JPS599056Y2 - ロ−タリピストンエンジンの吸気装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、低速用吸気ポートと高速用吸気ポートとを備
えたロータリピストンエンジンの吸気装置に関するもの
である。

一般に、ロータリピストンエンジンにおける吸気ポート
の開口形状、すなわち吸気ポートの閉じる時期は適切に
選定する必要がある。

すなわち、吸気ポートの閉じる時期が早くてその大きさ
が小さければ、高速時に吸入空気通量が追従しないとい
う問題があり、一一方、吸気ポートの閉じる時期が遅く
てその大きさが大きければ、吸気慣性の小さい低速時に
おいて圧縮行程に入りつつある作動室からの吸気吹返し
が生じて充填効率が低下し、出力性能を著しく損うとい
う問題がある。

そのため、従来、ロータリピストンエンジンの吸気ポー
トとして、ロータの回転方向に、低速用吸気ポートと該
低速用吸気ポートよりも設定時期遅れて閉じる高速用吸
気ポートとの２つのポートをケーシング内に開口させる
とともに、上記高速用吸気ポートに例えばスロットル開
度と連動するバタフライバルブ等の制御弁を介設して、
低速時には制御弁の閉作動により高速用吸気ポートを閉
塞して低速用吸気ポートのみから吸気を供給することに
より、作動室からの吸気吹返しを防止する一方、高速時
には制御弁の開作動により高速用吸気ポートを開いて両
吸気ポートから吸気を供給することにより、高速時の吸
入空気量の追従性を改善させるようにした吸気装置が提
案されている。

しかしながら、上記従来のものでは、低速用および高速
用の２つの吸気ポートを設けるためには高度な製造技術
を要し、コストアップとなるという問題、および例えば
スロットル開度を連動する制御弁で高速用吸気ポートの
開閉を制御するので、複雑な構造となるという問題があ
る。

そこで、上記後者の問題を解消すべく、つまり構造の簡
略化を図るべく、上記制御弁に代えて、リード弁等の逆
止弁を高速用吸気ポートに設けて、吸気通路の負圧と作
動室の負圧との差圧により低速時に閉じ、高速時に開く
ことにより、作動室からの吸気吹返しを阻止するように
することが考えられるが、このものにおいても、上記従
来のものと同様に、低速時において高速用吸気ポートの
ケーシング開口部から逆止弁までに至る部分が大きなデ
ッドボリュームとなり、このテ゛ットボリュームに対し
て作動室からの吸気吹返しが生じるので、低速時の充填
効率の低下を確実に防止することができないという問題
がさらに挙げられる。

本考案はかかる諸点に鑑みてなされたもので、上記の如
く高速用吸気ポートにケーシングからの吸気吹返しを阻
止する逆止弁を設けるという考えをさらに一歩進めて、
この逆止弁を弁座板に固定したリード弁により構戒する
とともに、低速用吸気ポートと高速用吸気ポーｌ・との
両吸気ポートを、単一の吸気ポートに設けた溝部に上記
弁座板を挿入固定することによって仕切り形或すること
により、２つの吸気ポートの形或を簡易な製造技術でも
って行うことができ、コストダウン化を図るとともに、
構造の簡略化を図り、さらに高速用吸気ポー１・のケー
シング開口部から逆止弁までに至るテ゛ツドボリューム
を小さくすることができるようにしたロータリピストン
エンジンの吸気装置を提供し、よって上記問題点を一挙
に解消することを目白勺とするものである。

以下、本考案を図面に示す実施例に基づいて詳細に説明
する。

第１図ないし第３図において、１はトロコイド状の内周
面２ａを有するロータハウジング２とその両側に位置す
るサイドハウジング３，３とで構威されたケーシング、
４は該ケーシング１内を遊星回転運動する多角形状のロ
ータであって、該ロータ４の回転によってケーシング１
内を３つの作動室５，５．５に画或して、吸入、圧縮、
爆発、膨張および排出の各行程を順に行わせるように構
威されている。

上記ケーシング１内には、低速用吸気ポート６と該低速
用吸気ポート６より設定時期遅れて閉しる高速用吸気ポ
ート７とがロータ４の回転方向（矢符×にて示す）に連
なって開口されている。

該両吸気ポート６，７は第２図および第３図に詳示する
ように、サイドハウジング３にケーシング１内と連通ず
るように開設された単一の吸気ポート８に溝部９を穿設
し、該溝部９に上記吸気ポート８の開口部をロータ回転
方向に仕切る弁座板１０を挿入固定することによって仕
切り形或されている。

さらに、上記弁座板１０には、低速用吸気ポート６と高
速用吸気ポート７との連通を開閉制御する１−ド弁で構
或された逆止弁１１が設けられ、低速時には吸気通路の
負圧が作動室５の負圧とほぼ等しいことにより閉じて、
低速用吸気ポート６のみから吸気を作動室５に供給する
とともに高速用吸気ポート７を介して作動室５の吸気が
吹返されるのを阻止する一方、高速時には吸気通路の負
圧が作動室５の負圧よりも小さくなることにより開いて
、両吸気ポート６，７から吸気を作動室５に供給するよ
うに構戊されている。

尚、１２は排気ポート、１３は点火プラグ、１４は偏心
軸、１５はサイドシール、１６はコーナシール、１７は
アベックスシールである。

また、第２図仮想線で示すように、サイドシール１５近
傍のロータ４の側面４ａには、該ロータ側面４ａとサイ
ドハウジング３とのクリアランスを可及的に小さくして
低速用吸気ポート６と高速用吸気ポート７とのオーバラ
ツプを防止するフッ素樹脂よりなるコーティング層１８
が設けられている。

したがって、上記実施例においては、ケーシング１内に
それぞれ開口する低速用吸気ポート６と該低速用吸気ポ
ート６よりも設定時期遅れて閉じる高速用吸気ポート７
とを、単一の吸気ポート８に設けた溝部９に弁座板１０
を挿入固定することによって形戒するとともに、該弁座
板１０に高速用吸気ポート７を介する作動室５からの吸
気吹返しを阻止する逆止弁１１を設けたことにより、高
速時の吸入空気量の良好な追従性を有するとともに吸気
吹返しを防止する機能をもつ吸気ポート構造を、高度な
製造技術を要さずに簡易に製造することができる一方、
高速用吸気ポート７内を不用意に狭めることがなく吸気
抵抗の増大をも防止でき、しかも高速用吸気ポートを開
閉制御するバルブ構造を、連動機構等を要さない簡単な
構造のものとすることができる。

さらに、逆止弁１１が閉じる低速時における高速用吸気
ポート７の開口部から逆止弁１１までに至る容積、すな
わちデッドボリュームが小さくなり、よって低速時の充
填効率の低下を確実に防止することができる。

尚、上記実施例ではサイドハウジング３に開設したサイ
ドボート方式のものについては述べたが、本考案はロー
タハウジング２に開設するペリフエラルポート方式のも
のに対しても適用できるのは言うまでもない。

以上の如く、本考案によれば、ロータハウジングとサイ
ドハウジングとがうなるケーシング内に低速用吸気ポー
トと該低速用吸気ポートよりも設定時期遅れて閉じる高
速用吸気ポートとを開口するとともに、該高速用吸気ポ
ートにケーシング内からの吸気吹返しを阻止する逆止弁
を設けてなるロータリピストンエンジンの吸気装置にお
いて、上記逆止弁を弁座板に固定したリード弁により構
或するとともに、上記両吸気ポートを、単一の吸気ポー
トに設けた溝部に上記弁座板を挿入固定することによっ
て仕切り形或したことにより、高速時の吸入空気量の良
好な追従性を有するとともに吸気吹返しを防止できるロ
ータリピストンエンジンの吸気装置を、簡単かつ容易に
製造することができるとともに、簡単な構造のものとす
ることができるので、コストダウン化を図ることができ
る。

さらに、高速用吸気ポートの開口部から逆止弁までに至
るテ゛ツドボリュームを低減させることができるので、
低速時の充填効率の低下を確実に防止できる利点を併せ
有するものである。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の実施例を例示するもので、第１図は縦断
側面図、第２図は第１図のＩＩ − ＩＩ線における拡
大断面図、第３図は要部の分解斜視図である。 １・・・・・・ケーシング、２・・・・・・ロータハウ
ジング、３・・・・・・サイドハウジング、４・・・・
・・ロータ、６・・・・・・低速用吸気ポート、７・・
・・・・高速用吸気ポート、８・・・・・・吸気ポート
、９・・・・・・溝部、１０・・・・・・弁座板、１１
・・・・・・逆止弁。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. ロータハウジングとサイドハウジングとがらなるケーシ
   ング内に低速用吸気ポートと該低速用吸気ポートよりも
   設定時期遅れて閉じる高速用吸気ポートとを開口すると
   ともに、該高速用吸気ポートにケーシング内からの吸気
   吹返しを阻止する逆止弁を設けてなるロータリピストン
   エンジンの吸気装置において、上記逆止弁を弁座板に固
   定したノード弁により構或するとともに、上記両吸気ポ
   ートを、単一の吸気ポートに設けた溝部に上記弁座板を
   挿入固定することによって仕切り形威したことを特徴と
   するロータリピストンエンジンの吸気装置。