JPS598529Y2 - 温室ハウスにおける断熱性シ−トの展張装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は温室ハウスにおける屋根上面に保温のための
断熱性シートを展張させる装置に関し、展張および引戻
作用を行ない易くしたものである。

各種の果物，野菜あるいは草花などを四季に亙って育戊
するためにガラスを主材料とした温室ハウスが最近広く
しかも大規模に採用されている。

通常この種の温室においては秋から春までの冷寒時期に
は室内に暖房が施され、室内を所望の温度に保って育成
物の戊長を促進させるという処置がとられる。

しかしながらこの暖房熱は天井面や側壁面から絶えず逸
出するため保温効率が比較的低いのが現状である。

特に冷寒時期中の雨天日や曇天日あるいは夜間において
は、太陽による照射がないため暖房熱の損失が大きく、
そのためその対策として鏡や菰などによって屋根や側壁
面を被覆するという処置がとられている。

しかしながら、これらの処置においても被覆可能なのは
温室／Ｓウスの裾の部分のみであって、屋根全体を覆う
ことは殆んど不可能であり、また在来の処置は多大の労
力を必要とする上に作業能率が悪く広大な温室ハウスに
は極めて不都合である。

そこで、この考案は温室ハウスにおける上記保温上の欠
点を解消できるようにしたものであり、その特徴は、屋
根の外側側方に、屋根の傾斜方向とは直交する方向へ巻
回状態から展張可能な断熱性シートを装備した温室ハウ
スにおいて、断熱性シートの少なくとも上部側の側端部
をガイドさせるレールを展張方向に沿って屋根の一部に
取付け、上記断熱性シートが上記レールに沿って移動で
きるようになし、ガイドさせるレールの挿入口側には断
熱シートに対する導入部を備えてなり、該導入部は断熱
性シートの巻回径が増大する方向へと広口になった先端
を有し、広口の先端から漸次レールの挿入口へと狭めら
れた形状を有してなるものである。

次いで、この考案による実施態様を図を参照しながら以
下に詳述する。

第１図〜第３図に示した実施例において、１は温室ハウ
ス、２は温室ハウス１における屋根、３は屋根２の側方
に突設した取付部材４の部分に軸受５にて支承した巻回
用のロール、６は巻回用のロール３に巻回された断熱性
シートで、屋根２の傾斜方向とは直交する方向（横方向
）へ展張できるように装備している。

７は断熱性シート６の展張を助或するテンション用の補
助ロール、８は断熱性シート６の展張方向に沿うよう屋
根２の上端部に設けたＣ形鋼または他の形態よりなる溝
型のレールで、断熱性シート６のうち上部側の側端部６
ａをガイドさせるものである。

上記側端部６ａは金属板等スライドし易い部材でカバー
するとともに厚手に形或してこれを直接レールに嵌合し
てもよいが、図示するごとく側端部６ａに適当間隔をお
いてローラ９，９′等の転動部材を装備してこれをレー
ル８に嵌合した状態で断熱性シ一ト６を移動させる方が
実施上好ましい。

上記断熱性シ一ト６のうち、下部側の側端部６ｂは一部
に有する挿通環１０に通した押え用ワイヤー１１にて展
張時の浮上りが防止されるようになっている。

１２は断熱性シ一ト６の始端側６Ｃに取付けた展張のた
めの牽引ワイヤー、１３はレール８の挿入口側８ａに備
えたラッパ状の導入部であって、該導入部１３は断熱性
シ一ト６の巻回径が増大する方向へと広口になった先端
を有し、広口の先端から漸次レールの挿入口へと狭めら
れた形状を有し、挿入口８ａへと断熱性シー１・６の始
端側６Ｃ部分のローラ９，９′を誘導し易く形威してあ
る。

１４は巻回ロール３の回動用ハンドルを示している。

上記した断熱性シ一ト６としては種々のものが使用され
るが、好ましくはポリエチレン，ポリプロピレン等より
なる織物状，網状等に形或した補強シート６０の少なく
とも表面（第３図の実施では両面）にポリエチレン，ポ
リプロピレン，ポリ塩化ビニルを含浸させるか、上記樹
脂のフイルムをラミネートまたは上記樹脂のシートを接
着剤により接着して被覆部６１．６１’を形戊し、さら
にこれら接合されたものの裏面に軟質ないしは半硬質の
ポリエチレン，ポリプロピレンまたはポリ塩化ビニルに
よる発泡シ一ト６２を接着剤にて接着したものが適して
いる。

またこの断熱性シート６における上下の側端部６ ａ
，６ ｂの両方もしくは片方に帯鋼１５を内装して（第
２図参照）断熱性シ一ト６の側端部にこしの強さをもた
せ、展張時の張り具合を良好に実施するのが望ましい。

上記に述べた図示する実施例による構造の場合には、屋
根側方にあるロール３に巻回されてある断熱性シ一ト６
を牽引ワイヤー１２にて引出せば、断熱性シ一ト６の始
端側６Ｃ上部の側端部５ａ’の部分はラッパ状の導入部
１３からローラ９，９′等の反動部材がＣ形鋼のレール
８の挿入口側８ａに誘導され、ローラ９，９′をレール
８に嵌合した状態で転動しつつ先行する。

そして順次断熱性シ一ト６は繰出されて上部側の側端部
６ａがレール８に沿いながら移動し、屋根２上において
傾斜方向とは直交した方向に展張され、屋根上面に密着
して屋根上面を被蔽することができる。

また断熱性シ一ト６を引戻す場合には巻回用のロール３
を回してやれば簡単に原状の巻回状態へ戻る。

なお、上記した牽引ワイヤー１２および巻回用のロール
３は手動式に構或するほか、例えば第４図のごとく牽引
ワイヤー１２が電動式のウインチ１６をモータ１７から
直接あるいは適宜伝達機構を介して作動できるようにし
、また巻回用ロール３にも適宜伝達機構（例えばベルト
，ギャ一等）を介してモータ１８から作動伝達できるよ
うにし、上記モータ１７と１８とを回転同調させるとと
もに正逆回転可能に設けておけば、断熱性シー１一６の
展張および引戻しをスイッチング等にて遠隔自動操作が
できる。

上記とは別な実施として第５図では断熱性シート６の側
端部６ ａ ，６ ｂ側に牽引ワイヤ−１９．１９’を
走行できるように設け、その所定個所に断熱性シ一ト６
の一部を止めて上記ワイヤー１９．１９’とともに移動
し得るようになし、ワイヤー１９．１９’は断熱性シ一
ト６の巻回側の直径変化と対応するようワイヤー巻径を
変化可能にした側２０．２０’とプーリ− ２１ ．２
１’間でループ状に張設して、断熱性シート６の展張お
よび引戻しに適するよう往復移動するようにしている。

そのほか種々の電動装置の採用にて展張作業の自動化が
可能となる。

上記した実施例では山形の屋根の一方について説明した
が他方にも同様の構造をとることができる。

しかしスペースの関係で他方側では、巻回ロールの設置
部分と展張移動方向が反対になるので、作動を全く逆方
向に働かせねばならないため、第６図のように巻回ロー
ルの位置を屋根の双方で上下に位置をずらせ、展張位置
が対称位置になるよう一方を巻回の下部位置側から、他
方を巻回の上部位置側から断熱性シートを引出せるよう
実施することもできる。

なお、他の実施例としては、片屋根によるハウス形態の
場合を第７図に例示してあり、また屋根の下端側にもレ
ール８′を設けて断熱性シート６の下部側の側端部６ｂ
を上部側の側端部６ａの場合と同様にガイドされるよう
にした実施例を第８図に示している。

上記した何れの実施例にあっても屋根２の一側方から断
熱性シ一ト６を展張する態様を示しているが、温室ハウ
スの全長が大なる場合には両側方に断熱性シートを装備
し、両側方から屋根の中央部へ向けて展張するような実
施も可能である。

（図示せず）。

以上のごとく、この考案によれば、温室屋根の側方に、
屋根の傾斜方向とは直交する方向へ展張可能な断熱性シ
ートを装備していて、この断熱性シートの少なくとも上
部側の側端部をガイドさせるＣ形鋼等のレールを展張方
向に沿って設けてあるので、断熱性シートは非常に円滑
に展張のための移動および引戻しのための移動を行なう
ことができ、特にガイドさせるレールに対し、断熱性シ
ート側端部に設けたローラ等の転動部材が嵌合状態で移
行する実施の場合には一層断熱性シートの移動が円滑と
なり、展張作業が行ない易くなる。

しかも断熱性シートは上記したようにレールに沿って移
動するため、レールが支持体となり、風等による浮上り
も防止され、屋根上での展張状態は屋根上面に密着し易
く、良好な態様で展張が可能となる。

そのほか断熱性シートの重量をレールにて充分保持でき
、安全管理の点でも優れたものとなる。

特にこの考案の展張装置ではガイドさせるレール８の挿
入口側８ａには断熱シ一ト６に対する導入部１３を設け
てあり、この導入部１３は断熱性シ一ト６の巻回径が増
大する方向へと広口になった先端を有し、広口の先端か
ら漸次レール８の挿入口８ａへと狭められた形状を有し
ているものゆえ、断熱シ一ト６は巻回状態の弛緩具合で
巻回径がその都度変化して始端側６Ｃの位置が上下へ多
少ずれることがあっても常に確実にレール６内へ断熱性
シ一ト６を誘導させることができ、断熱性シ一ト６を巻
回状態から展張させるようにした温室ハウスとして常に
確実に断熱性シートの展張をなし得るものを提供できる
ことになる。

従って上記のごとく断熱性シートの展張を常に確実した
装置の使用により、冷寒期における夜間や悪天候時には
温室ハウスの天井面積が可或り広大であっても瞬時のう
ちに極めて能率よく温室ハウスの屋根を断熱性シートに
よって被覆することができ、また断熱性シートの引戻し
（取り除き）作業も円滑迅速に実施することができる。

そして断熱性シートにて屋根全面がシームレスな状態で
被覆されるから、温室内部が外気と遮断され結露の発生
を防ぐとともに保温性を向上させ、内部熱の損失が減少
し保温に要する燃料費を節減することができる。

その上、盛夏時における高温時に屋根面と間隔をおいた
状態でもって使用すれば、屋根に設けた天窓の開閉が支
障なく行ない得るとともに日除け覆いとしても役立ち、
常に温室内の作業を快適な状態に維持する上で多大の効
果をもたらし得るものである。

【図面の簡単な説明】

図はこの考案による実施態様を示してあり、第１図は斜
視図、第２図は屋根上部の拡大断面図、第３図は断熱性
シートの断面図、第４図は電動式に断熱性シートを展張
する場合の巻回用ロールと牽引ワイヤーの部分を示す途
中省略側面図、第５図は展張作動の別例を示す拡大略平
面図、第６図は巻回ロールの別な配置例を示す正面図、
第７図は片屋根の場合の正面図、第８図は屋根上下にレ
ールを設けた場合の正面図である。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 屋根の外側側方に、屋根の傾斜方向とは直交する方向へ
   巻回状態から展張可能な断熱性シートを装備した温室ハ
   ウスにおいて、断熱性シートの少なくとも上部側の側端
   部をガイドさせるレールを展張方向に沿って屋根の一部
   に取付け、上記断熱性シートが上記レールに沿って移動
   できるようになし、ガイドさせるレールの挿入口側には
   断熱シートに対する導入部を備えてなり、該導入部は断
   熱性シートの巻回径が増大する方向へと広口になった先
   端を有し、広口の先端から漸次レールの挿入口へと狭め
   られた形状を有してなることを特徴とする温室ハウスに
   おける断熱性シートの展張装置。