JPS5928960Y2 - 船尾整流フイン - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、船体後部に設けられたプロペラに流入する流
れの流速を均一化するため船体表面に突設された船尾整
流フィンの改良に関する。

従来の船尾整流フィンの構造を第１〜３図に示す。

通常の船舶では、プロペラ２は船体１の後端に取り付け
られているため、プロペラ２に流入する流れは、船体１
のために乱されて不均一な流れ場となっている。

このため、プロペラ２の発生する推力は、プロペラ２が
１回転する間に大きく変動することになる。

このためプロペラ翼に発生するキャビテーションも非定
常となるため、プロペラ２による起振力が大きくなって
船尾の振動を防止する上で極めて不都合となる。

従ってプロペラ２に流入する流れ場を出来るだけ均一な
流れ場にすることが望ましい。

通常の船では、プロペラシャフト３より上方の船体中心
面付近が他の領域に比べて流速が遅くなっている。

従ってこの部分の流速を加速して他の領域の流速と大差
ないものにしようとして設けられたのが船尾整流フィン
４ａ及び４ｂである。

ところで、従来の船尾整流フィン４ａでは、第１図に示
すように、フィン４ａの下面と船体１との接合線５ａが
整流フィン４ａの前端付近では吃水線７に対して、後方
上りに傾斜し且つ後端付近で吃水線７に平行になってい
るか、あるいは第２図に示すような整流フィン４ｂでは
、接合線５ｂはその前端から後端まで吃水線７に平行に
なっている。

なお図中、６はプロペラ２の後方に設けられた舵、８ａ
、８ｂは船体の左右の舷に設けられた整流フィンの接合
線、９は船底を示す。

船尾整流フィンの加速効果を最も大きく左右するのは、
フィンの下面の形状であって、それをいかなる形状にす
るかが設計上最も重要である。

ところで、プロペラ２に流入する流れは、深い位置では
上昇流となっているが、吃水線γ付近では吃水線にほぼ
平行であり、タンカーやバルクキャリアのような船では
、満載状態と軽荷状態では、喫水が大幅に異なる為、軽
荷状態では整流フィン４ａが吃水線に近くなり、第１図
に示すような整流フィン４ａでは、整流フィン４ａの一
ヒ流側前端部付近において、流れが整流フィン４ａの外
面から当たるようになるため、整流フィン４ａの内側に
充分に流れを取り込まない。

従って整流フィン４ａによる加速効果も低い。

一方、第２図に示すような形状の整流フィン４ｂでは、
深喫水時において船尾の上昇流を妨げることになり加速
効果が弱くなる。

本考案は、このような欠点を解消し、満載状態と軽荷状
態とで喫水に大きな差があるタンカーやバルクキャリア
等の船において、いずれの状態でもフィンによる加速効
果が充分に発揮出来るようにすることを目的として提案
されたもので、船尾部に設けられたプロペラの上方でか
つ吃水線の下方の船体表面にプロペラよりかなり前方の
位置から舵の前端近傍まで船体に直接固定して突設され
た船尾整流フィンにおいて、該整流フィン下面と船体表
面との交線が整流フィンの上流側部端部付近では吃水線
にほぼ平行にかつ下流側後方に行くに従って漸次上方に
傾斜させて設けられるとともに、横断面形状での整流フ
ィン下面が外下りのほぼ円弧に形成され、平面形状での
最大幅がプロペラより前方にあるように構成されたこと
を特長とする船尾整流フィンを提供する。

本考案装置によれば、整流フィンの上流側部端部付近で
は吃水線にほぼ平行にかつ下流側にいくに従って漸次上
方に傾斜させて設けたことにより、吃水が浅く整流フィ
ンが吃水線近くに位置した場合には、整流フィンの付近
に生じる水平流を妨げることなく円滑にプロペラ側に流
入させるとともに、吃水が深く整流フィンが吃水線と離
れて位置した場合には、整流フィンの付近に生じる上昇
流を妨げることなく円滑にプロペラ側に流入させるため
、浅深両吃水時において、プロペラ上方の流れを効果的
に加速でき、ひいては船尾部の振動を効果的に防止し得
るとともにプロペラの推進効率を一層向上させることが
できる。

次に本考案装置の一実施例を図面に基づいて説明する。

第４〜６図において、４ｃはプロペラ２の上方でかつ吃
水線７の下方の船体表面に突設された整流フィンで、整
流フィン下面と船体１との接合線５ｃはフィンの上流側
部端部付近において吃水線７とほぼ平行にかつ下流側に
いくに従って漸次上方に傾斜させて設けられている。

なお第１〜３図の符号と同一の符号は同一部材を示す。

このように本装置においては、整流フィンに４ｃの前端
部付近では整流フィン４ｃの下面と船体１との接合線５
ｃが船の吃水線７にほぼ平行であるから軽荷状態で吃水
が浅い場合でも、スムーズに流れを整流フィン４ｃの内
側に案内し、また満載状態で喫水が深い場合でも、船尾
に向かう上昇流を妨げることがないので、喫水が浅い場
合でもかつ深い場合でもプロペラ２の上方の流速の遅い
流れを効果的に加速することが出来る。

従って従来の整流フィンに比べて船尾の振動をさらに効
果的に防止し得るとともに、プロペラ推進性能を一層向
上させることができる。

また第６図のように整流フィン４ｃの平面形状をプロペ
ラ２の直前付近から、漸次幅を狭めた形状としたことに
より、第３図の整流フィン４ａまたは４ｂのように整流
フィンの幅を変えない場合に比して、整流効果は変らず
に抵抗や推力減少率が小さくなって推進性能上有利とな
る。

【図面の簡単な説明】

第１図及び第２図はそれぞれ従来の船尾整流フィンを設
けた船の船尾部を示す立面図、第３図は第１図及び第２
図の■−■線に沿う縦断平面図、第４図は本考案の船尾
整流フィンを設けた船の船尾部を示す立面図、第５図は
第４図の■−■線に沿う横断側面図、第６図は第４図の
ＶＩ −ＶＩ線に沿う縦断平面図である。 １・・・船体、２・・・プロペラ、３・・・プロペラ軸
、４ ａ ｙ ４ ｂ 、４ ｃ ・・・船尾整流フィ
ン、５ａ、５ｂ。 ５ｃ・・・整流フィン下面と船体との接合線、６・・・
舵、７・・・吃水線、８ａ、８ｂ・・・船の左右の舷に
設けられた整流フィンの接合線−９・・・船底。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 船尾部に設けられたプロペラの上方でかつ吃水線の下方
   の船体表面にプロペラよりかなり前方の位置から舵の前
   端近傍まで船体に直接固定して突設された船尾整流フィ
   ンにおいて、該整流フィン下面と船体表面との交線が整
   流フィンの上流側部端部付近では吃水線にほぼ平行にか
   つ下流側後方に行くに従って漸次上方に傾斜させて設け
   られるとともに、横断面形状での整流フィン下面が外下
   りのほぼ円弧に形成され、平面形状での最大幅がプロペ
   ラより前方にあるように構成されたことを特長とする船
   尾整流フィン。