JPS6013477Y2 - 揮散容器 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、芳香・防臭液、殺虫液等の揮発性溶液の揮散
容器に関する。

従来知られている芳香揮散容器としては、香気液を収容
した容器内に芯材を直接浸漬し、容器から露出する芯材
の端部から香気液を揮散せしめるタイプあるいは芯材の
露出端部と当接する蓄香片から香気液を揮発せしめるタ
イプのものがある（実開昭５５−１０７叩号公報、同５
５−１０４４３５号公報、同５５−１０６９吋公報、同
５５−１２２７３６号公報、同５４−１１９８４６号公
報、同５３−１２０２４６号公報等参照）。

しかしながら、このようなタイプの芳香揮散容器では、
香気液に直接芯材を浸漬するため、揮散し易い香料が先
に揮散してしまい、ｌ〜２週間も経てば芳香臭が極めて
弱（なり、長期間一定の香気を揮散できないという問題
があった。

本考案者らは、上記の事情に鑑み、補給管を介して溶液
が供給されるようにし、また、溶液が含浸片へ浸透移行
するにつれて、円筒室内での減圧発生、補給管からの液
の吸い上げ、円筒室内の初期圧力への復元、含浸片より
の溶液蒸散という一連の現象を連続的に行なわせること
により、上記の問題が解消され、常に一定組成の香料液
等を持続的かつ効果的に供給できる揮散容器を考案し、
同時に出願したが、本考案はさらに含浸片を容器に装着
するだけの操作で自動的に溶液の補給及び揮散が行なれ
る揮散容器を提供するものである。

以下、図面に示す実施例に基づき本考案を詳細に説明す
る。

第１図において、１は溶液２を収容する容器であり、そ
の突出口部４には所定長の円筒ホルダー５が嵌着される
。

円筒ホルダー５は第２図に示すように上部が円筒状部８
で下部が複数の枠材９からなる円筒枠状に形成されてお
り、その上端には係止フランジ６を有し、該係止フラン
ジ６の上面には任意の箇所にノツチ７が設けられている
。

ノツチ７の断面形状は任意に形成できる。

なお、該ノツチを設ける代りに後述する内筒１９に穴を
穿孔してもよい。

円筒ホルダー５が容器１に嵌着された状態を第３図に示
し、円筒ホルダー５の長さは最長限枠材９の先端が容器
１の内底面に接するまでであり、この長さ以下の範囲で
適宜設定すればよい。

また、枠材９の円筒状部８との接合点すなわち上端は、
容器１に円筒ホルダー５が装着された場合に、容器１に
満たされた当初の溶液２の液面よりも常に若干高い位置
にくるように設定する必要がある。

あるいは逆の見方をすれば、溶液２は枠材９の上端より
低い液面となるように容器１に満たす必要があるといえ
る。

このような状態下において溶液２の液面と上記各枠材９
とで形成される開口部１０が円筒ホルダー５に形成され
る。

あるいは、円筒ホルダー５の下部を円筒枠状に形成する
ことなく、複数の貫孔を上記円筒枠状部に対応するよう
に円筒ホルダー５に穿設することもできる。

要するに、溶液２の当初の液面より若干上部において円
筒ホルダー５に開口部１０が形成されるようにすればよ
い。

１１は皿状の含浸片支持台であり、該含浸片支持台１１
の上面中央部には第４図に示すように補給管１２が挿着
される中央貫孔を有する支持筒１３が上方に突設され、
さらに該支持筒１３を取囲みかつ密閉空間を形成するよ
うに所定長のシリンダー状の円筒体１４が配設され、該
円筒体１４の含浸片支持台１１との接合部近辺には小孔
１５が穿設されている。

一方、含浸片支持台１１の下面中央には、所定長の円筒
状のパツキン支持軸１６がその中央貫孔が前記支持筒１
３の中央貫孔と対応連通ずるように突設され、該パツキ
ン支持軸１６の先端にはゴム、軟質合成樹脂等により形
成されかつ前記円筒ホルダー５の内径と等しい外径を有
するリング状のパツキン１７がその中央貫孔が前記パツ
キン支持軸の中央貫孔と対応連通ずるように固着されて
おり、該パツキン１７には所定長の弾性管１８がこれも
管口がパツキン１７の中央貫孔と対応連通ずるように固
着されている。

前記パツキン支持軸１６の長さはパツキン１７を円筒ホ
ルダー５に挿着した状態においてパツキン１７が溶液２
の液面より上位でかつ枠材９の上端より下位に配置され
るような長さに設定され、また弾性管１８の長さは同様
の状態においてその先端が容器１の内底面に接する長さ
以上に設定するのが好ましい。

さらに含浸片支持台１１の下面には、前記円筒ホルダー
５の係止フランジ６上面にその先端が当接するような径
および所定長を有する内筒１９が前記パツキン支持軸１
６を取囲むように配設され、また該内筒１９を取囲むよ
うに容器１ｄ首部３の外径より若干大きい内径を有する
所定長の外筒２０が配設されている。

２１は環状の含浸片であり、含浸片支持台１１の外周壁
２２と円筒体１４とで囲繞される含浸片支持台１１上に
、小孔１５を閉鎖もしくは閉塞するように載着されてい
る。

該含浸片２１は吸水性素材から威り、例えば濾紙や天然
繊維、合成繊維等が使用できる。

１２は所定長の補給管であり、その一端部はＵ字状（線
状でもよい）に形成されている。

該補給管１２は、Ｕ字状の端部が円筒体１４内の円筒室
２３に配置されるように（線状等の端部の場合は、円筒
室２３に配置もしくは接続されるように）、また他端部
が前記パツキン支持軸１６の中央貫孔に挿入されるよう
に支持筒１３の中央貫孔に挿着される。

かかる構成において、円筒ホルダー５が装着されかつ溶
液２が満たされた容器１に、パツキン１７の外周を円筒
ホルダー５の内周に摺接しながら装着すれば、容器１内
の空間はパツキン１７により圧縮され、それによって溶
液２は弾性管１８及び補給管１２を通って上昇し、補給
管１２のＵ字状もしくは線状等の端部開口から円筒室２
３内に滴下あるいは流出する。

そして、円筒室２３内に溶液が充分滴下あるいは流出し
て液層が形成される（円筒室２３の頂部まで溜まる必要
はない）と共に、溶液は小孔１５より円筒体１４外部に
浸出し、さらに毛細管現象により小孔１５付近より含浸
片２１全体にわたって浸透・拡散してゆく。

この際、小孔１５は溶液を含浸した含浸片２１と円筒室
２３内の液層によって密に閉塞されており、同時に細径
の補給管１２にも溶液が充満しているため、円筒室２３
は密閉空間を形成する。

かくして、小孔１５からの含浸片２１への溶液の浸透・
拡散により、円筒体１４内に貯溜している溶液が減少す
ると共に、円筒室２３内の密閉空間はゆるやかな減圧状
態となるため、初期の圧力状態（大気圧）へ戻そうとす
る復元力を生ずる。

この場合、円筒室２３の一方の出口である小孔１５は、
先に述べたように、円筒室２３内においては液層で、円
筒室２３外では溶液が浸透した含浸片２１で被覆され、
強く密閉された状態となっているため、この部所におい
て空気の流入や溶液の逆流といった方向での復元力は作
用しない。

これに対して、円筒室２３の他方の出口である細径の補
給管１２は、溶液で弱く密閉された状態にあるため、圧
力の復元力は補給管１２からの溶液の吸い上げという形
で作用し、溶液は自動的に円筒室２３内へ補給される。

なお、溶液の補給量は円筒室２３内に生じた減圧に依存
するため、含浸片への浸透・揮散量と補給量が一致し、
かくして円筒室２３内には常に一定量の溶液が存在する
。

含浸片支持台１１が容器１に完全に装着された状態では
、容器１内の空間は円筒ホルダー５の開口部１０及びノ
ツチ７によって外気と連通状態となるため大気圧と同じ
（円筒室２３内の圧力より高い）となり、また円筒室２
３内には既に液層が形成されており、前記したように自
動的に溶液の吸上げ、滴下、含浸片２１への吸収が併行
して連続的に行なわれ、溶液は含浸片２１の全域に拡散
しながら外気中へ揮散される。

なお、溶液の揮散量は含浸片２１の露出面積に依存する
が、第５図に示すように含浸片２１に相応する表面積を
有する揮散調節Ｍ２４を円筒体１４に対して摺動自在に
装着し、該揮散調節蓋２４の上下動操作によって調節す
ることができる。

ところで、円筒体１４を透明の素材で形成すれば、溶液
の滴下状態を目で見て楽しむことができる。

また、容器１の底面に弾性管１８の先端が位置しあるい
は臨む部分が最下部となるように傾斜を設け、あるいは
さらに凹部を設ければ、溶液を殆んど完全に消費できる
ので有利である。

さらに、第６図に示すように容器１の首部３外周に複数
の突条２５を縦方向に突設し、該突条２５に対して含浸
片支持台１１の外筒２０を嵌着すれば、含浸片支持台１
１と容器１との装着がより強固となるので好ましい。

前記した実施例は容器の突出口部に嵌着された円筒ホル
ダー内をパツキンが摺動する構成としたが、容器の突出
口部内を摺動するよう構成することもでき、その実施態
様を第７図に示す。

第７図においては、含浸片支持台１１に挿着された補給
管１２の所定位置にパツキン１７が嵌着され、補給管１
２の下端は容器底面中央部に設けられた凹部２７に臨む
ように構成されている。

一方、含浸片支持台１１はその外筒２０において第６図
に示すように容器１の首部３外周に突設された突条２５
と嵌着されるように構成されている。

また、突出口部４の上端部には空気孔２６が穿設されて
おり、さらにパツキン１７と含浸片支持台１１との間の
距離は上記突出口部４の長さよりも若干長くなるように
設定されている。

かかる構成においては、含浸片支持台１１を容器１に装
着する際に、補給管１２に嵌着されたパツキン１７が容
器１の突出口部４の内周壁に摺接しながら下方に移動す
ることによって容器１の内部空間は圧縮され、完全に装
着された状態では容器１の内部空間は外気と連通状態に
なる。

したがって、前記した実施例の場合と全く同様な原理に
よって香気液の吸上げ、滴下、含浸片２１への吸収が行
なわれる。

第８図は第１図及び第４図に示すパツキン支持軸の含浸
片支持台への取付は態様の変更例を示す。

すなわち、補給管１２の外径に相応する内径を有するパ
ツキン支持軸１６ａの一端部外周には係止溝２８が設け
てあり、一方、含浸片支持台１１中央部下部に固着され
ている内筒１９ａの内径は上記パツキン支持軸１６ａの
外径と相応するように形成され、該内筒１９ａの内周所
定位置には前記係止溝２８に対応する係止突条２９が突
設されている。

かかる構成としたことにより、使用時にはパツキン支持
軸１６ａを内筒１９ａ内に押し込むだけの操作で、前記
係止溝２８と係止突条２９の嵌合によりパツキン支持軸
１６ａは含浸片支持台１１に取付けられる。

すなわち、パツキン支持軸１６ａと含浸片支持台１１と
の取付けが着脱自在となり、各構成部材の組立操作が極
めて簡単である。

なお、前記係止突条及び係止溝に代えて、パツキン支持
軸１６ａの外周に螺条を設け、一方内筒１９ａの内周に
は上記螺条と螺合する内壁溝を設けるなど、各種の設計
変更が可能である。

また、第５図に示す揮散調節蓋及びこれに対応する含浸
片支持台の形状も、第９図及び第１０図に示すような形
状とすることができる。

すなわち、含浸片支持台１１ａの比較的高い外周壁２２
ａの適当箇所に任意数の開口３０を設け、一方、揮散調
節蓋２４ａの外周壁にも適当箇所に所定形状の開口３１
を設け、あるいはさらに第１０図に示すように揮散調節
蓋２４ａの天井部にも適当開口面積の開口３２を設ける
こともできる。

このように構成することによって、含浸片支持台１１ａ
に揮散調節蓋２４ａを載合し、回動することによって開
口面積を調節し、含浸片に吸収された溶液の揮散を任意
に調節することが可能となる。

また、第１０図に示す場合には、揮散調節蓋２４ａの天
井部の開口３２によって常に一定量の揮散が行なわれ、
揮散が必要とされる部屋の空間が大きいなど、より多量
の揮散が必要とされる場合は揮散調節蓋２４ａの回動操
作によって調節が可能となる。

本考案に係る揮散容器においては、含浸片と含浸片支持
台との間または含浸片に近接して全面に亘ってもしくは
一部に、電熱板等の発熱体を取り付け、該発熱体の発す
る熱によって含浸片に吸収された溶液を強制的に揮散さ
せる構成とすることもできる。

本考案に係る揮散容器は、あらゆる分野に利用可能であ
る。

例えば、容器に収容する溶液として香料等を含む香料液
を使用すれば、防臭芳香容器として利用できる。

また、香料液に代えて殺虫液、防虫液、殺菌液、防黴液
あるいはこれらの混合液等を使用すれば、それぞれ殺虫
剤揮散容器、殺菌剤揮散容器等として利用でき、使用す
る溶液の種類に応じた各種用途に利用できる。

成上のように、本考案は含浸片支持台１１を容器、１に
装着する際にパツキン１７が容器１の突出口部４内を摺
動して容器内空間を圧縮し得るような構成としたため、
単に含浸片支持台を容器に装着するだけの操作で溶液は
円筒室内に供給され、その後は自動的に溶液の補給、含
浸片への吸収および含浸片からの揮散が行なえ、操作が
極めて簡単であり、また溶液によって手が汚れることが
ないなど実用上の利点がある。

また、容器内の使用初期と同−組成の溶液が、各々の成
分が分別的な揮散現象等を起すことなく全使用期間を通
じてストレートに供給されるから、従来の芳香揮散容器
のように時間が経つにつれて揮散成分量が変るという心
配がない。

さらに、溶液の揮散量の調節を揮散調節蓋の上下動操作
もしくは回動操作によって行なえば、成分の揮散を効率
的にかつ簡単に行なうことができるという利点がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案に係る揮散容器の一実施例を示す縦断面
図、第２図は円筒ホルダーの斜視図、第３図は円筒ホル
ダーの容器への嵌着状態を示す要部破断面図、第４図は
含浸片支持台と補給管との装着状態を示す要部破断面図
、第５図は円筒体に揮散調節蓋を装着した状態を示す部
分縦断面図、第６図は容器の首部に突条を設けた状態を
示す部分斜視図、第７図は他の実施例を示す縦断面図、
第８図はパツキン支持軸の含浸片支持台への取付態様の
変更例を示す要部破断面図、第９図及び第１０図は揮散
調節蓋及び含浸片支持台の形状の変更例を示す斜視図で
ある。 １は容器、２は溶液、３は首部、４は突出口部、５は円
筒ホルダー １０は開口部、１１，１１ａは含浸片支持
台、１２は補給管、１４は円筒体、１６はパツキン支持
軸、１７はパツキン、１８は弾性管、２１は含浸片、２
４，２４ａは揮散調節蓋。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 香料液、殺虫液等の溶液２が収容され、かつ円筒状に形
   成された突出口部４を有する容器１と、密閉空間を形成
   するように円筒体１４が突設されていると共に該円筒体
   １４の下部に穿設された小孔１５を閉鎖もしくは閉塞す
   るように吸水性素材の含浸片２１が載着された含浸片支
   持台１１と、一端部がＵ字状もしくは線状に形成されか
   つ所定位置に所定外周径を有するリング状のパツキン１
   ７が嵌着された補給管１２とからなり、該補給管１２は
   Ｕ字状もしくは線状の端部が円筒体１４の円筒室２３内
   に配置もしくは接続されるように、他端部は容器１内の
   溶液２中に浸漬されるように含浸片支持台１１に挿着さ
   れており、前記パツキン１７を容器１の突出口部４内を
   摺動せしめながら含浸片支持台１１を容器１に着脱自在
   に装着することによって溶液の含浸片２１への供給を自
   動的に行なえるように構成すると共に装着後は容器１の
   内部空間が外気と連通し得るように構成してなる揮散容
   器。