JPS5922788Y2 - 小型同期モ−タ− - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案は単一の励磁巻線によって駆動され 電池を電源
とした時計又はタイマー用の小型同期モータに関する。

同期モータは、一般に、薄円筒形の永久磁石と、円周に
複数のＮ極又はＳ極を有し且つ前記永久磁石をはさむ透
磁性材料よるなる一対の円板とがら構成されているロー
タの周りに、ステータに導かれた交流励磁４束が配分さ
れることによって、上記ロータが回転せしめられるよう
に設計されている。

このような同期モータの電気時計などへの応用は、天府
や振子などの往復運動を回転運動へ変換する必要性が消
去されるという観点から有利であるとみなされてきた。

そして、従来二つの型の同期モータが開発されており、
その一つはロータの周りに設けた複数個の巻線によって
交流励磁４束が生ずるように構成されているのに対して
、他方は単一巻線コイルによってロータの周りに交流励
磁４束が生じるように構成されている。

前者の型のモータは高価であると共に、低速回転できな
いという点から電気時計などには採用され得なかったが
、一方、後者の型のモータはその簡単な構造と廉価及び
低速回転できることなどのために、従来から電気時計に
応用されてきた。

しかし、一般にこの後者の型式の同期モータ（以下これ
を本明細書では単にモータという。

）は、低効率であって、たとえそのステータ磁気回路及
びロータ円板の部分を高透磁率の材料を用いて構成した
場合でも、なおこれを電池を用いて駆動する時計に応用
するときは、短期間に電池の交換又は再充電をしなけれ
ばならなかった。

本考案は電池で駆動される時計に用いられる上記小型モ
ータにおけるロータの磁極の構成について種々検討した
結果、永久磁石の両面に配設した極板の円周に形成した
Ｎ、Ｓ極を、該永久磁石円周面において、ロータ軸に平
行でかつ互いに向い合い、但し互い違いになるように曲
折させ、そしてこのＮ、Ｓ極間の間隙距離を、交流励磁
回路に形成され且つ上記の極の各々と相対するステータ
極面との間隙距離よりも大きく形成することによって、
このようなモータの効率を大巾に向上させることに成功
した。

以下に本考案を図面について更に詳細に説明すると、第
１図は本考案のモータの一例の斜視図で、但しそのハウ
ジングとロータのベアリングとを取除いて示し、第２図
は第１図におけるモータのロータ及びそれに隣接したス
テータ部分の拡大平面図、第３図は第２図のＩＩＩ−Ｉ
ＩＩ線における断面図、第４図は本考案によるモータの
ロータの拡大斜視図、第５図は同ステータ磁極面の上に
重ね合せたロータの磁極の図式的展開図、第６図は同ス
テータ極面及び隣接するロータ磁極の一部の図式的斜視
図である。

即ち、本考案によるモータは、励磁巻線４の中央を通る
積層コア５、このコア５と結合し且つ同様に積層された
ステータ３，３′このステータ３，３′の対向部分にお
いて形成された一定巾のエアギャップ、このエアギャッ
プに跨がって開設された円形の開口部、及びこの円形の
開口部に嵌めこまれたロータから戊っている。

上記のモータのロータは軸６方向に着磁された薄円筒形
の永久磁石１が、二つの円形極板２，２′にはさまれる
ことによって形成されており、この各円板はその円周に
刻み目を入れることによって、複数個（普通５〜２５個
）の等間隔・等大きさのほぼ矩形の歯がこれに設けられ
、そして、これらの歯は夫々その軸６方向に且つ互いに
向い合い、但し互い違いになるように曲折され、これに
よってこの極板２上の歯２ａの各々が他の極板２′の隣
接する歯２′ａ、２′ａの間に夫々位置するようになっ
ている。

即ち、永久磁石１から出た磁束が同磁石１に結合された
極板２，２′を通って、該極板の円周における曲折歯に
導かれ、これによりそこにＮ極又はＳ極２ ａ 、２
ａ’、２ａ 、２ ａ’・・・・・・が交互に形成され
る。

次に、上記のステータ３，３′は三枚の高透磁性金属薄
板の積層物からなり、励磁巻線４の中央孔に挿入された
同じ材質の金属薄板五枚の積層物よりなるコア（鉄心）
５の両端に夫々結合されている。

両ステータ３，３′は夫々の他端は一定巾のエア・ギャ
ップを形成するように互いに向き合っており、このエア
・ギャップに跨がってロータを嵌合させる円形開口部か
゛開設されている。

この円形開口部の内側円周には刻み目が付けられ、これ
によりロータ極板２．２’（７）Ｎ、Ｓ極２ ａ 、２
ａ ’、２ ａ 、２ ａ ’・・・・−と相対向す
るようなステータ極面３ ａ 、３ ａ・・・・・・及
び３ａ’、３ａ’・・・・・・が設けられている。

このステータ極面には励磁巻線４から交流励磁々束が導
かれ、これはその−サイクルの前半においてはステータ
３の極面３ ａ 、３ ａ・・・・・・の全てがＮ極に
磁化され、一方、ステータ３′の極面３ａ’、３ａ’・
・・・・・の全てがＳ極に磁化されるが、このサイクル
の後半においてはステータ極面３ａ’、３ａ’・・・・
・・がＳ極に、又ステータ極面３ａ’、３ａ’が全てＮ
極となる。

ステータ３，３′上の極面３ａと３ａ’とは１８０°電
気角だけ偏位しており、これによりステータ極面が交流
励磁磁束により上記のように磁化されたとき、ロータが
一つの方向に回転するように付勢される。

そして、本考案によれば、前記ロータの磁極の寸法はつ
ぎのように設計される：即ち、第２図 第３図及び第５
図において、Ｎ極及びＳ極の頂辺を夫々含んだ直線ａ及
びｂ間の距離εがＯ〜１．０ｍｍ；このロータ極の各々
と、これらと対向するステータ極面との球隙距離ｄが０
．０５〜１．００ｍｍ；及び夫々隣接するロータのＮ極
及びＳ極２ａ、２ａ′間の球隙距離ｄ′の、前記間隙距
離ｄに対する比が１．５〜５゜夫々のロータ極２ａ、２
ａ・・・・・・２ａ′、２ａ′・・・・・・の頂辺の両
隅部は丸みを付けられるのが望ましい。

更に、本考案におけるロータは直径５〜２０ｍｍの大き
さに形成される。

以上のように規定した本考案のモータによれば、夫々隣
接するロータのＮ、Ｓ磁極間における漏洩直流磁束が比
較的小さく、一方、ロータの磁極とステータ極面との結
合が大きくなるので、これによってモータの効率が大巾
に向上される。

これに反して、上述の間隙距離ε及び比ｄ’／ｄの少な
くとも一つが上に規定した数値の上限を越えるときは、
ロータの磁極の面積が小さくなって、これにより一つの
ロータ磁極が対応するステータ極面と重なり合う面積、
即ち、この部分を通して直流磁束と交流励磁々束とが結
合して通るところの面積が減少して（第５図の斜線部参
照）、結局その待客飽和磁束密度が減少するという不利
がある。

第６図は本発明によるモータが停止したときの直流磁束
の磁路を示した模型図であり、そしてモータが停止した
ときはいつもこの位置を生ずるものである。

即ち、永久磁石のＮ極から出た直流磁束は磁極２ａ、２
ａ・・・・・・を通り、これよりエアギャップを横切っ
て夫々ステータ極面３ ａ 、３ ａ・・・・・・を通
り、再びエアギャップを横切ってロータ極板の極２ ａ
’、２ａ’・・・・・・を通って永久磁石のＳ極にもど
り、磁路を完結する。

上記のモータの位置は第５図に示されるロータの位置と
同一であるが、この位置においてステータ磁束と連結す
る直流磁束が最大であり、従って、この位置がらモータ
が始動するときは強い始動トルクを伴うものである。

次に、上記第１図〜第６図による本考案のモータを用い
て行った実験の結果を第２表に示す。

ただし実験に供したモータ極の寸法は第１表に示す通り
で、同表中Ｎｏ、ｌは本考案によるモータを、Ｎｏ、
２は従来のモータを夫々表わす。

又、第１表に記載した以外の実験条件は次のとおりであ
る。

励磁コイル：直径０．０７ｍｍの導線の１１２００回巻
き。

ステータ：材質がＮｉ ７８％を含んだ鉄合金で厚さＱ
、３５ｍｍの薄板５枚の積層物。

コア：上記と同じ薄板７枚の積層物。

永久磁石：バリウムフェライトよりなる径８ｍｍ、厚さ
１．４ｍｍの薄円筒形物。

ロータ円板：上記と同じ薄板一枚で、磁極１５個、直径
９．５ｍｍ、ロータ極の隅部の丸みの曲率半径０．２ｍ
ｍ０ ロータの回転数： ２５６ ｒ、ｐ、ｍ 電源：１．５ Ｖの単一型乾電池２個を直列にっなＶ）
で３ｖとしたもの 電圧波形：矩形板 周波数：６４■ 回路単体の消費電流：９８μＡ コイル抵抗：１．３２ＫＪ７ 試験温度： ２７．５〜２５．５℃ 第２表の実験結果から、本考案のモータにおいては、効
率及びロータの外周の磁束密度が非常に改善されること
が分る。

以上説明したように、本考案のモータは構造が比較的簡
単で且つ効率が高いので、これを例えば電池時計又は電
池式水晶時計に利用するときは、乾電池１〜２本で一手
又はそれ以上の開動作させることができる。

更に、本案モータは多数の磁極を有しているので、低い
回転数で動作し、その結果軸受の消耗や騒音をきたさな
いという利点がある。

加えて、本考案のモータにおけるロータの磁極の先端は
軸方向即ちステータの極面に対して平行となるように曲
折されて歯を形成しており、本考案のモータによれば従
来のモータに比べてステータの厚さを薄くすることがで
き、従って全体の小型化、コストの低減化を得ることが
できる。

【図面の簡単な説明】

図面は本考案の一具体例を示すもので、第１図はハウジ
ングとロータのベアリングとを取り除いて示したモータ
の斜視図、第２図は第１図におけるモータのロータ及び
それに隣接したステータ部分の拡大平面図、第３図は第
２図のＩＩＩ −ＩＩＩ線における断面図、第４図は本
案のモータのロータの拡大斜視図、第５図は同ステータ
磁極面の上に重ね合わせたロータの磁極の図式的展開図
、第６図は同ステータ極面及び隣接するロータ磁極の一
部の図式的斜視図である。 各図を通じ、１は薄円筒形の永久磁石、２は円形極板、
３はステータ、４は励磁巻線、５は積層コア、６はロー
タ軸を示す。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 交流により励磁されるように形成した同心の励磁巻線４
   の中心孔にコア５を通し、このコア５の両端に夫々連結
   したステータ３，３′の各他端を向き合わせて一定中の
   エア・ギャップを形成させ、このエア・ギャップに跨が
   るようにロータを嵌合させる円形開口部を開設し、この
   円形開口部の内側に複数個のステータ極面３ａ、３ａ・
   ・・・・・３ａ’、３ａ′・・・・・・を形成してこれ
   ら極面に前記励磁巻線４に発生した交流磁束が導かれる
   ようにし、前記ロータは、直径が５〜２０ｍｍでかつロ
   ータ軸６方向に磁化された薄円筒形の永久磁石１を透磁
   性材料よりなる二枚の極板２，２′間に挟持させたもの
   で、前記極板２，２′の夫々の円周面は刻みこまれて複
   数個の等大、等間隔、はは゛矩形のＮ極及びＳ極を形成
   し、かつこのＮ、Ｓ極はロータの円周面において軸に平
   行になるように、且つ互いに向き合うように、但し互い
   違いになるように曲折されており、そしてこのＮ極及び
   Ｓ極の寸法は、該Ｎ、Ｓ極の頂線を包含する二つの直線
   間の距離εがＯ〜１．００ｍｍ、各ロータ磁極Ｎ、Ｓと
   これと対応するステータ極面との間隙距離ｄが０．０５
   〜１．ＱＱｍｍ、及び夫々隣接するＮ極及びＳ極間の間
   隙距離ｄ′の前記間隙距離ｄに対する比ｄ７ｄが１．５
   〜５．０であるように設定されていることを特徴とする
   、電池を電源とした時計又はタイマー用の小型同期モー
   タ。