JPS5921313B2 - 記録用通電発熱シ−ト - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は記録用通電発熱シートに関し、特に記録電極
からの通電による感熱記録方式において用いられる改良
された記録用通電発熱シートに関する。

電気信号を記録紙上に文字又は図形として記録する方式
は種々提案されている。

これらの方式のうちで、感熱記録方式は、ファクシミリ
、電子計算機用プリント装置等の記録方式として最近特
に注目されている。これは感熱記録方式が液体又は粉体
のインクを必要としない１次発色法であり、印刷部の保
守が簡単で、消耗材である感熱記録紙が安価であるとい
う利点によつている。しかしながら感熱記録方式は、記
録用熱源として用いられる感熱記録ヘッドの熱応答速度
が遅いため記録速度が遅いという欠点を有している。一
方、記録紙に感熱発色性と導電性を持たせ、記録電極よ
り記録紙に直接通電し、発生するジュール熱を熱源とす
るいわゆる通電感熱記録方式は簡便な方式であるが記録
紙のコストが高くなるという問題があつた。

本発明者らは、先にこれらの感熱記録方式と通電感熱記
録方式の両者の長所を取り入れた記録方式として、記録
電極からの通電により局部的に発熱する抵抗層と、この
抵抗層に密着積層されて所望の通電状態を生じさせる導
電層とから構成される記録用通電発熱シートを用いる感
熱記録方式を提案した。

第１図はこの発明の背景となる通電記録方式に用いられ
る記録用通電発熱シートの構成を示す断面図解図である
。

この通電発熱シート１は、導電層２及び抵抗層３より成
る。導電層２としては厚さが５〜２０ミクロンの金属箔
が用いられる。抵抗層３は導電層１よりも１桁以上高い
抵抗値を持つ導電塗料の塗膜又は半導体の蒸着膜が用い
られる。記録原理は第２図に示すように、記録信号源４
・ より記録電極５と帰路電極６の間に電圧１０〜２０
ボルト、周波数４〜１０ＫＨｚ、パルス幅１００〜２５
０マイクロ秒のパルス信号を印加し、記録電極５下の通
電発熱シート１に局部的発熱を起こさせる。

発生した熱は通電発熱シート１に密・ 着した感熱紙Ｔ
の発色層８に伝わり記録像９を形成する。このとき通電
発熱シート１は数ミリ秒の間３００〜４００℃に昇温さ
れる。あるいは、記録時の記録電極５の移動によつても
、この通電発熱シート１が局部的に昇温される。従つて
、通電発熱シート１の材料としては、このような昇温に
耐え得るものが要求される。一方、通電発熱シート１は
、感熱紙７との界面における伝熱抵抗を極力減少させる
必要があるため、記録電極に〜１ｋｇ／ｄの荷重をかけ
る。

従つて、発熱シート１は可撓性のある材料であることも
要求される。導電層２の材料である金属箔はこれらの条
件を満足するが、抵抗層３の材料である導電性塗膜や半
導体蒸着膜の内でこれらの条件を満足し、しかも工業的
生産に適するものとしては、カーボンブラツクを導電剤
とする導電性塗膜があげられる。しかし、従来の導電塗
料の結合剤には酢酸ビニル、アクリル酸ビニル等のビニ
ル系のポリマーが用いられており、これらの導電塗料の
塗膜を抵抗層３に用いた場合、前述のごとくの局部的昇
温に耐えられず熱破壊を起こしてしまう。従つて、抵抗
層材料としては電気的、熱的劣化に対して抵抗性を有す
る結合剤を用いた導電塗膜を用いることが不可欠である
。このような観点より本発明者らは、結合剤として種々
の耐熱性ポリマーを用いた導電塗膜を抵抗層３とする通
電発熱シートを試作し、記録実験を行なつた。

その結果、ポリイミド系ポリマーを抵抗層３の結合剤と
して用いた通電発熱シートが数ミリ秒の間３００〜４０
０℃に耐えることができ、印加電圧１５〜２０ボルトで
起きる放電にも強く、可撓性にも優れ良質の記録が得ら
れることを見い出し、本発明を完成するに至つた。この
発明は、抵抗層の結合剤としてポリイミド系ポリマーを
用いることにより、塗膜の可撓性を保ちながら瞬間的耐
熱性を向上させ、記録用通電発熱シートが使用中に熱破
壊することなく、記録濃度が高くかつ均一な良質の記録
が得られ、しかも繰り返し使用ができるようにした記録
用通電発熱シートを提供するものである。

上記ポリイミド系ポリマーとしては芳香族ポリイミド（
連続使用温度２６『Ｃ）、ポリエステルイミド（同２０
０℃）、ポリアミドイミド（同２１０（Ｃ）、イミドエ
ポキシ（同２２０℃）及びアルキツドポリイミド（同２
１０℃）等があげられる。

記録用通電発熱シートの導電層２としては厚さ５〜２０
ミクロンの金属箔、例えばアルミ箔、錫箔、チタン箔等
が用いられるが、コスト的にはアルミ箔が最も好ましい
。導電層２の厚さは薄い程熱拡散が少なく良質の記録像
が得られるが、機械的強度とのかね合いにより、１０ミ
クロン程度が好ましい。抵抗層３の導電剤としては市販
のカーボンブラツクが用いられるが、樹脂との相溶性を
改良したグラフトカーボンの方が好ましい。抵抗層３の
結合剤としてポリイミド系ポリマーが用いられるが、中
でも熱硬化性のアルキツドポリイミド、イミドエポキシ
は寸法安定性が良いため均一な記録像が得られるので、
より好ましい。抵抗層３の厚さも薄い程熱効率が高く、
等記録エネルギでもより高い記録濃度を得ることができ
る。従つて、機械的強度とのかね合いより１０〜３０ミ
クロン程度の膜厚が好ましい。以下実施例を用いて詳細
に説明を行なう。

実施例 １ １０ミクロンのアルミニウム箔の上面にカーボンブラツ
クを３５重量パーセントを含むアルキツドポリイミドワ
ニスを等量のキシレンに溶かし、ボールミルで１昼夜分
散させた液を０．２ミリφのエナメル線を用いてワイヤ
ーバ一法により塗布した。

室温乾燥後、１６０℃のオーブン中で１５時間程加熱し
架橋硬化させて約２０ミオロンの塗膜を形成し、記録用
通電発熱シート１を得た。次に通電発熱シート１を、第
３図のように、帰路電極を兼ねた金枠６／に取り付け、
回転ドラム１０に巻き付けた感熱紙７に重ね合わせた。
直径１ミリの銅線の先端を丸く磨いた記録電極５を用い
て電圧１０ボルト、周波数４ＫＨｚ、パルス幅１００マ
イクロ秒のパルス信号を加えながらドラム１０を３００
ｒ．ｐ．ｍの速度で回転させた。その結果、４本／ＭＩ
ｌの解像度を有するドツトラインの記録像９が得られた
。得られた記録像９はＤ濃度で０．９〜１．０で均一な
濃度を持つた良質なものであつた。また、数十回の繰り
返し使用も可能であつた。実施例 ２ １０ミクロンの錫箔の上面にカーボンブラツクを３０重
量％含むイミドエポキシワニスを等量のキシレンに溶か
し、ボールミルで１昼夜分散させた液を０．３キリφの
エナメル線を用いてワイヤバ一法により塗布した。

室温乾燥後、１６０℃のオーブン中で１５時間程加熱し
て架橋硬化させて約３０ミクロンの塗膜を形成し、記録
用通電発熱シートを得た。次に実施例１と同様に記録実
験を行なつた結果、Ｄ濃度０，７〜０．８で均一な濃度
を持つた良質な記録像を得た。また、数十回の繰り返し
使用も可能であつた。参考例 １０ミクロンのアルミニウム箔の上面にカーボンブラツ
クを３５重量％含むポリビニルブチラールを等量のエチ
ルアルコールに溶かし、ボールミルで１昼夜分散させた
液を０．２ミリφのエナメル線を用いてワイヤバ一法に
より塗布した。

室内で自然乾燥し約２０ミクロンの塗膜を形成し、記録
用通電発熱シートを得た。次に実施例１と同様に記録実
験を行なつた結果、連続したパルス信号が加えられた場
合には通電発熱シートに熱が蓄積され、最終的には熱破
壊を起こしてシートに穴があきその部分の記録像が抜け
てしまつた。以上のことより、本発明による耐熱性のポ
リイミド系ポリマーを抵抗層の結合剤に用いた記録用通
電発熱シートは、記録時あるいは放電時の数ミリ秒の間
３００〜４００℃の温度に耐え、使用中に熱破壊するこ
とがないばかりでなく、数十回の繰り返し使用にも耐え
られることが明らかとなつた。

また、可撓性にも優れ、感熱紙との伝熱抵抗を小さくす
ることができるため、Ｄ濃度の高い鮮明な記録像を得る
ことができた。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の背景となる通電記録方式に用いられ
る通電発熱シートの断面図解図である。 第２図は第１図の記録原理を示す構成図である。第３図
はこの発明に従つた実施例の実験装置を示す構成図であ
る。図において、１は通電発熱シート、２は導電層３は
抵抗層、５は記録電極を示す。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 記録電極からの通電によつて局部的に発熱する抵抗
   層と、この抵抗層に密着積層されて所望の通電状態を生
   じさせる導電層とから構成される記録用通電発熱シート
   において、抵抗層の成分として１０〜４０重量％のカー
   ボンブラック（導電剤）と９０〜６０重量％のポリイミ
   ド系ポリマー（結合剤）から成ることを特徴とする記録
   用通電発熱シート。