JPS5926563Y2 - 正特性サ−ミスタ - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は、正の抵抗温度係数を有するチタン酸バリウム
系半導体磁器を使用した正特性サーミスタに関する。

正特性サーミスタは、キュリ一温度を適当に選定するこ
とにより任意の発熱温度が得られることまた発熱温度が
キュリ一温度に達すると抵抗値が急激に増加して電流を
絞る電流制御機能もしくは自己温度制御機能を有するこ
と等々の特異な性質があり、各種の定温発熱素子または
電流制御素子として広く利用されている。

第１図は正特性サーミスタの従来例を示し、円板状の正
特性サーミスタ素体１の片面にギャップｇ１を介して電
極２，３を平面状に形成すると共に、該電極２，３の上
に、たとえば断面円形のリード線４．５を半田付け６，
７シた構造となっている。

８は中間電極である。

第１図に示す正特性サーミスタは、正特性サーミスタ素
体１の両面に対の電極を設ける一般的な構造と異なって
、片面に設けた電極２，３にリード線４，５を半田付け
し、他面側の中間電極８は平坦な平面としであるから、
該中期電極８の形成面側を放熱面または感熱面として被
加熱体または熱源体に密着させることができる。

しかしながら、同一面上に狭いギャップｇ１を隔てて平
面状に形成された対の電極２，３の面上に、リード線４
，５を単純に半田付けする構造であったから、次のよう
にな欠点があった。

（イ）厚さ方向の両面に電極を有する通常タイプの正特
性サーミスタであれば、例えばＵ字状等のバネ性のある
リード線を使用し、このリード線を利用して正特性サー
ミスタを両面方向から挾持することにより、リード線を
電極の所定位置に位置決めして半田付は固定することが
できる。

ところが、同一面上に狭いギャップｇ１を隔てて対向す
る対の電極２，３を形成した正特性サーミスタの場合、
上述のようなリード線を使用することができず、リード
線４，５の半田付けの際、リード線４，５を電極２，３
の面上の一定位置に静止させておくことが困難で、リー
ド線４，５が半田付けの途中で位置ズレを生じ易い。

（ロ）しかも、両面対向電極形の一般的な構造の正特性
サーミスタと異なって、対の電極２，３が同一面側にあ
って、狭いギャップｇ１を介して対向しているため、リ
ード線４，５に僅かに位置ズレを生じただけで電極間短
絡等を生じてしまう。

（ハ）前述の如く、リード線４，５が位置ズレを生じ易
いため半田付は作業が面倒かつ困難で、しかも半田付は
強度が不足し、リード線４，５の剥離事故を生じ易い等
信頼性に欠ける面があった。

（ニ）電極２，３の平面に対するリード線４，５の接触
状態が接線状となるため、両者の接触面積が小さく、半
田付は強度が不足し、リード線４，５の剥離事故を生じ
易い。

（ホ）電極２，３は一般には、フリット含有銀合金ペー
ストの印刷焼付法、アルミニュム溶射またはＮｉ無電解
メッキ法等により形成されるもので材質的に半田付は性
が良くない。

このため、半田付は強度が不足し勝ちとなるから、半田
付は強度増大の対策を講する必要がある。

（へ）磁器で成る正特性サーミスタ素体１に対して金属
材料で成る電極２，３を被着する構造であるため、材質
的に両者の接着力が弱い上に、両者の熱膨張係数の違い
から発熱動作時に熱的ストレスを生じ、電極２，３の剥
離事故を招き易い。

したがって、この種の正特性サーミスタでは、発熱動作
時の熱的ストレスを吸収し、電極剥離を防止することが
必要である。

ところが、従来の正特性サーミスタは、前述の熱的スト
レスを吸収する構造を持たないから、電極剥離を生じ易
い。

本考案は同一面上にギャップを介して対向する対の電極
を有する正特性サーミスタにおいて、対の電極に対する
リード線の位置決めを確実に行ない、リード線の位置ズ
レによる電極間短絡を確実に防止すると同時に、半田付
は作業を容易化し、更に半田付は強度を充分に大きくと
り、電極剥離事故等を防止できるようにした高信頼度の
正特性サーミスタを提供することを目的とする。

上記目的を遠戚するため、本考案に係る正特性サーミス
タは、平板状の正特性サーミスタ素体の厚さ方向の一面
側に、一定幅で延びるギャップを隔てて対向する対の電
極を設けると共に、前記対の電極のそれぞれの領域内に
、少なくとも一端が前記正特性サーミスタ素体の外端に
達する凹部を直線状に設け、該凹部内に該凹部の深さよ
り太いノード線を嵌め込んで位置決めし、かつ半田付は
固定したことを特徴とする。

以下実施例たる添付図面を参照に、本考案の内容を詳説
する。

第２図は本考案に係る正特性サーミスタの平面図、第３
図は第２図Ａ−Ａ線上における断面図、第４図は本考案
に係る正特性サーミスタに使用される正特性サーミスタ
素体の斜視図である。

この実施例では、円板状の正特性サーミスタ素体１の厚
さ方向の一面側に、直径方向に一定幅で延びるギャップ
ｇ１を隔てて、相対向する半円弧状の対の電極２，３を
被着形成すると共に、この対の電極２，３のそれぞれの
領域内に、ギャップｇ１と平行となる方向に少なくとも
一端が正特性サーミスタ素体１の外周に達する凹部９，
１０を直線状に設け、この凹部９，１０内にリード線４
，５の一端をそれぞれ嵌め込んで位置決めし、これを電
極２，３に半田付け６，７シである。

前記リード線４，５の太さは凹部９，１０の深さより大
きくなっており、従って、リード線４，５はその表面を
電極２，３の上に突出させた状態で半田付け６．７され
ている。

８は中間電極で゛ある。本考案に係る正特性サーミスタ
は上述のような構造であるから、次のような作用効果を
得ることができる。

（ａ）リード線４，５を電極２，３に半田付けする際、
リード線４，５を凹部９，１０内に挿入するだけで、電
極２，３に対するリード線４，５の位置決めがなされる
と同時に、位置ズレが阻止される。

このため、リード線４，５の位置ズレに伴う電極２−３
間の短絡事故を簡単かつ確実に防止することができる。

（ｂ）リード線４，５の太さを凹部９，１０の深さより
大きくしであるから、リード線４，５の太さを凹部９．
１０の幅とほぼ等しくシ、位置ズレ阻止作用を向上させ
たような場合でも、リード線４，５を凹部９゜１０の底
面まで確実に押込み、電極２，３との間の接触面積、機
械的接続強度を一定化し、信頼性を向上させることがで
きる。

（Ｃ）ＩＪ−ド線４，５の位置決めが簡単かつ確実に行
なわれるから、電極２，３に対するリード線４，５の半
田つけ作業が非常に容易になると同時に、充分な半田付
は強度が得られる。

（ｄ）第５図に拡大して示すように、リード線４，５の
左右に凹部９，１０の内側面が位置し、その間に半田層
６ａまたは７ａが充填されることとなるから、半田付は
面積が拡大され、半田付は強度が一層大きくなる。

この結果、リード線４，５に対して引張り力や曲げ力等
の外力が加わっても、リード線剥離事故などの生じ難い
信頼性の高い正特性サーミスタが得られることとなる。

前述のように、電極２．３はフリット含有銀ペーストの
印刷法、アルミニエム溶射法またはＮｉ無電解メッキ法
等によって形成されるもので、材質的に半田付は性が悪
いものであるが、本考案によればこの欠点を充分にカバ
ーすることができる。

（ｅ）凹部９，１０を設けると、正特性サーミスタ素体
１と電極２，３との間の熱膨張係数の差異に基づいて、
発熱動作時に両者間に発生する熱的ストレスを、凹部９
，１０の部分で緩衝し、熱的ストレスに基づく電極剥離
事故を防止することも期待できる。

更に本考案においては、正特性サーミスタ素体１の一面
側にギャップｇ１を隔てて対向する対の電極２，３を設
けると共に、他面側に対の電極２，３と対向する中間電
極８を設けた構造となっているから、平坦な平面となっ
ている中間電極８の面側を、放熱面または感熱面として
被加熱体または熱源体に密着させ、これらに対する熱結
合度を向上させることか゛できる。

なお、凹部９，１０は、正特性サーミスタ素体１の面の
両端縁に達する如く設けることもできるし、その断面形
状もの矩形に限らず、円弧状、クサビ状など各種の形状
とすることができる。

以上詳説した如く、本考案に係る正特性サーミスタは平
板状の正特性サーミスタ素体の厚さ方向の一面側に、一
定幅で延びるギャップを隔てて対向する対の電極を設け
ると共に、前記対の電極のそれぞれの領域内に、少なく
とも一端が前記正特性サーミスタ素体の外端に達する凹
部を直線状に設け、該凹部内に該凹部の深さより太いリ
ード線を嵌め込んで位置決めしかつ半田付は固定したこ
とを特徴とするから、同一面上にギャップを介して対向
する対の電極を有する正特性サーミスタにおいて、対の
電極に対するリード線の位置決めを確実に行ない、リー
ド線の位置ズレによる電極間短絡を確実に防止すると同
時に半田付は作業を容易化し、更に半田付は強度を充分
に大きくとり、電極剥離事故等を防止できるようにした
高信頼度の正特性サーミスタを提供することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の正特性サーミスタの斜視図、第２図は本
考案に係る正特性サーミスタの平面図、第３図は第２図
のＡ−Ａ線上における断面図、第４図は本考案に係る正
特性サーミスタに使用される正特性サーミスタ素体の斜
視図、第５図は要部拡大断面図である。 １・・・・・・正特性サーミスタ素体、３，３・・・・
・・電極、４゜５・・・・・・リード線、８・・・・・
・中間電極。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 平板状の正特性サーミスタ素体の厚さ方向の一面側に、
   一定幅で延びるギャップを隔てて対向する対の電極を設
   けると共に、前記対の電極のそれぞれの領域内に、少な
   くとも一端が前記正特性サーミスタ素体の外端に達する
   凹部を直線状に設け、該凹部内に該凹部の深さより太い
   リード線を嵌め込んで位置決めし、かつ半田付は固定し
   たことを特徴とする特性サーミスタ。