JPS5919169B2 - 金属磁性粉末の製造方法 - Google Patents

金属磁性粉末の製造方法

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JPS5919169B2
JPS5919169B2 JP55095402A JP9540280A JPS5919169B2 JP S5919169 B2 JPS5919169 B2 JP S5919169B2 JP 55095402 A JP55095402 A JP 55095402A JP 9540280 A JP9540280 A JP 9540280A JP S5919169 B2 JPS5919169 B2 JP S5919169B2
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茂雄 平井
俊信 末吉
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Description

【発明の詳細な説明】 この発明は金属鉄を主体とする磁性粉末の製造方法に関
するものであり、その目的とするところは粒度調整が容
易であり、樹枝状粒子の生成が抑制されてしかも加熱還
元などの熱処理工程における粒子間の焼結や粒子の形崩
れが抑制されて均一かつ緻密で優れた磁気特性を有する
磁性粉末が得られる上記製造方法を提供する点にある。
一般的に、金属鉄を主体とする磁性粉末は、Fe2O3
ゃγ−Fe、Osなどの酸化鉄系磁性粉末に比較して保
磁力(HC)などの磁気特性に優れ、磁気テープを始め
とする種々の磁気記録媒体用の記録素子として脚光を浴
びているが、通常は湿式反応工程より製出される針状粒
子からなるα−オキシ水酸化鉄やこれを加熱脱水した酸
化鉄を原料として気相中で加熱還元されて製造されるた
め、粒子径や粒子の形状などの性状は上記原料自体の性
状に大きく依存する。
そしてこれらの性状によつて磁気特性や磁気記録媒体と
しての適性が大きく左右されるが、従来の方法では用途
や目的に応じた粒度のものを製造することは困難であり
、また上記の湿式反応工程すなわち水酸化第1鉄の懸濁
液中に酸素含有ガスを導入する通常の反応工程において
は磁気特性に悪影響を及ぼす樹枝状のα−オキシ水酸化
鉄粒子が副生し易いという問題が’ あつた。一方、上
記の加熱還元や加熱脱水の際に、粒子間の焼結、個々の
粒子の部分的な溶融、脱水および脱酸素による粒子の多
孔化が起こク易<、粒度の不均一化や粒子の針状形状お
よび緻密性が損な門 われることによつて得られる金属
鉄を主体とする磁性粉末の磁気特性が著しく低下する傾
向があり、特に原料中に前記樹枝状粒子が多く存在する
と粒子間の焼結が顕著であつた。
したがつて、優れた磁性粉末を得るには、前記のα−オ
キシ水酸化鉄の生成段階に}いて樹枝状粒子の副生を抑
制してかつ粒度の調整を行ない、さらに加熱還元などの
熱処理工程において粒子の焼結や形崩れを防止してα−
オキシ水酸化鉄のシヤープな針状形状と均一性を金属鉄
を主体とする磁性粉末に継承させる必要があるが、現状
ではこれらを充分に満足し得る方法は知られていない。
この発明者らは、上述の事隋に照らし鋭意研究を重ねる
過程で、水酸化第1鉄の懸濁液中に酸素含有ガスを導入
して酸化する反応をアルカリ領域下で行なえば、生成し
たα−オキシ水酸化鉄もしくはこれを加熱脱水した酸化
鉄を原料として加熱還元して製造した金属鉄を主体とす
る磁性粉末が非常に緻密な粒子となつて磁気特性が改善
されることを既に究明している。この発明は、さらに継
続する研究過程で、上記のα−オキシ水酸化鉄の生成反
応をアルカリ領域下で行なう方法において、水酸化第1
鉄の懸濁液中に亜鉛化合物、アルミニウム化合物および
ケイ素化合物の3種より選ばれる少な〈とも1種の化合
物と水酸化ニツケルとを含有させれば、前者の化合物の
量の加減によつて生成するα−オキシ水酸化鉄ひいては
最終的に得られる金属鉄を主体とする磁性粉末の粒度を
容易に調整でき、かつ水酸化二ツケルの存在にて樹枝状
粒子の生成が抑制されて均一な粒子となう、しかも熱処
理工程における粒子の焼結や形崩れが防止されて緻密性
も損なわれないことを見い出して到達したものである。
第1図は、後述する実施例1、2卦よび3の方法におい
て亜鉛化合物(ZnSO4)、アルミニウム化合物{U
2(SQ)3}ケイ素化合物(Na,SiO4)のそれ
ぞれの添加量と生成するα−オキシ水酸化鉄粒子の平均
長径との関係を示す。
図中、曲線Aは亜鉛化合物、曲線Bはアルミニウム化合
物、曲線Cはケイ素化合物を意味いずれも添加量が大き
いほど生成するα−オキシ水酸化鉄の粒子が小さくなる
傾向がある。したがつて、これらの量の増減によ)、加
熱還元を径て最終的に得られる金属鉄をその用途や目的
に適した粒度のものとすることが可能となる。使用する
亜鉛化合物としては硫酸亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛など
、アルミニウム化合物としては硫酸アルミニウム、硝酸
アルミニウム、塩化アルミニウムなど、ケイ素化合物と
してはケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウム、メタ
ケイ酸カリウム、種々の組成比の水ガラスなどが挙げら
れ、2種以上を併用してもよい。
これらは水酸化第1鉄の懸濁液中に加えてもよいし、水
酸化第1鉄を生成させる反応の系内に添加してもよい。
その量は亜鉛、アルミニウム、ケイ素をMeで示したと
き、Me/Feの原子比で0.001〜0.1となる量
(併用の場合は合量)が好適であり、過少では実質的な
効果が期待できず、過多では生成する粒子の微細化が進
み過ぎて磁気特性面でも問題がある。上記化合物と共に
水酸化第1鉄の懸濁液中に含有させる水酸化ニツケルは
α−オキシ水酸化鉄の析出反応において樹枝状粒子の生
成を抑制して均一な針状粒子とする機能を有している。
これを懸濁液中に含有させるには水酸化ニツケル自体を
上記懸濁液または水酸化第1鉄を生成させる反応の系内
に加えてもよいが、好適には種々の水可溶性ニツケル塩
の形で用いてアルカリとの反応によつて水酸化吻とする
方法が推奨される。後者の方法の最適な例として、第1
鉄塩とアルカリ との反応によつて水酸化第1鉄を析出
させる際に同時に析出させて、水酸化第1鉄と水酸化ニ
ツケルとの共沈物とする方法が挙げられる。水酸化ニツ
ケル量は、水酸化第1鉄に対してNi/Feの原子比で
0.001〜0.15となる量が好適であシ、過少では
実質的な効果が認められず、過多ではより以上の効果は
なく不経済であ)、磁気特性面でも好まし,くない。こ
の発明では水酸化第1鉄の懸濁液中に空気などの酸素含
有ガスを導入してα−オキシ水酸化鉄生成させる反応を
アルカリ領域下で行なうが、上記懸濁液をアルカリ性と
する手段は種々存在する。
たとえば、普通には硫酸第1鉄などの第1鉄塩の水溶液
と水酸化ナトリウムなどのアルカリ水溶液とを反応させ
て水酸化第1鉄を生成させる一般的な方法において、過
剰量のアルカリを使用することによつて容易に行なえ、
また種々の方法によつて得られた水酸化第1鉄の懸濁液
中に後からアルカリを添加してもよい。いずれにおいて
も、酸素含有ガスの導入前のPHが11以上の高アルカ
リ領域であればよく、このようなアルカリ領域での反応
によつて最終的に得られる金属鉄を主体とする磁性粉末
粒子が緻密性に富むものとなる。亜鉛化合物、アルミニ
ウム化合物およびケイ素化合物は、アルカリ溶液中では
水酸化物の沈殿を生成せずに溶解しているが、α−オキ
シ水酸化鉄が生成する過程でその粒子中にイオン状態で
捕捉されたう、あるいは粒子表面に強固に付着して、水
洗によつても除去されずに残留する。ニツケル成分も同
様にα−オキシ水酸化鉄の粒子中に取り込まれ、したが
つて生成したα−オキシ水酸化鉄は亜鉛、アルミニウム
、ケイ素の3種より選ばれる1種以上の成分とニツケル
成分を含むものとなる。生成したα−オキシ水酸化鉄を
、水洗および乾燥後、直接もしくは加熱脱水して酸化鉄
としたのち、水素気流中などの還元性雰囲気中で300
〜500℃程度の温度で加熱することにより、金属鉄を
主体とする粉末となる。
このとき、上記の加熱脱水および加熱還元において被処
理物粒子に含まれた亜鉛、アルミニウム、ケイ素の各成
分は粒子間の焼結や粒子の形崩れを大きく抑制する作用
を示し、その結果得られた金属鉄を主体とする磁性粉来
はα−オキシ水酸化鉄のシヤ=プな針状形状と均一性を
継承して保磁力(HC)や角型比(σr/σs)などの
磁気特性に優れたものとなる。なお、この発明では上記
の加熱脱水または/および加熱還元に訃いて、粒子の焼
結や形崩れをさらに効果的にWOUするために被処理物
の粒子表面にケイ素化合物を被着してもよい。上記ケイ
素化合物としては、既述した水酸化第1鉄水溶液中に含
有させる種々の無機ケイ素化合物の他に各種のシリコン
オイルなどの有機ケイ素化合物を使用でき、これらはあ
らかじめ粒子中に含まれた前記成分と相乗的に作用して
熱処理工程における粒子の焼結や形崩れを極めて効果的
に抑制する機能を持つている。
ケイ素化合物による被着処理は、これらを溶解した液中
、たとえばケイ酸アルカリではアルカリ性水溶液、シリ
コンオイルでは種々の有機溶媒に溶カルた液中に被処理
物粉末を単に浸漬してその粒子表面に付着させてもよい
が、ケイ酸アルカリを使用する場合には上記浸漬状態下
で炭酸ガスを吹き込むか酸を添加して中和し、ケイ酸ゾ
ルの形で粒子表面に沈着させる方法が推奨される。
また加熱脱水を経て加熱還元を行なう場合は、加熱脱水
または加熱還元のどちらかの工程の前処理として上記皺
着処理を行なえばよいが、両工程の前処理として重複し
て行なつても差しつかえない。ケイ素化合物の被着量は
Si/Feの原子比で0.001〜O、06の範囲とな
る量が好ましく、過少では実質的な効果が期待できず、
よシ多い場合は磁気特性面での問題がある。以下、実施
例にてこの発明を具体的に示す。
実施例 1200g/′のFeSO4・7H20を溶解
した水溶液1.5中に、攪拌しつつ112g/′のNi
SO4・6H20を溶解した水溶液0.1′}よび31
.1g/′のZnSO4・711201を溶解した水溶
液0.1′を添加し、次いで200g/′濃度のNaO
H水溶液1.5′を添加混合し、Fe(0H)2とNi
(0H)2の共沈物を含むPHl2以上の懸濁液を得た
続いて液温を40℃に加温して液中に2f/分の割合で
空気10時間吹き込み、NiおよびZnを含有するα−
FeOOHlf)釘状粒仔を析出させた。これを水洗、
乾燥の後、その1gを採取して電気炉中で350℃の温
度下、H2流量1f/分にて2。5時間還元し、Niお
よびZnを含有する金属鉄粉末を得た。
実鯛 2 200g/Ff)FeSO4・7H20を溶解した水溶
液1.5′中に、攪拌しつつ112g/′のNiSO4
・6H20を溶解した水溶液0.1′、200g/′の
濃度のNaOH水溶液1.5′および23.4g/′の
A′2(SO4)3・17H20を溶解した水溶液0.
1′を順次添加混合し、Fe(0H)2とNi(0H)
2の共沈物を含みPHl2以上である懸濁液を得た。
続いて液温を40℃に加温して1.51?/分の割合で
空気を0.5時間吹き込み、α−FeOO旦の種晶を生
成させ、さらに液温を50℃に昇温して1.5′/分の
割合で空気を15時間吹き込んでNiおよびA′を含有
するα−FeOOHの針状粒子を析出させた。これを水
洗、乾燥の後、その10gを採取してマツフル炉中で6
00℃の温度下で1.5′/分の割合で空気を通して3
時間脱水してα−Fe2O3とした。
このα−Fe2O3を2g/f濃度のNa4siO4溶
液0.5f!中に分散させ、液中にCO2ガスを21/
i+の割合で30分間吹き込み、粒子表面にケイ酸ゾル
が沈着したα−Fe2O,を得た,このα−Fe2O,
を水洗、乾燥後、その1gを採取して電気炉中で350
℃の温度下、H2流量1′/分にて2時間還元し、N1
、Al!およびSiを含有する金属鉄粉末を得た。実施
例 3 実施例1におけるFesO4水溶液およびNaOH水溶
液の使用量をそれぞれ3f!とし、NlSO4水溶液の
使用量を0.2f!と!かつZnsO4水溶液の代わり
に39.7g/1f)Na4SiO4を溶解した水溶液
0.21!を使用し、他の条件を全て実施例1と同一に
して、NiおよびSiを含む金属鉄粉末を得た。
実施例 4 実施例1におけるNiSO4水溶液の使用量を0.12
5′とし、かつZnsO4水溶液の代わシに23.4g
/′のA′2 (SO4)3 ・17H20と39.7
g/′のNa4siO4とを溶解した混合水溶液0.1
′を使用し、他の条件を全て実施例1と同ゴして、Ni
sAl?およびSiを含む金属鉄粉末を得た。
比較例 1 実施例1におけるNiSO4水溶液およびZnsO4水
溶液を使用せず、他の条件を全て実施例1と同ゴして金
属鉄磁性粉末を得た。
比較例 2 実施例2におけるNlSO4水溶液の使用量を0.12
51!とし、かつA′2(SO4)3水溶液を使用せず
他の条件を全て実施例2と同一にして、N1およびSi
を含む金属鉄粉末を得た。
5比較例 3実施例1におけるNiSO4水溶
液を使用せず、かつZnsO4水溶液の代わシに112
g/′のAl2(SO4)3 ・17H,0を溶解した
水溶液0.1′を使用し、他の条件を全て実施例1と同
こ一にして、A′を含む金属鉄粉末を得た。
以上の実施例および比較例にて得られた金属鉄粉末につ
いて、それぞれ飽和磁化(σ8)、保磁力(HC)およ
び角型比(σr/σ8)を測定した結果を下表に示す。
さらに、実施例1において析出したα−FeOOHの電
子顕微鏡写真を第2図に、同じく比較例1のそれを第3
図に示す。第2図から明らかなように水酸化ニツケルを
含有した水酸化第1鉄の懸濁液を用いた場合は樹枝状粒
子をほとんど含まない均一な粒度のα−FeOOHとな
るが、比較例1の方法では第3図で示すように多量の樹
枝状粒子が生成している。上表にて示されるように、こ
の発明の方法によれば、α−オキシ水酸化鉄の生成段階
で樹枝状粒子の生成が抑制され、かつ熱処理工程におけ
る粒子の焼結や形崩れが防止される結果、優れた磁気特
性を示す磁性粉末が得られ、しかも第1図で示すように
亜鉛化合物、アルミニウム化合物およびケイ素化合物の
使用量の加減にて容易に粒度調整を行なえ、また熱処理
工程を被処理物の粒子表面にケイ素化合物を被着させて
行なえばさらに焼結や形崩れの抑制効果が増大して磁気
特性も向上する。
【図面の簡単な説明】
第1図は亜鉛化合物、アルミニウム化合物およびケイ素
化合物の使用量と析出するα−オキシ水酸化鉄の平均長
径との関係を示す図、第2図は実施例1の方法において
析出したα−オキシ水酸化鉄粒子を示す電子顕微鏡写真
図、第3図は比較例1の方法において析出したα−オキ
シ水酸化鉄粒子を示す電子顕微鏡写真図である。 A・・・亜鉛化合物、B・・・アルミニウム化合物、C
・・・ケイ素化合物。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1 PH11以上に調整した水酸化第1鉄のアルカリ性
    懸濁液中に酸素含有ガスを導入してα−オキシ水酸化鉄
    を生成させ、このα−オキシ水酸化鉄もしくはこれを加
    熱脱水した酸化鉄を気相中で加熱還元して金属鉄を主体
    とする磁性粉末を製造するに当たり、上記懸濁液中に亜
    鉛化合物、アルミニウム化合物およびケイ素化合物の3
    種より選ばれる少なくとも1種の化合物と水酸化ニッケ
    ルとを含有させることを特徴とする金属磁性粉末の製造
    方法。 2 前記の加熱脱水および加熱還元の少なくとも1つの
    工程の前処理として前記α−オキシ水酸化鉄もしくは酸
    化鉄の粒子表面にケイ素化合物を被着させる工程を含む
    ことを特徴とする特許請求の範囲第1項記載の金属磁性
    粉末の製造方法。
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