JPS5946484B2 - 香料を安定に配合したゲル状芳香剤 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はその有効成分である香料をゲル中に配合し長期
間安定に保持することのできるゲル状芳香剤に関するも
のである。

ゲル状芳香剤とはカラギナン、寒天、アルギン酸塩、グ
アーガム、ローカストビーンガム、ゼラチン、カゼイン
、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド及び
ポリアクリル酸塩の様な水溶性高分子化合物を主成分の
ゲル基剤とし、この網目構造中に香料を分散保持させ、
水分の揮散とともに香料を大気中に揮散させ、芳香を呈
するものであり、一般的にはゲル基剤１．０〜５．０重
量％、香料０．１〜２０．０重量％、界面活性剤０．１
〜２０重量％、残部が水から構成されている。

ところがこの様に水ゲル中に香料を乳化分散させる場合
、香料の種類によっては安定性が著しく悪く、長期間の
保存により香調の変化あるいは異臭の発生が問題となっ
ている。

特にリナリルアセテート、ベンジルアセテートなどのよ
うなエステル系のあるいはシクラメンアルデヒドのよう
なアルデヒド系の単品香料ではこの安定性が著しく悪い
。

このような単品香料は、香料を調合する際の基本となる
ものであり、このような不安定性は嗜好性の高い香調を
組立てるときに大きな制約を受けることになる。

本発明者らはこのような水ゲル中に配合した香料の安定
性を高める方法を検討した結果、香料を乳化分散した水
ゲル中に特定のリン酸塩又は炭酸塩を添加し、更に適当
なｐＨ調整剤でゲルのｐＨ６，０ないし１０．０に調整
することによって所期の目的を達し得ることを見出し、
本発明を完成するに至った。

即ち１本発明はゲル基剤に香料とともに第一添加物であ
る次の一般式（Ｉ）で表わされるリン酸塩又は一般式（
ＩＩ）で表わされる炭酸塩の一種類をゲル状芳香剤に対
し０．０１〜１０重量％、及びｐＨ調整剤として第一添
加物がリン酸塩の場合はこれとは異る一般式（１）で表
わされるリン酸塩又第−添加物が炭酸塩の場合はこれと
は異る一般式（ＩＩ）で表わされる炭酸塩の一種又は二
種以上をゲル状芳香剤に対し０．００５〜１０重量％含
み、かつｐＨが６．０ないし１０．０である水ゲルから
なるゲル状芳香剤Ｕｒｎ（））ｓ−ｍ Ｐ ０４ ・Ｘ
Ｈ２Ｏ（Ｉ）（Ｍｉｎ（Ｅ（）２−ｎＣｏ３・ｘＨ２Ｏ
（ｎ）〔式中、Ｍはナトリウム、カリウム又はアンモニ
ウムのいずれかである。

ｍは１〜３の整数、ｎは１〜２の整数、ＸはＯ又は１〜
１２の整数である。

〕一般式（１）で表わされるリン酸塩としては例えばリ
ン酸二水素−アンモニウム、リン酸−水素ニアンモニウ
ム、リン酸三アンモニウム、リン酸二水素−ナトリウム
、リン酸−水素ニナトリウム、リン酸三ナトリウム、リ
ン酸二水素−カリウム、リン酸−水素二カリウム、リン
酸三カリウムなどが挙げられる。

また一般式（ＩＩ）で表わされる炭酸塩としては炭酸水
素アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウ
ム、炭酸ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム
などが挙げられる。

更に本発明に使用するゲル基剤は前述のごときカラギナ
ン、寒天、アルギン酸塩、グアーガム、ローカストビー
ンガム、ゼラチン、カゼイン、ポリビニルアルコール、
ポリエチレンオキサイド及びポリアクリル酸塩などの様
な天然及び合成の水溶性高分子化合物が挙げられる。

本発明に使用した場合に特にその効果の著しい単品香料
としては、バラクレジメチルエーテル、インオイゲノー
ル、オクチルアルデヒド、アルキル基の炭素数が１２な
いし２６のアルキルアルデヒド、ベンズアルデヒド、ヒ
アシンスシンナミツクアルデヒド、ジャスミン、リリー
アルデヒド、を−カルボン、ジャスモン、ベンジルアセ
テート、リナリルアセテート、リナリルフオルメイト、
メチルベンゾエイト、シベット、イソプロピルキノリン
、パラメチルキノリン、ジメチルベンジルカルビノール
、エチルアセテート、パインアップルオイル、メロンナ
チュラル、コーヒーオイルへ−ス、メチルシトロネラー
ル、アセトアルデヒドなどが挙げられる。

本発明の特徴は、香料を配合した水ゲルに対して前記一
般式で表わされるリン酸塩又は炭酸塩のいずれか一種類
を少量添加し、さらに同じく前記一般式で表わされる他
の種類のリン酸塩又は炭酸塩の一種又は二種以上を添加
してゲルのｐＨを６．０から１０．０の範囲に調整した
ゲル状芳香剤とする点にある。

例えば、水ゲルにリン酸三ナトリウムを添加したものは
ｐＨが約１２になるが、これにリン酸二水素−アンモニ
ウム等を添加してｐＨを７〜８に調整したものなどであ
る。

このようにすることによってこれら無機塩の一種の緩衝
作用によりゲルのｐＨが安定に一定に保持され、外部の
影響あるいは香料自体の変敗、分解によるｐＨの低下に
対してｐＨを一定に維持することができ、香料の変敗、
分解の進行を抑制することができ、芳香剤としての香調
の変化を防止することができる。

当初のゲルのｐＨ値を一定範囲内にするという目的のみ
のためには前記一般式のリン酸塩、炭酸塩の中から適当
なものを選べばｐＨが６〜１０の範囲のゲルを構成する
ことは可能であるが、このようなものはｐＨの安定性が
極めて悪く外部の影響あるいは香料自体の一部変敗、分
解の開始によってｐＨが著しく変化してしまい、香料を
安定に保持することができない。

本発明のゲル状芳香剤はｐＨが６．０〜１０．０の範囲
になれば有効であるが、特に中性付近即ちｐＨ７，０〜
８．０が最も好ましい。

又第一添加物としてのリン酸塩又は炭酸塩の添加量は少
量でよく、ゲル状芳香剤の０．０１〜１０．０重量％で
よく、好ましくは０．１〜１．０重量％でよい。

ｐＨ調整剤としてのリン酸塩又は炭酸塩はこのゲルのｐ
Ｈを６．０〜１０．０に調整するに必要な量で、しかも
ゲル状芳香剤の０．００５〜１０．０重量％でよく、好
ましくは０．１〜１．０重量％でよい。

本発明のゲル状芳香剤にはさらに必要に応じて香料を乳
化分散させるためにアニオン界面活性剤、非イオン界面
活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤を用いる
。

アニオン界面活性剤として高級脂肪酸塩、高級アルコー
ル硫酸エステル、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アル
キルナフタレンスルホン酸塩、アルキルフォスフェート
塩、ポ１ リオキシエチレンアルキル硫酸塩などがあり
、イオン界面活性剤としてポリオキシエチレンアルキル
エーテル、ホリオキシエチレンアルキルフェニルエーテ
ル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソ
ルビクン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアシルエ
ステル、脂肪酸モノグリセライドなど、カチオン界面活
性剤としてアルキルアミン塩、第４級アンモニウム塩、
ポリオキシエチレンアルキルアミンなど、また両性界面
活性剤としてアルキルベタイン、イミダシリンなどが挙
げられる。

さらにこの他に必要に応じて色素及びエタノール、イン
プロパツール、グリセリン、グリコール類の様な溶剤を
添加することもできる。

以上のようにして構成される本発明のゲル状芳香剤の組
成は、重量基準でゲル形成基剤０．３〜１０．０％好ま
しくは１．０〜３．０％、香料ｏ、ｉ〜２０％好ましく
は２．０〜７．０％、第一添加物０．０１〜１０％好ま
しくは０．１〜１．０％、ｐＨ調整剤０．００５〜１０
．０％好ましくは０．１〜１．０％、界面活性剤０〜２
０％好ましくは１．０〜７．０％、残部が水である。

次に本発明を実施例をもって説明する。

尚、各実施例中％及び部は夫々重量パーセント及び重量
部である。

実施例 １ カラギナン２．０部をイオン交換水又はこれに所定量の
第一添加物である各種塩の一種類のみを溶解した水溶液
あるいは第一添加物である各種塩及びこれと異ったｐＨ
調整剤である各種塩を溶解した水溶液中に均一に分散さ
せ、７５℃に加熱し均一に溶解した後６０℃まで冷却す
る。

その後、ポリオキシエチレン（２０）ソルビタンモノラ
ウレート２．０部と香料（単品香料としてリナリルアセ
テートを全体に対して１．０％又は調合香料としてシト
ラス調調合香料を同じ＜５．０％）を添加し、容器に流
し込み室温まで冷却してゲル状芳香剤を得た。

このゲル状芳香剤の香調の変化の判定は、４０℃に２０
日間保存した後、香料調合師専門パネル４人が官能的に
評価し、その評価結果を次の基準で示した。

この結果のうち、第一の添す口吻のみでｐＨ調整剤を使
用しない場合を表−１に、第−添加物及びｐＨ調整剤を
使用した場合を表−２に示す。

評価基準 ◎：香調変化が全く認められない。

○： 〃 はとんど認められない。

△： 〃 認められる。

×：香調が完全に変化している。

ゲルｐＨはゲルの１０％水溶液の値である。

更にこの４０℃、２０日間保存後のサンプルについて、
１０％水溶液を調製し、そのｐＨを測定し、その溶液中
のリナリルアセテートの残存量をガスクロマトグラフィ
ー（ＦＩＤ）、シリコン系カラムで定量した。

その結果を表−３に示す。これらの結果から明らかなよ
うに、リン酸塩、炭酸塩、硫酸塩等の無機塩を一種類の
み添加した場合はたとえその初期のｐＨが６〜１０の範
囲内であっても香調安定性は向上しない。

しかし本発明のリン酸塩又は炭酸塩を添加し更に他の種
類のリン酸塩又は炭酸塩の添加によってｐＨを６．０〜
１０．０に調整したものは、長期間保存しても香調の変
化がなく、又ガスクロマトグラフィーで調べても香料の
分解が少なく残存率が高いことがわかった。

実施例 ２ リン酸二水素−カリウム０．１５部、リン酸−水素二ナ
トリウム０．１５部をイオン交換水８４．８部に添加し
、９０℃に加熱溶解し、これにゲル基剤トシての寒天２
．０部、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ３．０部、
香料（グリーン調調合香料、エステルアルデヒド系単品
香料含有）３．０部、エタノール５．０部を攪拌しなが
ら添加し容器に流し込み室温まで冷却固化させてゲル状
芳香剤を調製した。

これを４０℃で２０日間保存後実施例１と同様にして官
能的に評価した結果、はとんど香調変化がなかった。

実施例 ３ カラギナンをゲル基剤とし、カラギナン１．５部、ポリ
オキシエチレンアルキルエーテル２．０部、香料（グリ
ーン調調合香料、エステル系）２．０部、炭酸水素ナト
リウム２．３部、炭酸ナトリウム２．５部、イオン交換
水８９．７部で実施例１と同様の方法でゲル状芳香剤を
調整し、同様にして官能評価を行ったが、香調変化が少
く良好であった。

実施例 ４ アルギン酸誘導体をゲル基剤として用いた場合。

アルギン酸誘導体（ＡＧ−１）２．０部、活性剤（ホリ
オキシエチレンアルキルフェニルエーテル）２．０部、
香料（調合香料Ａ−３）３．０部の基本配合にイオン交
換水９３．０部で調製したゲルを比較例、又本発明とし
て、基本配合にリン酸二水素ナトリウム・２Ｈ２００，
６部、リン酸−水素二ナトリウム・１２Ｈ２００，５部
を添加しイオン交換水９１．９部で調製した。

これらを４０℃２０日間保存後実施例１に従い官能的に
評価した。

その結果本発明は香調変化が少なく良好であった。

実施例 ５ ゼラチンをゲル基剤として用いた場合。

ゼラチン２．５部、活性剤（ポリオキシエチレン脂肪酸
エステル）２．５部、香料（調合香料Ａ−４）１．５部
の基本配合にイオン交換水９３．５部で調製したゲルを
比較例、一方本発明としては基本配合に炭酸水素カリウ
ム２部、炭酸カリウム０．０３部を添加しイオン交換水
９１．４７部で調製した。

これらを４０℃２０日間保存後、実施例−１に従い官能
的に評価した結果、本発明は香調に変化が少なく良好で
あった。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ゲル基剤に香料とともに第一添加物である次の一般
   式（１）で表わされるリン酸塩又は一般式（ＩＩ）で表
   わされる炭酸塩の一種類をゲル状芳香剤に対し０．０１
   〜１０重量％、及びｐＨ調整剤として第一添加物がリン
   酸塩の場合はこれとは異る一般式（１）で表わされるリ
   ン酸塩又第−添加物が炭酸塩の場合はこれとは異る一般
   式Ｇ［）で表わされる炭酸塩の一種又は二種以上をゲル
   状芳香剤に対し０．００５〜１０重量％含み、かつｐＨ
   が６．０ないし１０．０である水ゲルからなるゲル状芳
   香剤。 （Ｍ）ｍ鴎−０ＰＯ４・ＸＨ２Ｏ（Ｉ） （Ｍ）ｎ 鴎−、ＣＯ３・ｘＨ２Ｏ（ＩＩ）〔式中、Ｍ
   はナトリウム、カリウム又はアンモニウムのいずれかで
   ある。 ｍは１〜３の整数、ｎは１〜２の整数、ＸはＯ又は１〜
   １２の整数である。 〕２ 第一添加物であるリン酸塩又は炭酸塩の添加量が
   ０．１〜１．０重量％である特許請求の範囲第１項記載
   のゲル状芳香剤。 ３ ｐＨが７．０〜８．０である特許請求の範囲第２
   項記載のゲル状芳香剤。