JPS6010542Y2 - ミシン針 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はミシン針の糸溝を改良することで、ミシンの縫
製作業における糸のなだけ込みを防止することで、目と
びゃ糸切れの発生をなからしめ、縫い調子を向上せしめ
る如くしたミシン針に関するものである。

（従 来） 従来のミシン針は第３図に示す如く針の正面側に設けた
長溝３の巾が糸穴２の巾よりやや広くされ、長溝３は柄
部との接合点から糸大の下部付近の範囲に長く形成され
ている。

従って該針をミシンの針棒に装着し綿糸の上糸４を使用
して縫いを行うと該上糸は針の糸穴２、長溝３、縫はれ
る布５、上糸供給源から針までの糸道（図示せず）等に
おける摩擦抵抗を受けて糸穴２の上縁により下方に降り
る上糸は上方に強く引っ張られるから針が下死点に達し
た時には糸穴２内の上糸４に折れ目６が生じ、次いで針
１の上昇に際して上糸４が前記の種々の摩擦抵抗により
その位置に残ろうとし前記折れ目６が針の正面側に突き
出てくるので（第４図参照）針１の背面側（糸輪捕捉側
）への糸の移行が少なくなり、従って糸輪捕捉側に生じ
なければならない糸輪８が捕捉に充分な大きさに戒長ぜ
ず、その結果糸輪捕捉部の条光７は糸輪８を捕捉できず
目とび現象を起こしてしまう。

またこの従来針でナイロン、テトロン等の摩擦抵抗の少
い上糸９を使用して高速縫いをすると、第６図示の如く
針下死点においてナイロン等の下糸９は下向きの加速度
によって長溝３内を滑り落ちて針１正面側の上糸９が布
５より下方部にナダレ込み糸穴付近で上糸が大きくたる
んだ状態になる。

そしてこの状態から針１が上昇すると第７図示の如く針
の表側のたるんだ上糸９は針の背面の糸輪捕捉側に廻り
込み、そのため条光７により縫い目側糸輪１０と前記上
糸９とを同時に捕捉されて引張られ、その結果糸切れを
ひき起し、前記目とび現象と共に縫或上まことに不都合
なる欠点を有するものであった。

（目 的） 本考案は上記の様な従来技術の欠点を排除するためにな
されたものであって、第１の目的とするところは、まず
綿糸を使用したときに生じる目とび現象を除くことであ
り、次に第２の目的はナイロン及びテトロン糸等の摩擦
係数の小さい合成繊維の上糸を用いて高速縫いを行った
とき上糸の布下方へのナダレ込みによる糸切れを防止せ
しめることであり、これら欠点の解消を針の形状の改良
によって遠戚せしめることにある。

本考案は上記目的の下に提案されたもので針先端付近に
設けられた電入と、ミシン針棒への取付けの為の柄部と
の間に針の正面側に長い糸溝が設けられたミシン針にお
いて、前記長溝の形状を電入のやや下方から上方の所定
位置までの第１の溝を電入の巾よりやや広く形成し、該
溝の上端から柄部までの第２の溝を前記第１の溝よりも
深く且つ前記電入の巾よりもやや狭くして２つの異なる
溝とで構成したことを特徴としたものである。

（構 戒） 以下本考案を図面に示す実施例に基いて説明する。

第１図は本考案実施例のミシン針１１の正面図であり、
第２図はその一部省略の側面断面図であって、該ミシン
針には針先端部付近に針の表側から背面に貫通する電入
１２が穿設され、針軸の表側には前記電入１２のやや下
方から柄部１４の下部に連なる長溝１３が設けられ、該
長溝１３は針がミシンの針棒に取付けられて駆動された
際針１の下死点状態においてミシンベッドに取り付ケら
れた針板１５より下方位置になり針穴の上端より１０ｒ
ｒｒＩｒＬ程度上方に定めた所定位置１６までの溝巾１
７を前記電入１２の巾よりやや広くした第１溝部分１９
をプレス加工にて形成せしめ、前記所定位置１６より上
方の溝の巾２０を前記電入１２の巾よりやや狭くそして
底面が前記第１の溝の底面１８より深く２１設は上糸が
ゆるみなく入り込みうる程度の収容断面積を備えた第２
溝部分２２をフライス加工にて設けて巾と深さが異なる
２つの溝で構成されている。

（作 用） 本考案は上記の様に構成されており、その作用につき説
明すると、本考案ミシン針１１をミシンに装着して縫い
運転を行うと綿糸の上糸４を使用した場合、針１１は針
棒の下死点において上糸４には電入１２において折れ目
６ができるけれども上糸４が第５図示の如く巾の狭い第
２溝部分１９に入り込んで溝内に保持せしめられるので
針１１が上昇に移っても前記折れ目６が針１１の正面側
に飛び出ることなく針１１背面側（縫い目側）に十分な
糸輪捕捉ができて目とびすることなく縫い目が構成でき
る。

またナイロン等の上糸９を使用して高速縫いをする場合
、針１１が下死点に達した時（第８図参照）には針正面
側（天秤側）の上糸９がより狭い第２溝部分１９に入り
込んでいる為に大きい摩擦抵抗を受けて布の下方へのナ
ダレ込みが防止されるので次に針１１が僅かに上昇して
条光７による糸輪１０を捕捉する時（第９図参照）には
正面側になだれ込んだ糸のたるみがないので針１１の背
面側に廻り込むことはなく従って針の背面側の糸輪は正
常な状態に形成されるから条光による糸切れを生じるこ
となく確実な糸輪捕捉ができる。

（効 果） 本考案は上記の様に構成され作用するもので、２段の溝
部分が形成された長溝を有するミシン針によって上糸に
綿糸を使用した場合も、またナイロン、テトロン糸等を
使用した場合も従来の如く目とびゃ糸切れ等の不都合を
生じることなく良好なる縫い目が形成されるもので、従
来発生しがちであった縫い目不調の現象を完全に防止得
るものであり、針の部分的改良により実施容易にして縫
製作業の向上に貢献するところ大なるものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案実施例ミシン針の正面図、第２図は第１
図の一部省略した側面断面図、第３図及び第４図は従来
針による綿糸の上糸を使用した場合の糸輪捕捉過程を示
した状態図、第５図は本考案実施例による綿糸の上糸を
使用した糸輪捕捉過程を示した状態図、第６図及び第７
図は従来針によるナイロン糸等を使用した場合の糸輪捕
捉過程を示した状態図、第８図及び第９図は本考案実施
例によるナイロン糸等を使用した場合の糸輪捕捉過程を
示した斜視図であり、１１はミシン針、１２は電入、１
３は長溝、１６は所定位置、１７は溝巾、１９は第１溝
部分、２０は溝巾、２１は深さ、２２は第２溝部分であ
る。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 針先端付近に糸穴を設け、該糸穴のやや下方より針棒取
   付用の柄部にかけて針の正面側に長溝を有したミシン針
   において、前記長溝を糸穴１２のやや下から針軸部の中
   間の所定位置１６までの溝の巾１７を前記糸穴１２より
   やや広くした第１溝部分１９と、前記所定位置１６から
   柄までの上方の溝の巾２０を前記糸穴１２より狭くし且
   つ底の深さ２１を前記第１の溝１９より深くした第２溝
   部分２２とで構成したことを特徴とするミシン針。