m、約300ppm、約500ppm、約1000ppmに調製した反応基質
(クルードパームオレインとなたね油を50:50の比で混
合した油)をポンプで約2g/hで流し連続的にエステル交
換反応を行わせた。3時間通油後のTG収率を測定した所
表9に示す結果が得られた。なお、反応基質のTG濃度は
94.0%であった。
水分濃度の高い所では加水分解が起こる為収率が低く
なる。一方水分が110ppm以下ではエステル合成が起こり
若干である収率が向上する。
<効 果> 本発明に係る活性発現剤の存在下に固定化担体に固定
化したリパーゼ酵素剤を用いることにより、エステル合
成反応時間の短縮化、従ってバイオリアクター化が可能
になる。このため低コストで品質のすぐれた改質油脂が
得られる。
反応速度向上の結果バイオリアクターシステムの構築
が可能になり更に飛躍的に反応速度の向上、設備の小型
化が可能になり改質油の品質も向上する。
さらに得られた改質油はモノグリセリド、ジグリセリ
ド及び脂肪酸含量が低い為、精製収率が高く、また、結
晶化速度が早く、フライ油として使用するような高温で
加水分解を受けにくいというすぐれた品質を備えてい
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明方法を実施するための装置の一具体例を
示す図面である。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】界面活性剤及びポリオール化合物からなる
    群から選ばれた少なくとも1種以上の活性発現剤の存在
    下で、固定化担体にリパーゼを固定化して得られた固定
    化リパーゼを触媒として、水分300ppm以下の系でジグリ
    セリド含有油脂を処理することを特徴とする、トリグリ
    セリド含有量を高めた改質油の製造法。
  2. 【請求項2】界面活性剤及びポリオール化合物からなる
    群から選ばれた少なくとも1種以上の活性発現剤の存在
    下で、固定化担体にリパーゼを固定化して得られた固定
    化リパーゼを触媒として、水分300ppm以下の系で、油脂
    に含まれるジグリセリドと、遊離脂肪酸および/または
    そのエステルを反応させることを特徴とする、トリグリ
    セリド含有量を高めた改質油の製造法。
  3. 【請求項3】前記固定化リパーゼを充填したカラム中
    に、ジグリセリド含有油脂を通過させて連続的に処理す
    る請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】前記固定化リパーゼを充填したカラム中
    に、ジグリセリド含有油脂と、遊離脂肪酸および/また
    はそのエステルとを同時に通過させて、連続的に処理す
    る請求項2記載の方法。
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