JPS5922250Y2 - 内燃機関における吸気装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 この考案は内燃機関上として自動二輪車などの小型機種
用の４サイクル機関の吸気装置に関する。

一般に、４サイクル機関は静しゆくで動作が安定してい
る点では２サイクル機関に優るが、シリンダー容積を同
じくするもので゛は出力が小さいという弱点があり、ま
た吸気弁の開閉動作によって、吸気弁近傍の吸気通路に
おいて混合気の流れが間欠的となり、特にこの現象は絞
り弁の低開度域において顕著で、低中速運転時の機関性
能を低下させる傾向があるが、四輪自動車用等の比較的
大型の機関では機械式またはターボ式過給機の採用によ
って出力のイ氏下をカバーすることかで゛きるが、二輪
自動車用等の小型の機関では使用機種の関係で上記手段
を採用することができない。

この考案は上記のような不都合を解消すべく工夫された
もので、構造が複雑で重く、高価で場所を必要とする過
給機を用いることなく、簡単な構造変更によって混合気
の吸入効率を高めると共に燃焼効率の向上を図り、機関
の出力を増大させることができ、二輪自動車等の小型機
種用の４サイクル機関に適した吸気装置を提供するもの
であり、燃焼室への混合気の流入を制御する吸入弁およ
び燃焼室の既燃ガスを排出する排気弁を備え、上記吸入
弁に近接して吸気通路に開口する制御通孔を介して所要
容積の密閉した補給チャンバーに連通ずるようにした機
関において、上記制御通孔を燃焼室の外周方向に傾斜さ
せてシリンダーのヘッド部に設けたことを特徴としてい
る。

図面参照の上その実施例について説明すれば、第１図お
よび第２図において１は４サイクル機関のシリンダー、
１ａはその燃焼室、２はシリンダーヘッド、３ａは吸入
通路、３ｂは排気通路であって、吸入通路３ａの出口端
には吸入弁４ａが配設されて燃焼室１ａと吸入通路３ａ
とを仕切っており、また排気通路３ｂの入口端には排気
弁４ｂが配設されて燃焼室１ａと排気通路３ｂとを仕切
っていて、これらの弁４ ａ 、４ ｂはシリンダーヘ
ッド２上に設けられた回動カム５ ａ 、５ ｂにより
ロッカーアーム６ ａ 、６ ｂを介してピストン（図
示せず）の昇降運動に関連して吸入通路３ａおよび排気
通路３ｂを交互に開閉するようになされている点は従来
のものと変りがない。

ところで、この実施例ではシリンダー１の吸入側の上端
壁部（シリンダーヘッド部）には燃焼室１ａ中に渦流を
形成し易いように燃焼室１ａの外周に向って傾斜し且つ
吸入弁４ａに近接して吸入通路３ａに開口する制御通孔
７が穿設されており、そして、制御通孔７は接続パイプ
８，９を介して所要容積の密閉された補給チャンバー１
０に接続されている。

そこで、機関の吸入行程時に第３図イに示すように吸入
弁４ａが開かれ（このとき排気弁４ｂは当然に閉じられ
る）、ピストンが下降すれば、吸入通路３ａ内が所定の
負圧になると同時に補給チャンバー１０内も制御通孔７
および接続パイプ８，９を介して吸入通路３ａの負圧作
用に関連して負圧になる。

その際チャンバー１０内の負圧は、制御通（Ｌ７が開弁
時に負圧が大きくなる吸入弁近傍において吸入通路３ａ
に開口しているので、吸入通路３ａ中の負圧より大きい
。

そして、圧縮行程に先立って同図口のように吸入弁４ａ
が閉じ（排気弁４ｂは開く）られても、補給チャンバー
１０内にはなお相当の負圧が残留するために、吸入通路
３ａには吸入作用が持続され、気化器からの混合気が制
御通孔７および接続パイプ８，９を通して、補給チャン
バー１０中に矢印のように流入することになり、これが
吸入通路３ａの内圧と補給チャンバー１０の内圧が平衡
するまで継続し、所要量の混合気が補給チャンバー１０
中に充填される。

この状態で機関が再び吸入行程に移り、吸入弁４ａが開
かれピストンが下降すれば、今度は第３図ハのように吸
入通路３ａを通じての混合気の吸入動作に併せて補給チ
ャンバー１０内に貯留された混合気も燃焼室１ａ中に吸
入されることになる。

その際には、開口部近傍の吸入通路と大きな圧力差があ
り、かつ制御通孔７は渦流を生じ易いように燃焼室１ａ
の外周壁に向って傾斜しているので、燃焼室１ａ中にチ
ャンバー内の混合気は噴出し、そして燃焼室１ａの内壁
に沿うように旋回しながら点火栓１１に向って流れ、そ
の間燃料と空気との一層の混合が行われ、着火が促進さ
れて完全な燃焼が遂行される。

しかして、機関の運転時には上記の動作が繰り返えして
行われる。

第４図は上記の吸気装置を２気筒のガソリン機関を搭載
した自動二輪車に適用した例を示すものであり、Ｅはガ
ソリン機関、９ａ、９ｂは接続パイプ、１０は補給チャ
ンバー、Ａはエアクリーナ、Ｃは気化器、Ｆはフレーム
、Ｍはミッション、Ｍａは排気マフラーである。

そして、第５図、第６図イ２口は９０ ｃｃのガソリン
機関につき、本考案の吸気装置を備えたものと備えない
従来のものについて行ったテスト結果をそれぞれグラフ
にしたものであり、第５図は出力状態を示しており、こ
れによれば機関の回転速度が６０００〜６５００ ｒｐ
ｍの範囲でよスロットル開度＋で２６％の出力増加とな
っており、同じくスロットル開度÷では１５．２％、全
開の工では６．７％の出力増加となっていることが分る
。

また、第６図イのグラフは新混合気の体積効率の変化を
示しており、これによれば機関の回転速度が５００Ｏｒ
ｐｍ以上になれば、本考案のものが体積効率が大きく、
それだけ混合気の吸入状態が向上していることが判明し
、そして同図口は燃焼ガスの体積効率の変化を示すが、
これによれば補給チャンバー１０を備えたものは備えな
いものとほぼ同じカーフ゛になっており、むしろこれを
上回るイ頃向にあり、これは本考案のものが混合気の吸
入が多いにも拘らず燃焼が良好に行われていることを示
している。

以上のようにこの考案では、吸入弁に近接して吸入通路
に開口し且つ所要容積の密閉された補給チャンバーに連
通ずる制御通孔を、燃焼室の外周方向に傾斜させてシリ
ンダーのヘッド部に設けたので、吸入弁の開閉動作によ
り、制御通孔を介し補給チャンバー内には吸入通路中に
生ずる圧力変化より大きな圧力変化によって混合気の吸
い込みと吐き出しいわゆる呼吸作用が確実に行われ、そ
れだけシリンダーに流入する混合気の吸入効率特に低中
速回転域での吸入効率が向上し、また、吐き出し時には
吸気通路との圧力差を以て傾斜した制御通孔を通ること
により、燃焼室中に噴出状態に吹き出すと共に渦流を生
成して燃料と空気との一層の均一化が図られ、点火栓の
掃除も行われて着火性能が良好となり、混合気の燃焼が
促進されて、機関の出力を増大させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの考案の実施例の概略的な断面図、第２図は
そのＸ−Ｘ線に沿った平面図、第３図イ。 口、ハはその作動状態の説明図、第４図は自動二輪車に
適用した例の概略的な側面図、第５図は出力状態につき
従来のものと比較して行ったテスト結果のグラフ、第６
図イ９口は新混合気および既燃ガスの体積効率につき従
来のものと比較して行ったテスト結果のグラフ。 図中 １・・・・・・シリンダー、１ａ・・・・・・燃
焼室、２・・・・・・シリンダーヘッド、３ａ・・・・
・・吸入通路、３ｂ・・・・・・排気通路、４ａ・・・
・・・吸入弁、４ｂ・・・・・・排気弁、７・・・・・
・制御通孔、１０・・・・・・補給チャンバー、１１・
・・・・・点火栓。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 燃焼室１ａへ混合気の流入を制御する吸入弁４ａおよび
   燃焼室１ａの既燃ガスを排出する排気弁４ｂを備え、上
   記吸入弁４ａに近接して吸入通路３ａに開口する制御通
   孔７を介して所要容積の密閉した補給チャンバー１０に
   連通ずるようにした機関において、上記制御通孔７を燃
   焼室１ａの外周方向に傾斜させてシリンダー１のヘッド
   部に設けたことを特徴とする内燃機関における吸気装置
   。