JPS5912180B2 - テインパニ−等の音高調節装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明はティンパニー等の音高調節装置に関し、ケト
ル下方に設けた低いコンパクトなケース内に主要部品を
全て収容する事により、ケトル下方に充分な空間を与え
ると共にケースの製造を容易にする様にしたものである
。

一般にティンパニー等の楽器においてケトル又はケトル
支持リングに関連してヘッド緊張機構を設け、これによ
って膜の張力を加減して音高を調節する事が行われるが
、この調節はハンドル又は調節ネジを手で回してやる形
式のものと、ケトル下方に設けたペダルを足で踏込んで
やる形式のものとがあり、この発明の装置はこの向後者
、即ちペダル踏込形式のものに属する。

ペダル踏込式のものにあっては、一般にケトル下方に設
けた踏込用ペダルを中介リンク機構を介してヘッド緊張
機構に作動連結している。

そしてペダルはある角度踏込んだ後は足を離してもその
踏込角度位置を保持する事が望ましい。

このためには、踏込用ペダルとは別にクラッチを設けて
、ペダル踏込角度位置をクラッチで一時的に錠止する形
式のものがあるが、これはペダル踏込みとクラッチ操作
との２動作を行う必要がある。

これを１動作化するために、バランスバネを用いて、こ
れによるモーメントとヘッドの復原力によるモーメント
を釣合わす事により、ペダル踏込角度位置を保持させる
事が提案されている。

このバランスバネはケトル下方に設けた本体ケース内に
収容されているが、従来この形式の装置にあっては、バ
ランスバネが縦設、即ち水平方向に対して交叉する方向
に設けられているため、ケースの形が深くしかもバネ収
容用の突出部を上面に有している。

このため、ケトル下方に残される空間が少く、ケトルの
高さが制約される。

又、この空間を成るべく残そうとするとバランスバネの
仕様が制約されヘッドの復原力によるモーメントに対し
てバランスできる範囲が狭くなりその設計上選択の自由
度が小さくなる。

更に、ケースは一般に鋳造により形成されるがその形が
深くしかも突出部等があるため、鋳放し作業上問題があ
るのみならず、鋳造後の仕上げや塗装もやり難いという
欠点がある。

加えてケースの形状が単純でないため、デザイン面から
見ても不都合である。

この発明は従来の装置にみられるこの様な欠点を除去す
る様にしたもので、前記したバランスバネを横型として
実質的に水平方向に配置することにより本体ケースを浅
い伏鍋状の単純な形状とすると共にこのケース内に主要
な部品を収納させたものである。

以下、添付の図面に示す実施態様によって、更に詳細に
この発明の音高調節装置について説明する。

第１図において浅い伏鍋状の本体ケース２はその略中央
部内側に突出してブラケット４を有しており、このブラ
ケット４の下端には三角形のセンターチューニングリン
ク６がその１つの支点６ａにおいて回動自在にピン結合
されている。

このリンク６の他の支点６ｂにはセンターリンク８の下
端がピン結合されており、該リンク８の上端には座金１
０の底部がピン結合されている。

座金１０にはナツト１４によって中空状のスパイダーナ
ツト１２が固定されている。

このナツト１２に一端を自在結合するテンションロッド
１６はケース２０半径方向に延設され他端においてロッ
ド回転金具１８に螺合連結されている。

本体ケース２の外周面上適宜な位置には中空のフレーム
２０がナツト２２によって固設されており、このフレー
ム２０は上方に延設されてその上端において図示しない
ケトル支持リングを支承している。

このフレーム２００ケース２に固定された下端内側には
リンク２４がピン結合されており、このリンク２４の他
端には前記したロッド回転金具１８がピン結合されてい
る。

該他端にはもう１個のロッド回転金具２６がピン結合さ
れており、この回転金具２６にはチューニングロッド２
８の下端が螺合連結されている。

このチューニングロッド２８はフレーム２０内を上方に
延設されて、その上端において図示しないティンパニー
ヘッド緊張機構に作動連結されている。

尚図中には１本のテンションロッド１６とこれに関連し
て夫々１組のフレーム２０及びチューニングロッド２８
のみが示されているが、実際には複数本、例えば６〜８
本のテンションロッド１６がターフ２０円周方向略等分
に割振ってスパイダーナツト１２からケース半径方向に
放射状に延設され、これに対応した本数のフレーム２０
がケース２の外周に略等分に割振って設けられ、その中
を同本数のチューニングロッド２８が以上説明したのと
同様の構成で延設されている。

ケース２の周辺部内側に突出形成されたスタンド３０に
は略三角形の回転リンク３２がその１つの支点３２ａに
おいてピン結合されており、この＋）７”３２の他の支
点３２ｂにはテンションバー３４ ノ一端カヒン結合さ
れている。

このテンションバー３４はケース２の底部近くを半径方
向中央に向って略水平に延設され、その内端において前
記のセンターチューニングリンク６の第３の支点６Ｃに
ピン結合されている。

回転リング３２の附近において、ケース２０周壁を貫通
してボルト３６が微揺動自在に挿通されている。

この微揺動構造を第２図に示す。即ち、ボルト３６は丸
味をつけたヘッド３６１と角面２６２とを有しており、
このヘッド３６１はケース２に埋設された受座３８の円
錐状受孔内に収受されている。

このボルト３６はケース２内においてテンションロッド
シリンダ４０の外端に螺合している。

このシリンダ４０内に一端を挿入されたバランステンシ
ョンロッド４２はシリンダ４０の他端から突出して中央
部に向って延設され、その内端において、前記したセン
ターチューニングリンク６の第２の支点６ｂにピン結合
されている。

シリンダ４０内において、ロッド４２のヘッド４２ａと
シリンダ４０の内端面との間には圧縮バネ４４が挿設さ
れている。

回転リンク３２取付部の外側においてケース２の上面に
形成されたスタンド４６にはペダル４８がその略中央部
４８ａにおいてピン結合支持されており、スタンド４６
より若干外側、即ちケース２の周縁寄りの位置において
ペダル４８側面にはリンク５０の上端がピン結合されて
いる。

このリンク５０の下端は前記の回転リンク３２の第３の
支点３２ｃにピン結合されている。

さて、第１図に示すのはペダル４８が全然踏み込まれて
いない、即ちペダルストロークが零の状態であるが、こ
の状態において、仮にバネ４４が圧縮された場合、セン
ターチューニング６の支点６ｂに掛るバネ４４による力
のベクトルがリンク６の第１の支点６ａを通る様に設定
する。

この状態ではティンパニーのヘッドには、ある程度の初
期張力は掛ってはいるものの、ペダルストロークが零で
あるのでこの発明の装置による緊張力は働いていないの
である。

更に、この状態では、リンク６０頂角６ｂに掛るバネ４
４による力のベクトルの方向がリンク６の支点６ａを通
っているので、仮にバネ４４が圧縮されてもバネ４４に
よってリンク６に働くモーメントは零である。

〔第３図Ａ参照〕ところで、第１図に示す状態から、足
でペダル４８を矢印Ａの様に踏込んでやると、リンク５
０を介してリンク３２が支点３２ａについて矢印Ｂで示
す様に図中反時計方向に回動し、この結果テンションバ
ー３４を介してセンタチューニングリンク６も支点６ａ
について矢印Ｃで示す様に反時計方向に回動し、リンク
８を介してスパイダーナツト１２が引下げられ、各テン
ションロッド１６が中央に引きしぼられてその結果、各
チューニングロット２８が均斉に引下げられ、ティンパ
ニーヘッドがそれに相当する程度だけ緊張される。

この結果センターチューニングリンク６周りは第３図Ｂ
に示す様な状態となる。

即ち、ティンパニーヘッドが緊張状態から戻ろうとする
力Ｐはチューニングロッド２８→テンシヨンロツド→ス
パイダーナツト１２→リンク８と伝わってリンク６の第
２の支点６ｂに作用してリンク６を支点６ａについて時
計方向に回転させるモーメントを作用させる。

この結果バランステンションロッド４２を介してバネ４
４が圧縮されロッド４２を介してバネの弾撥力Ｆがリン
ク６の第２の支点６ｂに作用してリンク６を反時計方向
に回すモーメントを作用させる。

（このリンク６が回転した状態ではバネ力Ｆの方向がリ
ンク６の支点６ａを通らないから）このモーメントがテ
ィンパニーヘッドの復原力によるモーメントと釣合うの
で、踏込後ペダル４８から足を離してもペダル４８はそ
の踏込角度位置を維持するものである。

以上の説明から明らかな様にこの発明の音高調節装置に
おいてはチューニングロッド２８以外の全ての要素が伏
鍋状の本体ケース２内に収納されており、しかも、ペダ
ル４８の踏込角度位置を、（即ちティンパニーヘッドの
設定された緊張状態を）維持するためのバランスバネ４
４が実質的に゛水平方向に横設されているため本体ケー
ス２が極めて浅い構造となっている。

このためケース２の上方に大きな空間がとれるので、そ
れだげケトルのための空間が大きくなり、ケトルの高さ
く深さ）に対する制約がほとんどなくなる。

加えて、本体ケース２が浅くしかも形状的に比較的単純
なので鋳造時の鋳離れがよくなる。

更に、バランス用バネ４４を横設式としたため、ケトル
のために残すべきケース２上方の空間について特に顧慮
することなく、バネの仕様を自由に設計する事ができる
ので、バネ選択の自由度が大きい。

更に本体ケース２の形状が単純でありしかも外側への露
出物がないので、外観上デザイン的にも良好な趣味感を
与えるばかりでなく、製造時における仕上げ、塗装等も
非常にやり易くなる。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の音高調節装置の一例を示す一部断面
側面図、第２図はそのバランス用バネ収納シリンダの支
持機構を示す拡大部分図、第３図Ａ、Ｂはバランス用バ
ネの作用を示す説明図である。 ２・・・・・・本体ケース、６・・・・・・センターチ
ューニングリンク、８・・・・・・センターリンク、１
２・・・・・・スパイダーナツト、１６・・・・・・テ
ンションロッド、２０・・・・・・７Ｌ／−ム、２８・
・・・・・チューニングロッド、３２・・・・・・回転
リンク、３４・・・・・・テンションバー、３６・・・
・・・ボルト、４０・・・・・・シリンダ、４２・・・
・・・バランステンションロット、４８°°°°°°ペ
ダル、５０・・・・・・リンク。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 伏鍋状の本体ケースの略中央部内側には３個の回動
   支点を有する第１のリンクが第１の支点においてピン結
   合されており； この第１のリンクの第２の支点は、ケース周面を経て上
   方に延びる中介リンク機構を介して、ケース上方に設け
   られたヘッド緊張機構に作動連結されており； 該第２の支点には、ヘッドの復原力によるモーメントと
   逆方向の釣合モーメントを前記第１のリンクに作用させ
   るべ（、ケース内において水平方向に横設された圧縮バ
   ネが作動連結されており；ケースの周縁部内側には３個
   の回動支点を有する第２のリンクが第１の支点において
   ピン結合されており； この第２のリンク支点は前記第１のリンクの第３の支点
   にリンク連結されており； 同周縁部外側にピン結合された踏込用ペダルは該ピン結
   合点外側において前記第２のリンクの第３の支点にリン
   ク連結されており；かつ、ペダルストロークが零の状態
   において前記第１のリンクの第１及び第２の支点が実質
   的に同一水平面にある事を特徴とするティンパニー等の
   音高調節装置。