JPS6014766Y2 - 引箔に適する織物用金銀糸 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は引箔に適する織物、編物用の金銀糸に関する
。

従来の引箔用シートは、金属蒸着した樹脂フィルムを片
面とし、和紙を他の片面としているために吸湿性、放湿
性のないフィルム面と、吸湿性、放湿性に富む和紙面と
の間に著しい膨張、収縮の差が生じ、シート自体が常に
巻状を示し、細断時に困難をきたすと共に、織物とする
時には、細断した糸条群が経時的に巻状に起因する捩れ
を生じ、織物の表面上に和紙の一部が現出する欠陥があ
った。

この欠陥を排除するため、和紙面に防湿加工を施すこと
が考えられたが、積層シートの側面からの吸湿を防ぎき
れず、やはり巻状になる傾向にあつた。

本考案においては、前述の欠陥を排除するために特にフ
ィルムの露出面上に接着剤を介して透視可能で和紙と同
等の吸湿性、放湿性を有したシートを貼着し、得られた
積層シートを細幅に細断して織編物用金銀糸としたので
ある。

この場合、透視性を有し、且つ吸湿性、放湿性を有する
シートとは、薄物の和紙、またはセロハン紙若しくはナ
イロン等を云い、光択が要求される場合は透明セロハン
紙又はナイロンを用い、柄を生かした古代箔紋様、また
はいぶし銀模様の場合には少なくとも金属蒸着によるエ
ンボスの光沢面が確認出来る薄物の和紙を用いる。

このシート構成では、実際上、金属蒸着フィルムを芯材
として、両面にほぼ同一の吸湿性、放湿性を有するシー
トを貼着したこととなり、従来のようにシートが巻状に
ならず、細幅に細断するのが容易なばかりでなく、細断
後の糸条は捩れず、織編物上の金銀糸の表、裏面が入れ
替わるとがない。

次に本考案の具体例を説明する。

ポリテステルフイルム１にアルミニウム等の金属蒸着層
２を形威し、次いで金属蒸着層２に酸化および硫化防止
の目的でウレタンまたはエポシキ系合戒樹脂によるコー
ティング層３を形成する。

コーティング層３の面上には、エンボス加工をするため
の和紙５を接着剤４を介して貼着する。

和紙５は柔軟性と縦方向の引張り強度とを有する材料と
し、接着剤４は、アクリルまたは塩ビ、酢ビ等の重合物
または共重合物を水に分散させたエマルジョン液を用い
る。

この和紙５の貼着工程によるシート状物に梨地模様、そ
の他の凹凸を与え柔軟性と鎖模様を得る。

斯かるエンボス加工の戻りを防止するために、更に和紙
５表面上に合成樹脂面６を形成する。

合成樹脂面６は、ポリビニルアルコール等のエマルジョ
ン型合戊樹脂溶液を塗布して形威し、凹凸面を平滑にす
る。

この場合、該合成樹脂面６の膜厚を加減することによっ
て、和紙５の側面より進退する吸湿度、放湿度をシート
Ｂと同等とすることでカールを阻止することが出来る。

また場合によって和紙５側凹凸面に合成樹脂接着剤７の
層を介して薄い和紙８を貼着してもよい。

次いで、ポリテステルフイルム１の露出面上に透視可能
で和紙と同等の吸湿性、放湿性を有したシートＢを適宜
接着剤９により貼着する。

接着剤９はシートＢの面上に模様を付ける場合にはポリ
ウレタン系接着剤がよく、シートＢは極薄物の透視可能
な和紙か、透明セロハン紙やナイロンとし、金銀蒸着面
を表面から確認し得るようにする。

シートＢは和紙５とほぼ同効の吸湿性、放湿性を有して
いるので、金属蒸着フィルムが芯材となり構成したシー
ト自体が巻状にならない。

このシートは引箔用であるので、細幅に細断する前に金
銀光択面に図柄を作り、千判のシート数枚を重ねてギロ
チンにて細断し、串剌シートの細断された端より順引す
る。

また無地柄の織物を表具用として接着可能なように、シ
ートの片面を和紙で残すことも出来る。

本考案は成上のようにポリテステルフイルム、金属蒸着
層、コーティング層を順に形成した後、更に接着剤を介
して和紙を貼着して成るエンボスされたフィルムの和紙
側凹凸面に、エマルジョン型合戒樹脂層をエンボス面が
平滑化し得る程度で且つその塗布量の加減をシートの吸
湿性、放湿性と均等になるように凹凸面に埋入している
ので、金銀糸の伸びが是正出来て強靭性を附与すると共
に凹凸面が埋入状態を呈するので押圧や引張りによって
もエンボスのもどりを呈せず常に一定で安定した梨地面
が得られる効果があり、斯かる積層物に於いてポリテス
テルフイルム側に接着剤を介して和紙と同等の吸湿性や
放湿性がある極薄物和紙、セロファン紙、ナイロン等の
シートを貼着一体化して糸条となしたので、所謂シート
面と和紙の側面とが均等に吸湿性、放湿性を呈すること
となり引箔打込時にまたは長期の放置時に際しても巻状
にカールして不良品となる欠陥が阻止出来、常に安定し
た商品となり得るものである。

またポリテステルフイルムでは不能であった柄模様の形
成が当該シート面上に表現出来て、多目的の引箔用とし
て供することも出来る。

【図面の簡単な説明】

第１図、第２図は本案品に至るまでの工程図、第３図は
本案品の断面図、第４図は他の実施例による断面図を夫
々示すものである。 １・・・・・・ポリテステルフイルム、２・・・・・・
金属蒸着層、３・・・・・・コーティング層、４．７．
９・・・・・・接着剤、５，８・・・・・・和紙、６・
・・・・・合成樹脂面、Ａ・・・・・・エンボスフィル
ム、Ｂ・・・・・・シート。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ポリテステルフイルム１の下面に金属蒸着層２、コーテ
   ィング層３を順次形成後、接着剤４を介して和紙５を貼
   着して成るエンボスフィルムＡの和紙側凹凸面に、エマ
   ルジョン型合皮樹脂層６を形成腰更にポリテステルフイ
   ルム１の上面に接着剤９を介して透視性を有し和紙と同
   等の吸湿性、放湿性を備えたシー）Ｂを貼着し、これを
   細幅に細断したことを特徴とする引箔に適する織物用金
   銀糸。