JPS5848644B2 - トウ紡績におけるスライバ−冷却方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明はトウ紡績において加熱延伸、牽切後のスライバ
ーを効率的に冷却するための冷却方法に関するものであ
る。

化学繊維、就中、合成繊維においては、平行に揃い、か
つネツプもない連続繊維束を得ることが容易なところか
ら紡出されたフィラメント．トウをそのまま切断し、短
綿化すると同時に牽伸して直接所要番手の糸を作る所謂
、トウ紡績が広く行なわれており、アクリル系合成繊維
紡績糸の製造等に汎用化されている。

このうち、特にターボ．ステープラーは在来の梳毛紡績
に適切なバイアスカットの繊維長分布が容易に得られる
こと、熱延伸とドラフトカットにより繊維が延伸されて
いるため残留収縮が残るという特長を有し、収縮の少な
い糸を作るためにその後、真空式蒸熱処理などの熱処理
を施し、残留収縮を除去しなげればならない反面、前記
特長を活かして、いわゆるハイバルキー糸の製造に利用
されている。

即ち、ハイバルキー糸は残留収縮の大なる前記スライバ
ーと他の無収縮繊維を複合し、これを蒸熱セットによっ
て前記残留収縮を発現させる方法であり、特に高いバル
キー性を必要とする場合には前記ターボステープラーに
よる加熱延伸、牽切時の条件を適当に選定すれば加熱に
よりトウが再収縮してバルキー性の高い糸を容易に得る
ことができるものである。

第１図はこのようなトウ紡績の一般的なスライバー形戒
工程を示しており、フィラメント．トウＴを順次、張力
調整ローラー、フイードローラーなどのローラー１を経
て送給し、加熱ヒーター２を通して加熱延伸を行なうと
共に、バツク牽切ローラー３、フロント牽伸ローラー４
間で切断補助ロー２５を介して切断し、スライバ−Ｓと
して適宜、コンベア−６を経てケンス７内へ収納する工
程を図示している。

そして、このような工程において、現在、ヒータ一温度
は通常、１００〜１４５℃前後に保持されているが、延
伸、牽切後、再収縮を防ぐためにはできるだけ早い時間
で６０℃以下に冷却することが必要とされている。

そのため、現在、図示のような穴８さきケンスを使用し
て通風を良くしたり、あるいはコンベアーをネット状に
して通気を良好ならしめることが行なわれているが、冷
却にかなりの時間を要するのみならず、ケンス内の実際
の温度は、特に外気との関連もあるが一般に下り難く、
７０℃前後となっているのが殆んどで、再収縮を起し勝
ちな状況下におかれており、従って、爾後のスライバー
の収縮が極めて不安定で出来上る糸の番手むらを生じ易
いという難点を有している。

本発明は叙上のような実状に立脚し、前記難点を解消し
、スライバー収縮が安定した、そして、糸の番手むらも
なく、品質良好な糸を得るための好ましい冷却方法を提
供することを目的とするものである。

しかして、かかる目的を達成する本発明冷却方法の特徴
とするところは、トウ紡績におけるスライバーを収納す
るダンスに予め、多孔パイプを差し込んでおき、スライ
バー収納後、該パイプにファンで強制的に送風し、冷却
することにある。

以下、上記本発明方法の具体的な内容を更に詳述する。

先ず、本発明方法は、前述の如くフィラメント．トウを
加熱延伸し、牽切することによって短縮化すると共に、
これを牽伸してスライバーとなすトウ紡績に関するもの
であるが、加熱延伸、牽切の各工程は従来のトウ紡績に
おけると同様であるので、詳細は省略する。

ここで、フィラメント．トウはレーヨンを始めポリエス
テル系、ポリアクリル系等の各種合成繊維のフィラメン
ト，トウが利用されるが、就中、アクリル系繊維トウは
ハイバルキー系の製造上、最も好適なものである。

そして、これらフィラメント．トウは繊維の種類に応じ
夫々、最適な温度下でロール間において加熱延伸され、
引続いて牽切工程に至り、ターボステープラーなと公知
の手段によって牽切が行なわれるが、通常、上記加熱温
度としては１００℃〜１４５℃の範囲内である。

なお、上記牽切されたトウは、パーロック式では稍発熱
し、高熱化するが、ターボステープラーでは高熱を発す
ることは少なく、そのため、比較的低いが、なお１００
℃前後の温度を保持していることが多い関係上、スライ
バーとして爾後、ダンスに収納するに当りその後の工程
への配慮から冷却が行なわれる。

冷却は、前述の如く通常、６０℃以下の温度にすること
が望ましく、従って、従来においてもダンスに穴をあげ
た、穴あきダンスを利用して自然通風によって冷却を行
なっていたが、冷却効率が悪く、ケンス内の温度は下り
にくく、しかも、ケンス内でスライバーは自由な状態に
置かれる関係から再収縮を起し易い状態を避けられなか
った。

そこで、本発明においてはその重要な特色としてファン
を利用した強制送風による冷却方式が採用されている。

この強制送風冷却方式は、スライバーを収納する前記ケ
ンス内に、スライバー収納に先立ち、予め多数の通気孔
を備えた多孔パイプを差し込んでおき、スライバーを該
多孔パイプの周囲に収納した後、適宜、送風ファンを利
用して該パイプに強制的に送風を行ない、パイプ孔を通
じてスライバーを冷却するのである。

勿論、この場合、冷風の温度が余り低くては、繊維自体
に対する品質低下をもたらすこともあるので、出来る限
り常温下で強制送風を行なうことが望ましい。

しかし、低温冷却空気の使用を妨げるものではない。

又、前記パイプの通気孔の形状、数は適宜、選定可能で
あるが、殊にダンス内におけるスライバーの温度分布に
従ってパイプ下部の通気孔の数を多くすること、網状材
を用いたパイプを利用することは共に好ましい設計であ
る。

第２図はかかる強制送風方式の一態様であり、ケンス１
１内に多数の通気孔１３を設けた多孔パイプ１２を挿入
してファン１４により送風管１５を通じて該パイプ１２
内へ送風し、その多数の孔１３よりケンス内のスライパ
ーへ強制的に冷風を送り込み、スライバーの冷却を行な
う状態を示している。

この場合、ケンス１１内には、その底部に図示の如く位
置決め部１６を設けて多孔パイプ１２の位置を確定させ
るようにすることがパイプ安定上、有利である。

そして、この多孔パイプ１２は、スライバーの冷却を経
た後は、随時、抜き取り、再び、次のケンス内へ差し込
む。

従って、多孔パイプ１２はファン、送風管と共に多くの
ダンスに共用されるものである。

特に、前記多孔パイプ１２は網目状材料で筒状に形成し
た網目状パイプを利用すれば冷却面で極めて効果的であ
り、殊にスライバーのもつれを起さない様にするには合
成樹脂製網状パイプは最も有用である。

叙上のようにして強制送風により冷却したスライバーは
ケンス内において、くまなく平均した冷却が行なわれ、
外気の温度に関係なく、能率的に冷却され、スライバー
を構成する繊維に残留収縮がある場合においても、再収
縮を起すことなく安定した繊維スライバーとして形成す
ることが容易となる。

なお、前記第２図においては、ダンスとして無孔のダン
スを利用しているが、従来の穴あきケンスを利用するこ
とも差支えないことは勿論である。

本発明冷却方法は、以上のように、スライバーを収納す
るケンス内に予め多孔パイプを差し込みスライバー収納
後、強制的に送風し冷却するものであり、従来の冷却方
式に比してダンス内の実際温度を容易に低下冷却させ、
冷却速度、冷却時間を従来に比し大幅に短縮してスライ
バーの再収縮傾向を阻止し、スライバーの収縮を安定化
させる顕著な効果を有し、糸の品質を高め、トウ紡績に
おける工程合理化に一段の寄与をもたらす方法としてそ
の実用化が大いに期待される方法である。

なお、本発明は特にアクリル系繊維の・・イバルキ一糸
の製造に適用し好適である。

【図面の簡単な説明】

第１図はトウ紡績における延伸、牽切工程の概要を示す
説明図、第２図は本発明の要部をなす強制送風方式の１
例を示す断面図である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ トウ紡績において、化学繊維フィラメント．トウを
   加熱延伸、牽切した後、スライバーとなしてケンス内に
   収納し冷却するに際し、前記スライバーを収納するケン
   ス内に予め多孔パイプを差し込んでおき、スライバー収
   納後、該パイプに強制的に送風してスライバーを冷却す
   ることを特徴とするトウ紡績におけるスライバー冷却方
   法。 ２ 多孔パイプは冷却後、抜き取る特許請求の範囲第１
   項記載のトウ紡績におけるスライバー冷却方法。 ３ 多孔パイプが網目状のパイプである特許請求の範囲
   第１項又は第２項記載のトウ紡績におけるスライバー冷
   却方法。