JPS596121Y2 - 回転電機における励磁巻線の固定装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は回転電機における励磁巻線の固定装置に関し、
特に電磁継手，直流機等の励磁巻線の弛みあるいは脹み
を防止すべ〈簡便且つ堅牢に該励磁巻線を固定し得るも
のである。

一般に、電磁継手の励磁巻線は、磁極鉄心を介して装着
されている回転ドラムの始動，停止あるいｌ士向虹に上
０遠心力．衝撃あるいは振動を受けるため、該励磁巻線
自体が脹んだりあるいは励磁巻線と回転ドラムの磁極鉄
心との取付けに機械的な弛みが生じ易い。

一方、直流機の励磁巻線にあっても、該直流機の始動，
停止あるいは回転により生ずる衝撃，振動のために、励
磁巻線と固定子鉄心の磁極鉄心との取付に機械的な弛み
が起り易い。

そこで従来は、前記回転ドラムあるいは固定子鉄心等の
継鉄に装着されて励磁巻線を構或する各フィルドコイル
の互いに隣接するフイルドコイル間に、後述する詰物を
挿入して励磁巻線の脹みあるいは弛みを防止していた。

前記詰物は、例えば、フィルドコイル間の隙間に略一致
した形状の駒部材をガラス基材の積層板等で形威し、こ
の駒部材にガラステーフ゜あるいはフエルトを巻回した
ものである。

よってこの詰物をフイルドコイル間に押し入れてレジン
等の含浸により詰物とフィルドコイルとを一体化して固
定がなされる。

このような従来の固定構造においては、前記詰物の工作
並びに該詰物の組付けに多くの手間を要すること，レジ
ン処理の際にレジンによる汚れが生ずること，励磁巻線
の固定が必らずしも万全ではないこと等の問題点があり
、簡便且つ堅牢な固定装置の実現が望まれていた。

本考案は、上記要望に応えて簡便且つ堅牢に励磁巻線を
固定し得る回転電機における励磁巻線の固定装置を提供
せんとして新規な着想に基づいて案出されたもので、そ
の特徴とする構戊は、円筒状継鉄の内面に突出する磁極
鉄心と、この磁極鉄心に装着されて励磁巻線を形戊する
フィルドコイルとを有する回転電機において、互いに隣
接するフィルドコイル間に挾入される一方少なくとも継
鉄に向って開口する雌ねじ穴を有するコイル押えと、コ
イル押えの雌ねじ穴に対応しこのネジ穴と異るピッチで
継鉄に貫設された雌ねじ孔と、中央部に軸方向の貫通孔
を有し継鉄の雌ねじ孔に螺合されて先端部でコイル押え
を押圧する押しボルトと、押しボルトの貫通孔に挿入さ
れ該押ボルトを挾んでコイル押えの雌ねじ穴に螺合され
る止めボルトと、押しボルトと止めボルトを一体に係着
させる一体化手段とを備えたことにある。

以下、本考案の一実施例を第１，２図を参照しつつ説明
する。

本実施例は電磁継手の励磁巻線の固定に適用したもので
あり、第１図において１は円筒状の継鉄であって以下、
回転ドラムと称す。

第１図に示すように、回転ドラム１の内面には磁極鉄心
２が固設され、この磁極鉄心２に励磁巻線を形或するフ
ィルドコイル３が装着されている。

互いに隣接するフィルドコイル３間の隙間は先細り状で
あり、その隙間に楔状のコイル押え４が挾入されている
。

このコイル押え４には回転ドラム１に向って開口する雌
ねじ穴４ａを穿設してあって、雌ねじ穴４ａに止めボル
ト７が螺合し得る。

なお、この雌ねじ穴４ａは貫通していても良い。

一方、回転ドラム１には、磁極鉄心２間で前記雌ねじ穴
４ａに対応する位置に雌ねじ孔１ａを貫設してあって、
雌ねじ孔１ａには押しボルト６が螺合し得る。

この押しボルト６の中央部には前記止めボルト７が挿入
し得る貫通孔６ａが軸方向に沿って貫設されている。

即ち、止めボルト７の外径は貫通孔６ａの内径より小さ
い。

本実施例の場合、押しボルト６の雄ねじ６ｂのピッチと
止めボルト７の雄ねじ７ａのピッチとを違え、更には舌
付座金５を用いて押しボルト６の頭部６Ｃと止めボルト
７の頭部７ｂとを一体的に係着して励磁巻線の固定を一
層確実にしてある。

フィルドコイル３の固定は次のようにしてなされる。

まずコイル押え４をフイルドコイル３間に挾入し、回転
ドラム１の雌ねじ孔１ａに押しボルト６を螺合させつつ
該押しボルト６の先端部６ｄでコイル押゛え４をフィル
ドコイル３に押し付ける。

次に舌付座金５を介して押しボルト６の貫通｛Ｌ６ａに
その頭部６Ｃ側から止めボルト７を挿入し、該止めボル
ト７をコイル押え４の雌ねじ穴４ａに螺合・緊締する。

この際、コイル押え４の雌ねじ穴４ａと止めボルト７と
の螺合を容易にさせるため、押しボルト６によるコイル
押え４の完全な押圧の前に押しボルト６の貫通孔６ａと
コイル押え４の雌ねじ穴４ａとの芯出しを行なっておく
か、あるいは予め舌付座金５を介して押しボルト６の貫
通孔６ａに止めボルト７を挿入して該止めボルト７をコ
イル押え４の雌ねじ穴４ａに幾らかでも螺合させた後に
前記押しボルト６を緊締すると良い。

上述のようにして押しボルト６及び止めボルト７を緊締
したのち、舌片座金５の舌５ａ，５ｂを夫々押しボルト
６の頭部６Ｃ及び止めボルト７の頭部７ｂに沿って折り
曲げて両ボルト６，７を一体化する（第２図ａ参照）。

斯かる構造の固定装置において、押しボルト６は、第２
図ｂに示すようにその雄ねじ６ｂが回転ドラム１の雌ね
じ孔１ａに螺着してコイル押え４をフィルドコイル３に
押し付ける。

一方、止めボルト７は、第２図Ｃに示すようにその雄ね
じ７ａがコイル押え４の雌ねじ穴４ａに螺着して該コイ
ル押え４を押しボルト６に押し付ける。

また、コイル押え４自体はフィルドコイル３間に挾まれ
ているため回転することは出来ず、コイル押え４と両ボ
ルト６，７とが一体的には回転し得ない。

したがって、例えば第１図中矢印で示す方向に回転ドラ
ム１が回転したりして振動，衝撃が生じても、コイル押
え４は止めボルト７によって押しボルト６に押圧されつ
つ該押しボルト６によってフィルドコイル３に押し付け
られていて、コイル押え４に対する押しボルト６の押圧
に緩みが生ぜず延いてはフイルドコイル３をコイル押え
４が堅牢且つ確実に押圧・固定し、該フィルドコイル３
の脹みあるいは弛みが無くなる。

しかも本実施例では、雄ねじ６ｂのピッチと雄ねじ７ａ
のピッチとを互いに違えてあるので、押しボルト６ある
いは止めボルト７のいずれか一方が振動，衝撃等によっ
て戻ろうとしても上記ピッチの違いのため螺合が緩むこ
とはない。

更には、舌付座金５により押しボルト６と止めボルト７
とを一体的に係着してあるため、両ボルト６，７の戻り
は完全に阻止され、コイル押え４を介してフィルドコイ
ル３が一層確実に固定されている。

上記実施例において、１対のフィルドコイル３間に対す
るｌ個の固定装置を示したが、一般には回転ドラム１に
は多数のフイルドコイル３が配設されているのでその場
合には各フィルドコイル間毎に固定装置を装備すること
は言うまでもない。

更に付言するに、上記実施例は電磁継手の励磁巻線の固
定についてのものであるが、直流機等の励磁巻線の固定
についても同様に適用できる。

以上実施例にて具体的に説明したように、本考案によれ
ば、回転ドラム等の継鉄に螺合して先端部でコイル押え
をフィルドコイルに押し付ける押しボルト、及びこの押
しボルトを軸方向に貫通して前記コイル押えに螺合し該
コイル押えを前記押しボルトに緊着させる止めボルトを
有する簡単な構造で励磁巻線を堅牢且つ確実に固定し得
る。

また固定の作業も簡便である。

【図面の簡単な説明】

第１図は電磁継手の励磁巻線の固定に適用した本考案装
置の一実施例を示す断面図であり、第２図ａはボルトの
頭部近傍を拡大して示す平面図、第２図ｂ，Ｃは夫々第
１図中のＢ部及びＣ部を拡大して螺合状態を示す拡大断
面図である。 図面中 １は回転ドラム、１ａは回転ドラムの雌ねじ孔
、２は磁極鉄心、３はフィルドコイル、４はコイル押え
、４ａはコイル押えの雌ねじ穴、５は舌付座金、６は押
しボルト、６ａは押しボルトの貫通孔、６ｂは押しボル
トの雄ねじ、６ｄは押しボルトの先端部、７は止めボル
ト、７ａは止めボルトの雄ねじである。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 円筒状継鉄の内面に突出する磁極鉄心と、この磁極鉄心
   に装着されて励磁巻線を形戒するフィルドコイルとを有
   する回転電機において、互いに隣接するフイルドコイル
   間に挾入される一方少なくとも継鉄に向って開口する雌
   ねじ穴を有するコイル押えと、コイル押えの雌ねじ穴に
   対応しこのねし穴と異るピッチで継鉄に貫設された雌ね
   じ孔と、中央部に軸方向の貫通孔を有し継鉄の雌ねじ孔
   に螺合されて先端部でコイル押えを押圧する押しボルト
   と、押しボルトの貫通孔に挿入され該押しボルトを挾ん
   でコイル押えの雌ねじ穴に螺合される止めボルトと、押
   しボルトと止めボルトを一体に係着させる一体化手段と
   を備えることを特徴とする回転電機における励磁巻線の
   固定装置。