JPS586651B2 - 電気機器の貨車積卸し装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は吊掛式貨車に吊持されて搬送された電気機器
、例えば大形の変圧器を据付現地で貨車取卸しするため
の積卸し装置に関するものである。

以下の説明は電気機器として大形変圧器を一例に行なう
ものとする。

吊掛式貨車に吊掛式で連結された大形変圧器を貨車取卸
しし線路道床外に横移動させる横移動工事は従来次の手
順で行なわれている。

以下、その手順を第１図ないし第３図に基づいて説明す
る。

（１）線路道床４内の地耐力強化補強作業連結ピン２ａ
取外し作業時及び横移動作業時に大形変圧器１の自重量
を支えるのは線路道床４内である。

この道床４内の地耐力が自重量により発生する接地圧よ
り軟弱な場合に行なう作業においては、接地圧以上の地
耐力に強化するため、線路道床４内の基礎施工面の強化
工事（突き固め又は鉄板敷養生及びバラスト、長大枕木
設置等）と線路道床４内補強材１３の設置作業を行なう
。

もし、接地圧が地耐力を上廻ると沈下現象をおこし線路
軌条３に荷重が加わるおそれが発生する。

これは線路軌条３の応力発生、変形をおこさせる原因と
なるので、絶対に避けなければならない。

（２）貨車２との連結ピン２ａ取外し作業貨車２と大形
変圧器１とは連結ピン２ａにて連結されているが、この
ピン２ａを取外すには吊り耳１ａの下部へジャッキ１０
を４ケ所挿入し、このジャッキ１０を操作することによ
り貨車２への重量負担を無くし、その上で貨車２のフレ
ームの自重量を貨車２の車体に負荷するよう貨車２に内
蔵された支持装置（図示せず）で調整する。

これで連結ピン２ａは無負荷状態となり、取外すことが
出来る。

尚，ジャッキ１０の下部は線路道床４内上の補強材１３
の上に重量が負担するよう角材１４等を敷いておく。

（３）犬形変圧器１の底面に横移動用機材を挿入する作
業 横移動作業を行なうためのコロ受板１１、複数のコロ１
２，コロの走行用道板１５等を線路道床４内に挿入する
。

同時に、線路道床４外の横移動側にコロ１２走行用の道
板１５等を敷きつめる。

（４）犬形変圧器１の重量をコロ１２へ負荷する作業 ジャッキ１０を操作することによりコロ１２への重量負
荷を行なう。

（５）大形変圧器１の横移動作業 大形変圧器１の吊り耳１ａに牽引ワイヤー５を取付け、
ウインチ車６に連結し、ワイヤー５を巻取ることにより
大形変圧器１は徐々にコロ１２上をコロ受板１１と共に
転動し、線路道床４内から線路道床４外へ引き出される
。

この時コロ１２は大形変圧器１の進行方向とは逆の方向
に転動ずるため進行方向に向い前方から１本ずつ順次コ
ロ１２を追加挿入する。

（６）線路道床４内横移動用機材撤去作業大形変圧器１
が横移動を完了すれば線路道床４内のコロ走行道板１５
等を撤去する。

従来の作業は以上のようになされていたので、以下に列
記するような欠点を有していた。

（１）大形変圧器１の自重量を支える線路道床４内の地
耐力強化補強工事が必要な場合は大規模な工事となり、
部分的に線路道床４内の地耐力が大きくなり、前後の線
路道床４の地耐力のバランスが崩れるので、貨車取卸し
作業の終了後は強化補強工事を撤去し原形に復帰させる
ことが必要である。

この線路道床４内工事は線路を使用していない時間帯（
通常は深夜）で作業をしなければならないので困難な作
業となる。

（２）連結ピン２ａを取外し後大形変圧器１の底面にコ
ロ受板１１、コロ１２、道板１５等からなる横移動用機
材を挿入するために、大形変圧器１と軌条３とのスキマ
を大きく拡げる（４００７ｍｍ〜５００ｍ速度）必要が
あり、ジャッキアップ作業を繰返し行なわなければなら
ない。

なぜなら，ジャッキ１０のストロークがこれら機材の挿
入に必要なスキマより小さい。

又、ジャッキアップ作業は小量（１００ｍｍ未満）ずつ
行なう方がジャッキアップ作業中の揺動が少なく安定し
ている。

（３）ジャッキアップした大形変圧器１の底面にコロ受
板１１、コロ１２、道板１５等からなる横移動用機材を
挿入するが、これらは重量物の下部空間の人手による作
業であり、ジャッキ１０の故障、転倒等の事故発生時は
危険な状態となる恐れがある。

（４）コロ引きによる横移動中進行方向からコロ１２を
挿入する必要があり、この横移動中の走行用道板１５の
設置およびコロ１２の挿入は人手によって行なわれるた
め経験と技能を要し、ウインチ車６の操作員，コロ１２
挿入員、走行用道板１５の敷設員、全体の監視員等、密
接な連繋が必要である。

この発明は上記のような従来のものの欠点を解消するた
めになされたもので、吊掛式貨車により吊持される電気
機器の下面と相対向する線路道床外所定位置に配設され
る受板上にそれぞれ設けられるジャッキ装置と、このジ
ャッキ装置により担持され線路軌条と交る方向に延在す
る固定受梁と、この固定受梁上に摺動部材を介して担持
され上記固定受梁の延在方向に移動可能な移動受梁とを
備えることにより、簡単な構造で積卸し作業が容易且つ
能率的な電気機器の貨車積卸し装置を提供することを目
的としたものである。

以下、この発明の一実施例における大形変圧器の貨車積
卸し装置を第４図ないし第９図について説明する。

図において、大形変圧器１、吊り耳１ａ、貨車２、連結
ピン２ａ、軌条３、線路道床４、牽引ワイヤー５、ウイ
ンチ車６は従来のものと同様なので説明を省略する。

７は大形変圧器１の下面と相対向する線路道床外４ケ所
に配設される受板、８ａはこの受板上にそれぞれ設けら
れるジャッキ装置、８ｂは接地受梁、８ｃはジャッキ装
置８ａと接地受梁８ｂにより担持され線路軌条３とほぼ
直角方向に配設される固定受梁、１１はこの固定受梁８
ｃ上に、たとえばエンドレスコロ装置からなる摺動部材
８ｄｆ介して担持される移動受梁で、大形変圧器１を支
持し固定受梁８ｃに沿って移動可能である。

次に上記のように構成されるこの発明の一実施例の動作
を説明する。

（１）貨車２との連結ピン２ａ取外し作業貨車２と大形
変圧器１とは連結ピン２ａにて連結されているがこのピ
ン２ａを取外すには吊り耳１ａの下部に固定受梁８Ｃを
挿入し、この両端へジャッキ装置８ａの組込まれた接地
受梁８ｂを配置する。

その後、固定受梁８Ｃの内側へ移動受梁９を挿入し摺動
部材８ｄの上を移動し、吊り耳１ａの下に配置する。

次に，ジャッキ装置８ａを操作して上昇させることによ
り、固定受梁１０が上昇し、移動受梁９と吊り耳１ａが
接触し、なおも上昇操作することにより大形変圧器１が
固定受梁８ｃと移動受梁９と共に上昇する。

これで貨車２の重量負担が無くなり、その上で貨車２の
フレームの自重量を貨車２の車体に負荷するよう貨車２
に内蔵された支持装置（図示せず）で調整する。

これで連結ピン２ａは無負荷状態となり取外すことが出
来る。

尚、犬形変圧器１の重量は各受梁ど線路道床外の受板７
を介して線路道床外へ負荷される。

（２）横移動側への移動準備 連結ピン２ａの取外しが完了すると固定受梁８ｃの両端
で道床外の受板７との間にライナー（図示せず）を挿入
し固定受梁８Ｃの下降を防ぎ、ジャッキ装置８ａを下降
側へ操作する。

固定受梁８ｃは下降しないため、接地受梁８ｂのみが下
降する。

次に接地受梁８ｂをジャッキ装置８ａと共に取外す。

次に横移動側に予め用意した別の固定受梁８ｃを端部で
突き合せ連結する。

この作業は高さ及び芯を揃えることが必要である。

（３）横移動 吊り耳１ａに牽引ワイヤー５を取付け、ウインチ車６に
連結しワイヤー５を巻取ることにより大形変圧器１は徐
々に両固定受梁８Ｃ上を移動し、線路道床４内から線路
道床４外へ引き出される。

（４）線路道床４内の固定受梁１０撤去作業大形変圧器
１が横移動を完了すれば線路道床４内の固定受梁８ｃを
取外し撤去する。

尚、上記実施例は貨車２と大形変圧器１とを直接吊掛式
にて連結した場合であるが、第１０図に示すように別途
専用受梁２１に大形変圧器１を載荷し，この専用受梁２
１を貨車２に吊掛式にて連結する場合にも適用し得るこ
とは言うまでもない。

又上記実施例は取卸し作業を例に行なったが、逆に積込
み作業においても同様の効果を奏する。

さらに、重量品輸送において荷重負荷が許されない地表
または床上を通過する際の仮設橋梁の一種としても適用
可能である。

さらに，揚重装置のない場合の電気機器の移動にも適用
可能である。

以上のように、この発明によれば、吊掛式貨車により吊
持される電気機器の下面と相対向する線路道床外所定位
置に配設される受板上にそれぞれ設けられるジャッキ装
置と、このジャッキ装置により担持され線路軌条と交る
方向に延在する固定受梁と、この固定受梁上に摺動部材
を介して担持され上記固定受梁の延在方向に移動可能な
移動受梁とを備えたことにより簡単な構造で積卸し作業
が容易且つ能率的な電気機器の貨車積卸し装置を提供す
ることができるという効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図および第２図は従来の電気機器の貨車積卸し装置
を示す平面図および正面図、第３図は第２図における線
■一」に沿う断面図、第４図および第５図はこの発明の
一実施例における電気機器の貨車積卸し装置を示す平面
図および正面図，第６図は第５図における線■−■に沿
う断面図、第７図ないし第９図はこの発明の一実施例に
おける電気機器の貨車積卸し装置の主要部をそれぞれ示
す平面図、正面図および側面図、第１０図はこの発明の
他の実施例における電気機器の貨車積卸し装置を示す正
面図である。 図において、１は電気機器としての大形変圧器、２は貨
車、７は受板、８ａはジャッキ装置、８Ｃは固定受梁，
９は移動受梁、８ｄは摺動部材である。 尚、各図中同一符号はそれぞれ同一又は相当部分を示す
。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 吊掛式貨車により吊持される電気機器の下面と相対
   向する線路道床外所定位置に配設される受板上にそれぞ
   れ設けられるジャッキ装置と、このジャッキ装置により
   担持され線路軌条と交る方向に延在する固定受梁と、こ
   の固定受梁上に摺動部材を介して担持され上記固定受梁
   の延在方向に移動可能な移動受梁とを備えたことを特徴
   とする電気機器の貨車積卸し装置。 ２ 電気機器は大形変圧器であることを特徴とする特許
   請求の範囲第１項記載の電気機器の貨車積卸し装置。 ３ 固定受梁は線路道床内に位置する部分と線路道床外
   に位置する部分とに分割されていることを特徴とする特
   許請求の範囲第１項または第２項記載の電気機器の貨車
   積卸し装置。 ４ ジャッキ装置は受板に着脱可能に設けられているこ
   とを特徴とする特許請求の範囲第１項または第２項記載
   の電気機器の貨車積卸し装置。