JPS5920250B2 - ケ−ブル端末部の組立て方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は導体上にゴムやプラスチックの絶縁体を被覆し
たケーブル端末部の組立て方法に関するものである。

ケーブル端末部は、一般に露出されたゴム・プラスチッ
ク絶縁体上に電界調整コーンを設け、その外部を絶縁性
終端箱で覆い、その両者の間隙部を絶縁コンパウンドを
充填して形成される。

この時充填される絶縁コンパウンドとしては、従来ポリ
ブテン系の絶縁油が用いられていた。

しかしポリブテン系の絶縁油はゴム・プラスチック絶縁
ケーブルやゴム製の電界調整コーン及びゴム製の終端箱
を膨潤させ、長期間の使用に耐えなかった。

このため上記絶縁油に代りに常温硬化性のコンパウンド
例えば不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウ
レタン樹脂、シリコーン樹等を充填する方法が考えられ
ている。

しかしながらケーブル絶縁体が架橋ポリエチレンやエチ
レンプロピレンゴムから成り、電界調整コーン及び終端
箱がエチレンプロピレンゴムから成るケーブル端末部の
場合には、上記常温硬化性コンパウンドは、殆んど接着
性を示さず、硬化時にケーブル絶縁体表面及び終端箱内
面で界面剥離が生じ、充分な電気的性能が得られなかっ
た。

本発明は、このような欠点を解消し、絶縁体を膨潤させ
ず、ケーブル絶縁体、電界調整コーン、終端箱と強固に
接着し、高性能な電気的性能が得られるケーブル端末部
の組立て方法を提供するものである。

本発明は、あらかじめゴム・プラスチック絶縁体表面、
電界調整コーン表面及び終端箱内面にシランカップリン
グ剤を塗布し乾燥せしめ、その後終端箱内にケーブル端
末部を挿入し同芯上に保持した後、その間隙部に絶縁コ
ンパウンドを注入し硬化せしめることを特徴とするケー
ブル端末部の組立て方法で、ゴム・プラスチック絶縁体
表面にエチレンプロピレンゴム層を設けてからシランカ
ップリング剤を塗布し、乾燥すると、ケーブル絶縁体と
絶縁コンパウンドとの接着が一層強固になる。

本発明に用いるシランカップリング剤としてはビニルト
リクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルト
リス（β−メトキシエトキシ）シラン、γ−グリシドキ
シプロビルトリメトキシシラン、γ−メタアクリロキシ
プロピルトリメトキシシラン、Ｎ−βアミノエチル、γ
−アミノプロピルトリメトキシシラン、Ｎ−βアミノエ
チル、γ−アミノプロピルメルルジメトキシシラン、γ
−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプト
プロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリ
エトキンシラン、等を用いることが出来る。

特に本発明に用いるシランカップリング剤としては、ア
ミノ系シランカップリング剤が好ましく、さらにエチレ
ンプロピレンゴム等によく含浸するようにトルエン、酢
酸エチル、ｎ−ブタノール、ブチルアセタール等の溶媒
で溶解したブライマー型シランカップリング剤が好まし
い。

その理由は、シランカップリング剤をエチレンプロピレ
ンゴム表層内部に拡散させる必要があるためで、したが
って市販のシランカップリング剤を上記溶媒に溶解して
から表面に塗布すると充分な接着力が得られ、ケーブル
の電気的性能が安定するので一層好ましい。

また本発明に用いる絶縁コンパウンドとしては、常温硬
化型の不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウ
レタン樹脂、シリコーン樹脂等を用いることが出来るが
、ポリウレタン樹脂、特にジエン系ポリウレタン樹脂が
可撓性があり、伸び率、引裂強度が大きく、電気特性に
優れ、硬化収縮率の小さく好ましい。

次に、この発明を図示の例によって詳細に説明する。

第１図は、ケーブル端末部の縦断面図である。

まず架橋ポリエチレン絶縁ケーブルの端末においてプラ
スチックシース６と外部半導電層５を剥ぎ取り架橋ポリ
エチレン絶縁体２を露出させ、さらに端部のみ導体１を
露出させる。

その後架橋ポリエチレン絶縁体２表面にエチレンプロピ
レンゴム層３をモールド成形し架橋ポリエチレンと一体
化する。

その外部にエチレンプロピレンゴムから成る電界調整コ
ーン４を取付け、さらに前記エチレンプロピレンゴム層
３表面と電界調整コーン４表面に溶媒に溶解したシラン
カップリング剤を塗布しゴム表層内部まで拡散させ厚さ
１μ以下の薄膜層を形成する。

一方エチレンプロピレンゴムから成るケーブル終端箱１
０内面にもあらかじめ前記と同様にシランカップリング
剤を塗布し、厚さ１μ以下の薄膜層を形成しておく。

前記の表面処理をしたケーブル端末部には、絶縁コンパ
ウンド注入口１３を設けた終端箱支持金具１２を絶縁テ
ープ７を巻付けて取付ける。

その後ケーブル終端箱１０を支持金具１２に取付け、さ
らに上部取付は金具８によって導体１及び終端箱１０を
固定する。

上部取付は金具８には脱気孔９を設ける。

その後ケーブルと終端箱１０の間隙部には注入口より常
温硬化性絶縁コンパウンド１１を加圧注入し、コンパウ
ンド中の気泡を脱気孔９より脱気する。

注入・脱気が完了後絶縁コンパウンドは常温で２４時間
以上放置し硬化させ、ケーブルのエチレンプロピレンゴ
ム層表面とエチレンプロピレンゴム終端箱とシランカッ
プリング剤を介して強固に接着する。

このようにして組立てられたケーブル終端箱はヒートサ
イクル試験、屈曲試験、振動試験、衝撃試験等において
全く異常が認められず優れた電気的特性を示すものであ
る。

以下実施例に基づいて説明する。

実施例 １１０ＫＶ級の架橋ポリエチレン絶縁ケーブルの端末部
よりポリ塩化ビニルシースとエチレン酢酸ビニルとカー
ボンから成る外部半導電性層を剥ぎ取り、架橋ポリエチ
レン絶縁体を露出させ、その表面に未架硫のエチレンプ
ロピレンゴムテープを１−０ｍｍ厚に巻き付け２００°
Ｃ３０分間加圧架橋し、架橋ポリエチレンと一体化成形
した。

その外部にエチレンプロピレンゴム製電界調整コーンを
取付けそれ等の表面にＮ−βアミノエチル、γ−アミノ
プロピルメチルジメトキシシラン（商品名ＫＢＭ−６０
２信越化学工業製）をトルエン中に２０重量パーセン）
ｌ解したシランカップリング剤を塗布した。

この時ゴム表層内部までシランカップリング剤が拡散す
るよう３回重ね塗りを行なった。

エチレンプロピレンゴム製終端箱内面にも同様のシラン
カップリング剤を塗布し、その後熱風乾燥した。

この時得られたシランカップリング剤層の膜厚は顕微鏡
で観察した結果約０．１μ程度であった。

表面処理したケーブル端末部及び終端箱は支持金具及び
上部取付は金具によって端末部を組立て、間隙部にブタ
ジェン系ポリウレタン樹脂コンパウンドを真空脱泡しつ
つ加圧注入した。

注入完了後常温で４８時間放置しポリウレタン樹脂を硬
化させケーブル端末部の組立てを完了した。

得られたケーブル端末部は０°Ｃ〜９０℃のヒートサイ
クル試験を５サイクル、振巾５０ｍｍの振動試験５０サ
イクル、高さ１ｍからの落下衝撃試験を３回行ない、そ
の後コロナ発生電圧の測定、直流耐電圧試験、インパル
ス耐電圧試験、交流耐電圧試験を行なった。

その結果、コロナレベル９０ＫＶ以上、ＤＣ２８０ＫＶ
１時間以上、インパルス６００ ＫＶ以上、ＡＣ２００
ＫＶ１時間以上の優れた電気的特性を得た。

同上記実施例以外に磁気碍子終端箱を用いた場合にも同
様の結果を得た。

このことは、本発明により組立てられたケーブル端末部
は、絶縁コンパウンドがケーブル絶縁体、電界調整コー
ン並びに終端箱内面と残着して、電気的特性に優れたも
のであることを示し、本発明の優位性を証明するもので
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図はケーブル端末部の縦断面図で、１は導体、２は
ゴム・プラスチック絶縁体、３はエチレンプロピレンゴ
ム層、４は電解調整コーン、５は外部半導電層、６はプ
ラスチックシース、７は絶縁テープ、８は上部取付は金
具、９は脱気孔、１０は終端箱、１１は絶縁コンパウン
ド、１２は終端箱支持金具、１３は注入口を示す。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ ゴム・プラスチック絶縁ケーブルの端末部において
   露出されたゴム・プラスチック絶縁体表面、電界調整コ
   ーン表面及び終端箱内面にシランカップリング剤を塗布
   し、乾燥せしめ、前記電界調整コーンを挿着した前記ゴ
   ム・プラスチック絶縁ケーブルの端末部を前記終端箱に
   挿入し、該終端箱内間隙部に絶縁コンパウンドを注入し
   硬化せしめることを特徴とするケーブル端末部の組立て
   方法。 ２ 露出されたゴム・プラスチック絶縁体表面にエチレ
   ンプロピレンゴム層を設け、その表面にシランカップリ
   ング剤を塗布し、乾燥せしめることを特徴とする特許請
   求の範囲第１項記載のケーブル端末部の組立て方法。 ３ 絶縁コンパウンドが常温硬化性ポリウレタン樹脂で
   あることを特徴とする特許請求の範囲第１項記載のケー
   ブル端末部の組立て方法。