JPS5941071Y2 - 環状スパイラルダイ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、インフレーション成形法によりチューブ状フ
ィルムを製造する際の押出機に装着使用する環状スパイ
ラルダイ［関する。

この種のスパイラルダイとしては、たとえば第１図およ
び第２図に示す構造のものが知られている。

この環状スパイラルダイ１は、外筒ダイリング２内にス
パイラルダイ本体３を嵌装し、スパイラルダイ本体３と
外筒ダイリング２との間に環状の溶融樹脂流通路４を形
成した構成を有する。

このスパイラルダイ本体３の周面には、下流（図面上方
）に行くにしたがって溝巾と溝深さが漸減する数条のス
パイラル溝５が刻設されている。

また、このスパイラルダイ本体３の底部には、溶融樹脂
注入用の流路６がスパイラルダイ本体３の軸芯に沿って
設けられ、との流路６と前記スパイラル溝５とは、スパ
イラル溝５０基端に形成したスパイラル溝入口５ａで放
射状に設けられた複数個の分岐通路管７によって連通さ
れている。

このような構成を有する環状スパイラルダイ１は押出機
に装着されて使用されるが、この際、流路６に送り込ま
れた溶融樹脂は、分岐通路管Ｉを通じて各スパイラル溝
入口５ａに流入する。

このスパイラル溝入口５ａに流入した溶融樹脂は、各ス
パイラル溝５に案内されることによって、スパイラルダ
イ本体３の外周をスパイラル状に周回しながらスパイラ
ルフローとなり下流へ流動すると共に、スパイラル溝深
さと溝巾との漸減により、スパイラル溝５より、順次ス
パイラルダイ本体３と外筒ダイリング２との間の環状の
溶融樹脂流通路４に同心円筒状にリーケージフローとし
て流出する。

同様に各々スパイラル溝５より同心円筒状に流出したそ
れぞれの溶融樹脂は、漸次積層融合して環状スパイラル
ダイ１のダイリップ８より円筒流となって流出しチュー
ブ状フィルム９となる。

しかしながら、この種の環状スパイラルダイ１により成
形したチューブ状フィルム９には、フィルム９の流出方
向に平行に不均一な筋目（以後、ウェルドマーク１０あ
るいはウェルドマーク部１０という）が生じる。

このウェルドマーク１０によってフィルム９は、その外
観が損なわれると共に、ウェルドマーク部１０の機械的
物性が著しく劣るという欠点を有することとなる。

このウェルドマーク１０は、スパイラルダイ本体３と外
筒ダイリング２との間の環状の溶融樹脂流通路４に同心
円筒状にリーケージフローとして各スパイラル溝５より
流出した溶融樹脂が漸次積層融合する際、その積層融合
界面としてスパイラル溝５の条数に対応し発生する。

（スパイラル溝４条の場合について、ダイリップ８より
円筒状に流出したフィルム９の横断面上に現われるウェ
ルドマーク１０の形状を第３図に、その展開図を第４図
に示す。

）従って、ウェルドマーク部１０は、溶融樹脂の再融着
部であるため、質的に均一な他の溶融樹脂部に比較して
高分子的絡み合いが少ないことから機械的物性が劣り、
會た、環状スパイラルダイ１内の樹脂を他の樹脂に置換
する際に最後まで置換困難な部分にウェルドマーク部１
０が対応することにより明らかな如く、ウェルドマーク
部１０は、質的に均一な他の溶融樹脂部に比較してダイ
内に長く滞溜し熱劣化した樹脂の割合が多いことからも
機械的物性が劣ることになるものと考えられる。

ところで、環状スパイラルダイ１は、環状スパイラルダ
イ１に流入する以前は連続体であった溶融樹脂が、スパ
イラルダイ本体３の底部にある注入用の流路６から複数
個の分岐通路管７に入ることにより分割され、分割され
た状態で各スパイラル溝入口５ａよりダイ内に流入し、
ダイ内で再融着し、ダイリップ８より円筒状に流出する
機構となっているため、スパイラルダイである限りウェ
ルドマーク１０そのものを消滅させることは出来ない。

従ってウェルドマーク部１０における外観不良および機
械的物性の低下を改善する方法としては、第５図に示す
ように、ウェルドマーク部１０をチューブ状フィルム９
の円周方向に引き伸ばし分散すること、即ち、前記積層
融合界面を増大することが考えられる。

本考案者らは、この積層融合界面の大小を決定する要因
について種々検討した結果、それがスパイラルダイ本体
と外筒ダイリングとの間の環状の溶融樹脂流通路の間隙
の縦断面形状に依存していることを見出しぼ本考案に到
達したものである。

即ち、第２図に示すように、スパイラルダイ本体３と外
筒ダイリング２との間の環状の溶融樹脂流通路４の間隙
の縦断面側状が、スパイラル溝入口５ａの上流側に比較
し下流側が広いテーパー状、あるいは、上流側と下流側
が等しい平行状である従来の環状スパイラルダイ１に釦
いては、積層融合界面を増大せしめることは、例え不パ
イラル溝５の溝巾あるいは溝深さを溶融樹脂流通路４の
間隙に対して種々変更しても、不可能なのであり、溶融
樹脂流通路の上流側の間隙を下流側より広く形成するこ
とにより初めて積層融合界面を増大せしめ得ることを見
出したのである。

よって、本考案は、ウェルドマーク部における外観不良
および機械的強度の低下を改善したフィルムを底形する
ための環状スパイラルダイを提供することを目的として
なされたものである。

以下に本考案の一実施例を図面に基いて説明する。

第６図は、本考案の環状スパイラルダイ１１の一実施例
を示すもので、内径が変化しない外筒ダイリング１２内
に、スパイラル溝入口１５ａの上流側の径が小さく、下
流側の径が大きい逆テーパー状を有するスパイラルダイ
本体１３を嵌装し、スパイラルダイ本体１３と外筒ダイ
リング１２との間に、縦断面が逆テーパー状の環状の溶
融樹脂流通路１４を形成した構成を有する環状スパイラ
ルダイである。

前記のスパイラルダイ本体１３０周面には、下流に行く
に従って溝深さと溝巾が漸減する数条のスパイラル溝１
５が刻設されている。

昔た、このスパイラルダイ本体１３の下流には、前記ス
パイラル溝１５の末端部と若干の間隔を有して膨出部１
３ａが設けられ、この膨出部１３ａと外筒ダイリング１
２との間に環状ダイリップ１８を形成している。

更にスパイラルダイ本体１３の底部には、溶融樹脂注入
用の流路１６がスパイラルダイ本体１３の軸芯に沿って
設けられ、この流路１６と前記スパイラル溝１５とは、
このスパイラル溝１５の基端に形成したスパイラル溝入
口１５ａで放射状に設けられた複数個の分岐通路管１７
によって連通されている。

尚、前記環状の溶融樹脂流通路１４の間隙の縦断面形状
を決定するスパイラルダイ本体１３は、スパイラル溝入
口１５ａの上流側の径が小さく、下流側の径が大きい逆
テーパーの形状であるが、その下流側の径が上流側に比
較して大きい範囲は、スパイラル溝入口１５ａよりスパ
イラル溝１５に沿って円周方向に少なくとも９０°回転
したスパイラル溝１５の高さ普でとするのが良く、１８
０°回転したスパイラル溝１５の高さまでとするのが好
筐しい。

この範囲以後のスパイラルダイ本体１３の径は、下流に
行くにしたがいその斗ま径を大きくしてもよく、あるい
は、小さくしても、変化しなくてもよい。

スパイラルダイ本体１３の逆テーパー状となっている上
流側の径と下流側の径との割合は、第６図の＜ＡＯＡ’
が１度〜５度程度が望ましい。

尚、筐た、この実施例ではスパイラルダイ本体１３の上
流側の径を小さくシ、下流側の径を大きくすることによ
り、スパイラルダイ本体１３と外筒ダイリング１２との
間の環状の溶融樹脂流通路１４０間隙の縦断面を逆テー
パー状としたが、外筒ダイリング１２の上流側の内径を
太きくシ、下流側の内径を小さくすることにより環状の
溶融樹脂流通路１４０間隙の縦断面を逆テーパー状とし
てもよい。

更に、スパイラル溝入口１５ａにおけるスパイラルダイ
本体１３と外筒ダイリング１２との間の環状の溶融樹脂
流通路１４０基端の間隙の寸法は、環状スパイラルダイ
１１より押出す溶融樹脂の種類あるいは環状スパイラル
ダイ１１の大きさにより一概には決定され得ないが、１
ｗｎから５術程度が望ましい。

叙上の構成に基いて作用効果を説明する。

本考案の環状スパイラルダイ１１は、従来の環状スパイ
ラルダイと同様に押出機に装着して使用されるが、この
際、スパイラルダイ本体１３と外筒ダイリング１２との
間の環状の溶融樹脂流通路１４の上流側の間隙を下流側
より広く形成しているので、スパイラル溝１５の溝断面
積１５ｂに対する環状の溶融樹脂流通路１４０間隙の割
合が、従来のダイに比較し、上流側では大きくなってい
ることから、スパイラル溝入口１５ａよりダイ内に流入
した溶融樹脂はスパイラル溝１５の初期の段階でリーケ
ージフローを起す。

一方、従来のダイに比較し、下流側ではその割合が小さ
くなっていることから、リーケージフローは起りにくい
。

その結果、従来のダイに比較し、ウェルドマーク１０は
第５図に示す如く引き伸ばされ、ウェルドマーク部１０
の外観上の欠陥が改善され、かつ機械的物性が改善され
る。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の環状スパイラルダイの部分断面斜視図、
第２図は第１図に示す環状スパイラルダイの拡大縦断面
図、第３図は従来の環状スパイラルダイに発現するウェ
ルドマークを示すダイリップより押出されたチューブ状
フィルムの横断面図、第４図は第３図の横断面図の展開
図、第５図は本考案の効果を説明するためのウェルドマ
ークの発現状態を示すチューブ状フィルムの横断面の展
開図、第６図は本考案の環状スパイラルダイの一実施例
を示す縦断面図である。 １１・・・・・・環状スパイラルダイ、１２・・・・・
・外筒ダイリング、１３・・・・・・スパイラルダイ本
体、１４・・・・・・環状の溶融樹脂流通路、１５・・
・・・・スパイラル溝、１７・・・・・・分岐通路管。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 局面に下流に行くにしたがって溝巾と溝深さが漸減する
   数条のスパイラル溝を刻設し、かつ底部に前記スパイラ
   ル溝と連通ずる複数の分岐通路管を有するスパイラルダ
   イ本体と、このスパイラルダイ本体に嵌装した外筒ダイ
   リングとで環状の溶融樹脂流通路を形成してなる環状ス
   パイラルダイにおいて、前記溶融樹脂流通路の上流側の
   間隙を下流側より広く形成したことを特徴とする環状ス
   パイラルダイ。