JPS6011990B2 - エナメル線用ワニス - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は無公害を目的とするエナメル線用ワニスの改良
に関する。

電気絶縁用、特にエナメル線用ワニスは一般に有機高分
子化合物を、クレゾール、キシレノール等のフェノール
系溶剤に溶解させた組成となっている。

この溶剤は暁付の際に炉体上部に設置された白金系触媒
によって燃焼されるが、完全無臭化が難しく、作業環境
、大気汚染等の観点からクレゾール類を使用しない方向
に進みつつある。この方向としては、水溶性ワニス、粉
体、ホットメルト等の無溶剤又は高濃度ワニス等が検討
され一部実用化されている。しかしながら現システムを
全面的にそれらに置き換えるまでには次の理由により至
っていない。

■ クレゾールの溶解力、蒸発性能が現在の暁付システ
ムと良く適合しており、これに代る溶剤がみつかってい
ない。■ 水落性、無溶剤ワニス等では樹脂の選定或い
は合成に困難があり、エナメル線特有の性質を満足する
に至っていない。

■ 高濃度ワニスにおいては、クレゾールの量が従来よ
り少ないので焼付時の廃ガス量は少なくなるが、塗布時
にワニスを約１００ｑｏもの高温にする必要があるため
、クレゾールが蒸発し作業環境が逆に低下する。

又一方クレゾール類の代りに低臭気又は芳香性の溶剤を
使用する試みもなされ、グリコールェーテル（一般式Ｒ
−０−Ｃ２日４０Ｈ）やジグリコールェーテル（一般式
Ｒ−ＯＣ２日４０Ｃ２日４０Ｈ）が検討されているが、
これらの溶剤にはいずれも水酸基が含まれているため、
ポリエステル、ポリエステルィミド、ポリィミド、ポリ
アミドィミド等の溶剤として使用すると、いずれもェス
テル交換反応を起こしてしまい、樹脂の分子量を低下さ
せるため、得られるエナメル線の特性はクレゾールを使
用した場合より劣るという欠点があった。

又ホルマール、ウレタンワニスに使用した場合にも、配
合されているブロックィソシアネートと反応してしまい
同様の欠点が生じていた。本発明は、このような欠点を
解消するためになされたもので従来の競付システムがそ
のまま使用でき、しかも特性はクレゾール類を使用した
場合と遜色ないエナメル線用の高濃度ワニスを提供する
もので、アルキレングリコールモノフエニルエーテルを
溶剤の一部又は全部とした樹脂分７０％以上のエナメル
線用ワニスに関する。

本発明に使用するアルキレングリコールモノフエニルエ
ーテルとしては、エチレングリコールモノフエニルエー
テル、プロピレングリコールモノフェニルェーテル等が
ある。

本発明におけるエナメル線用高濃度ワニスは、ポリエス
テルワニス・ポリエステルィミドワニス等のポリエステ
ル系ワニスやポリウレタンワニス等を公知の方法で製造
する際に、クレゾール類の代りに一部又は全部をアルキ
レングリコールモノフヱニルェーテルに置き換えて製造
することにより得られる。なお本発明におけるこのよう
な効果は、アルキレングリコールモノフェニルヱーテル
（一般式一○（Ｃｎ比ｎ）−ＯＨ、（ｎ≧２））の水酸
基がグリコールェーテルやジグリコールェーテルの水酸
基に比べて非常に反応しにくいため、前述した反応は実
用上問題にならないためと考えられる。

次に実施例について説明する。実施例 １ テレフタル酸ジメチル３モル、エチレングリコール４．
５モル、グリセリン１．５モル及び酢酸鉛５夕を、温度
計、凝梓器、コンデンサーを備えた３その三つ口フラス
コに入れ、常法により１８０℃で４時間ェステル交換反
応を行ない、更に２２０ｑｏで２時間重縮合反応を行な
った。

次いでヱチレングリコールモノフェニルヱーテル３００
夕を加え反応を止めた。室温でテトラプチルチタネート
（ＴＢＴ）２０夕とソルベントナフサ４０夕を加えて樹
脂分７０％の均一なワニスを得た。

このワニスを１００℃に加熱し、炉長６肌の暁付炉で１
．仇仰ぐの銅線に炉体温度４００℃、線速１０の／分で
塗布隣付けた。

得られたポリエステルエナメル線をＪＩＳＣ３００３に
従い試験した結果、第１表の通りであった。参考例 １ 実施例１に使用したエチレングリコールモノフェニルェ
ーテルを従来のクレゾールに代えてワニスを合成し、実
施例１と同様の塗布暁付条件でエナメル線を製造した。

得られたエナメル線の特性は第１表の通りであった。参
考例 ２ 実施例１に使用したエチレングリコールモノフェニルェ
ーテルをブチルジグリコールに代えてワニスを合成し、
実施例１と同様の塗布焼付条件でエナメル線を製造した
。

得られたエナメル線の特性は第１表の通りであった。第
１表表からもわかるように本発明に係るポリエステル線
は従来のクレゾールを使用したものと同等の特性を有し
、しかも従来の製造設備をそのまま使用でき、更に臭気
がクレゾール類に比べてはるかに少なく日常問題となら
ない位なので極めて有効である。

実施例 ２ テレフタル酸ジメチル３モル、エチレングリコール３モ
ル、グリセリン１モル、４・４′−ジアミノジフェニル
メタン１モル、トリメリット酸無水物２モルを実施例１
と同様に反応させ、８０％樹脂分となるようプロピレソ
グリコールモノフェニルェーテルを加えて反応を止め、
次いでＴＢＴ２０夕を加えて均一なワニスを得た。

このものを鋼導体の代りに厚さ０．１伽の鋼板に塗布し
、２０ぴ０１０分間暁付けたところ皮膜の可操性、密着
性、外観は良好であった。実施例 ３ デスモジュールＡＰステーブル（バイエル社製ブロック
イソシアネートの商品名）１７０９、デスモフェン６０
帆（バイエル社製ポリエステル樹脂の商品名）８０夕、
エチレングリコールモノフェニルェーテル５０夕、キシ
レン３０夕を出発原料とし、常法によりウレタンワニス
を合成した。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ アルキレングリコールモノフエニルエーテルを溶剤
   の一部又は全部とした樹脂分７０％以上のエナメル線用
   ワニス。 ２ アルキレングリコールモノフエニルエーテルはエチ
   レングリコールモノフエニルエーテルである特許請求の
   範囲第１項記載のエナメル線用ワニス。 ３ アルキレングリコールモノフエニルエーテルはプロ
   ピレングリコールモノフエニルエーテルである特許請求
   の範囲第１項記載のエナメル線用ワニス。 ４ エナメル線用ワニスはポリエステルワニス又はポリ
   エステルイミドワニスである特許請求の範囲第１項乃至
   第３項のいずれかに記載のエナメル線用ワニス。 ５ エナメル線用ワニスはポリウレタンワニスである特
   許請求の範囲第１項乃至第３項のいずれかに記載のエナ
   メル線用ワニス。