JPS5833224Y2 - ２サイクルエンジンの吹き返し防止装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はクランク室圧縮式２サイクルエンジンの吹き返
し防止装置に関する。

一般にクランク室圧縮式２サイクルエンジンの吸気制御
のためにはリードバルブやロータリーバルブが広く採用
されている。

リードバルブは気化器とクランク室をつなぐ吸気孔に装
着され、クランク室方向への流通のみを許すものであり
、低速回転の吹き返しを防止し、低速トルクを向上させ
る利点をもつ。

しかしリードバルブの開閉はクランク室内の負圧により
自動的に行われるので開閉時期の制御はできない。

一方従来のロータリーバルブによると、その形状を適当
に定めることにより吸気孔開閉の制御は自由であるが、
その開閉時期は一般に高速出力に合わせて制御している
ため低速回転時吸気の吹き返しが生じ、低速トルクが低
下する不具合があつｔら 本考案はリードバルブの開閉時期を制御してクランク室
負圧を利用すると、吸気流速が増し、吸気慣性の向上に
より一層の出力向上が可能であるという実験結果に基づ
き開発したもので、リードバルブにロータリーバルブを
組み合わせることによりロータリーバルブでリードバル
ブの開閉時期を制御するようにしたことを特徴としてい
る。

具体的には例えば吸気量タイミングを上死点前１０００
〜１５０°に選定する。

即ちクランク室内の負圧がリードバルブの開き始める値
より一定量増加した値になる上記タイミングでリードバ
ルブにクランク室内の負圧がかかるようにする。

これによりリードバルブには従来よりも大きい圧力差が
一挙にかかる形になり、吸気慣性が増し、出力の向上を
図ることができる。

次に図面により説明する。第１図のリードバルブ１は吸
気孔２を形成している吸気管３のクランク室４側端而上
部にストッパー５と共に複数個のボルト６で締め付けて
あり、気化器７で形成される混合気に対しクランク室４
方向への流通のみを許す特性を有する。

ロータリーバルブ８はクランク軸９に固定した円板で、
外周部に吸気孔２と連通する切欠１０を備え、クランク
ケース１１とバルブケース１２の合せ面に形成された環
状空間内に密接に適合し、クランク軸９と同調回転して
第２図に示すタイ□ングで吸気孔２を開閉する。

第２図中ＩＯは吸気孔開、ＩＣは吸気孔開、Ｔは上死点
、Ｂは下死点、矢印はクランク軸回転方向を示しており
、ＩＯは上死点前１２００、ＩＣは上死点５００である
。

ＩＯをａ〜ｂの範囲、即ち上死点前１００〜ｌ５００の
範囲に選ぶと、機種に応じ本考案の目的を達することが
できる。

なお第１図中１４はシリンダ、１５はコンロッド、１６
はピストン、１７はシリンダヘッド、１８は点火栓 １
９は燃焼室、２０は掃気通路である。

ピストン１６が上昇する行程に於て、ピストン１６によ
り掃気通路２０が閉塞された後クランク室４内の負圧は
上昇するが、クランク室４内の負圧が一定値以上に上昇
した時はじめてロータリーバルブ８の切欠１０が吸気孔
２に連通し、クランク室４内の負圧がリードバルブ１に
一挙にかかり、リードバルブ１の上流側（気化器７Ｉｌ
Ｏ）と下流１則（クランク室４側）の圧力室によりリー
ドバルブ１が開く。

これにより気化器１で形成された混合気は吸気孔２、リ
ードバルブ１、ロータリーバルブ８をへてクランク室４
内へ吸入される。

燃焼室１９内で点火栓１８から供給される火花により爆
発が生じ、ピストン１６が下降する行程に於て、クラン
ク室４内の混合気は圧縮されるのでリードバルブ１は直
ちに閉じ、その後ロータリーバルブ８の切欠１０が吸気
孔２を通過する。

即ち吸気孔２の閉タイミングはリードバルブ１が定め、
ロータリーバルブ８は関与しない。

クランク室４内で予圧縮された混合気はピストン１６が
掃気通路２゜を開放することにより掃気通路２ｏをへて
燃焼室１９内へ入り、掃気作用を行う。

以上説明したように本考案によると、リードバルブ１の
制御をロータリーバルブ８が行い、具体的にはピストン
１６が上昇するクランク室吸入行程に於て、クランク室
４内の負圧が適′当な値に上昇するまでロータリーバル
ブ８が吸気孔２を閉状態に保ち、その後切欠１０の回転
方向側前縁１０ａが一挙に吸気孔２を通過し、クランク
室４内の負圧をリードバルブ１に加えるようにリードバ
ルブ１をロータリーバルブ８で制御する方式を採用した
ため、リードバルブ１が急激に開き、リードバルブ１を
通過する吸気の初期流速が増し、これにより吸気慣性を
向上させて出力の一層の向上を図ることができる。

第３図の横軸はエンジン回転数、縦軸は出力を示してお
り、図中イは吸気系にリードバルブのみを備工た場合の
特性、口はロータリーバルブのみを備えた場合の特性、
ハはリードバルブを制御するロータリーバルブを併用し
た場合の特性を示しており、八から明らかな如く、本考
案によると低速回転時リードバルブ１が吸気の吹き返し
を阻止して高性能を与え、高速回転時はリードバルブを
ロータリーバルブで制御することによる吸気慣性効果の
ためにリードバルブ単体の場合の性能イより高い性能を
与えている。

従って低速トルクの向上と高速出力の向上を図ることが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は縦断面図、第２図は吸気孔の開閉タイミングを
示すグラフ、第３図はエンジン回転数と出力の関係を示
すグラフ、第４図は第１図の■−■断面部分図である。 １・・・・・・リードバルブ、２・・・・・・吸気孔、
４・・・・・・クランク室、７・・・・・・気化器、８
・・・・・・ロータリーバルブ、９・・・・・・クラン
ク軸。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 気化器とクランク室をつなぐ吸気孔にクランク室方向へ
   の流通のみを許すリードバルブを取り付け、このリード
   バルブとクランク室の間の吸気孔にクランク軸に固定し
   たロータリーバルブを配置し、ロータリーバルブでリー
   ドバルブを制御するようにした２サイクルエンジンの吹
   き返し防止装置。