JPS5934815B2 - ベロア調カツトカ−ペツト - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、風合及び品位が良好であり、且つ耐久性にす
ぐれた低目付のカーマット用カーペットに好適なベロア
調カットカーペットに関するものである。

従来、パイル長が４〜１０ｍｍのベロア調カットカーペ
ットは、アクリル、ナイロン、ウール等の紡績糸がパイ
ル糸として用いられている。

しかし、紡績糸は毛抜けが起り、何度掃除を行っても毛
抜けがおさまらないという欠点を有する。

また、紡績糸は撚を有する為、糸が収束しており、風合
、品位の良好なベロア調カーペットを得るには、パイル
糸の打込み密度を高くする必要があり、製造コストが高
くつくという欠点がある。

一方、フィラメント軸長に沿ってＳ、Ｚ撚りおよびラン
ダムクリンプを有するモノフィラメントにより構成され
るマルチフィラメント捲縮糸（ＢＣＦ）をパイル糸とす
るベロア調カットカーペットは、パイル糸がマルチフィ
ラメント捲縮糸で構成されているため、紡績糸のような
毛抜けという問題は発生しない。

しかし、かかるカーペントは、パイル糸密度が低くなる
と、目面が悪化し、且つ腰がなくなって風合が劣り、ま
た捲縮のへクリが発生して耐久性が劣る。

本発明者らは、マルチフィラメンｚｖａ糸（ＢＣＦ）を
用いて、パイル糸密度が従来より低くても前述の諸欠点
がなく、優れた風合、品位を有するカーマット用に好適
なベロア調カットカーペットを提供すべく鋭意研究の結
果、パイル糸として特殊な潜在型捲縮糸を使用すること
によって、目的とするベロア調カットカーペットが得ら
れることを見い出し、本発明に到達したものである。

すなわち、本発明はフィラメント軸長に沿ってランダム
なＳ、Ｚ撚およびクリンプを有するモノフィラメントに
より構成されたマルチフィラメント捲縮糸であって、そ
の全捲縮率が８〜１４％、捲縮堅牢度が２０〜４０％、
顕在捲縮率の全捲縮率に対する比率（顕在捲縮率比）が
５０％未満であり、且つ該捲縮糸の構成フィラメント群
に実質的な撚がなく、１〜１０ケ／ｍのインターレース
度を有する熱可塑性合成マルチフィラメントよりなる潜
在型捲縮糸をパイル糸とすることを特徴とするベロア調
カットカーペットである。

以下、図面を挙げ本発明を説明する。

第１〜３図はカーペット断面図の概略図で、第１図は本
発明の一実施態様、第２〜３図は比較例である。

本発明のベロア調カットカーペットを構成するパイル糸
は、熱可塑性合成マルチフィラメントからなり、特にポ
リアミド類、例えばナイロン６、ナイロン６６ あるい
はそれらの共重合物からなるマルチフィラメントが適し
ており、該マルチフィラメントの全デニールは６００〜
６０００ｄｅが好ましく、又単糸デニールは１５〜３０
ｄｅが好ましい。

各単糸のフィラメント断面形状は捲縮の剛性を高くし、
嵩高によるボリューム感を出す為、７字形、トライロー
バル、十字形がよく、又三角形、四角形のフィラメント
断面の内部に中空部を持つものでもよい。

前記のパイル糸は、その形状においてフィラメント軸長
に沿ってランダムなＳ、Ｚ撚およびランダムクリンプを
有する三次元弁らせん状の従来のマルチフィラメント捲
縮糸（ＢＣＦ）の分類ｌこ属するが、次の如き、従来に
ない性質を有するものである。

まず、捲縮特性について見ると、全捲縮率（ＴＣ）が８
〜１４％の範囲内にある。

本発明の全捲縮率８〜１４％のＢＣＦマルチフィラメン
ト捲縮糸をパイル糸として用いれば、パイル糸の各単糸
に適度なりリンズがあり、単糸間でのほど良い絡み合い
を生じつつ、フェルト感を出すことなく、ボリューム感
、カバリング性の良好なカットカーペットが得られる（
第１図参照）。

これに対し、全捲縮率が１４％を越えるとかかる捲縮糸
をパイル糸とするベロア調カットカーペットは後染め後
フェルト状となる（第２図参照）。

これはカットカーペットを作成する際、捲縮糸の一端が
切断されてフィラメント群力軸由となり、染色時の熱処
理により捲縮が発明する際フィラメント同志のからまり
が起り、又カーペットの表面を構成する部分の捲縮フィ
ラメント（パイル）の先端が自由に曲がってフェルト状
になるからである。

全捲縮率を１４％以下にすると熱処理によるフィラメン
ト同志のからまりも小さくなり、捲縮フィラメントの先
端は曲がらなくなって、腰があり、風合が良いカーペッ
トとなる。

しかし、全捲縮率が８％未満になると構成単繊維のクリ
ンプが少なく、ストレートに立った状態となり、従って
ボリューム感がなくなり得られるベロア調カットカーペ
ットの品位が劣る（第３図参照）。

また、捲縮堅牢度は２０〜４０％である。

ここで捲縮堅牢度とは捲縮の潜水中での熱安定性を示す
指数であり、捲縮の強固さの度合を判断出来るものであ
るが、一面フィラメントの捲縮波形の目安となるもので
ある。

すなわち、捲縮糸に荷重５〜／ｄｅをかけて、潜水で処
理した後の残留捲縮率と荷重無しで洪水処理した捲縮糸
の捲縮率との比を百分率で示したものであり、この値が
大きいほど捲縮が堅牢であることを示すが、一方、この
値が／Ｊ−さい程捲縮フィラメントの波形が粗くなり、
得られるカーペット上のパイル糸のカバリング性が向上
する。

この捲縮堅牢度が２０％未満の捲縮糸をパイル糸とする
ベロア調カットカーペットは、これを染色すると熱セッ
トが弱い為に、染色時に捲縮がへクリ、波形が粗くなり
過ぎ、又、フィラメント同志が絡まりフェルト状になり
過ぎる。

その上染色時における染液の移動等の力により、捲縮フ
ィラメントが絡まりやすくなり、又、特にカーペット表
面部の捲縮フィラメント（パイル）が曲がり易くなり、
フェルト化を助長する。

一方、捲縮堅牢度が４０％を越えると捲縮糸の捲縮波形
が細かくなり過ぎて、得られるカーペット上のパイル糸
のカバリング性が悪く、後記する低目付の場合、カーぺ
゛シトを上から観察すると基布が見え、目面の悪いもの
となる。

捲縮堅牢度が２０〜４０％であると、捲縮糸の捲縮波形
が適度ｌこ粗く、パイル糸のカバリング性が良好であり
、低目付のカーマット用カーペットを得ることが出来る
。

このように捲縮堅牢度を２０〜４０％とすることは、カ
ットカーペットにおけるパイル糸密度が３００〜８００
グ／ ｍ２、とくに３００〜５００グ／ｍ２のような低
密度のときに重要であり、低パイル糸密度で良好な品位
、風合のものを得るための必須要件である。

ところで、本発明では、マルチフィラメント捲縮糸とし
て顕在捲縮率の全捲縮率に対する比率（顕在捲縮比率）
が５０％未満のものを使用する。

顕在捲縮率比が５０％以上のマルチフィラメント捲縮糸
では、該糸にループ、クルミ等が生起してタフトし難く
、また、ループパイルをカットする際カッティング性が
不良で、得られるカーペットの四面が悪くなる。

また、捲縮がカーペットとなされる前に充分発現してい
るため、低目付カーペットでは、パイル糸のカバリング
性が不充分な場合がある。

顕在捲縮率比が５０％未満（潜在捲縮型）の捲縮糸では
、ループやクルミが少ないため、タフティング性、カッ
ティング性が良好であり、得られる低目付のカーペット
を後染めするとパイル糸に捲縮が発現してパイルを構成
する各フィラメントが直立せずランダムな方向を示し、
幾分フェルト状の極めてカバリング性の良い状態となる
。

また、ベロア調カットカーペットにおいてはパイル糸密
度が重要であり、通常の紡績糸では密度８００ Ｐ／ｍ
２以下になるとパイル間隙が大きくなり、カーペットの
品位が悪化し、またパイル糸が倒れ易くなる為に風合が
劣り、耐久性がなくなる。

ところが、上述の潜在捲縮型のマルチフィラメント捲縮
糸は３００ Ｐ／ｍ２以上のパイル糸密度で良好な品位
、風合のものが得られる。

この場合、３００〜８００ Ｐ／ｍ２程度の比較的低い
パイル糸密度で良好な品位、風合を保つ為には、捲縮糸
に実質的な撚が在しないことが必要である。

なお、ここで言う「実質的な撚」とは、撚糸工程で積極
的に加熱した約３０Ｔ／ｍ以上の撚を意味し、巻取時の
撚や解舒撚等製造工程中に必然的に入る約１５Ｔ／ｍ以
下の撚は「実質的な撚」に該当せず、この程度の撚の存
在は許容される。

何故ならベロア調カットカーペットにおけるパイルの長
さが４〜１０７ｎ７１ｔであるため、前記の如き低度の
撚では、カットパイルに収束性をもたらさないからであ
る。

しかし、マルチフィラメント捲縮糸に全く収束性がない
場合には、タフト性が不良となるため、タフト時には捲
縮糸が後述のインターレース度にして１ケ／ｍ以上のフ
ィラメント間交絡が必要である。

しかし、インターレース度１ｏケ／ｍ以上の交絡を有す
ると、カットカーペットとしたとき、部分的に先端が収
束しているカットパイルが目立つようになり、品位が低
下する。

つまり、パイル糸として使用する捲縮糸のインターレー
ス度は１〜１０ケ／ｍの範囲にあることを要し、インタ
ーレース度２〜５ケ／ｍが好ましい。

このような捲縮糸をパイル糸に使用してカットパイルを
構成し、ベロア調カットカーペットとすると、パイル糸
の構成フィラメントは互いに絡みによる拘束が無く、パ
イル面にはパイル糸の収束が全くなく、隣接するパイル
糸との境界は識別出来にくくなる。

この際、パイル糸密度が３００？ ／ ｍ２より小さい
とパイル間隙が犬となり、品位、風合が低下するため、
すでに述べたように密度は少なくとも３００Ｐ／ｍ２と
することが望ましい。

この際、パイルの打込み本数を多く、しかもタテ・ヨコ
のバランスをとることが望ましく、良好な品位、風合の
ものを得るにはタテ・ヨコとも１ぼ当り２．５本以上と
することが適当であり、１ｃｒＩｌ当り４本以下打込む
ことが好ましい。

また、パイル長は短いほどパイル間隙がなくなるので、
ベロア調の外観とするには効果的であるが、パイル長が
余りに短いとカーペットの風合が劣るため、良好な風合
を与えるにはパイル長を４ｙｒｔｍ以上とすることが好
ましい。

一方、パイル長が１５ｍｍ以上になるとパイルが倒れ易
くなって腰がなくなり風合が劣る。

このため、パイル長は４〜１５ｍｍの範囲内が好ましい
。

以上の如き本発明のベロア調カットカーペットは、従来
の紡績糸を用いたものに比べ毛抜けの問題がなく、また
、パイル密度を低くしてもパイル糸のカバリング性が優
れ、良好な品位、風合を有するものである。

このような種々の利点をもつ本発明のベロア調カットカ
ーペットは、すでに述べた如き特殊なマルチフィラメン
ト捲縮糸をパイル糸として使用することを最大の特徴と
するものである。

かかる潜在型捲縮糸は一般に、ポリアミド等の熱可塑性
合成重合体のマルチフィラメント糸を加熱流体を利用し
て捲縮加工して得た捲縮糸（ＢＣＦ）である。

つまり、かかる捲縮加工法としては、■加熱流体の乱流
を利用した加工、０層流の加熱流体と共にフィラメント
を障壁にぶつける加工、０層流の加熱流体を利用した押
込み加工等があるが、これらはフィラメントを予熱した
後、前記捲縮加工時に分子内歪、分子間歪を与えて捲縮
を付与したものなので、熱処理により、分子内、分子間
歪が緩和されて、捲縮が発現する潜在型捲縮糸となり、
潜在捲縮率が全捲縮率の５０％以上有することが特徴で
ある。

該潜在捲縮糸を得る製造方法は、延伸された熱可塑性合
成繊維を融点より４０℃低い温度から１０℃低い温度範
囲で予熱した後、引続いてオーバーフィード率が７０％
以下のオーバーフィード領域にて加熱圧縮流体の乱流に
より収縮嵩高加工処理を行い、しかる後にドラフト領域
で０．１５〜０、４０ ？／ ｄｅの範囲で、且つ一定
の張力にて引伸ばし、熱収縮率が１５％以上になる条件
で捲取ることにより製造される。

次に本発明で言うインターレース度、全捲縮率、捲縮堅
牢度、潜在捲縮率、顕在捲縮率、顕在捲縮率比について
詳述する。

（１） インターレース度 米国特許第２９８５９９５号明細書に記載のフックドロ
ップ法に準じ、得られたマルチフィラメント捲縮糸を垂
下し、フック型の荷重（０，２？／ｄｅ）で捲縮糸を構
成している単糸群を半分に割り、荷重を捲縮糸の垂下方
向にぶらさげる。

荷重の移動した距離をＬ求める、同様のテストを５回実
施し、その平均値丁より下記式にてインターレース（Ｉ
Ｌ）度を算出する。

（２）全捲縮率、捲縮堅牢度、潜在捲縮率、顕在捲縮率
、顕在捲縮率比 一定長さの捲縮糸を取り出し、０．１ ？ ／ｄｅの荷
重下で１分後の糸長ｌ。

を測定し、次に荷重を外して３分後に再び２〜／ｄｅの
荷重下で１分後の延長１１を測定し、続いてフリーの状
態にしたものと５〜／ｄｅの荷重をかけた状態にしたも
のを潜水中で３０分間捲縮を発現させ脱水した後、標準
状態中で１昼夜風乾し、その後試料に０．１ ？ ／
ｄｅの荷重をかけ、１分後のそれぞれの長さ１３２，１
３．、’を測定し、次いでフリーで３分間放置した後、
２７ｎ９／ｄｅの荷重下で１分後のそれぞれの長さ１３
，１３′を測定し、これらの貫淀値より全捲縮率、顕在
捲縮率、潜在捲縮率、捲縮堅牢度などが次式により算出
される。

以下、実施例により本発明を具体的に説明する。

実施例 ナイロン６（Ｔｍ＝２１５℃）を溶融紡糸し、一旦巻取
ることなく延伸して１３００ ｄｅ／６８ｆｉｌのトラ
イローバル横断面形状を有する延伸糸となした後、引続
き３０００ ｍ／ｍ１ｙｔの供給速度で特公昭５６−３
７３３９号公報第１図に図示された捲縮加工ノズルに供
給して、加熱流体噴射加工を施し、約１６００ｄｅ／６
８ｆｉＪの捲縮糸を得た。

このときの加熱流体（蒸気）圧力は６．０ ｋｇ／ｃｒ
ｔｔ一定である。

こうして得られたマルチフィラメント捲縮糸を基布にタ
フティングし、９８℃の温度で３０分間後染めした。

加工条件、糸質、カーペット評価を併せ第１表に示す。

なお、第１表中におけるカーペットの風合、品位、ボリ
ューム感及びカバリング性の判定は次の基準によった。

く風合〉 専門家の手触りによる官能検査。

〇二良好、△二実用上可、×二不良 く品位〉 専門家の視覚による外観検査。

○：良好、×：不良 くボリューム感〉 専門家がカーペット表面を手で押圧し、底付感を判定す
る。

〇二深みがあり、パイル糸に反撥力がある。

×：パイル糸を介して基布の底付感がある。

くカバリング性〉 専門家がカーペット表面を真上から観察し、基布の見え
易さを判断する。

○、基布が見えない、良好。

△二実用上可 ×：パイル糸間に基布が見え易い、不良。

【図面の簡単な説明】

第１〜３図はカーペットの断面概略図で、第１図は本発
明の一実施態様、第２〜３図は比較例を示す。 １：パイル糸、２：基布。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ フィラメント軸長に沿ってランダムなＳ、Ｚ撚りお
   よびクリンプを有するフィラメントにより構成されたマ
   ルチフィラメント捲縮糸であって、その全捲縮率が８〜
   １４％、捲縮堅牢度が２０〜４０％、顕在捲縮率の全捲
   縮率に対する比率（顕在捲縮率比）が５０％未満であり
   、且つ該捲縮糸の構成フィラメント群に実質的な撚がな
   く、１〜ｌＯケ／ｍのインターレース度を有すれ熱可塑
   性合成マルチフィラメントよりなる潜在型捲縮糸をパイ
   ル糸として使用しｈことを特徴とするベロア調カットカ
   ーペット。 ２ マルチフィラメント捲縮糸が非円形断面を有するポ
   リアミドフィラメントにより構成されている特許請求の
   範囲第１項記載のベロア調カットカーペット。 ３ マルチフィラメント捲縮糸が全デニール６００〜６
   ０００ｄｅ、単糸デニール１５〜３０ｄｅのマルチフィ
   ラメント捲縮糸である特許請求の範囲第１項又は第２項
   記載のベロア調カットカーペット。